一昨日フランスが国連安保理事会に提案した、和平合意のための決議案に対して、昨日ロシアは同じようにロシア流の決議案を提案した。前者はロシア軍の撤退を促し、開戦前の状態に戻すというものだが、後者のロシア案は、ロシア軍は撤退すると言いながら、南オセチアとアブハジア両自治区内のロシア系住民に対するグルジアの弾圧を監視するという理由で、ロシア軍を国連平和維持軍として駐在させるというものだ。どうも自分勝手な屁理屈で、何としても両自治区への影響力を残したいのだろう。2つの停戦決議案が出て、これを安保理事会が議題としてまともに討議することが出来るだろうか。
ところが、アメリカが突然黒海へ艦隊を送り込んできた。黒海には以前からロシア艦隊も活動している。アメリカ艦隊はグルジア難民への支援物資の輸送活動と言っているが、ロシアを刺激しないわけがない。すでに、チェコとポーランドのMDミサイル配備で、相当ロシアの神経を逆撫でしているところへ今回の米海軍艦隊の出動である。10年ほど前のロシアなら、くしゅんとなっただろうが、今や国威の再発揚に国を挙げて意気軒昂としており、ロシア首脳の鼻息も荒い。強気同士が正面切ってぶつかりあわなければよいがと思う。
来月中旬に民主党党大会が開催され、任期満了の小沢一郎代表の後任人事が取りざたされているが、小沢氏は引き続き代表職を続ける意向があり、対立候補が現れそうになかった。ところが、野田佳彦・前党国対委員長が手を上げ、党内で同志を集めている。今回は小沢氏の基盤は揺ぎなく、まず誰しもとても対抗馬にはならないだろう。かつて党首だった、鳩山由紀夫氏、菅直人氏、岡田卓也氏ら有力者が早々に降りてしまったのが、何か拍子抜けのような感じである。野田氏の言うように、対立候補者を出して、総選挙を前に民主党の政策について論争を戦わし、国民に民主党についての理解を深めてもらうよい機会だと思う。ただ、野田氏では偽メール事件が尾を引いていまひとつ訴求力が不足だ。やはり、前3人のうちの1人が対抗馬として丁々発止と建設的な論争を繰り広げれば、盛り上がっただろうし、民主党も点数を稼ぐことができただろう。どうも自民党の談合政治と五十歩百歩だ。
夜のニュースで、パリ滞在中のダライ・ラマ14世が18日にチベットで中国軍の発砲事件があり、チベット人の間に相当数の死者(一説には140人といわれている)が出たと述べた。これが事実とするなら、18日以降オリンピック・フィーバーでまったく報じられていなかっただけに、ことは簡単には済みそうもない。
10月に初めて新宿・四谷倫理法人会という組織で講演をすることになっているが、そのテーマも「青海チベット鉄道とチベット旅行事情」と、時節柄チベットへの関心が高いとみて決めたものだ。オリンピック期間中は新しいニュースが入って来なくなったが、まもなく閉会となってからどっと吹き出るかもしれない。
今日の嬉しいオリンピック関連ニュースは、ソフトボールで日本が初めて金メダルを獲ったことである。昨日のアメリカ戦で延長戦の末に敗れ、昨晩のオーストラリア戦に逆転勝ちで決勝戦に進み、再び宿敵・アメリカと対峙して今度は堂々3-1で勝った。2日間の3試合をすべて投げ抜いたエースの上野由岐子投手は、実に413球を投げた。ロンドン大会ではソフトボールが競技種目からなくなってしまう最後の散り際の場面で、初めて優勝したわけだから、選手たちの想いはさもありなむと想像する。まさに有終の美というのだろう。よくやったと思う。