今から74年前の今日皇居前広場で「流血のメーデー」と言われた学生らと警官隊との衝突が起きた。サンフランシスコ講和条約が発効して僅か3日後のことである。デモ行進により集まった市民3万人と3千人の警官隊が衝突して2名が亡くなり、2千人以上の負傷者を出した。
これは本来労働者による第23回メーデーの集会の筈だった。主催者が皇居前広場の使用許可を申請したが、政府は認めず、このため神宮外苑で行われることになった。神宮外苑から解散地の日比谷公園までデモ行進を行っていたが、日比谷公園へ近づくにつれデモ隊の動きが激しくなり、一部の参加者が皇居前広場へ流入し、暴徒化して警察隊と衝突する騒乱事件となった。戦後最大級の労働運動流血事件となった。
私も若かりし頃は、メーデーのデモに参加したことはあるが、あの当時と比較して今では、労働運動も下火となり、学生らはあまりデモに参加する気配が見られず、全般的に熱気が冷めている。あの頃は、労働運動の主流は、旧国鉄労働組合の国労と国鉄動力車労働組合の動労だった。学生の中心はもちろん全学連だった。多くの労働組合をまとめていたのが、所謂「総評(日本労働組合総評議会)」で、賃上げを求めて毎年春に春闘と言い、産業ごとに大小のストを試みていた。その中で社会へ一番強い影響を与えたのが、国労と私鉄総連の電車ストだった。特に国鉄のストは社会的にも影響は計り知れず、大学入試の季節とも重なり、受験生も頭を痛めていた。
今では、かつての総評に替わって全労が主導権を握っているが、今ひとつその行動は迫力に欠ける。その分社会全般に荒波のように押し寄せる迫力が失われている。その点で保守系の政治団体にとっては、御しやすくなったのではないだろうか。
社会学者の仁平典宏・東大教授は、学校教育で「多様性」や「対話」を学んでリベラル化した筈の若者が、先の衆院選では保守的な自民党を選択したと指摘している。同時にルールの厳格な運用を求める意識が高まっていることも原因ではないかと考えておられる。若い世代の「ルール遵守」は、教育関係者が若者に接しているとある程度理解できるという。昔はあまりなかったが、細かいルールを真面目に守り、同時に人にも守ることを要求する傾向が見えるという。
しかし、これでは若者たちは、保守的な行動を取るようになっていくだろう。ルールは守る。これは当たり前のことである。だが、ルールも時代に合わなくなって時代遅れのまま社会に置いて行かれる運命にあり、「ルール遵守」に拘り過ぎると時代とは合わなくなってくるのではないか。時代への適応性を失ったルールは、作り替える必要がある。その意気とエネルギーを失ったら、極端に言えば、人は世間に取り残され「生きた屍」とも成りかねない。
そういう意味では、現在の若者らの現状維持志向は、社会にとって発展の阻害要因とも成りかねないと思う。それを考えると現在の若者らの保守的傾向は将来にとってマイナスになると思う。