6099.2024年5月3日(金) 「憲法記念日」を機に憲法について考えよう。

 今日は憲法記念日である。終戦翌年の昭和21年11月3日(私の8歳の誕生日)に公布され、昭和22年の今日施行された。憲法の原則は、「国民主義」、「基本的人権の尊重」、「平和主義」の3つの理念である。戦争の惨禍を受けた反省から、戦争と絶縁するために、第2章・第9条では「戦争の放棄」を謳い、第2項で「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と明確に軍隊の保有を認めないことが明記された。それが戦後80年近くなり近年そのテーゼが弱まり、憲法改正の声が少しずつ高まっている。それは、周辺国、とりわけ中国が日本近海に軍隊を進出させ軍事力を行使した行為から防衛するためと承知させられている。

 しかし、それ以上に日本が軍隊を配備し、軍事力を増強することに力を貸しているのは、戦後憲法を日本に作らせたアメリカである。今や日本は国の防衛に関しては、日本の防衛力と経済力を当てにしたアメリカの策略によって、憲法論議までアメリカの言いなりにさせられている。アメリカから兵器購入、防衛費予算増額と米軍基地拡大を要求され、日本はそれを断れない。それはアメリカの申し子である日本が軍事力を備え、アメリカが管轄する東アジアの戦略構想に日本を組み込むためである。その計画のスタートは、新憲法施行後まもなくして自衛隊の前身警察予備隊から保安隊と名称は変わり、歴然とした日本国軍隊として国の防衛に当たっていることで貢献しているように思える。

 近年自民党1強政治体制になって以来、語弊があるが、「妾」だった自衛隊を正式に「妻」である軍隊に格上げしようとの声が浸透している。ただ、それは明らかに憲法違反に当たることになり、そのために憲法改正論議が広がり始めた。

 しかし、最近の憲法改正世論調査によると、調査したメディアによっても大きな差が見られる。例えば、読売新聞の全国調査では、改正賛成が63%で反対は35%である。しかし、毎日新聞は、賛成が27%で、反対が52%である。しかもこの2年前には、賛成が44%、反対が31%だった。この2年間に改正賛成者は減り続けている。明らかに2年前のロシア軍によるウクライナ侵攻が許せず、しかも賛成者に恐怖感を与えたものであろう。それにしても保守的な読売には、どうしてこうも戦争好きな読者が多いのだろう。朝日新聞によれば、9条改正は、「変える方がよい」は昨年の37%から32%へ減少した。同時に、「変えない方がよい」は昨年の55%から今年61%に増えた。

 通信社である共同通信社の郵送方式の調査結果では、現状での改正は「急ぐ必要はない」が65%で、「急ぐ必要がある」の33%を大きく上回った。岸田首相が改憲機運も高まってきたので、改正の議論を高めていきたいと語ったことがウソのようである。

 賛成、反対の議論は差し置いて今知っておくべきことは、憲法改正の意味とその影響・効果について、本当に理解している人は少ないということである。憲法改正、特に第9条の戦争放棄が結果的に戦争に加担することになり、自分たちが戦線に狩り出され、命を失う恐れがあるということを分かっていない人、特に若者に多いのではないかと懸念している。戦争現場の残虐さと恐ろしさを知らない人たちが、深く考えることもなく、「国を守ることは国民としての責務」と考え、それに踊らされていつの間にか戦争に加担することを憂慮している。

 今日「憲法記念日」を機会に、国民がもう一度じっくり憲法と戦争について考えることが必要ではないかと考えている。

2024年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com