6096.2024年4月30日(火) 大阪万博開催は本当に大丈夫か?

 パリ・オリンピックまで3か月を切った。今日真夜中にU23日本サッカー代表が、アジア予選準決勝でイラクを破り、8回連続でオリンピック出場が決まった。パリ大会は従来の大会と異なって開会式をグランドではなく、セーヌ川で行ったり、エッフェル塔スタジアムでビーチバレー、テコンドーとフェンシングをグラン・パレで行い、他にもパリ市庁舎やベルサイユ宮殿など世界的に知られた観光名所を使って行われる。これからオリンピック・ムードも盛り上がってくることだろう。

 その一方で、開催まで残り1年を切った大阪万博が一向に盛り上がらない。パビリオン工事の遅れ、建設費高騰、人手不足(24年問題)などいくつもの難題を抱えているせいもある。3月には可燃性ガスに工事中の火花が引火して爆発する事故が発生した。元々会場の埋め立て人工島・夢洲は廃棄物処分場だったところで、地中の廃棄物から出たメタンガスが爆発の原因とみられている。吉村洋文・大阪府知事は、「原因究明と再発防止に努めてもらうが、人的被害が起きてもおかしくない」などと他人事のようにのんきなコメントを述べている。この火災については、昨年11月参院予算委員会で社民党の福島瑞穂議員が、「現場でメタンガスが出ている。火が点いたら爆発する」とこの事故を予言し、警告していた。それを当事者はあまり深刻に受け止めていなかったようだ。以前から会場設置と万博開催に異議を唱えていた市民団体「おおさか市民ネットワーク」は、「爆発するとずっと言い続けてきた。この場所を会場にしたこと自体が悲劇」と万博開催に反対している。名古屋大学の竹内恒夫名誉教授は、「ガスが発生している場所の上に、人が使う施設をつくることが間違い。この工区は使わないのが最低限の対策だ。この問題は万博中止や延期の要因になる可能性がある」と専門家として警鐘を鳴らしている。

 アジアで最初の万博と言われた1970年の大阪万博では、6,400万人の来場者が楽しんだが、今回の来場者は、前回の半分にも満たない約2,820万人を想定している。規模は小さくなり、テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」とされている。前回は、丹下健三、岡本太郎や小松左京ら錚々たるメンバーがイメージ全体像の立案に関わったが、今回はこれという人物が関わったとは知らされていない。それはともかく、経費も予想を大幅に超過し、開催までに施設が間に合うかとの懸念がある中で地元の反対も根強く、これには当初の当時の橋下徹・市長が大阪の名前を世界へアピールするために無理やり開催にこぎつけた経緯があるように思われる。

 前回2020年開催予定だったドバイ万博は、東京オリンピックと同様にコロナ禍による影響とその対応で、1年間延期されたこともある。大阪万博には、延期の理由がないので、ここまで来たら何が何でもやり遂げる決意で、関係者の結束の下に日本として世界に誇れる万博を開催することが残された唯一の手段である。

 難問山積ではあるが、万博の成功することを心より願うが、ただ万博終了後の跡地利用に、統合型リゾート(IR)による賭博場開設だけは止めてもらいたい。

2024年4月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com