6102.2024年5月6日(月) いびつな人口構成と未解決の世界の紛争

 先月14日の本ブログにその前日総務省が公表した日本の人口について簡単に書いたが、昨日の「子どもの日」を前に総務省は、改めて子ども人口の現状について発表した。15歳未満の子どもの数も年々減り続け、昨年は一昨年に比べて33万人も少なく、1,401万人となり43年連続して減少している。意外だったのは、女子が683万人、男子が718万人で女子が男子より少なかったことである。いずれにせよこのまま国の人口が減少し続けると、100年後には、日本の人口は江戸時代なみに3千万人台になると予測している。

 高校時代(昭和29~32年)に社会科授業で、次のようなことを学んだ。その当時日本の人口は約8千万人で、米の年間生産高は、約6千万石で2千万石不足しており、人口増が心配されていた。その補充を外米の輸入に頼らなければ日本人の食生活を満たすことが出来ないと習った。そんな昔話とは比較にはならないが、1世紀後には60数年前の8千万人どころか3千万人にまで人口減少が進むとは、国力とバランスの取れた人口を自然体で維持するのは難しいものだとつくづく思う。

 他にも人口問題では、留意しなければならないことがある。人間の数さえカバー出来れば良いというわけにはいかない。人口動態を分析してみると少子高齢化現象が益々亢進している。ひとり暮らしが増え、寂しいことに2050年には65歳以上の後期高齢者のうち、女性が29.3%、男性は26.1%が独り住まいになるという。加えて未婚率の上昇に伴い、将来的には近親者がいない独り暮らし高齢者が増加すると予想されている。

 これまでの半生で人口とか、自分自身の高齢及び独り住まいについて、あまり考えたことはなかったが、現在朝日朝刊に連載中の小説「G線上のアリア」の筋書きも、高齢者の老人ホーム内の出来事が描かれていることを考えると、それが将来像かと寂しくなり、傍に家族のいない人たちの心中を察するに忍び難い気持ちにもなる。

 さて、世界では国家同士の争いが相も変わらず勃発し、大きな戦争ではウクライナや、パレスチナ・ガザ地区の戦いが今世界中から関心が集まっているが、案外メディアにも報道されず、隣国同士、或いは国内で争いが絶えないところがある。スーダン、ミヤンマーなどの国内紛争の他に、今南米のベネズエラとガイアナの国境問題が注目されている。両国間の国境とは、川幅がほんの200mほどであるが、ベネズエラがガイアナ領エセキボ地域の領有化を宣言し、沿岸に監視部隊を駐留させており、ガイアナの反発を買っている。ベネズエラが旧スペイン領、ガイアナが旧オランダ、イギリス領だったことも問題を難しくしている。そのベネズエラでは独裁的なマドゥロ大統領の支持率は低い。国民の9割が貧困層に陥り、15年以降ベネズエラ人の約770万人が国外に脱出して、今では人口は2千8百万人にまで減少してしまった。それでもガイアナの人口80万人に比べれば、まだ圧倒的に多い。

 低支持率のマドゥロ大統領は、強い大統領を売り込むためにガイアナと故意に小競り合いを起こして、強い指導者像を国民に見せつけて支持を伸ばそうとしている節がある。また、ベネズエラの本心は、領土拡張というよりガイアナ沖合の海底油田に大きな狙いがあるようだ。

 領有権問題については、18年にガイアナが国際司法裁判所(ICJ)に提訴、審議が続いているが、結論が出るのは25年以降と見られている。仮にガイアナが勝訴した場合、ベネズエラは無責任にもICJの判断には従わないと言っている。世界各地で紛争は増えるばかりであるが、折角設置した解決のための組織の判断を受け入れないとすると世界の紛争はどれもこれも半永久的に解決しないのではないだろうか。

2024年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com