3387.2016年8月21日(日) 誤解される安倍首相の核に関する発言

 17日の本ブログに書いた安倍首相の迂闊な発言が、こんな魔訶不思議な話になっている。安倍首相がオバマ大統領の検討している核兵器先制不使用政策についてハリス米太平洋軍司令官に懸念を伝えた、とワシントン・ポスト紙が取り上げたことに、首相はハリス司令官とはそんな話をしなかったし、どうしてこんな報道が出てきたのか分からないと言い残してオリンピック閉会式出席のためリオへ旅立って行った。

 政治の世界では一寸先は闇とよく言われるように、言ってもいないコメントがメディアを通して煙に包まれたかのように伝えられるが、これもその類の話なのか。ことはわが国の防衛、核兵器に関わる重大な事柄である。こともあろうに外国の1メディアが日本の首相のコメントを誤って報道をしたということになる。それが事実なら日本政府としても、首相発言の真偽についてワシントン・ポスト紙に毅然として抗議し、事実をきちんと伝えるよう記事を訂正させるべきではないか。

 安倍首相の一貫したスタンスは、5月に広島を訪れたオバマ大統領の演説を称えてともに核兵器のない世界へ向けて努力を重ね、唯一の被爆国として非核3原則を堅持し、核不拡散条約(NPT)体制の維持、強化の重要性について訴えていくという筈だった。ここには、冒頭の発言について確かに触れてはいない。だが、首相を取り巻く周囲、特に外務省高官のひとりは「核廃絶は長期的目標として掲げるが、もし米政権が核の先制不使用を宣言すれば、日本を守るアメリカの抑止力は弱体化する」と述べていたそうだが、軽薄にメディアに漏らしたことが首相の発言として伝えられたと言えないこともない。首相の発言はこうした雑音がジャーナリテイックに利用された恐れはある。

 広島市内に住む被爆者が、口先だけなら何でも言えると言っていたことが、被爆者の心を傷つけていることに気がつくようでなければならない。これでは益々国民から信頼されないし、安倍内閣の薄っぺらな中身が益々薄く見えるではないか。

 日本政府が核問題についてどこまで本気になって考えているのか、ひとつの試金石となる催しが今ジュネーブで開かれている。同地で開かれている国連核軍縮作業部会が、核兵器禁止条約の締結交渉を来年中に始めるよう国連総会に勧告する報告書を賛成多数で採択した。しかし、ここでも日本の態度は誤解を生み、日本の核に対する理念が理解し難い形で伝えられている。

 つまり核兵器禁止条約を巡って2017年に交渉を開始することを支持した国が約100ヶ国あったのに対して、慎重、或いは反対を唱えた国が33ヶ国もあったのである。禁止条約は安全保障のバランスを崩して危険と主張したのは、核保有国9ヶ国とアメリカの「核の傘」の下にある国などの24ヶ国である。オバマ大統領と同調した安倍首相の言葉から推測するなら、日本は当然100ヶ国の国と同意見の筈であるが、そうではなかった。提案に対して正面から反対意見を提示し難く、棄権を選択したのである。明らかに反対派のアメリカに同調したのである。

 安倍政権の本心はどっちなのか。被爆者の気持ちとかけ離れた政治を核の世界でも行おうとしているのではないだろうか。

2016年8月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3386.2016年8月20日(土) 日本400mリレーで歴史的快挙、銀メダル獲得

 今日オリンピック陸上男子400mリレー決勝で日本チームが銀メダルを獲得した感動的なシーンには思わず興奮した。歴史的な快挙である。1968年メキシコ大会でサッカー日本代表チームが予想もしなかった銅メダルを獲得した時と似たじような感激だった。

 2008年北京大会で男子400mリレーチームが銅メダルを獲得した時には、日本陸上界が短距離でメダルを獲ることはまず可能性は望めず、奇跡ではないかと思ったほど信じられないような気分だったが、今日の日本チームは更に飛躍しアメリカを抜いてジャマイカに次ぎ第2位の順位を確保したことである。そのジャマイカ・チームには五輪史上初めて100m、200mと合せて3つ目の金メダルを3大会連続で獲得したエースのウサイン・ボルト選手がいた。アンカーのボルト選手と日本のアンカー、ケンブリッジ飛鳥選手は最初互角のレースだったが、最後に差をつけられてしまった。選手たちには申し訳ないが、この偉業こそ2度目の奇跡だと思ったほどである。しかも常勝国アメリカを破り堂々の銀メダル獲得である。4人の走者の実力が揃って高いレベルにあることが最も大きいと考えられるが、さりとて4人の内これまで誰も100mを9秒台で走った選手はいないし、今大会で100m決勝に進出した選手もいない。それでいながら、世界で2番目に早いリレー・チームになれたのは、個々の実力が100%発揮できたことに加えて、正に4人の抜群のチームワークと巧妙なバトンパスのなせる技であろう。今日は何度テレビでこの素晴らしいリレー競技を観たことだろうか。とにかく素晴らしい走りを見せてくれた。

 この他にも男子50㎞競歩では荒井広宙選手が3位に入って、競歩では史上初めてのメダリストとなった。そして、女子シンクロナイズド・スイミングがチームフリールーティンで銅メダルを獲得してデュオの銅と合せて、井村コーチのチームへの復帰によりアテネ大会以来3大会ぶりにメダルを勝ち取ったことが特筆される。

 知事選直後に閉会式に出席すると言っていた小池百合子・東京都知事もリオに到着してパエス・リオ市長と会見したようだし、閉会式には安倍首相も出席することになり今日慌ただしくリオへ旅立って行った。いよいよリオ・オリンピックも終盤に近づいている。

 さて、このところ気候が不安定で暑いばかりか、台風襲来による大雨、洪水の被害が続出している。今日も北海道から北日本、関東にいたるまで断続的に激しい雨に襲われていたが、ご多聞に漏れず東京も局地的に激しい雨がやって来た。そうかと思うと、一瞬の間に晴れ間が現れたり変わりやすい気象である。ほんの数日前台風が去ったばかりだが、今日本には3つの台風が近づいている。当分天候は変わりやすく不安定なようだ。

2016年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3385.2016年8月19日(金) 真夏のオリンピックで考えられる問題点

 今日もオリンピック関連ニュースのてんこ盛りである。残念ながら期待されていた女子レスリングで、4連覇を狙っていた吉田沙保里選手が決勝で過去2度も圧勝しているアメリカのマルーリス選手に敗れ、銀メダルに終わった。銀メダルだって上々の出来だが、優勝を目指し多くのファンからも期待されていた吉田選手にとっては大きなショックだった。マルーリス選手は目標としていた吉田選手に勝てたことを素直に喜び、吉田は彼女にとってヒーローだっと称賛して話していた。余計なことだが、女性ならヒーローではなく、ヒロインではないだろうか。

 それにしても吉田選手は負けたら大泣きするのではないかと思っていたが、案の定周囲も構わず泣きじゃくる姿には、これまで女子レスリングを支えてきた彼女のプライドと、33歳という年齢と時の流れを感じた。霊長類最強の女子と言われた吉田にもついに退場の舞台がやってきたということだろうか。長い間日本女子レスリング界を引っ張ってご苦労さまと言ってあげたい。

 吉田選手は4連覇こそ逸したが、堂々銀メダルだった。彼女の代わりに初出場した大学後輩の川井梨紗子選手が金メダルを獲得したので、それで佳しとすべきだろう。

 褒めてあげたいのは、初めて金メダルを獲ったバドミントン・女子ダブルスの高橋礼華・松友美佐紀選手のペアである。昨日のレスリングと同様に、追い詰められた末に逆転勝ちで勝利を収めた。最近の日本女性も精神的に随分頼もしくなったものである。

 今たけなわのオリンピックも間もなく幕を降ろす。良いことずくめというわけにはいかないようで、現在話題になっているのはアメリカの800m競泳リレー・メンバーの金メダリスト4人が強盗に襲われ金銭を奪われたという些かショッキングな事件である。ところが、どうもきな臭いと思っていたら、彼らが立ち寄った店の施設を壊して、ピストルを持った警備員に詰問され弁償金を支払わされたことを襲われたと届け出てことが大きくなった。実際には地元警察が選手たちによる狂言と発表して選手らの行動が顰蹙を買っている。アメリカ・オリンピック委員会もこの事実を認め謝罪した。金メダリストたちのお粗末な所業である。

 別の意味で問題とされるのは、カリフォルニア大学チームの発表である。現在の地球温暖化傾向がこのまま強まれば、2085年には夏季オリンピックを開催すること自体が難しくなると提言したのである。標高1,600m以下、人口60万人以上の北半球の645都市について調べ、それらの都市が温暖化対策を取らなかった場合、リスクが低いのはたった33都市に限られると発表した。アジアでは何とウランバートル(モンゴル)とピシケク(キリギス)だけだという。大体現在でも真夏に開催すること自体理由はいろいろあるようだが常軌を逸していると思っている。現在リオは冬だが、4年後の東京は真夏である。東京オリンピック組織委員会はどうやってこの暑さを避ける知恵を編み出してくれるのだろうか。

2016年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3384.2016年8月18日(木) 安倍首相が私の後を追ってキューバへ行くとよ~

 安倍首相が9月末にキューバ訪問を検討しているとのニュースが伝えられた。まさか私がキューバへ行くと知って首相も慌ててキューバ公式訪問を決めたわけではあるまい???。 

 本年3月オバマ大統領がアメリカの現職大統領としては88年ぶりにキューバを訪れ、両国の国交は一応回復した。だが、アメリカとキューバは、長期間に亘って距離的に近い国でありながら国交が途切れていた。経済封鎖は完全に解除されておらず、まだ経済面の国交回復が実現していない。ごく最近読んだ佐々木譲著「冒険者カストロ」、戸井十月著「チェ・ゲバラの遥かな旅」、三好徹著「チェ・ゲバラ伝」の3書を通して考えるのだが、アメリカとキューバの国交回復は一筋縄では解決しそうもないようだ。あまりにもお互いの憎しみ感情が強かったことと、アメリカによる経済封鎖のしこり、アメリカのキューバ国民蔑視、等々が両国間に大きな溝を作ったからである。小泉内閣時代の2003年にフィデル・カストロ前国家評議会議長が訪日しているが、アメリカの顔色を窺っていたわが国は双務的に利益を生む協約を結ぶことはしなかった。

 だが、今年6月に訪日されたキューバのディアスカネル国家評議会第1副議長は、オバマ大統領のキューバ訪問は何のインパクトもなかったと手厳しい評価をしている。キューバ国民はアメリカの実質的な封鎖解除自体を求めているのだと現状には悲観的である。その背景には、キューバにはラテン・アメリカを指図するアメリカ資本主義への危機感が強いことが影響しているようだ。そのため経済大国日本との関係強化に期待している。 

 そんな状況の中での安倍訪問はキューバへ乗り込もうとする中国の先手を打つ意味でも、また今やさほどアメリカのご機嫌伺いをする必要もない点から、ラウル・カストロ現国家評議会議長との話し合い如何によっては、キューバへ経済援助を供与することも含めて日本にとっても長期的視点からメリットが望める協定を締結することが考えられる。

 昨日の夕刊にポップ歌手マドンナが今ハバナを訪れ、自身58歳の誕生日を祝ったと写真入りで珍しい話題を扱っていた。キューバがいま世界的に広範に注目されているのだ。

 下旬に出かけるキューバ旅行の楽しみが増して来た。

 さて、今朝のテレビ・ニュースで日本の女子レスリング・チームがリオ・オリンピックで1度に3つの金メダルを獲得したと大々的に伝えていた。朝日夕刊ですら一面の8割方を割いて金メダル獲得に大騒ぎしているほどだ。その3つの決勝戦はすべて試合終了直前の逆転勝ちというのだから、日本女子も中々やるものだなと頼もしく感じた次第である。4大会連続の金メダルを狙っていた伊調馨選手は、決勝戦で最後の土壇場になって逆転勝ちしてひやひやものながら宿願を達した。他の2選手、登坂絵莉選手と土性沙羅選手も最後の数秒間で逆転勝ちした際どい勝利だった。それにしてもオリンピックで念願を成就するというのは、生易しいことではない。明日はやはり4連覇を目指している吉田沙保里選手が、夢を実現してくれるだろうか。

 他にも卓球男子団体が銀、女子団体が銅、水泳女子シンクロナイズ・デュオで銅メダルを獲得した。これで、今大会で日本が獲得した金メダルは10個になったが、まだ優勝の可能性があるレスリングがあるので明日以降も期待したい。

2016年8月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3383.2016年8月17日(水) オバマ大統領の核兵器先制不使用政策

 6月にイギリスが国民投票でEU離脱を決めてから世界的に経済が停滞し、以降わが国でも株価が下がり続けている。国内ではもう半年も経過するというのに日銀がエイヤッとやってのけた衝撃的なマイナス金利がその効果を上げていない。そこへ昨日円高の背中を押すようについに1$=99円台にまで円高が進み、この具合では当分輸出も伸びそうにない。日銀は新たな経済対策を出すのだろうか。しばし注目して見てみたい。

 その一方でアメリカ大統領選の影響を受けて対米外交でも妙なトバッチリが降りかかってきた。クリントン民主党候補の応援演説をしていたバイデン副大統領が、とんでもないことを言い出したのだ。「核保有国になり得ないとする日本の憲法をわれわれが書いたことを知らないのか。そんなことを学校で習わなかったのか」と対立候補のトランプ氏にやり返したのである。大きなお世話であるし、日本の憲法制定についてアメリカの学校で教えることはないのではないか。トランプ氏は何と言ったのか。日本の核武装を容認するから、アメリカにばかり頼らず自力で国を護れと言ったのだ。それにしてもバイデン副大統領の一方的な発言はわれわれ日本人にとって迷惑千万なことだ。大体アメリカが草案から何もかもお膳立てして日本国憲法を作成し、日本政府にこれで行けとばかり引き渡したというようなシナリオは誤解も甚だしい。バイデン氏こそもっと日本国憲法制定の事実を知ってもらいたいものである。

 ワシントン・ポスト紙が報じるところによるとその前提として核保有国のアメリカは先制攻撃をしないというオバマ大統領の考えがあった。大統領が検討しているとされる核兵器の先制不使用政策に対して、安倍首相が北朝鮮に対する抑止力が弱体化し、紛争の危険が高まるとハリス太平洋軍司令官に伝えたという内々の話があった。つまり安倍首相の考えは、「先制不使用は困る。危険だと確信したらアメリカの北朝鮮へ核の先制攻撃を容認する」ということだったのである。韓国はもちろん、核保有国のイギリスやフランスもオバマ大統領が検討中の政策について反対の立場にいるそうだ。

 保守派の安倍首相が反核を唱えるなら大いに歓迎だが、他国の核の使用についてまでコメントを述べることは出過ぎた発言だと思う。わが国は長年非核三原則を堅持し、核の使用に反対してきたのではなかったか。オバマ大統領の考える先制不使用政策は日本の非核三原則に触れるものではなく、非核三原則のひとつである「核を使用せず」に適っていると考えている。ケリー国務長官、カーター国防長官、モニツ・エネルギー長官ら政権内部の政府高官の間では大統領に反対意見を伝えているようだが、残り任期の少ないオバマ大統領としては、ノーベル平和賞を授与された立場からも自説を貫いてもらいたいものである。

2016年8月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3382.2016年8月16日(火) 野武士軍団の元西鉄・豊田泰光さん逝く。

 「ポケモンGO」の降って湧いたような人気で世界中のゲーム愛好家が市街地でルールも弁えず、交通事故を起こしたり、他人の私有地に入り込んで問題を起こしたり、使用上の問題を呈したり、巡り巡って一時のブームは去ったかのような下降人気である。新商品を開発した任天堂も株価が暴騰したり、急落したりして対応も思うように行かず振り回されているようだ。あれだけ売れた人気商品を開発しても、長期的に見ると必ずしも会社の発展に寄与するかどうかわからないところはゲーム感覚と変わらない。経営者の苦労も並大抵のものではないようだ。

 2009年ごろのイギリスの「インディペンデンス」紙にこんなことが書かれていた。凡そ下らない暇つぶしの最たるものは「カラオケ」で、次いで「24時間スポーツチャンネル」、「ゲーム機」、「携帯電話」の順だという。つまりいま流行りのスマホや「ポケモンGO」は、大分前からいずれ姿を現す下らないものだとすでに見透かされていたようなものである。

 さて、いま過熱しているオリンピック報道の影に隠れているようだが、例年通り夏の高校野球も熱戦を繰り返している。その熱戦の隅でひとりの元高校球児がこの世を去った。元球児というより、プロ野球でも西鉄ライオンズ黄金時代のスラッガーとして知られた豊田泰光さんである。巨人が痛めつけられた相手チームの中心選手だっただけに、現役時代は憎たらしい存在だった。だが、近年日経新聞に中々味のある評論を書いていたので、豪放磊落な強打者の隠れた一面を垣間見たように思い期待していた。

 その豊田さんには、私がまだ千葉の中学2年生だった昭和27年、夏の甲子園で、豊田さんの水戸商は南関東代表校・成田高校に完封負けしたが、その時水戸商の3番打者として成田高の穴沢投手からただひとり3打席3安打を放って孤軍奮闘活躍したのが、豊田選手だった。その後豊田さんの活躍を注目していたが、プロでも大活躍したのは周知の通りである。

 後年茨城県の海外教員視察団を度々お世話する機会があり、その都度県の先生方とは豊田さんの話題に触れると先生方にも興味を持っていただいた。茨城県では、豊田さんは同じ茨城県出身の石井藤吉郎さんや石井連蔵さんと並び野球界のヒーローだったのである。

 豊田さんはプロ野球ではチームメートの大下弘選手や、中西太選手らとともに野武士軍団と言われた西鉄を日本一のチームへ押し上げた大功労者でもあった。あの元気印の豊田さんが81歳になったとは言え、突然冥界へ行ってしまうとは、テレビのない時代の豊田さんの活躍を知っているだけに、一抹の寂しさを拭えない。

2016年8月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3381.2016年8月15日(月) 終戦記念日に閣僚・国会議員の靖国参拝

 終戦記念日に当たる今日、全国各地で慰霊祭が行われたが、東京の日本武道館では先日「生前退位」についてお気持ちを述べられた天皇・皇后両陛下ご臨席の下に政府主催の全国戦没者追悼式が行われ、310万人の戦没者を悼んだ。天皇は例年通り戦争の惨禍が再び繰り返されないことを願うとのお言葉を述べられたが、安倍首相は歴代の首相が言及したアジア諸国への加害、深い反省などの言葉に今年も一切触れなかった。

 今日はお隣の韓国でも日本の植民地支配からの解放を祝う「光復節」式典が行われた。この数年日韓関係は必ずしも友好的と言えるような間柄にはない。今日も竹島に国会議員が上陸し、自国領土であることをアピールした。

 一方毎年中韓両国を刺激する閣僚の靖国神社参拝は、今年も約70名の国会議員、毎度参拝する高市早苗総務相と今年初めての丸川珠代オリンピック担当相が行った。常習の高市総務相はともかく、丸川大臣の言い分は、国のために亡くなられた戦没者の御霊にお参りするのは当然とのニュアンスの発言だったが、すべて極右の政治家の受け売りでこの大臣には靖国神社の本質がよく分かっていないようだ。靖国神社に誰が祀られているかという点をまったく考えず、また戦禍を与えたアジア各国への思いやりに欠ける発言である。毎年繰り返される中国と韓国からの批判を焚きつけるようなものではないか。丸川大臣の行動は、今日参拝したいが立場上お参り出来ないどなたかの身代わりで靖国へやってきたのではないか。そう勘ぐって考えざるを得ない。こんな非常識な人間が国務大臣とは呆れるばかりである。

 さて、高校の3年後輩で大学のゼミでも後輩に当たり、卒業後も高校、大学の先輩・後輩として気軽に付き合っていた中村寛夫くんが4月に亡くなったとゼミの先輩・小松先生からメールでお知らせいただいた。彼は中々優秀な後輩でゼミの恩師・飯田鼎先生も期待していた。卒業後岩波書店に勤めて、相変わらずペンもおしゃべりも達者だった。近年は肺を患い、外出の際は酸素吸入器を持参して苦労されているようだった。最近はあまり外出することもなくなったせいか、電話と手紙によるやり取りだけになってしまった。昨年もらったハガキには「イヤな世の中になったもんです。小生ヒッソリ消光しおり」と書き添えてあった。常日頃から自民党政権に批判的だったし、徐々に保守化する政治にうんざりしていたことが窺える。

 2012年にゼミの恩師を追悼する文集を発行した際、私が編集責任者となり、彼にも寄稿をお願いしたところ健康不良を理由に一旦は断って来たので、脅しつけ命令調でペンを執らせたことも懐かしい思い出である。幸い追悼文集は多くのゼミ卒業生から励ましと慰めをいただき、まずまずの出来映えだったと自画自賛している。幸いにも中村くんが中々個性的な名文を寄稿してくれたので、全体的にまとまって洗練された小冊子になったと自負している。

 昨夕奥様にお電話した際、いろいろお話を伺い彼を懐かしく偲んだところである。追悼文集については手元にある筈だと仰っていたが、折角中村くんが書いた名文を奥様が読んでいないのは残念なので追悼文集と、他に出身高校についてもページを割いている拙著「南太平洋の剛腕投手」も一緒に、今日郵送したところである。それにしてもまたナイスガイが彼岸へ旅立ってしまった。何としても寂しく悲しいことである。

 リオ・オリンピックも中盤に入った。競泳はすべて終了し、日本は金2、銀2、銅3のメダルを獲得したが、何とアメリカの怪物、31歳のマイケル・フェルプス選手は今大会5つの金メダルを獲得し、彼ひとりで過去の大会を合せてオリンピックで23個の金メダルを手にする大活躍ぶりだった。今日行われた陸上男子100m決勝では、ジャマイカのウサイン・ボルト選手が、北京、ロンドンに続いて3連覇を飾る圧巻の走りを披露してくれた。

 特筆されるのは、テニスで錦織圭選手が銅メダルを獲得し、日本人テニス選手として1920年アントワープ大会の熊谷一弥選手の銀メダル獲得以来96年ぶりのメダリストとなったことである。1世紀も前にオリンピックで大学の先輩が大活躍したことを知って嬉しく誇らしく思う。

2016年8月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3380.2016年8月14日(日) カストロ・キューバ革命評議会前議長卒寿を迎える。

 今月末のキューバ旅行に備えてキューバ革命や、フィデル・カストロ前キューバ革命評議会議長、チェ・ゲバラに関する書物を読んでいるが、これまでキューバ革命についてはカストロらの功績以外あまり深く調べるようなことはなかった。革命はちょうど60年安保闘争やベトナム戦争と時期が重なっていたこともあり、キューバ革命の現象それ自体には大きな興味を持って概略を知ることはできたが、深く学ぶほど気持ちが向かわなかった。革命成就後ゲバラが諸外国巡行の際日本を訪れ、敢えて広島を訪れたことも寡聞にして初めて知った。私の関心と情報が近場に偏り過ぎていたかも知れないが、今改めて関連書を読んでみるとカストロの革命実現のための緻密な計画性や、行動力、ぶれない信念、巧みな話術と演説、更に優れた人間性に、多くの国民が彼を慕うことに納得できるような気がする。更に今まで知らなかったが、カストロがいわゆるソ連式、毛沢東式の社会主義とは異質で、マルクスが目指すような真の社会主義を目標にしていたことが分かる。従って当時のソ連を表面的にはともかく内心では模範にして頼っていたわけではなく、ソ連邦崩壊まで決してソ連と気脈を通じるということはなかったようだ。

 一口に革命といっても多種多様だが、キューバ革命がいかにカストロ個人の力によって成し遂げられようとも、カストロは彼個人への個人崇拝を避け、しかも現場の最前線に立って指揮官として指揮、行動して模範を示していたことによってリーダーが国民から信頼され、深く敬愛されるような社会主義革命を成し遂げたことは稀有な例だと思う。その意味でベトナム戦争を勝利に導いたホー・チー・ミンとも別の道を歩んだ人だと思う。

 人間的な魅力も捨てがたく、まだまだカストロの魅力を知りたいものだと思っている。

 そして昨13日がそのフィデル・カストロ90回目の誕生日である。日本流に言えば「卒寿」というおめでたい誕生日に当る。

 カストロは13日付共産党機関紙上で、5月に広島を訪問したアメリカのオバマ大統領の演説に対して「何十万人の住民を殺害したことへの謝罪の言葉が欠けていた」「広島と長崎を無作為に選んだ原爆投下は犯罪的攻撃だ」と厳しく指摘した。

 カストロは革命前後に何度となく訪米しているが、革命前アメリカ資本のバチスタ政権との癒着による搾取と、革命後の経済封鎖に対して国交回復による雪解けを言われながらも反米的言動は留まるところを知らない。手元にまだ読み始めていない革命関連書もこれから楽しみに読もうと思っているが、キューバではある程度革命に拘って見聞したいと今から楽しみにしている。それにしてもカストロ兄弟(兄フィデル、弟ラウル現革命評議会議長)もチェ・ゲバラも大した人物である。

 さて、今朝国民的人気グループ‘SMAP’が今年12月31日限りで解散することに決まったとの衝撃的ニュースが駆け巡った。今年1月一度その噂が出て1月14日付本ブログでも触れたところだが、人気グループであるが故にしばらくして元の鞘に収まってファンはホッとしていたようだ。だが、内情はそんなに単純なものではなかったようで、結局事務所とメンバーが話し合いの末解散することに決まった。‘SMAP’は1988年に結成され、以降今も人気は先端を走っている。その名称もSports Music Assemble People(スポーツと音楽を融合する人々)の頭文字から取ったというから、融合が挫折したというところだろうか。

2016年8月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3379.2016年8月13日(土) オリンピックにからむ諸々の問題

 今度のオリンピック競泳で珍しいことがいくつかある。先ずは、昨日行われた女子100m自由形で金メダリストが2人も現れたことである。しかもその内のひとりが、黒人アメリカ選手だった。その昔テニス、ゴルフや水泳では黒人と白人が同じ場でともにプレイすることはなかった。それが一応人種差別の壁が撤廃され、今では多くのスポーツで表向き差別はなくなり、その上競技によっては白人選手以上に黒人選手の活躍が目立つようにもなった。それでも水泳だけは、同じトレーニングの場が与えられなかったのか、これまで黒人選手が華々しい活躍をすることはほとんどなかった。これからは、人種の差別なく互いに競い合うスポーツの本領を見せてくれるだろう。 

 次いで、順位で同着が目につくようになったことである。冒頭に挙げた100m自由形の金メダリストルは2人の選手が同着となった。今日行われた男子100mバタフライ決勝では3人の選手が同着2位となり、一気に銀メダリストが3人も誕生した。加えて3人の内のひとり、南アのレクロー選手は前回ロンドン大会でも2人が2着だった時のひとりだった。すでに今大会で4つの金メダルを獲得しているアメリカのマイケル・フェルプス選手も銀メダリスト3人の内のひとりだった。オリンピックの競泳種目で同じメダルを3人が分け合うのは史上初だそうである。

 嫌なことは、あれだけドーピングが騒がれた大会であるにも拘わらず、検査で陽性が出たり、出場予定だったが疑念を持たれて追放処分にあった選手がいる。昨日行われた陸上競技最初の女子10000m決勝でも、従来の記録を大幅に塗り替える世界記録で圧勝したエチオピアのアルマズ・アヤナ選手が疑われている。スポーツ界では度重なる傷の痛みが骨髄に達していないのではないかとそのいい加減さに呆れるばかりである。

 嫌なことの2つ目は、柔道1回戦でイスラエル選手に敗れたエジプト選手が試合終了後、イスラエル選手の握手を拒んだことが問題になっている。IOCではオリンピック憲章と理念に反するとして、問題にするようだ。

 さて、リオ・オリンピックの熱気に圧倒されて些か過熱もトーンダウンしたかに見えるアメリカ大統領選挙運動中に、民主党候補ヒラリー・クリントン氏がこのほど環太平洋経済連携協定(TPP)交渉に反対を唱えた。共和党候補トランプ氏から態度を迫られ保留していたクリントン氏もトランプ氏同様に反対を訴えたのである。どうも駆け引きが絡んでいるようだ。先日オバマ大統領がクリントン氏を次期大統領として強く推したが、クリントン氏はそのオバマ大統領の親心を無視するかの如く選挙向きの行動に出た。その影響かどうかは、はっきりしないが、TPP反対を打ち出したクリントン氏を批判するかのように、昨日オバマ政権はTPP批准に向けた行政措置の説明案をアメリカ議会に送付した。

 だが、アメリカには反対意見も多くこの先どうなることやら視界不良である。アメリカ議会、民主・共和両党、上下院議員らにとって選挙を考え、周囲との調和を考えながら結論を出さなければならないのは気苦労とは思うが、しっかり自らの信念だけは貫いて欲しい。周囲への気遣いや選挙対策で自論を主張しないというのでは、本末転倒ではないだろうか。アメリカ大統領選挙が色褪せてくるわけだ。

一方、安倍総理は秋の臨時国会でTPP批准を目指すと言っているが、わが国内でも農協を中心に反対の声は根強い。最近強気になってきた首相は、これに対してどう出るか。

2016年8月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3378.2016年8月12日(金) 中国漁船沈没と伊方原発再稼働

 オリンピックも今やたけなわで日本選手の活躍もあり、テレビは各局とも朝からずっと賑々しく放送している。今日も競泳女子200m平泳ぎで金藤理絵選手が金メダルを獲得したと伝えられた。すると金藤選手のスランプ時の苦労話をドキュメント風に演出した画像が映し出される。金メダルを獲る選手が現れると銀メダルも銅メダルもやや影が薄くなる。先日男子400m個人メドレーで金メダルを獲った萩野公介選手が200m個人メドレーでは銀メダルに甘んじるや、金を獲った水上のレジェンドであるアメリカのマイケル・フェルプス選手に話題が集中する。

 その他に男子卓球で水谷隼選手が銅メダルを、柔道男子100㎏級で羽賀龍之介選手が同じく銅メダルを獲得した。

 準決勝へ進んだ7人制ラグビーはフィジーに敗れ、3位決定戦で南アフリカにも敗れて4位という結果になった。しかし、メダルこそ獲得できなかったが、ラグビー強豪国が争う中で4位になったということは素晴らしいことだと思う。身体で劣る日本チームにとっては、15人制以上にスピードとスタミナを要求される7人制の方が活躍の場が広いと思う。2019年には日本でラグビー・ワールドカップが開催されるし、その翌年には東京オリンピックが待っている。今回の成績を糧にして、東京オリンピックではぜひメダル獲得を目標に強化に励んでもらいたいと思う。

 一方、オリンピックの熱気に浮かされている間に、日本国内及び周辺海域では政治的、社会的に大きな動きがあった。

 このところ尖閣諸島周辺の日本領海に侵入してくる中国公船と漁船に対して、日本政府は度々中国政府に対して警告を発しているがまったく効き目がなく、中国公船の領海侵入はエスカレートするばかりである。そんな折も折、昨日思わざる事件が起きた。尖閣諸島周辺の公海上で中国漁船がギリシャ船籍の貨物船と衝突し、沈没してしまったのである。乗組員のうち6名は近くにいた日本の海上保安庁巡視船によって救助され、日本政府はことの次第を中国政府に連絡した。それに対して中国政府は乗組員の救助について謝意を表したが、その事実の詳細、特に日本の巡視艇が中国人乗組員を救助したことについては中国国内では伝えられず、一部ネットで事実を知った中国人には、日本の公船が中国人を救助したのは、中国領海で日本が実効支配しているからだと誤解を以って理解されたようだ。

 中国政府は中国漁船沈没の事実を正確に国内で伝えず、日本が人命救助をしても口先だけの謝意表明で済ませ、まったく誠意も誠実さも感じられない。孔子や孟子が生まれた国の言動とはとても思えない。流石にアメリカも中国が日本領海に立ち入ることに深刻な懸念を表明している。

 さて、国内でもうひとつ難題を抱えることになった。今日四国電力伊方原発3号機が再稼働したのである。5年前に定期検査に入って原子力規制委員会の検査を終了して再び稼働したわけだが、安全性については本当に大丈夫なのだろうか。今朝の日経と朝日夕刊ではまったく触れられていないが、去る4月の熊本地震以後余震の続いている影響はないのだろうか。地震発生直後は、熊本、大分、そして愛媛県佐田岬まで地下断層が繋がっており、佐田岬にある伊方原発が心配であると報道していたが、一旦嵐が去るや背に腹は変えられないのか知事も、電力会社もいかに原発反対の声があろうとも突き進む考えのようだ。

 これには地元住民の声が最も切実で効果的であるが、地元経済盛り上げの観点から心ならずも本音とは別の決断をせざるを得ない人たちも多い。だが、純粋に原発の安全性と経済性の観点から主張できるメディアが、コメントひとつ言及しないのは、メディアの劣化ぶりを示しており、原発廃止の前途は暗いものに思えて仕方がない。

2016年8月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com