6098.2024年5月2日(木) 「5大常任理事国」制度は廃止すべし!

 昨日岸田首相がフランス経由でブラジルへ向けて旅立った。裏金問題にからむ政治資金改正法、衆院補選惨敗などで多忙な中を、敢えて6日間で3か国を駆け足訪問するのは、現在やや機能不全状態に陥っている国連改革について、ブラジルのルラ大統領と話し合いするのが主たる目的である。

 現在加盟国194か国を抱える国際連合は、第2次世界大戦後世界の恒久平和を願って戦前の国際連盟を加盟国全域に亘って平和の希求を理想に、発展的に改革した国際的な組織である。大分以前から戦勝国であるアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国からなる「5大常任理事国」という化け物制度の存在によって、国連はしばしば機能不全の状態に陥っている。この点についてルラ大統領は、5大理事国に次ぐ「4大理事国」を結成して、日本、ドイツ、インドとともに国連改革を進める考えを抱いている。

 これには、ハマスとイスラエル間で続けられている戦闘について、3月にルラ大統領は議長として国連安保理で採択した停戦決議が、アメリカの拒否権行使によって実行に移されなかったことを非難している。イスラエルの後ろ盾であるアメリカが拒否権を行使して、パレスチナの創設を阻んだと、常任理事国が拒否権を持たないことを提案し多くの加盟国の支持を期待すると述べていた。

 常任理事国による拒否権については、ロシアもアメリカの対極で度々行使している。このため折角総会や、安保理事会で決定された提案が反故になることも度々だった。これにはグテーレス事務総長も手の打ちようがなく困惑するばかりである。

 そもそも寄合所帯の国際連合が、発足当初の理念通り唯一絶対の結論を得ることを期待するのは難しい。理想を実現すべく、1993年に国連総会の決議により安保理改革作業部会が設立され、検討されてきた。2003年には、イラク問題をきっかけにハイレベル委員会が提唱されたが、改革は行われることなく今日に至っている。

 国連の制度改革には、当然5大常任理事国から強い反対意見が出ると思う。しかし、現状は制度もさることながら、それを支える各国の拠出金に大きな差があることは問題である。2022年に国連への分担金は、1位のアメリカが全体の1/5強の693万US㌦で、2位が近年高額になった中国、3位日本、4位ドイツ、5位イギリス、6位フランスで、ロシアは10位内にも入っていない。そのロシアが、国連の財政面で大した貢献もせず、恥ずかしげもなく利己的に自国に不利な提案には悉く反対している。

 私には、この常任理事国の拒否権について、2つばかり私案がある。ひとつは、すべての加盟国は平等に扱われるべきとの民主主義の原則に則って、5大常任理事国だけに特別扱いとする不平等な拒否権発動を中止するべきである。つまり、5大常任理事国制度を廃止することである。もうひとつは現状のままなら、採用された提案には、常任理事国5か国の中で多数決により3票以上を得たらその提案を採用することである。常任理事国1国が否決しても、他の4か国が賛成なら提案自体は否決されないということである。

2024年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com