2249.2013年7月10日(水) 時価総額でアメリカ企業が圧倒

 昨日の日経夕刊に6月末時点における世界の主要企業の時価総額ランキング・リストが掲載されていた。この半年間で順位の入れ替えが激しいが、驚いたのは米国企業がベスト10の内9社を占めていることである。アメリカの経済もやや落ち目と言われながらも、その底力は流石だと思う。このリストは国際的な企業の栄枯盛衰が分って中々興味深い。

 半年前には米国企業のベスト10入りは5社だったが、それが今回は9社に増えた一方で、中国企業が3社から1社に減少したのは、経済の安定性が高い先進国の企業に投資マネーが回帰していることと、中国勢の後退が目立つと日経は分析している。米国経済の復活と中国景気の変調を象徴しているとの株式専門家の同じような見方もある。

 日本企業はどうかと言うと、トヨタが韓国のサムスン電子を抜いて、アジアの製造業の中でトップの座に就いた。だが、その順位は18位で、半年前の27位から繰り上げたとは言え、戦後しばらくして経済大国と賞賛されたことを考えるとアメリカや中国、スイスの企業に伍して中々苦戦している。しかもかつては存在感のあった巨大メーカーのシェアが全般的に下がったのは、製造業が物づくりの雄であるだけに少々寂しい。リストを眺めてみると気がつくことは、現代風のIT企業の進出が目覚しいことである。また、全企業のトップを占めているのはエクソンモービルであるが、以下10位内にアップル、マイクロソフト、グーグルなどメジャーIT企業が顔を覗かせていることである。 

 それにしても100社以内に入った日本企業の数も減った。トヨタ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、日本たばこ産業(JT)、ソフトバンク、NTTの僅か5社にしか過ぎない。日本企業でも重厚長大産業が姿を消し、ソフトバンクのようなIT企業がランクインした。これからもいろいろな新興企業が顔を出し、古手の斜陽会社が姿を消していくのだろう。

 さて、今日は妻の68歳の誕生日だが、まったく意識していなかった。二男の嫁から誕生祝のお花を贈ってきたので、漸く意識したところだが、4月23日のシェークスピアの誕生日、7月4日のアメリカ独立記念日や14日のパリ祭は覚えているが、妻の誕生日なんてまったく覚えていないと皮肉を言われたところだ。大分前アメリカの学校でアメリカ人が絶対忘れてはいけない記念日は、独立記念日、配偶者の誕生日、結婚記念日だと聞かされたことがある。妻の誕生日は覚えているが、普段はあまり意識しているわけではない。しかし、これからは偕老同穴を思えば、妻の誕生日を意識するようにしないといけないのかも知れない。

2013年7月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2248.2013年7月9日(火) 原発再稼動が現実味を帯びてきた。

 早くも参院選で自民党は圧勝を確信し、原発再稼動を推し進めようとしている。まったく地道な説得とか、安全上の懸念を払拭する努力とかには一顧だにせず、エイヤッとばかり伝家の宝刀を抜く構えである。残念ながら、すでに「原発ありき」が歩き出している。

 今日のNHK「ニュースウォッチ9」で福島県内の候補者の選挙活動を伝えていたが、自民党は原発事故で甚大な被害を蒙ったこの県で原発についてどのように訴えるのか注視していると、森雅子・少子化担当相は福島県内の原発稼動は反対だと訴えている。福島県以外の原発についてはまったく触れなかったが、他県なら党議党則に沿って賛成ということである。こういう二股膏薬は選挙民を馬鹿にしている。こんな都合のいい選挙公約があるだろうか。これでは福島県民を除く全国民ばかりでなく、ご当所の福島県民をも愚弄していると言わざるを得ない。ともかく自民党が一日も早く原発再稼動を推進したいことは明々白々である。

 今朝の朝日新聞に原発のコストが紹介されていた。原発事故の賠償や除染に5~10兆円、維持・管理費に1.4兆円、安全対策費に1.3兆円、使用済み核燃料の再処理費用が40年間で19兆円、未完成の再処理工場のため3兆円、高速増殖原型炉(もんじゅ)維持費として1日5千万円以上、税金(電源開発促進税)毎年3千億円、等である。途方もない金額である。曰く「原発コストは本当に安いのか」、高いに決まっている。これだけの費用、時間と労力をかけ、安全性に疑問のある、かつ核燃料の再処理する場所が見つからず、それでもなお原発を再稼動しようとしている。これ以上つける薬はない。

 さて、エジプトでは軍とモルシ前大統領支持派との間で衝突が起こり、軍の発砲により50人以上が死亡した。益々事態は悪化している。マンスール暫定大統領は停止されていた憲法に代る憲法宣言を発表した。年内に憲法改正のための国民投票を実施する考えで、来年初までに議会選を経て大統領選を実施する予定だという。果たしてこのスケジュール通りこの混乱を収拾できるだろうか。

2013年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2247.2013年7月8日(月) 周囲は危険がいっぱい

 今日は都内でも35.3℃という猛暑だったが、甲州市では38.2℃、館林市では37.8℃を記録した。これから日に日に暑くなるかと思うとぞっとする。猛暑続きに連日熱中症で倒れる人が千人を超える有様であるが、暑さの中で大雨、雷が襲い都内で落雷により亡くなる人も現れた。

 天候が不順なら交通機関の事故も内外を問わずひっきりなしである。一昨日サンフランシスコ国際空港で着陸に失敗したアシアナ航空機に続き、昨日アラスカでも小型飛行機が墜落して乗員・乗客10名が亡くなった。それだけに留まらず、カナダでは無人の原油積載列車が突然暴走して脱線し、火災を発生させ、多くの死者、重軽傷者を出した。北海道ではJR特急車が事故を起こした。

 事故続きに相当うんざりしている時に、今日国の新しい規制基準に基づいて4つの電力会社が5原発10基について再稼動に向けた安全審査を原子力規制委員会に申請した。

 これとは別に、新潟県が東京電力に対して柏崎刈羽原発の新施設建設は容認しないと態度を硬化させている。泉田裕彦知事の言い分は、福島第一原発がまだ収束していないにも拘わらず、柏崎刈羽原発の再稼動を前提にした施設の拡充は認められないというものである。結局話し合いは物別れとなり、東電としては2年連続赤字決算を何とかしたいと考えている以上、これからあの手この手を使い再び安全審査の申請を考えることだろう。

 今日の4電力会社の申請云々に拘わらず、自民党が参議院選挙で圧勝してねじれ現象を解消したら、いよいよ原発再稼動に向けた動きを加速させることだろう。

 ここでもう一度冷静に考えて欲しいのは、自民党は経済界の要望に耳を傾けるばかりでなく、国民の不安に応えて放射能の怖さ、安全性と核のゴミ処理について真剣に考えてもらいたいということである。ある有識者が言っていたが、これから人口が減り、社会のサイズが小さくなると当然電力も少なくて済むようになる。それに合わせれば、今でも節電、特に無駄な電気の使用を控えることによって電力の消費を抑え、何とか現有電力量で需要を賄うことができる。

 電力の発電施設を作るのではなく、電力の消費を抑えることを国の大きなテーマにして節電に頭を切り替えることができないのだろうか。

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2246.2013年7月7日(日) 参議院のねじれ現象について

 今朝TBSテレビの「サンデーモーニング」で参議院議員選挙についての議論を聞いているうちに、有識者の各党当選者の予想は、自民党が勝って現在のねじれ現象を解消するとか、法案もスムーズに通るようになるというような話になった。そして、参議院の役割は良識の府として衆議院暴走の歯止めとならなければいけないと語っていたが、現在の衆参両議院の制度と在り方では、それは実際には難しいのではないかと考えている。

 そもそも衆参のねじれ現象を解消するという言葉自体おかしいのではないか。ねじれだからこそ衆議院の暴走を止めることができる。これが、衆議院と参議院の議員構成が同じようになったら、二院制の意味がない。いまの参議院の存在とその在り様を大きく変えなければ、良識の府として望ましい効果を発揮できないのではないかと考えている。

 そのためには、参議院の選挙制度を変えることだと思う。現在の第2衆議院のような制度を、もっと独立性の強い制度に抜本的に変えるのである。具体的には参議院では政党制度を採用しないことである。参議院には衆議院と同じ政党の存在を認めないようにすることである。現状は参議院議員が政党に所属することによって、政党の同じ政策や意見を参議院でコピー発言しているだけである。所属政党の思惑に左右され、議員個人の声が反映されず、参議院としての独立性と主体性が失われるばかりでなく、期待されている良識の府の役割を果たしていない。242人の参議院議員が政党に属することが無くなり、個人の資格で意見を述べることになれば、その時初めて衆議院から回る法案審議について良識の府らしい議論が戦わされることになると思う。

 こう考えていたところ、偶然にも毎日新聞前主筆の岸井成格氏が同じような意見を述べた。時間切れでその詳細を伺うことはできなかったが、そう考えている人がいることを確信し、心強く思った。

 メディアでも参議院制を機能させるための方策として、ねじれ現象を取り上げるばかりでなく、本筋論である参議院議員の政党非所属問題を取り上げて建設的な議論を戦わせ、その結果として新たな良識の府としての参議院制度を作り上げてもらいたいものである。

2013年7月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2245.2013年7月6日(土) どうも腹の具合が悪い。

 5月の新潟市内滞在中に1度、先月トラック島旅行中に1度、そして今日は午前中から夜まで一日中腹痛に悩まされている。何だかんだと言っても、若いころと違って少し身体が弱くなっている証拠に違いない。特定の原因は思い当たらないが、取り敢えずいただいた「トンプク」の錠剤を服用しているが、夜遅くなって漸く効果が表れ収まってきた。来月1日に慶應病院で昨年に続いて人間ドック検査を受けるが、昨年検査し損なった腸検査を内視鏡で診てもらう予定なので、多少気になっている腸の様子がはっきり分ると思う。

 不順な天候が続いた気象状況だったが、東京は梅雨明けだそうである。平年より15日も早い。関東地方はほとんどの都市が30℃を超えている。群馬県館林では最高の37.4℃を記録した。今日も近くを軽く散歩したが、風が強いのと強烈な日差しに僅かな距離だが、汗びっしょりである。

 日本を離れてアメリカ・カリフォルニア州のデス・バレイ(Death Valley National Park)では、ちょうど今から100年前に最高気温56.7℃を記録したそうだが、今日も51℃を超えたというから驚きである。

 さて、昨日エジプトで軍部クーデターによりモルシ大統領が解任されたが、これに不満を抱くモルシ氏支持グループがデモを計画し、カイロ市内に集結した。ナイル川を挟んでモルシ氏支持派と反対派がにらみ合っていたが、支持派が橋を渡ってタハリール広場へ向かったところで衝突して、30人以上が死亡した。潘基文・国連事務総長もエジプト治安当局にデモ参加者を保護し、武力衝突を回避させるよう求める声明を発表したが、果たしてどれほどの効果があるだろうか。

 早期にこの混乱状態を解決するためには、もう一度選挙を行って新しい大統領を選ぶことが最善の策であるが、軍命令によって暫定大統領に就任したマンスール最高憲法裁判所長官が、軍に感謝の意を表す腰砕け状態で、すでに大統領令を出してイスラム派が多数を占める諮問評議会(上院)の解散を命じたような実態である以上、正規の民主選挙を行うことは難しいのではないかと思う。外務省もエジプト全土への渡航延期勧告を出した。泥沼化したエジプトはこれからどうなるのだろう。観光客も訪れずカイロ郊外ギザのピラミッド周辺では、観光用ラクダが欠伸をしているのではないだろうか。

2013年7月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2244.2013年7月5日(金) エジプト政変の原因とその行方

 昨日発生したエジプトの軍部クーデターが世界中から注視されている。そのやり方があまりにも法を無視したものでショッキングだった。民主的に選ばれた大統領が、軍部によってその座を追われて身柄まで拘束され、憲法も停止され、マンスール最高憲法裁判所長官が暫定的に後釜に座るというドタバタである。しかもその荒々しい軍部の行動を反モルシ派が称えていることである。

 今朝の朝日新聞には、全2面を含めて4頁に亘って詳細にモルシ大統領排除と軍部クーデターの原因と、今後のエジプト情勢の行方が取り上げられている。

 部外者から見ると、民主的な選挙の下で選出された大統領が、何ゆえたったの1年で愛想尽かしされ、辞任を要求されなければならなかったのだろうか、理解に苦しむ。さらに国際的なイメージダウンにつながる軍部の介入が、何故行われなければならなかったのだろうか。この法衣の下に刀を隠すような軍の行動は、決していかなる国からも理解を得られるような行為ではないと思う。

 アフリカやアラブ諸国では、まだまだ民主主義の歴史が浅く、それがまだ充分根付いていない。体裁は民主主義を取り繕っていても中身は未成熟で、軍部や強大な権力を持った個人によって支配されることが多い。まだ国家体制が未成熟なのである。エジプトもその例に漏れず、これまで長年に亘って独裁者と軍部による支配体制が続いていた。

 今回のモルシ大統領失脚の原因は2つあるように思う。1つは、エジプト経済の悪化である。ムバラク前大統領が政権の座を去り、モルシ氏がその座に就いてから、反って経済状況が悪化した。それは必ずしもモルシ政権だけの責任ではなく、政情不安によって貿易取引が冷え込んだことや、主産業たる観光客が激減したことが影響していることにある。2つ目は、政権の支持母体であるムスリム同盟団の閉鎖体質にある。指導部の指令が上意下達で秘密性を帯びていたことである。

 このクーデターについて、かつて宗主国だったイギリスのキャメロン首相は軍部の介入を支持せず、一日も早い真の民主体制へ移行することを求めている。アメリカは昨日のブログに書き込んだように軍の介入に戸惑いつつ、軍事費の打ち切りをちらつかせながら早い民政移管を望んでいる。

 アラブ諸国の中でも、モルシ体制に近いトルコは厳しく批判している一方で、同じイスラム圏の湾岸諸国が軍の介入を歓迎している。まったく良く分らない政変である。

2013年7月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2243.2013年7月4日(木) モルシ大統領解任、エジプトでクーデター

 今日はアメリカ合衆国の独立記念日である。1990年の独立記念日は、イェローストーン国立公園からの帰途シアトルにいた。ホテルの夕食中に見た打ち上げ花火が夜空に綺麗に見えたのが印象的だった。が、翌日朝食をしていたら隣席で花火の打ち上げに来ていた長岡の花火師が、大したことはないと言っていたのを思い出す。

 CIA元職員の暴露により、アメリカ国家安全保障局(NSA)が友好国に対してまでもスパイ行為を行ったことが明らかにされ、友好国であるフランスやドイツが怒っている。オバマ大統領も苦しい立場に立ったが、そこはしたたかに開き直って弁解した。曰く、諜報活動はどこの国でもやっていることで、諜報機関がそうしなければ、それは諜報活動ではないとまで言い切った。随分強気な発言である。波静かなる海へ荒波を巻き起こすような人が、果たしてノーベル平和賞受賞に値するものなのかどうか。

 そのオバマ大統領も、最近の安倍首相の中国と韓国に対する唯我独尊的な歴史認識の発言には眉をひそめている。昨日行われた参院選に向けた党首討論では、質問された歴史認識に関する持論を曖昧な言葉で誤魔化し、8月に靖国神社参拝を行うのかとの質問に対しては、積極的と思える発言をした。こんなことではいつまで経っても両国との関係は悪化したままではないか。独自の主義主張を堅持することは許されるが、どうして相手の気持ちを逆撫でするような態度に拘り続けるのだろうか。これでは指導者として失格ではないだろうか。

 しかも、昨日は記者の代表質問に関して、かつて中曽根元首相が国会答弁で侵略はあったと実際に答弁した事実を安倍首相は中曽根氏はそうは答えなかったと否定した。単なる無知や誤解ではなく、事実を捻じ曲げたり、間違った歴史観に取り付かれているとしか思えない。やはり安倍首相は危険な人物であると思わざるを得ないし、安倍政権が継続する以上、外交問題が好転する兆しはないと悲観的に考えてしまう。 

 さて、エジプトのデモ騒ぎが頂点に達した。モルシ大統領に辞任を迫る反対派と、選挙で民主的に選ばれたと主張する大統領支持派のムスリム同胞団の対立がヒートアップしていたが、ついに一昨日48時間の猶予時間の後、軍部が事態の収拾に乗り出した。軍は現憲法を停止し、モルシ大統領の職を解任し、その身柄を拘束した。大統領支持派デモのテレビ実況中継が警察に禁止されなど、言論への権力の介入も始まった。どう見ても民主的な行動とは思えない。明らかに軍によるクーデターである。

 一昨年2月ムバラク政権を崩壊に追い込んだ「アラブの春」による民主化は後退し、昨年6月に民主的な選挙で選任された文民大統領は在任僅か1年で失脚させられたのである。1952年ナセル革命によって長く続いた王政ファルーク王を倒したナセル青年将校が4年後大統領に就任して以来、エジプトの歴代大統領はすべて軍人である。

 今日エジプト軍は失地を回復したのである。だが、エジプトは折角アラブの春によって民主化を手に入れながら、権力は軍部に握られ、民主化は遠のくばかりである。アメリカのオバマ大統領は、事態の推移に懸念を表明し、エジプト軍の対応次第では援助を打ち切る可能性を示唆した。だが、アメリカはアメリカの思惑により今回の事態をクーデターとは認めていない。これからしばらくエジプトの行方に注目する必要がある。

2013年7月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2242.2013年7月3日(水) 日本憲法制定の舞台裏

 明日公示となる参議院議員選挙で憲法改正問題、とりわけその入り口にある改憲の発議要件を緩める96条改正を巡る問題が注目されている。憲法改正を志向する改憲派には、占領下にアメリカから押し付けられたと信じ切っている現行憲法を、日本独自の憲法に改定、或いは新憲法を作ろうという願いが強い。だが、96条改正は真正面から本丸の憲法改正に挑むのではなく、隙を見てブラインドを突くようなあまりにも姑息なアプローチではないか。そして、アメリカから押し付けられた憲法との言い分は、正しい認識ではなく、むしろ誤った理解、分析ではないかとの疑問がある。

 駒沢大学公開講座で清田義昭講師から毎週秀作テレビ番組のビデオを鑑賞させていただいているが、今日観せてもらったのは、90分の長編、NHK・ETV特集「焼け跡から生まれた憲法草案」という中々骨のある作品だった。2007年の作品である。1~2年前に見せてもらった民放テレビ製作のビデオも同じような主旨の佳作だったが、今日のそれは草案作成後の当事者同士のやりとりを追求して、詳しい事実の真相を追い、さらに当事者の証言に裏づけされて深みのあるストーリーが作り上げられていた。

 終戦の年に憲法研究会が、その当時ひとかどの良識ある硬骨漢の学者を集めた。メンバーの7人はリーダーである社会政策の東大教授・高野岩三郎を始め、弟子で広島大学学長になった元社会党代議士・森戸辰男、室伏高信、岩淵辰雄、馬場恒吾、杉森孝三郎、そして当時41歳の憲法学者・鈴木安蔵で、昭和20年12月26日最終草案を作成した。GHQからは民主的で受け入れられると概ね了解を得たが、GHQは当初松本焏治を通して吉田茂外相へ日本政府の新憲法案の作成を依頼してもいた。

 しかし、それは天皇制の温存を図ったものであると見做されGHQから了解を得られず、最終的には民間の憲法研究会草案が、若干の修正を加えて日本憲法となった。その過程で鈴木安蔵が、明治憲法には採用されなかったが、「自由民権」を発表した植木枝盛私案の精神を採り入れようとしたことや、戦後鈴木が相模湾が望める「国府津館」に引き篭って草案作成に努めていたことを、「国府津館」経営者で何度かお会いしたことがある、高校先輩の箕島清夫さんが語っていたことが強く印象に残っている。

 この終戦直後に真剣に新憲法作成のために知恵を絞っていた、リベラルな学者の苦労と憲法制定の経緯を見ると誰が考えても、現行憲法はGHQのアドバイスこそあったが、アメリカ合衆国憲法、ワイマール憲法、その他各国の民主的な憲法を参考にして、民間の憲法研究会7人衆が作成したものであることは明白である。

 それにしてもこれだけ充分な資料と証拠があるのに、なぜ改憲派は現行日本憲法をアメリカが押し付けた憲法だと強弁しようというのだろうか。

 実に内容の濃い、説得力のあるビデオだった。改憲論争をする前に、もう一度多くの国民が観る必要のある秀逸な作品だと感じた。

2013年7月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2241.2013年7月2日(火) 内外ともに難しい問題が増えた。

 今月21日の参議院議員選挙を前に、過日自民党を始め8党の幹事長出席による討論会が行われた。自民党石破幹事長は安全確認ができたら原発を再稼動させることに賛成と応えたのに対して、他の7人の幹事長は原発再稼動に慎重な態度を示した。だが、各政党№2の原発再稼動賛成者が僅か1人だったにも拘わらず、現状は再稼動の流れが加速している。原発各社は公開の株主総会で原発再稼動中止の緊急動議が提案されたにも拘わらず、電力会社は少数意見としてこれを否認し、再稼動への道を突き進んでいる。すでに4つの電力会社は6原発12基の安全審査を申請する方針のようだが、これに続き、東電も今月中に柏崎刈羽原発の運転再開を目指し安全審査を申請する方針を固めた。

 これに対して泉田裕彦・新潟県知事は、福島第1原発事故の検証・総括がなければ柏崎刈羽原発の再稼動の議論はしないと強く牽制した。政府は再稼動へ向けてエネルギー政策を進めたい意向だが、しばらく虚々実々の駆け引きが続けられるようだ。

 さて、いま海外で話題になっているのは、モスクワ空港のトランジット客であるアメリカCIA元職員・スノーデン氏の動きとエジプトのモルシ大統領辞任要求デモである。

 前者は、スノーデン氏が一旦はロシアへの亡命希望を述べたが、プーチン大統領が受け入れを表明しつつも、アメリカに損害を与える活動を止めるとの条件を付したことに、スノーデン氏はロシアでは自分の主張を貫けないと判断したのか、ロシア亡命希望をすぐ引っ込めた。彼が挙げた亡命希望国はまだ20カ国もある。先に話題となった、エクアドルとヴェネズエラへは亡命する気があるのか、ないのか。

 後者は、昨年民主的に選挙で選出されたムスリム同胞団のモルシ大統領が、ここへ来て反体制デモで辞任要求を突きつけられている。長期政権により権力を縦にしていたムバラク前大統領が政権の座を追われ、民主的な大統領と期待されたモルシ現大統領が就任してまだ1年で早くもその座を追われようとしている。すでに5人の閣僚が辞任を申し出ている。そこへ軍部が乗り出しそうな勢いだ。事態は予断を許さなくなってきた。

2013年7月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2240.2013年7月1日(月) ミクロネシアに中国資本投資プロジェクト

 今朝の朝日新聞一面を見てあっと驚いた。「中国、南の島国に触手」としてミクロネシア連邦ヤップ州の大規模開発に関する記事が大々的に掲載されていたからである。ミクロネシアは国家財政の約4割をアメリカからの援助(約91億円)で賄ってきたが、その援助が10年後の2023年には打ち切られる厳しい現実に直面している。

 今このミクロネシアについてノン・フィクションを執筆しているので調べているから分るが、ミクロネシアには元々小規模の農業、漁業、観光業以外にこれという産業がなく、貿易収支も恒常的に赤字で外国からの援助なしには立ち行かない国である。言うなれば、自給自足経済を少し進展させた発展途上国である。アメリカからの援助が打ち切られるとなれば、ことは重大である。そこへ目をつけたのが中国の巨大資本で、カジノホテルを建設する大プロジェクトが計画され、すでに昨年ヤップ州と投資協定を結んだ。

 プロジェクトではミクロネシア連邦の4つの州のひとつ、ヤップ州の空港を整備して中国や日本から観光客を呼び寄せ、観光収入を増やそうと目論んでいるようだ。4つの州はそれぞれ別々の島から構成されていて地理的にも離れているので、先月訪れたチューク州など他の州が直ちに直接大きな影響を被るということではないかも知れないが、ヤップへの影響が徐々に他州へも及んでくることは想像に難くない。

 ミクロネシア政府は取らぬ狸の皮算用により、航空機の飛来による相当の着陸料を見込んでいるようだが、それ以上に心配な点は、地元に1万人の雇用が生まれると本気で計算していることだと思う。仮に雇用が生まれても、地元の雇用状況が好転すると見るのは甘い。その理由として、中国による海外巨大プロジェクトは、これまで地元の労働者をほとんど雇用せず、労働者も機械、資材などと一緒に丸ごと中国から連れてきて行うために、それらが現地でトラブルとなっている前例が数多くあるからだ。それはこれまでのナイジェリアやビルマの土木建設工事を見ればよく分る。まさかミクロネシア政府がこのことを知らないことはないと思う。

 その他にもいくつかの問題があるようだ。今まで計画を知らされていなかった住民から反対の声が上がった。プロジェクトに賛成で推進派のエマニュエル・モリ大統領が、反対派のヘンリー・フラン州議会議長と真っ向から対立している状態で、ヤップ州内だけに留まらず、下手をするとミクロネシア連邦の国内世論を分裂しかねない。

 ミクロネシアは国家財政が赤字続きで国内にこれという産業もなく、国家の体面を保つのは容易ではない。今までアメリカの援助に頼り過ぎていたがために、国内では自力で歩む力が身につかず、急には自力で開発できる金儲けの手立てもなく、独自の島の伝統や文化を無視したうえで、ついに金満中国資本の軍門に下ることになってしまうのだろうか。

 生前2度お会いしたことがあるモリ大統領の父・正隆氏は、極めて温厚で、人望があり、長期展望を見据えた方だった。先日お会いした妹のリンダ・モリ・ハートマンさんも如才ない方だった。それだけに、お会いしたことはないが、モリ大統領がこのプロジェクトで仮に傷つくようなことがあれば、国内に広く大きな影響力を持っているモリ一族にとっても一大事である。

 恐らく森正隆氏がご存命なら、このプロジェクトには首を縦に振らなかったのではないだろうか。また、ススム・アイザワ大酋長が生きていれば、どう考え判断されただろうか。

2013年7月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com