6093.2024年4月27日(土) 観光客増加によりオーバーツーリズム

 今日から行楽シーズンのゴールデン・ウイークが始まった。3連休で始まり5月3日から4連休になり、その間の4月30日から5月1日、2日を休めば連続10日間の長い休みになることから、10日間のGWなどと拡大解釈しているようだ。GWと言えば旅行である。海外旅行は円安の影響を受け、それほど騒がれてはいないが、それでも今日から羽田、成田両国際空港は海外へ出かける旅行客でごった返している。一方、国内観光地は海外旅行を国内旅行へ変えた人たちや、外国人旅行客で賑わいそうだが、例年になく日本人には物価の高騰が懸念され、外国人には物価の安さが日本旅行のメリットだなどと言われている。とにかくドル高のお陰で外国人にとっては日本は物価が安く旅行しやすいと評判が良い。ドル高も昨日のNY市場で一時1㌦=158円台に乗せたというが、財務省も日銀もこれという手を打つことなく、例によって注意深く見守るそうだ。この先外為市場は一体どういうことになるのだろうか。今年はGW後も国内では観光ブームが続きそうである。

 ところで、世界的に観光ブームがやってきてどこの観光地もホクホクなのだが、近年懸念されている大勢の観光客が押し寄せ、観光公害(オーバーツーリズム)が起きて頭を痛めている観光地が増えている。国内でも京都市内には、以前から外国人が多く訪れていたが、このところ特に増えて、一般市民の生活にまで影響が及んでいる。

 例えば、京都市では、市内バスに1日に何度でも乗れる「バス1日券」をバスに観光客が集中する事態を避けるため、今年3月で販売中止を決め、観光客に地下鉄の利用も促し移動手段を分散させようとの趣旨で「地下鉄・バス1日券」の販売を決めた。京都市内は歩道の幅も狭く、狭い路地裏などにカメラを持った外国人が、舞妓さんの写真を撮ろうと後を追いかけるようなシーンが見られるが、基本的には狭い土地に外部から大勢の人びとが入り込む構図がオーバーツーリズムになっており、中々難しい問題を孕んでいる。

 オーバーツーリズムは日本国内だけに限ったことではなく、海外でも今問題視されている。世界遺産の「水の都」ベネチアでは、一昨日観光客から入場料金5ユーロ(約830円)を徴収する制度を試験的に始めたという。ベネチア市は旧市街の人口約5万人に対して、2022年には宿泊客だけで約320万人が訪れたという。住民の生活への影響が深刻になり、訪れる観光客数に制限を課そうとの試験的な試みである。

 ベネチアは運河の中にある中心地へのアプローチがいくつかある。私も何度か訪れたが、列車かバスでベネチアの港の入り口まで着いてから、荷物ともども船でサン・マルコ広場の島へ運ばれる。狭い島には車は走行しておらず、安心して徒歩でぶらつくことができる。ここには一般の住民も居住しており、観光客が大勢押し寄せることによって生活上不便を生じることも考えられる。かてて加えて、観光客は船頭の案内でゴンドラに乗って狭い運河の中を回遊する。ここへ多くの船が入り込んだらスムーズに船も動けないし、声量豊かな船頭の歌声も静かに聴いていられなくなることが心配される。それらの点を諸々検討してベネチア観光当局も入場料金を徴収し、観光客数を調整しようと決断したのかも知れない。

 いずれ遠からず京都のように人気の高い日本の観光地でも、同じような対策を考えなければならないことになるかも知れない。観光の発展と繁栄により、確実にお金は落ちる。だが、その裏には解決しなければならない問題点がいくつもあることを考えておかなければいけない。

2024年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com