今日はアメリカ合衆国の独立記念日である。1990年の独立記念日は、イェローストーン国立公園からの帰途シアトルにいた。ホテルの夕食中に見た打ち上げ花火が夜空に綺麗に見えたのが印象的だった。が、翌日朝食をしていたら隣席で花火の打ち上げに来ていた長岡の花火師が、大したことはないと言っていたのを思い出す。
CIA元職員の暴露により、アメリカ国家安全保障局(NSA)が友好国に対してまでもスパイ行為を行ったことが明らかにされ、友好国であるフランスやドイツが怒っている。オバマ大統領も苦しい立場に立ったが、そこはしたたかに開き直って弁解した。曰く、諜報活動はどこの国でもやっていることで、諜報機関がそうしなければ、それは諜報活動ではないとまで言い切った。随分強気な発言である。波静かなる海へ荒波を巻き起こすような人が、果たしてノーベル平和賞受賞に値するものなのかどうか。
そのオバマ大統領も、最近の安倍首相の中国と韓国に対する唯我独尊的な歴史認識の発言には眉をひそめている。昨日行われた参院選に向けた党首討論では、質問された歴史認識に関する持論を曖昧な言葉で誤魔化し、8月に靖国神社参拝を行うのかとの質問に対しては、積極的と思える発言をした。こんなことではいつまで経っても両国との関係は悪化したままではないか。独自の主義主張を堅持することは許されるが、どうして相手の気持ちを逆撫でするような態度に拘り続けるのだろうか。これでは指導者として失格ではないだろうか。
しかも、昨日は記者の代表質問に関して、かつて中曽根元首相が国会答弁で侵略はあったと実際に答弁した事実を安倍首相は中曽根氏はそうは答えなかったと否定した。単なる無知や誤解ではなく、事実を捻じ曲げたり、間違った歴史観に取り付かれているとしか思えない。やはり安倍首相は危険な人物であると思わざるを得ないし、安倍政権が継続する以上、外交問題が好転する兆しはないと悲観的に考えてしまう。
さて、エジプトのデモ騒ぎが頂点に達した。モルシ大統領に辞任を迫る反対派と、選挙で民主的に選ばれたと主張する大統領支持派のムスリム同胞団の対立がヒートアップしていたが、ついに一昨日48時間の猶予時間の後、軍部が事態の収拾に乗り出した。軍は現憲法を停止し、モルシ大統領の職を解任し、その身柄を拘束した。大統領支持派デモのテレビ実況中継が警察に禁止されなど、言論への権力の介入も始まった。どう見ても民主的な行動とは思えない。明らかに軍によるクーデターである。
一昨年2月ムバラク政権を崩壊に追い込んだ「アラブの春」による民主化は後退し、昨年6月に民主的な選挙で選任された文民大統領は在任僅か1年で失脚させられたのである。1952年ナセル革命によって長く続いた王政ファルーク王を倒したナセル青年将校が4年後大統領に就任して以来、エジプトの歴代大統領はすべて軍人である。
今日エジプト軍は失地を回復したのである。だが、エジプトは折角アラブの春によって民主化を手に入れながら、権力は軍部に握られ、民主化は遠のくばかりである。アメリカのオバマ大統領は、事態の推移に懸念を表明し、エジプト軍の対応次第では援助を打ち切る可能性を示唆した。だが、アメリカはアメリカの思惑により今回の事態をクーデターとは認めていない。これからしばらくエジプトの行方に注目する必要がある。