6102.2024年5月6日(月) いびつな人口構成と未解決の世界の紛争

 先月14日の本ブログにその前日総務省が公表した日本の人口について簡単に書いたが、昨日の「子どもの日」を前に総務省は、改めて子ども人口の現状について発表した。15歳未満の子どもの数も年々減り続け、昨年は一昨年に比べて33万人も少なく、1,401万人となり43年連続して減少した。意外だったのは、女子が683万人、男子が718万人で女子が男子より少なかったことである。いずれにせよこのまま全体の人口が減少し続けると、100年後には、日本の人口は江戸時代なみに3千万人台になると予測している。

 高校時代(昭和29~32年)の社会科授業で、次のようなことを学んだことに思い至った。その当時日本の人口は約8千万人で、米の年間生産高は、約6千万石で2千万石不足しており、その補充を外米の輸入に頼らなければ日本人の食生活を満たすことが出来ないと習った。そんな昔話とは比較にはならないが、1世紀後には8千万人どころか3千万人にまで人口減少が進むとは、国力とバランスの取れた人口を自然体で維持するのは難しいものだとつくづく思う。

 他にも人口問題では、留意しなければならないことがある。人間の数さえカバー出来れば良いというわけにはいかない。人口動態を分析してみると少子高齢化現象が益々亢進している。ひとり暮らしが増え、寂しいことに2050年には65歳以上の後期高齢者のうち、女性が29.3%、男性は26.1%が独り住まいになるという。加えて未婚率の上昇に伴い、将来的には近親者がいない独り暮らし高齢者が増加すると予想されている。

 これまで生きてきて人口とか、自分自身の高齢及び独り住まいについて、あまり考えたことはなかったが、現在朝日朝刊に連載中の小説「G線上のアリア」にも、高齢者の老人ホーム内の出来事が描かれている筋書きを考えると、それが将来像かと寂しくなり、傍に家族のいない人たちの心中を察するに忍び難い気持ちにもなる。

 さて、世界では国家同士の争いが相も変わらず勃発し、大きな戦争ではウクライナや、パレスチナ・ガザ地区の戦いが今世界中から関心が集まっているが、案外メディアにも報道されず、隣国同士、或いは国内で争いが絶えないところがある。スーダン、ミヤンマーなどの国内紛争の他に、今南米のベネズエラとガイアナの国境問題が注目されている。両国間の国境とは、川幅がほんの200mほどであるが、ベネズエラがガイアナ領エセキボ地域の領有化を宣言し、沿岸に監視部隊を駐留させており、ガイアナの反発を買っている。ベネズエラが旧スペイン領、ガイアナが旧オランダ、イギリス領だったことも問題を難しくしている。そのベネズエラでは独裁的なマドゥロ大統領の支持率は低い。国民の9割が貧困層に陥り、15年以降に国外に脱出したベネズエラ人だけを数えても約770万人もいる。今では人口は2千8百万人にまで減少してしまった。それでもガイアナの80万人に比べれば、圧倒的に多い。

 低支持率のマドゥロ大統領は、強い大統領を売り込むためにガイアナと故意に小競り合いを起こして、強い指導者像を国民に見せつけて支持を伸ばそうとしている節がある。また、ベネズエラの本心は、領土拡張というよりガイアナ沖合の海底油田に大きな狙いがあるようだ。

 領有権問題については、18年にガイアナが国際司法裁判所(ICJ)に提訴、審議が続いているが、結論が出るのは25年以降と見られている。仮にガイアナが勝訴した場合、ベネズエラは無責任にもICJの判断には従わないと言っている。世界各地で紛争は増えるばかりであるが、折角設置した解決のための組織の判断を受け入れないとすると世界の紛争はどれもこれも半永久的に解決しないのではないだろうか。

2024年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6101.2024年5月5日(日) 一時代を築いた大英帝国イギリスの落日

 最近先進首脳国G7の中でもやや存在感が薄くなったイギリスの国力が心配されている。1979年に就任したサッチャー首相が、「ゆりかごから墓場まで」と言われた戦後の福祉制度を抜本的に改革し、富裕層の税率を引き下げ世界中から富裕層をロンドンへ呼び込んで、首都ロンドンをニューヨークと並ぶ国際金融センターに作り替えた。だが、そのつけが、今日一般庶民に突きつけられることになった。その典型が国の交通インフラの中でも大事な道路が大分損壊し、修理が追い付いていないことである。道路上にぽっかり穴が開いて事故に繋がるケースが頻繁に起きているようだ。その他にも気泡コンクリートという建築材の安全性に疑問が投げかけられている。外気の寒暖により気泡が膨らんだり、萎んだりして硬さが一定していないらしい。その気泡コンクリートが、イギリスの玄関口ロンドンのヒースロー、ガトウィック両空港の滑走路にも使用されているというから航空機の滑走路上の事故に繋がりかねない。

 実は、去る2日イングランドの107自治体で地方選が行われたが、スナク首相が率いる保守党が、戦前に比べて議席数を半分にまで減らす大敗を喫した。議席数を何と472も減らしてしまった。その一方で、労働党は185議席を、自由民主党は105議席を、緑の党も73議席も増やした。同時に行われた市長選でも、現在のロンドンは労働党のカーン市長であるが、3回目の当選を果たし、他の市長選でも保守党は1勝6敗の惨敗だった。保守党の停滞ぶりは、すでに過去2回の地方選でも大幅に議席数を減らしている。

 こうなるとスナク政権の足元も怪しくなってくる。今年12月に下院の任期が終了するイギリスで、今年中に前倒しで総選挙が実施される可能性がかなり高いと思われる。その際スナク首相の保守党が政権基盤を失う可能性さえある。

 イギリスの社会インフラは、国の崩壊を象徴するものだとして、スナク首相もかなり深刻に受け止めているようだが、インドの大富豪の家庭に生まれ育ったスナク首相には、庶民の気持ちが充分理解できていないのではとの懸念がある。一時は、世界中に多くの植民地を抱え、その上がりだけで優雅に生きられた大英帝国も、第2次世界大戦後植民地が次々と独立してその恩恵を失う羽目になった。

 「福祉国家イギリス」の金看板だった国民保健サービス面でも、医療サービスが行き届かないと言う声が出ている。今イギリスでは、教育・医療機関、交通インフラでは、豊かになるどころか、「衰退」「貧困化」「金欠」を思わせる現象が顕著になっている。つまり、金融立国として世界中からいくらお金をかき集めても、国民や社会は必ずしも豊かにはならないということを近年のイギリスの実態が示している。

 戦後奇跡の経済復興を成し遂げた日本経済も、この30年間伸び悩んでいる。そのせいで日米の金利差もあるが、日本円の価値が下がり円安市場が続いている。同じように、かつて栄耀栄華を誇ったイギリスも、今や潤沢だった金融資産に底が見えて慌てていることだろう。

2024年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6100.2024年5月4日(土) 仮面を被った差別主義者バイデン大統領

 アメリカのいくつかの名門大学で、イスラエルのパレスチナ・ガザ地区攻撃に反対する学生デモがキャンパスを封鎖したことに対して、大学が警察隊を導入し排除した。これに対してバイデン大統領は学生たちの不法な行為を批判し、アメリカは自由が認められた国ではあるが、無法は排除されなければならないと厳しく非難した。トランプ前大統領もそうだが、バイデン大統領も来る11月に行われる大統領選を考えたうえでの言動で、アメリカの移民に対する忖度発言である。これによりバイデン氏は、学生らの票を失うことは明白である。

 そのバイデン大統領が、1日の選挙集会で「日本人は、ロシア、中国、インド人と同じく外国人嫌いだ」と思いもかけない無茶ぶり発言をした。ロシアと中国をけなすだけでは、パンチが効かないと考えたのか、同盟国である日本、及び中国と対立しているインドを人種主義の巻き添えにしてやり玉に挙げ、国内の移民から支持を得ようと考えたのだろう。

 先日訪米した岸田首相を随分持ち上げ、アメリカの望むように国防費を増額した日本の対米追従外交を緊密な同盟関係を強めたなどとお世辞を言っておきながら、このように日本人の心象に傷をつけるような発言を軽々に行うとは、バイデン氏の人格に問題ありと言わざるを得ない。

 この大統領発言については、早速日本の外務省が正確な理解に基づかない発言で残念だとアメリカ政府に申し入れた。この発言については、大統領の代弁者ホワイトハウスは、謝罪には応じず今後も同様の発言を行う可能性は「大統領次第」で起こり得ると釈然としない回答をした。こんな考えで日本との同盟関係を強調するのは、おこがましいと思う。
 バイデン大統領の移民に対する認識が欠けている点は、大統領再選に向けた資金調達イベントで、アメリカ経済における移民の役割を強調する発言の過程で、「われわれの経済が成長している理由のひとつは、あなたたちや他の多くの人々のおかげだ。なぜか?われわれが移民を歓迎しているからだ」と心にもないことを述べたことだ。アメリカ人が心から移民を歓迎しているだろうか。これまで国の発展の過程で、人出不足を補完するための便法のひとつとして移民を受け入れていただけではないのか。アメリカ国内における人種差別は、過去においても国際的な問題になっている。今でもアフリカ系黒人らに対する虐待や差別は枚挙に暇がないほどである。こんな恥部を覆い隠すように移民歓迎をアピールしたところで、すでに馬脚は表している。誰も大統領の発言を信用しないだろう。

 一般的にアメリカ人の移民差別感に基づく人種主義は、今から160年も昔のリンカーン大統領によって出された奴隷解放宣言以降も、それほど解消されたとは思えない。

 こんなバックグラウンドがありながら、日本人やインド人に抱く差別感はとても理解出来ない。これほど頭が回らない人物がアメリカ大統領となり、今再び大統領の座を射止めようとしている。大統領自身もさることながら、ホワイトハウスの回答も似たり寄ったりである。アメリカ人の黒人差別主義と狭い了見には、今更ながら呆れるばかりである。

 日本政府もこんな非民主的なアメリカに滅私奉公するような追従外交に見切りをつけ、もう少し大人同士として1対1の正常な対等外交を行うよう再考すべき時ではないだろうか。愚かなバイデン大統領には、つくづく愛想が尽きる。

2024年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6099.2024年5月3日(金) 「憲法記念日」を機に憲法について考えよう。

 今日は憲法記念日である。終戦翌年の昭和21年11月3日(私の8歳の誕生日)に公布され、昭和22年の今日施行された。憲法の原則は、「国民主義」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つの理念である。戦争の惨禍を受けた反省から、戦争と絶縁するために、第2章・第9条では「戦争の放棄」を謳い、第2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明確に軍隊の保有を認めないことが明記された。それが戦後80年近くなり近年そのテーゼが弱まり、憲法改正の声が少しずつ高まっている。それは、周辺国、とりわけ中国が日本近海に軍隊を進出させ軍事力を行使した行為から防衛するためと承知させられている。

 しかし、それ以上に日本が軍隊を配備し、軍事力を増強することに力を貸しているのは、戦後憲法を日本に作らせたアメリカである。今や日本は国の防衛に関しては、日本の防衛力と経済力を当てにしたアメリカの策略によって、憲法論議までアメリカの言いなりにさせられている。アメリカから兵器購入、防衛費予算増額と米軍基地拡大を要求され、日本はそれを断れない。それはアメリカの申し子である日本が軍事力を備え、アメリカが管轄する東アジアの戦略構想に日本を組み込むためである。その計画のスタートは、新憲法施行後まもなくして自衛隊の前身警察予備隊から保安隊と名称は変わり、歴然とした日本国軍隊として国の防衛に当たっていることで貢献しているように思える。

 近年自民党1強政治体制になって以来、語弊があるが、「妾」だった自衛隊を正式に「妻」である軍隊に格上げしようとの声が浸透している。ただ、それは明らかに憲法違反に当たることになり、そのために憲法改正論議が広がり始めた。

 しかし、最近の憲法改正世論調査によると、調査したメディアによっても大きな差が見られる。例えば、読売新聞の全国調査では、改正賛成が63%で反対は35%である。しかし、毎日新聞は、賛成が27%で、反対が52%である。しかもこの2年前には、賛成が44%、反対が31%だった。この2年間に改正賛成者は減り続けている。明らかに2年前のロシア軍によるウクライナ侵攻が許せず、しかも賛成者に恐怖感を与えたものであろう。それにしても保守的な読売には、どうしてこうも戦争好きな読者が多いのだろう。朝日新聞によれば、9条改正は、「変える方がよい」は昨年の37%から32%へ減少した。同時に、「変えない方がよい」は昨年の55%から今年61%に増えた。

 通信社である共同通信社の郵送方式の調査結果では、現状での改正は「急ぐ必要はない」が65%で、「急ぐ必要がある」の33%を大きく上回った。岸田首相が改憲機運も高まってきたので、改正の議論を高めていきたいと語ったことがウソのようである。

 賛成、反対の議論は差し置いて今知っておくべきことは、憲法改正の意味とその影響・効果について、本当に理解している人は少ないということである。憲法改正、特に第9条の戦争放棄が結果的に戦争に加担することになり、自分たちが戦線に狩り出され、命を失う恐れがあるということを分かっていない人、特に若者に多いのではないかと懸念している。戦争現場の残虐さと恐ろしさを知らない人たちが、深く考えることもなく、「国を守ることは国民としての責務」と考え、それに踊らされていつの間にか戦争に加担することを憂慮している。

 今日「憲法記念日」を機会に、国民がもう一度じっくり憲法と戦争について考えることが必要ではないかと考えている。

2024年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6098.2024年5月2日(木) 「5大常任理事国」制度は廃止すべし!

 昨日岸田首相がフランス経由でブラジルへ向けて旅立った。裏金問題にからむ政治資金改正法、衆院補選惨敗などで多忙な中を、敢えて6日間で3か国を駆け足訪問するのは、現在やや機能不全状態に陥っている国連改革について、ブラジルのルラ大統領と話し合いするのが主たる目的である。

 現在加盟国194か国を抱える国際連合は、第2次世界大戦後世界の恒久平和を願って戦前の国際連盟を加盟国全域に亘って平和の希求を理想に、発展的に改革した国際的な組織である。大分以前から戦勝国であるアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国からなる「5大常任理事国」という化け物制度の存在によって、国連はしばしば機能不全の状態に陥っている。この点についてルラ大統領は、5大理事国に次ぐ「4大理事国」を結成して、日本、ドイツ、インドとともに国連改革を進める考えを抱いている。

 これには、ハマスとイスラエル間で続けられている戦闘について、3月にルラ大統領は議長として国連安保理で採択した停戦決議が、アメリカの拒否権行使によって実行に移されなかったことを非難している。イスラエルの後ろ盾であるアメリカが拒否権を行使して、パレスチナの創設を阻んだと、常任理事国が拒否権を持たないことを提案し多くの加盟国の支持を期待すると述べていた。

 常任理事国による拒否権については、ロシアもアメリカの対極で度々行使している。このため折角総会や、安保理事会で決定された提案が反故になることも度々だった。これにはグテーレス事務総長も手の打ちようがなく困惑するばかりである。

 そもそも寄合所帯の国際連合が、発足当初の理念通り唯一絶対の結論を得ることを期待するのは難しい。理想を実現すべく、1993年に国連総会の決議により安保理改革作業部会が設立され、検討されてきた。2003年には、イラク問題をきっかけにハイレベル委員会が提唱されたが、改革は行われることなく今日に至っている。

 国連の制度改革には、当然5大常任理事国から強い反対意見が出ると思う。しかし、現状は制度もさることながら、それを支える各国の拠出金に大きな差があることは問題である。2022年に国連への分担金は、1位のアメリカが全体の1/5強の693万US㌦で、2位が近年高額になった中国、3位日本、4位ドイツ、5位イギリス、6位フランスで、ロシアは10位内にも入っていない。そのロシアが、国連の財政面で大した貢献もせず、恥ずかしげもなく利己的に自国に不利な提案には悉く反対している。

 私には、この常任理事国の拒否権について、2つばかり私案がある。ひとつは、すべての加盟国は平等に扱われるべきとの民主主義の原則に則って、5大常任理事国だけに特別扱いとする不平等な拒否権発動を中止するべきである。つまり、5大常任理事国制度を廃止することである。もうひとつは現状のままなら、採用された提案には、常任理事国5か国の中で多数決により3票以上を得たらその提案を採用することである。常任理事国1国が否決しても、他の4か国が賛成なら提案自体は否決されないということである。

2024年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6097.2024年5月1日(水) 日米学生の意識と行動力の大きな違い

 5年前の今日、天皇が即位され年号が平成から令和に変わった。上皇が退位されたことによって皇太子が天皇を継いだのは、202年ぶりということである。天皇は即位されたが、不運にもコロナ禍となり国民の前にお姿を現すことはなく、国民と直に話し合うことが出来なかった。漸く昨年国体開会式に出席され国民の前に出られたが、これからと言う時に、元旦早々能登半島地震により、また出鼻を挫かれてしまった。それでもその後2度も皇后ともども能登へ被災した人びとをお見舞いに出かけられた。天皇、皇后両陛下には、国民に寄り添う気持ちが表れて国民としては嬉しいことである。

 天皇即位の日である一方で、今日は労働者の祭典・メーデーでもある。大分古い事件だが、1952年の今日、皇居外苑でデモ隊と警察隊が衝突した騒乱事件が起きた。戦後の学生運動で初の死者を出した痛ましい1日でもある。当時は、まだ中学生だったが、強く印象に残っている。

 ついては、このところイスラエルによるパレスチナ・ガザ地区への攻撃が激しさを加え、各国が停戦を求めているが、イスラエルは攻撃を停める様子もなく、子どもを主に多くの犠牲者が生まれている。政府間の交渉が一向に進まない時に、アメリカでは多くの大学でイスラエルによるガザ地区攻撃に反対するデモが発生し、この数日は、コロンビア、イェール、ハーバート、マサチューセッツ工科大などの名門大学構内で激しいデモが起き、警察隊が構内で合わせて約9百人もの学生を拘束した。コロンビア大学では、学生らがテントを持ち込み、キャンパスを占拠した。これに対して大学側が警察隊を導入して強制排除に乗り出し、デモ参加者100人以上を逮捕した。ユダヤ系団体から支援が多い共和党の下院議長は、コロンビア大学学長の辞任を求めるほどの混乱ぶりである。

 元来ユダヤ系学生が比較的多いアメリカの大学では、ややイスラエル寄りの学生が多いが、反イスラエル・デモがこれほど大掛かりに行われるというのは、イスラエルの残虐な行為が学生たちにとって、とても許せないと思われたからである。

 このように反民主主義的で抑圧的、かつ非人道的なイスラエル政府の行動に対して、強く反対行動に参加するアメリカの大学生たちの正義感に比べて、残念ながら日本の大学生たちは声を潜めて、まったく行動しようとしない点が情けなく、不満が残る。どうして今の日本人学生は、反民主的、非人道的な現象に対して行動しようとしないのだろうか。甘やかされ過ぎたせいだろうか。我々60年安保世代にとっては、不審感とともに少々苛立たしく感じている。

 さて、外国為替の現在の円安についてちょっと触れておきたい。今年に入ってから外国為替市場で円安が進み、ついに1㌦=160円台にまでなった。この間政府、日銀は為替の動向を慎重に注視したいと決まり文句だけで、何ら円安対策を講じる動きを見せなかった。鈴木俊一・財務大臣も植田和男・日本銀行総裁も、目の前で円安が進んでいる状況を眺めながら一向に解消のために手を打とうとしない。そこへこの2,3日神田財務官がカメラの前に顔を出したので、代わりに何か方策を語るのかと思いきや、「過度な変動が投機によって発生すると、国民生活に悪影響を与える」とノーコメントだった。実は、先月29日に一時160円台に達したが、その後急速に円買いの動きがあり、1㌦=154円台まで急騰した。メディアの方がすでに気が付いていて、約5兆円の円買い介入が行われたと報じた。これまでの政府、日銀の円買い介入は、2022年10月に実施された5兆6千億円が最大である。5兆円と言えば、今年度の一般会計歳出予算額112兆円の4.5%に当たり、文教費及び科学振興費の5.5兆円とほぼ同額である。仮に為替への介入が、これほど高額の税が使われるのなら、これを黙っている鈴木財務相ら関係者と岸田首相ら政府要人の国民を軽視する姿勢には、我慢ならない。

 アメリカでは、金利を下げる考えが首をもたげていたが、日本の為替介入を知り、当分金利下げの空気は薄くなるだろう。それにしても、これまで為替相場を注視するとの一点張りだった鈴木財務相は、この期に及んで発言もしなくなってしまった。財務相としての責任を果たそうとしていない。岸田首相は速やかに仕事をしない鈴木財務相を更迭すべきである。

2024年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6096.2024年4月30日(火) 大阪万博開催は本当に大丈夫か?

 パリ・オリンピックまで3か月を切った。今日真夜中にU23日本サッカー代表が、アジア予選準決勝でイラクを破り、8回連続でオリンピック出場が決まった。パリ大会は従来の大会と異なって開会式をグランドではなく、セーヌ川で行ったり、エッフェル塔スタジアムでビーチバレー、テコンドーとフェンシングをグラン・パレで行い、他にもパリ市庁舎やベルサイユ宮殿など世界的に知られた観光名所を使って行われる。これからオリンピック・ムードも盛り上がってくることだろう。

 その一方で、開催まで残り1年を切った大阪万博が一向に盛り上がらない。パビリオン工事の遅れ、建設費高騰、人手不足(24年問題)などいくつもの難題を抱えているせいもある。3月には可燃性ガスに工事中の火花が引火して爆発する事故が発生した。元々会場の埋め立て人工島・夢洲は廃棄物処分場だったところで、地中の廃棄物から出たメタンガスが爆発の原因とみられている。吉村洋文・大阪府知事は、「原因究明と再発防止に努めてもらうが、人的被害が起きてもおかしくない」などと他人事のようにのんきなコメントを述べている。この火災については、昨年11月参院予算委員会で社民党の福島瑞穂議員が、「現場でメタンガスが出ている。火が点いたら爆発する」とこの事故を予言し、警告していた。それを当事者はあまり深刻に受け止めていなかったようだ。以前から会場設置と万博開催に異議を唱えていた市民団体「おおさか市民ネットワーク」は、「爆発するとずっと言い続けてきた。この場所を会場にしたこと自体が悲劇」と万博開催に反対している。名古屋大学の竹内恒夫名誉教授は、「ガスが発生している場所の上に、人が使う施設をつくることが間違い。この工区は使わないのが最低限の対策だ。この問題は万博中止や延期の要因になる可能性がある」と専門家として警鐘を鳴らしている。

 アジアで最初の万博と言われた1970年の大阪万博では、6,400万人の来場者が楽しんだが、今回の来場者は、前回の半分にも満たない約2,820万人を想定している。規模は小さくなり、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」とされている。前回は、丹下健三、岡本太郎や小松左京ら錚々たるメンバーがイメージ全体像の立案に関わったが、今回はこれという人物が関わったとは知らされていない。それはともかく、経費も予想を大幅に超過し、開催までに施設が間に合うかとの懸念がある中で地元の反対も根強く、これには当初の当時の橋下徹・市長が大阪の名前を世界へアピールするために無理やり開催にこぎつけた経緯があるように思われる。

 前回2020年開催予定だったドバイ万博は、東京オリンピックと同様にコロナ禍による影響とその対応で、1年間延期されたこともある。大阪万博には、延期の理由がないので、ここまで来たら何が何でもやり遂げる決意で、関係者の結束の下に日本として世界に誇れる万博を開催することが残された唯一の手段である。

 難問山積ではあるが、万博の成功することを心より願うが、ただ万博終了後の跡地利用に、統合型リゾート(IR)による賭博場開設だけは止めてもらいたい。

2024年4月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6095.2024年4月29日(月) 自民党、衆議院補選で3議席を失う。

 今日は昭和天皇の誕生日で「昭和の日」と言われている。かつての天長節である。昭和になってから今年は昭和100年まで1年となった。戦後になって、天長節は「天皇誕生日」という祭日になった。最近まであちこちの商店入口や住宅の門などに日の丸の旗が掲げられていたものである。それが、近年国旗を掲げるお宅はめっきり少なくなった。今日もいつも通り近所の住宅街をウォーキングしたが、以前はほとんどの住宅で掲げていた国旗を掲揚している家は1軒だけしか見られなかった。これこそ「昭和は遠くなりにけり」である。

 さて、昨日衆議院議員の補欠選挙が、東京15区、島根1区、長崎3区の3選挙区で行われ、初めて知った珍しい結果ではあるが、自民党は不戦敗を含めて3つの選挙区で議席をすべて失う羽目に陥った。特に島根1区では小選挙区制が導入されてから1度も議席を失ったことがなかった自民党が、岸田首相ら幹部らの応援を受けながら敗れた。補欠選挙とは言え、自民党派閥の裏金問題の逆風の中で行われた選挙と連日のメディア報道により全国的に関心が高まっていたと思っていたが、残念ながら投票率は3選挙区ともいずれも過去最低を下回った。ひとつの政治離れとも言える現象ではないかと懸念される。

 下落した投票率は、東京15区では40.7%で、2017年の過去最低55.59%を、島根1区は54.62%で14年の過去最低57.94%を、長崎3区は35.45%で14年の過去最低51.58%を大幅に下回った。勝ったのは3選挙区とも立憲民主党候補者だったが、これでは自民党批判もさることながら、選挙への関心が薄くなったことの証左ではないかと思える。

 また、今回悪質な選挙妨害のような別途の問題が話題になった。何とそれは、東京15区選挙区内で行われた公然たる選挙妨害行為である。それもある候補者が、別の候補者を大きな音量を出してののしる過激な妨害行為である。この取り締まりは、実際に選挙妨害にあたるのか、或いは自由な選挙活動なのか、その線引きが難しいかも知れない。これまで候補者に対して面前で罵倒するような行為は、選挙妨害だと単純に理解していたが、今回は実際に知名度の低い候補者が、嫌がらせのために、名を知られた候補者の面前で選挙演説に負けないくらい、マイクのボリュームを上げて言いたい放題の悪口雑言を浴びせ、ある候補者が悪質な選挙カーに追い回されているシーンまで見られた。

 関西地区以外では勢力を伸ばせない「日本維新の会」は、東京、長崎で負けたが、選挙戦で共産党の支援を受けた立憲民主党に対して「立憲共産党」などと呼びネガティブキャンペーンを展開したが、この維新の会特有の妨害行為も通じなかった。残念ながら民度も投票率同様に大分低下したようである。

 この選挙の結果、予想通り問題は、解散・総選挙と岸田首相退陣だった。しかし、仮に総選挙を実施しても自民党の不人気の流れは止められないだろう。裏金問題の解決と政治改革の2つがいずれも中途半端であるからである。特に、裏金を受け取った議員に対する党内懲罰は課した。だが、懐に入った裏金は、返すこともないし、不労所得のようなものであり、当然所得税を課すべきであるが、その点について何らの処分も指針も示されていない。このままそっとしておけば、噂は消え、現金をそっくり手にすることが出来ると裏金議員は悪賢いことを考えているのではないだろうか。

2024年4月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6094.2024年4月28日(日) 黒四ダム完成までの大プロジェクト

 昨晩NHK・TVで2000年に放映された「プロジェクトX  厳冬黒四ダムに挑む」の再放送版を観た。厳しい自然の中で、ダム完成までに実に7年の歳月を要し171人の殉職者を出した大工事だった。改めてその長い期間大工事に現場で働いた人たちの苦労を思うと感慨無量である。40年ほど以前に家族連れで、黒四ダムを訪れたことがあるが、それとは別に私自身にとって別の意味でダム大工事に触れた懐かしいメモリーがある。

 1959年7月だから大工事も中間点に来ていたころである。大学生となって山岳同好会部員として上高地から入り北アルプス表尾根を縦走し、鹿島槍ヶ岳近くの縦走路脇でテントを張り寝ていた夜に、縦走路尾根下のトンネルを出た辺りをダンプカーが何台も何台も大きなエンジン音を轟かせて行ったり来たりして、その轟音にしばし眠れないことがあった。その時噂で知っていた黒四ダムの工事ではないかと考えた。あの険しい山中で昼夜を分かたず、発電所建設のために多くの人びとが働いているのだと想像して、感動したことを想い出す。あれから4年後に黒四ダムは見事に完成した。

 その後書籍「黒部の太陽」が出版され、三船敏郎や石原裕次郎、宇野重吉、辰巳柳太郎、志村喬ら錚々たる名優が出演した同名の映画は大ヒット作となったことでも知られる。

 もうあれほどのマンパワーを注ぎ込んだプロジェクトは、今後恐らく計画されることはないだろう。多少現場近くの空気を吸ったこともあり、今も鮮烈に記憶に残っている誇るべきプロジェクトである。今では山へはほとんど行かなくなったが、あの黒四ダム建設大工事は、今も学生時代の最も印象深い山の想い出のひとつとして残っている。

 さて、最近アメリカ政府が日本へ陰で圧力をかけている事案が立て続けに起きていることに不信感を抱いている。ざっと挙げても3つほどある。

 ひとつは、先般岸田首相が訪米し、日米同盟の緊密な連携を日米双方で確約したときれいごとを述べていたが、その裏にある日米両国が日本周辺に緊急事態が発生した際の日米の軍事協力に関しては、明確には公表されていないが、日本の自衛隊がアメリカ太平洋地域統合参謀本部の指揮下に組み込まれる構想になっているらしいことである。これについては、政府は一言も説明しない。2つ目は、ドル高円安が亢進する外為市場において、日銀が勝手に為替市場で動くことは、G7加盟国の共通の考えに反するような言葉でアメリカがブレーキをかけていることである。3つ目は、日本製鉄が、昨年12月アメリカの大手鉄鋼企業・USスチールの買収を決めたことが報道され、同社組合のみならず全米鉄鋼労働組合(USW)が揃って反対し、あのトランプ前大統領が「ひどい話だ。私なら即座に阻止する。絶対にだ」と秋の大統領選を意識した発言を行ったことである。一方、バイデン大統領も4月13日に開かれた日鉄株主総会において買収が正式に承認されたことについて、アメリカの大企業であるUSスチール買収に否定的な姿勢を示した。大統領は一般的なアメリカ人の考えを述べたとされているが、労組から選挙戦の支持を取り付けることと、USスチールの地元であるペンシルバニア州の激戦区の選挙への影響を意識した発言と考えられている。目先の私利私欲を追い、民主主義の理念を否定するように政治家が民間の経営に口を出すような言動が、彼らには当然の権利であるかのように主張している。断じて許されるべきことではない。トランプ流に言って「絶対にだ」。

 最近のアメリカの言動や他国に対する干渉は、民主主義の根幹を損なうようなことばかりであり、とても容認できるものではない。同盟ではなく、こんな主従関係のような同盟国では、何を行うにせよ、宗主国アメリカの顔色を覗う植民地に日本は成り下がってしまうのではないだろうか。

2024年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6093.2024年4月27日(土) 観光客増加によりオーバーツーリズム

 今日から行楽シーズンのゴールデン・ウイークが始まった。3連休で始まり5月3日から4連休になり、その間の4月30日から5月1日、2日を休めば連続10日間の長い休みになることから、10日間のGWなどと拡大解釈しているようだ。GWと言えば旅行である。海外旅行は円安の影響を受け、それほど騒がれてはいないが、それでも今日から羽田、成田両国際空港は海外へ出かける旅行客でごった返している。一方、国内観光地は海外旅行を国内旅行へ変えた人たちや、外国人旅行客で賑わいそうだが、例年になく日本人には物価の高騰が懸念され、外国人には物価の安さが日本旅行のメリットだなどと言われている。とにかくドル高のお陰で外国人にとっては日本は物価が安く旅行しやすいと評判が良い。ドル高も昨日のNY市場で一時1㌦=158円台に乗せたというが、財務省も日銀もこれという手を打つことなく、例によって注意深く見守るそうだ。この先外為市場は一体どういうことになるのだろうか。今年はGW後も国内では観光ブームが続きそうである。

 ところで、世界的に観光ブームがやってきてどこの観光地もホクホクなのだが、近年懸念されている大勢の観光客が押し寄せ、観光公害(オーバーツーリズム)が起きて頭を痛めている観光地が増えている。国内でも京都市内には、以前から外国人が多く訪れていたが、このところ特に増えて、一般市民の生活にまで影響が及んでいる。

 例えば、京都市では、市内バスに1日に何度でも乗れる「バス1日券」をバスに観光客が集中する事態を避けるため、今年3月で販売中止を決め、観光客に地下鉄の利用も促し移動手段を分散させようとの趣旨で「地下鉄・バス1日券」の販売を決めた。京都市内は歩道の幅も狭く、狭い路地裏などにカメラを持った外国人が、舞妓さんの写真を撮ろうと後を追いかけるようなシーンが見られるが、基本的には狭い土地に外部から大勢の人びとが入り込む構図がオーバーツーリズムになっており、中々難しい問題を孕んでいる。

 オーバーツーリズムは日本国内だけに限ったことではなく、海外でも今問題視されている。世界遺産の「水の都」ベネチアでは、一昨日観光客から入場料金5ユーロ(約830円)を徴収する制度を試験的に始めたという。ベネチア市は旧市街の人口約5万人に対して、2022年には宿泊客だけで約320万人が訪れたという。住民の生活への影響が深刻になり、訪れる観光客数に制限を課そうとの試験的な試みである。

 ベネチアは運河の中にある中心地へのアプローチがいくつかある。私も何度か訪れたが、列車かバスでベネチアの港の入り口まで着いてから、荷物ともども船でサン・マルコ広場の島へ運ばれる。狭い島には車は走行しておらず、安心して徒歩でぶらつくことができる。ここには一般の住民も居住しており、観光客が大勢押し寄せることによって生活上不便を生じることも考えられる。かてて加えて、観光客は船頭の案内でゴンドラに乗って狭い運河の中を回遊する。ここへ多くの船が入り込んだらスムーズに船も動けないし、声量豊かな船頭の歌声も静かに聴いていられなくなることが心配される。それらの点を諸々検討してベネチア観光当局も入場料金を徴収し、観光客数を調整しようと決断したのかも知れない。

 いずれ遠からず京都のように人気の高い日本の観光地でも、同じような対策を考えなければならないことになるかも知れない。観光の発展と繁栄により、確実にお金は落ちる。だが、その裏には解決しなければならない問題点がいくつもあることを考えておかなければいけない。

2024年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com