472.2008年8月28日(木) 日本人、タリバンに殺害される。

 八木知研会長にお手伝いしていただきながら、気仙広域連合2日目の研修を無事終えることが出来た。初めて「合意術」を教えることになり事前の自己研修で、かなり学んだつもりではあったが、教えるとなるとまた話は別だ。会長がうまく受講者と会話してヒントを受講者に与えてくれたので、かなり効率良く進めることが出来た。出来上がった作品も昨日に次いで、なかなか立派なものである。私自身も大体教え方のコツらしいものを学んだので、これから自己研鑽に励みながらもっとレベルアップして、受講者にさらに納得出来る「合意術」を教えられるよう努力したい。

 帰りは、森さんに車で研修会場の陸前高田から一ノ関まで送っていただき、随分時間をセーブ出来た。くねくねしたJR大船渡線に沿った山間の道路だが、大きなカーブを切ったループ線の道路と橋など、珍しい景色に興味をそそられる。受講生も良い方ばかりで、気持ちのよい研修だった。まぁ2日間全力投球したので、やや疲れた。

 昨日アフガニスタンで誘拐された「ペシャワール会」の農業専門家・伊藤和也さんが射殺体となって誘拐現場近くで発見された。伊藤さんは先日解放された横浜国立大生や、数年前拉致され殺害された飯塚市の青年とは目的が異なる。伊藤さんは心からアフガニスタンの農業復興のために力を注ぎ、言葉も覚えて土地の人々との交流も強めて、効果が出ていただけにこういう悲惨な結果は残念である。これから民間の現地支援事業は難しくなるし、現在海上自衛隊がインド洋海上で活動している石油補給活動も特措法が絡んで微妙な問題となったような気がする。

 今日の新聞もテレビもあまり見ていないが、夜遅く帰ってきてニュース番組を見るとやはりこの問題を大きく取り扱っている。折も折、早稲田出版の大塚編集長から、殺害されたジャララバードはカイバル峠から僅か50マイルで、次作品の描写に臨場感が表れているとのメールがあった。小中陽太郎さんからも話題の地でもあり、書評でうまく取り上げてもらえればよいですねとメールをいただいたばかりだ。

 8年前にカイバル峠を訪れたとき、感じた不気味さはやはり世界中の他のどこよりも、奇妙な空気が充満していたような気がする。

 それにしても、また日本人に犠牲者が出てしまって残念でならない。伊藤さんのご冥福をお祈りするばかりである。

2008年8月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

471.2008年8月27日(水) 気仙広域連合研修第一日

 広域連合の森さんが8時に車で迎えに来てくれた。研修場所は「陸前高田市ふれあいセンター」という公共施設で受講者は21人。この広域連合を構成している大船渡市、陸前高田市、矢田町の2市1町から参加したほぼ30代の人たちばかりで、6人の女性が含まれている。2日間のスケジュールの中で、「図解」の他に「合意術」があるので、時間的には少々きつい。今日の感じでは、受講者の水準はかなり高いと感じた。ホテルの営業計画を図解する作業では、4つのチームがレベルの高さを示してくれた。PCを使わずに4チームがそれぞれ個性溢れる図を立派に仕上げたので、驚いたくらいである。明日の日程もタフで「私の仕事図」の演習時間がかなり少ないと思っていたので、説明・解説を今日最後の1時間の中に済ませた。これで明日は最初から「私の仕事図」の演習に充てることができる。明日のスケジュールに多少ゆとりを持つことができる。

 何と言ってもPCを使えないことから、作図はすべて手作業になるので、時間がかかるうえに作成した図の見映えが今ひとつ優れない。受講者には、PCを使用すれば確実に見映えが良くなりますと伝えた。

 明日の研修は、「私の仕事図」の作成と各人の発表、そして「合意術」である。夕方ホテルへ合流された八木哲郎・知研会長と「合意術」の講義内容について、新しい説明資料も加えて細かく検討し、何とか明日の研修で受講者に納得をしてもらいたいと思っている。

 イラク以上に危険になってきた最近のアフガニスタンで、日本人が1人拉致された。アフガニスタンで医療活動などを続けているNGO「ペシャワール会」の一員で、農業専門家である。4年以上も現地の農業指導に当っていた人物で、先日長い拉致から解放された大学生とは主旨が違う。拉致された場所は、アフガン領内のカイバル峠に近いジャララバードで最近不穏な情勢にあると伝えられたところだ。タリバンが関与しているとも聞く。特に最近はイラク情勢よりも、アフガン情勢の方がより深刻だと報道されている。元々山賊が出没するような場所へ、タリバンが再びその力を誇示し出したわけである。無事に解放されればよいが、相手はタリバンでもあり、少々気になるところである。

2008年8月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

470.2008年8月26日(火) 大船渡線の牧歌的な車窓風景

 JR大船渡線に初めて乗った。一ノ関から大船渡まで約2時間。JR新幹線内のギブアウェイ「トランヴェール」8月号に、偶々2頁にわたり大船渡線(一ノ関⇔盛)が地図と写真入りで紹介されていた。それを参考に車窓から沿線風景をたっぷり楽しむことができた。

 普段は地方鉄道にあまり乗る機会はないが、それでも偶に乗ると日本の原風景と縮図を見るようで、懐かしい気持ちの反面、寂しさと切ない気持ちが湧いてくる。数年前、日豊本線・城野駅から、田園地帯を飯塚方面へのんびり一人旅したとき、日本の本質を知りたいと日本へやってくる外国人旅行者には、古寺古跡を見学することはもちろん日本文化を知るうえで大切なことだが、出来れば地方都市を、列車で巡りながら訪れて見るのもいいのではないかと思った。地方の鉄道はすいているし、田舎では人や車が込み合わないので、旅行も楽に出来る。それに日本人のホスピタリティーに触れることが出来るのではないかと思った。

 2輌編成のジーゼルカーだが、車窓から気がつくことが多い。北上川の水が意外に汚い。陸中松川駅前には「太陽と風の家」という公的な施設があるが、見学者がいそうもない。これも夕張化してしまうのではないかと他人事ながら気になる。沿線南側にはセメント工場が無造作に鉄骨をむき出し無気力に稼動している。2つの駅前の大きなパチンコ店が2軒も閉鎖していた。客も来なくなったのだろう。駅名も珍しい名が多い。陸中門崎(「りくちゅうかんざき」と読む)、猊鼻渓(げいびけい)、千厩(せんまや)、鹿折唐桑(ししおりからくわ)等々である。上鹿折(かみししおり)から陸前高田の区間は、山間部の小高い森林帯の中を勢いよく走ったかと思いきや、稲穂の中を疾走したり、山の中から海岸近くを走り抜ける。旅行者には飽きることのないバラエティに富んだ牧歌的な風景の連続である。

 この大船渡線がドラゴンレールと言われたり、ドラゴン急行が走っているのは、路線がくねくね上がったり下がったり龍のような形をしているからだそうだ。岩手県と宮城県の県境を2度ばかりまたいで、三陸海岸へ到着する。三陸とは、陸前、陸中とは知っていたが、もうひとつの陸○は何だろうと大船渡駅までわざわざ出迎えてくれた、気仙広域連合の森正さんに尋ねてみたところ、「陸奥」と即座に答えられた。

2008年8月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

469.2008年8月25日(月) 北京オリンピック後の中国はどうなるか。

 日本中、というより世界が悲喜こもごもだった北京オリンピック・フィーバーが漸く幕を下ろした。ほっとしている人も多いのではないかと思う。夏休みということも影響しているが、この17日間「日本」国内は、何ひとつ前進がなかった。政治、経済両面でもまったく目に見える成果はなかった。ほぼ1ヶ月近く政党首脳は時折会議と称して雑談をやっているに過ぎなかった。あとは夏休みと称してゴルフをやったり、ずる休みを貪っている。政治家とはつくづく気楽な商売だと思う。

 オリンピックの宴が終わり、これから中国は、どうやって経済成長を維持していくのか、今抑圧」しているウィグル地区やチベット、その他の人権抑圧問題はどう解決するのか、中国農村の疲弊化をどう立て直すのか、経済格差と役人の汚職をどう解決するのか、等々課題は山積である。ところが、実は一部の問題はこのままわが国にも当てはまる。政治家は働かず、官僚が主導して経済を減速させている。財務官僚のタクシー券を「事後清算払い」にしたところ、9千万円も減ったという。つまみ食いを当たり前として上司は見逃して、国民には苦しい生活を我慢しろと言っている。

 オリンピックが終わって日本政官の国民を舐め切っているありようが露骨に浮かび上がってきた。

 小中陽太郎さんから電話があり、先日お渡しした次の作品「停年オヤジの海外武者修行」の梗概をお読みになって、内容がタイムリーなカイバル峠やテロ事件を取り扱っているので、うまく新聞や雑誌で取り上げてくれれば、結構売れると思いますよと嬉しいことを仰ってくれた。大きな励みになる。

 今日早稲田出版の大塚編集長から、今週末ころに一次ゲラができあがるとメールがあった。224ページに10ページくらい増えるとも書いてあった。明日から岩手県の気仙広域連合で研修講師を務めるが、帰ったころから少しずつ動き出すという感じだ。先日来「合意術」の研修テキストとパワーポイントのスライド作成に忙殺されている。今日も朝からずっとPCにかかりきりで、アニメーション設定等に没頭していた。あさって合流する知研八木会長にも出来上がったスライドをメール送信する。

2008年8月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

468.2008年8月24日(日) やっと終わった! 北京オリンピック

 YahooのWEBサイトを何気なく覗いていたら、2つのアイテムが目に留まった。ひとつは、友人「山崎洋」の名前がインターネット百科事典「Wikipedia」の「日本の翻訳家」の1項目に載っていたのである。その紹介文の中に、篠田正浩監督作品「スパイ・ゾルゲ」に関する彼のエピソードが載っている。読んでみると、そのエピソードは私が「知研フォーラム」に寄稿した、山崎くんの母上について書いた「ある女性の波乱の生涯」から引用されている。勿論脚注にその旨書かれている。友人のおかげで、私も「Wikipedia」に名を連ねることになった。

 もうひとつは、「はてなアンテナ」というサイトに私のブログ「ご意見番の意見」が紹介されていたことである。HP(知の狩人・知の旅人)本体ではなく、人目につきにくいHPの中に組み込んだブログが紹介されたということは、HPのトップページを通してブログを読んでくれ、その内容をある程度評価してくれたことだと思う。

 驚くのは、私以外の9人のHP掲載者には、今をときめく副島隆彦、加瀬英明、高市早苗氏らの他に何と塩見孝也がいる。誰あろう、元日本赤軍議長である。

 まあ、あまり気にもしていなかったが、意識しようとしまいと自分の知らないところで自分の考えを多くの人に読んでもらい、それなりに評価されるというのは嬉しいものだ。ひとつの刺激になる。これからも今まで通り、しっかり腰を据えて書いていきたいと改めて思う。やはりHPは効果テキメンで、これから出版物のPRにもうまく使えるのではないかと思っている。

 17日間続いた北京オリンピックも今日閉会式を迎えた。最後の陸上種目男子マラソンも案の定惨敗だった。派手で時間のかかったサプライズ開会式に比べて、閉会式は開会式ほど時間をかけなかったが、相変わらず中国らしい派手で毒々しい演出だった。ようやるなぁというのが本音だ。とても感動を与えるという演出ではない。一種の芸能人のイベントである。バベルの塔でも真似たような高い塔の周囲で、曲芸をやったり、入れ替わり立ち代りエンターテイメントをやって、ロンドン名物2階建てバスを入場させ、サッカーのベッカムにボールを蹴らせたり、ジャッキー・チェンに唄わせたり、プラシド・ドミンゴまで狩り出して中国人ソプラノ歌手と唄わせる。どうせ唄わせるなら、あまり知らない中国の歌より、中国所縁のオペラ♪トウランドット♪の「誰も寝てはならない」を唄って欲しかった。いずれにしても、厳粛、荘厳、人間の尊厳、愛情、思いやりなどとはまったく縁遠いものだった。漸く終わったというのが、率直な感想である。

 獲得した金メダル数も開催国中国がダントツ・トップで、中国の国威発揚もそれなりの効果を上げたことだろう。中国の狙いは達せられた。だが、そのためにどれだけの資金を注ぎ込み、人海戦術で人をかき集めたのか。国際政治が専門の藤原帰一・東大教授は、開会式を評して「伝統の誇示と政治宣伝に才能を消費するばかりで、悲しい光景だった」とまで言っている(本日付朝日)。徹底した警備体制により、オリンピックを混乱させるような事態は表面上発生しなかったようだが、昨日ジャック・ロゲIOC会長は、期間中ただ1件のデモも許可されなかったのは異常だと苦言を呈した。

 中国政府には、これからは世界の大国としての責任を果たしてもらいたいものである。国連関係でも分担金は、国連本体、世界遺産、ODA等々、恩恵に浴していながらほんの微小である。それでいて5大常任理事国のひとつとして、そのパフォーマンスはいつも国際世論とは逆行するように見える。もうそんなわがままは許されない。人権問題も含め、中国の行動には目を光らしていく必要がある。

 ともあれ、騒がしかったオリンピックも終わった。それなりに楽しませてはもらったが、最大の不満は、この北京オリンピックが中国の政治的な宣伝と伝統文化の自画自賛に利用されただけで、今世界の中でも大きな課題となった環境汚染対策に対するメッセージが、何ひとつ示されなかったことである。絢爛豪華な仕掛けばかり考えずに、時間を決めて電気を消すとか、ナイターをできるだけデーゲームにするとか、方法はいくらでもあったと思う。煌々と電気を照らし、花火を打ち上げるばかりが祭典ではないと思うのだが・・・。

 次回ロンドン大会について、ブラウン英首相はイギリスとしては中国とは違う形のオリンピックを開催すると語っていたが、もっと小規模で、個性的で手造りのオリンピックを開催して欲しいと思う。

2008年8月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

467.2008年8月23日(土) この世は何もかも魑魅魍魎だ。

 世界は一見して大きな争いはないように見えていながら、その実小競り合いや、表面的には分らない泥沼紛争が増えてきた。ロシア・グルジア戦争もそのひとつの典型である。ロシアがグルジア領土から撤退すると繰り返し言いながら、一向に実行に移そうとしない。前日までロシアの国旗を立てていた戦車が、国連平和維持軍の旗に変えているだけなのだ。これでは法螺を吹いているだけになる。

 一昨日ダライ・ラマ14世がチベット自治区内で、中国軍によりチベット人が大量殺戮されたと公表したニュースについてもその後詳細が伝えられない。中国外務省は、その話を聞いたことがないとまで言っている。まったく魑魅魍魎である。

 さて、盛り上がった北京オリンピックも明日が閉会式となった。昨日は見る機会がなかったが、男子400mリレーで日本はめでたく銅メダルを獲得した。決勝に進んだ各国チームのタイムから予想すれば、不可能ではなかったが、トラック種目では、1928年アムステルダム大会の女子800mで銀メダリストとなった人見絹枝選手以来、実に80年ぶりである。トラック種目は、今ではほとんど黒人選手の独壇場となり、アジアの選手にはほとんどメダル獲得の可能性がないと思っていただけに、嬉しい誤算であり、よくやったと思う。運もついていた。アテネ大会の金、銀、銅の3チームがバトン・タッチミスで失格したし、イギリスはバトン・タッチゾーンを越えて失格になった。早く走ること自体が重要であることは言うまでもないが、百にひとつのミスを防ぐバトンタッチ練習を地道にやってきた日本の努力が、この期に及んで報われたとも言えよう。しかし、ブラジル、カナダやドイツチームにも競い勝った力は並のものではない。その実力と勝利を称えてあげたい。

 それに比べると期待されていた野球はどうだっただろう。昨日準決勝で韓国に逆転負けした星野ジャパンは、今日の3位決定戦で、アメリカにも逆転負けで予選から数えると4勝5敗の負け越し結果となり、開会前の意気込みの割りには力を発揮できなかった。攻撃力が不発だったことと、投手の起用法に首を傾げる点があったが、一番の問題は、油断とか気の緩みにあったのではないか。例えば、G.G.佐藤選手のように、凡飛を2度も落球するなんて普通では考えられない。心構えから改めなければ、同じように覇権のかかった大会では勝てる筈がない。幸か不幸か次回ロンドン大会から野球が競技種目からなくなる。こんな背景もあっただろうか。それにしては、同じくロンドン大会から消えるソフトボールは、堂々金メダルを獲得しているではないか。

 それにしても韓国が最後の野球で金メダルを獲ったが、韓国チームは力強かったし、去年アジア大会で敗れてから反省と、再建、国際試合対策をしっかりやっていた。気持ちのうえで、すでに韓国に負けていた。

 もうひとつある。男子マラソンの大崎悟史選手がレース前日になって怪我のため出場辞退を発表した。陸連の甘ちゃんが、女子マラソンに続いて、やれやれまたやってくれたかと呆れる。

2008年8月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

466.2008年8月22日(金) 良かった!「開高健記念館」見学会

 茅ヶ崎にある「開高健記念館」を酒のペンクラブとして訪ねることになった。かねがね「ベトナム戦記」でその行動力に敬意を払っていた作家であり、「第1回開高健ノンフィクション賞」に応募したいきさつもあり、一度訪れてみたいと思っていたところだ。

 3時前にJR茅ヶ崎駅で待ち合わせて、タクシーに分乗して記念館へ向かった。菱沼海岸にほど近いところにあり、入口から海の方を見通すと、僅かに烏帽子岩の頭が覗ける、静かな住宅地の中にある。入口では、お世話役の吉沢一成・日本ペンクラブ事務局長が出迎えてくれた。2003年に開館して、週3日のオープンで年間6千人の入館者だという。個人の記念館の運営が難しくなっている時に、ここはまあ安定しているらしい。吉沢さんは、開高健に憧れてサントリーに入社したほどの開高崇拝者で、家族とも親しいご交誼を続けられた。作品についても隅から隅までよくご存知で、加えて生前住居だったころに、出入りして総合的に建物、書籍、遺品、家財道具等についてよく心得ており、開高さんが亡くなった後、夫人の牧羊子さんと、また娘さんが亡くなった後、杉並の土地・建物とこの土地・建物を含む財産管理を任され、この記念館を作るに当って、茅ヶ崎市との交渉役も務められた。室内には山のように書籍が積まれていて、片付けるのが大変だったと苦労話をされた。牧羊子夫人も整理が苦手なのか、そのままにしておくことが開高の面影を残すと思われたのか、主人のいなくなった書斎・居間が夫人の亡くなるまでそのままだったという。

 どうしても作品を通して一面的にしか見ないものだが、直筆原稿を見て見かけに依らず開高が几帳面な性格であったことが想像できる。1枚の原稿用紙に1文字ずつきちんと万年筆で書き込んで、加筆や訂正があまりない点で読みやすい原稿であることが分る。性格、生活態度、くせ、羊子夫人との関係、等かなりの部分も知ることができた。朝日新聞社刊「ずばり東京」が、大当たりしてご褒美に何を上げようかと聞かれたとき、即座に朝日の取材記者としてベトナムへ派遣して欲しいとねだった。それが、ベトナムと関わるきっかけとなり、ベ平連を結成してベトナム反戦運動にのめりこむ結果になった。ご夫妻で参加された小中陽太郎さんが、NHK時代に撮った「米空母『イントレピッド』から脱走した4人の水兵」の記者会見のフィルムを、小中さんが持参され、解説付きで拝見することになり、なお一層開高健の一面が映し出された。開高健のベトナムにおける戦場体験は、所属した米陸軍歩兵大隊がベトコンの襲撃を受け、開高は秋元カメラマンと命からがら脱出するという厳しい臨場体験を味わった。

 その後、ある時期を境にベトナム反戦から次第にフィッシングに足場を移していった。これについて共産党辺りは挫折したとか、背を向けたとか言っていたようだが、小中さんのご意見は、元々開高は作家なんだと結論づけていた。屋内は少しずつ増築されて、開高の趣味の世界が居つくようになり、中々興味深い。

 通り一遍の解説ではなく、開高本人を熟知した文学者が生活習慣を交え、説明してくれたことにより、普通とは違う感覚で記念館を見学することができた。とても良い見学会だった。

 終わって駅近くの小料理屋で、全員で愉しい会食をした。13名の参加者が異口同音に言っていたことは、酒のペンクラブも時にはこういうイベントがあってもいいのではないかということだった。

 帰りに茅ヶ崎駅でJRに乗ろうと思ったところ、東横線が人身事故で運転停止ということなので、珍しく湘南ライナーで恵比寿駅へ向かい、東横線は中目黒から逆方向で帰ってきた。

2008年8月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

465.2008年8月21日(木) 黒海に米艦隊展開!

 一昨日フランスが国連安保理事会に提案した、和平合意のための決議案に対して、昨日ロシアは同じようにロシア流の決議案を提案した。前者はロシア軍の撤退を促し、開戦前の状態に戻すというものだが、後者のロシア案は、ロシア軍は撤退すると言いながら、南オセチアとアブハジア両自治区内のロシア系住民に対するグルジアの弾圧を監視するという理由で、ロシア軍を国連平和維持軍として駐在させるというものだ。どうも自分勝手な屁理屈で、何としても両自治区への影響力を残したいのだろう。2つの停戦決議案が出て、これを安保理事会が議題としてまともに討議することが出来るだろうか。

 ところが、アメリカが突然黒海へ艦隊を送り込んできた。黒海には以前からロシア艦隊も活動している。アメリカ艦隊はグルジア難民への支援物資の輸送活動と言っているが、ロシアを刺激しないわけがない。すでに、チェコとポーランドのMDミサイル配備で、相当ロシアの神経を逆撫でしているところへ今回の米海軍艦隊の出動である。10年ほど前のロシアなら、くしゅんとなっただろうが、今や国威の再発揚に国を挙げて意気軒昂としており、ロシア首脳の鼻息も荒い。強気同士が正面切ってぶつかりあわなければよいがと思う。

 来月中旬に民主党党大会が開催され、任期満了の小沢一郎代表の後任人事が取りざたされているが、小沢氏は引き続き代表職を続ける意向があり、対立候補が現れそうになかった。ところが、野田佳彦・前党国対委員長が手を上げ、党内で同志を集めている。今回は小沢氏の基盤は揺ぎなく、まず誰しもとても対抗馬にはならないだろう。かつて党首だった、鳩山由紀夫氏、菅直人氏、岡田卓也氏ら有力者が早々に降りてしまったのが、何か拍子抜けのような感じである。野田氏の言うように、対立候補者を出して、総選挙を前に民主党の政策について論争を戦わし、国民に民主党についての理解を深めてもらうよい機会だと思う。ただ、野田氏では偽メール事件が尾を引いていまひとつ訴求力が不足だ。やはり、前3人のうちの1人が対抗馬として丁々発止と建設的な論争を繰り広げれば、盛り上がっただろうし、民主党も点数を稼ぐことができただろう。どうも自民党の談合政治と五十歩百歩だ。

 夜のニュースで、パリ滞在中のダライ・ラマ14世が18日にチベットで中国軍の発砲事件があり、チベット人の間に相当数の死者(一説には140人といわれている)が出たと述べた。これが事実とするなら、18日以降オリンピック・フィーバーでまったく報じられていなかっただけに、ことは簡単には済みそうもない。

 10月に初めて新宿・四谷倫理法人会という組織で講演をすることになっているが、そのテーマも「青海チベット鉄道とチベット旅行事情」と、時節柄チベットへの関心が高いとみて決めたものだ。オリンピック期間中は新しいニュースが入って来なくなったが、まもなく閉会となってからどっと吹き出るかもしれない。

 今日の嬉しいオリンピック関連ニュースは、ソフトボールで日本が初めて金メダルを獲ったことである。昨日のアメリカ戦で延長戦の末に敗れ、昨晩のオーストラリア戦に逆転勝ちで決勝戦に進み、再び宿敵・アメリカと対峙して今度は堂々3-1で勝った。2日間の3試合をすべて投げ抜いたエースの上野由岐子投手は、実に413球を投げた。ロンドン大会ではソフトボールが競技種目からなくなってしまう最後の散り際の場面で、初めて優勝したわけだから、選手たちの想いはさもありなむと想像する。まさに有終の美というのだろう。よくやったと思う。

2008年8月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

464.2008年8月20日(水) 北京オリンピック、男子陸上200m決勝もすごい!

 昨日北アルプス・白馬岳大雪渓近くで岩石の大崩落があり、行方不明になっていた山岳ガイドと登山客が遺体で発見された。私も学生時代から何度も通った登山道で、懐かしい思い出もたくさんある土地だ。最近大きな地震や大洪水があり、地盤が微妙に緩んでいたのではないかと思う。学生時代にも一度大きな岩石が上から転がり落ちてきたことがあった。大雪渓といい、雷鳥といい、山頂からの360度のパノラマを含め、白馬では随分愉しい登山のイメージを膨らませてもらった。あまり悪いイメージにつながらないよう願っている。

 次の作品「停年オヤジの海外武者修行」の「おわりに」の項に、今年3月にご講演を聴いた後の食事の場で、京都学派の社会学者・加藤秀俊先生から伺った「知的道楽」という言葉が気に入って、講演の場でしばしば使用することもあり、その言葉について書いている。しかし、一応先生のご了解をいただいた方がよいと考え、先日お便りを差しあげて、「知的道楽」とお名前を使用させていただきたいとお願いした。

 今日、加藤先生らしく恬淡とした感じで、「ふと、つぶやいたことばに『知的所有権』などあるはずもなく、どうぞご自由にお使い下さい」と温かいご返事をいただいた。

 北京オリンピック、今日の200m決勝種目も予想通り圧巻のレースだった。夜11時20分スタートだったが、楽しみに待っていただけの価値のあるレースだった。先日の100m決勝といい、今日の200m決勝といい、近来稀な好レースだった。やはり、ジャマイカのウサイン・ボルト選手がアメリカ勢3人らをまったく寄せ付けず、ぶっちぎりの優勝だった。タイムも19.30秒の世界新で、アトランタ大会でマイケル・ジョンソン選手が不滅の世界記録として走った19.32秒を軽々と破ってしまった。それにしても素晴らしいレースを観ることが出来るということは有難い。

 こういう明るいスポーツ・ニュースに比べて、相変わらずダーティなのが、日本相撲協会だ。昨日、ロシア出身の関取・若の鵬が大麻所持違反で逮捕され、今日は所属する間垣部屋も家宅捜索を受けた。どうもお行儀の悪いお相撲さんが増えてきた。やはり礼儀作法やしつけがきちんと教えられていないことが分る。監督する立場にある親方も権威と指導力が落ち、弟子を指導出来ないのだから話にならない。若の鵬関は、独身で部屋に自室を持ちながら、近くにマンションを借りていたという。相撲界では前例のないことだが、これを黙っている親方も親方である。案の定、警察の家宅捜索の結果、部屋からもマンションからも大麻吸引パイプがぞろぞろ出てきたという。いつも北の湖理事長は、あってはならないことと一旦は恐縮の素振りをするが、一向に抜本的対策へ動こうとの姿勢が見られない。グルジア出身の黒海関は、ロシア・グルジア戦争に関してロシア大使館へ抗議に行ったとか、横綱・朝青龍は、モンゴルへ帰国の途次北京オリンピックを見学したり、これまであまり見られなかった個人的行動が目立つお相撲さんが増えて来た。これでは、相撲協会ももうちょっと指導、監視を強めないと、今後もこういうパフォーマンスがどんどんエスカレートするのではないかと心配である。

2008年8月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

463.2008年8月19日(火) ムシャラフ・パキスタン大統領辞任

 国際政治の舞台は、相変わらず波乱含みである。両国が停戦に合意したにも拘らず、ロシア軍の南オセチア自治区、アブハジア自治区からの撤退が、現実には実施されていない。新聞記事だけみると、お互いに駆け引き、嘘の付き合い、騙しあいを繰り返している。権力を握ると、嘘の上塗りと理論付けして公然と嘘八百を述べるようになる。それが分っていながら、さも真実のようなデタラメを言い、恥ずかしげもなく国家のステートメントとして堂々公表するのである。

 さて、99年軍部の無血クーデターで権力を握ったムシャラフ・パキスタン大統領が遂に辞任した。野党連立4党が大統領を弾劾することで合意、下手をすると大統領死刑の可能性もある弾劾決議を前に、野党は弾劾取り下げを条件に大統領に辞任するよう求めた。かつて軍参謀長だった大統領は、自らに軍の支持がないことを認めざるを得ず、野党の提案を受け入れた形になった。

 近年パキスタン国内ではイスラム教徒と、政府・軍が対立するケースが多く、9.11テロ事件以降テロリスト掃討という点で、アメリカと足並みを揃えてきただけに、ブッシュ政権にとっても大きな痛手だろう。にも関わらず、一部ではムシャラフ氏は、頼みの綱だった軍とアメリカに見限られた末の決断だったと見られている。

 これからのパキスタンは誰が政権を担当しようとも、問題山積で前途に光明が見出せない。核保有国として重い責任と負担を強いられる一方で、経済停滞と経済格差問題が日常化しているうえに、欧米文化とは相容れないイスラム文化がある。その中でフシャラフ大統領はアメリカ政府に協力的だった。テロリストの根城ともいわれるアフガン国境地帯は今でも危ない無法地帯である。8年前にカイバル峠を訪れた時も、パキスタン政府の力はこの周辺には及んでいなかった。パシュトウン人のイスラム教徒が、自由気ままに往来していた。こういう地域を安全に管理することが、政府の責任でもある。しかし、見たところ、そんな安全な状態はいつの時代になるやらという感じがした。

 寺島実郎氏も言っていたが、これからはパキスタンの動静から目を離せない。

2008年8月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com