2941.2015年6月2日(火) 中国雨の長江で観光船転覆

 昨晩遅く中国長江を南京から重慶へ向かっていた観光船が竜巻に巻き込まれてあっという間に沈没して500名近い乗船客に多数の犠牲者を出している。長江と言えば、かつての揚子江で長い距離の間に両岸には数々の景勝地がある。その中でも高校時代漢文で習った李白の「早発白帝城」はあまりにも有名である。昨日中国政府の尊大な姿勢と海洋進出に対して苦言を呈したが、一般の中国人観光客の災難はあまりにも気の毒である。私もエージェント時代この長江を下る三峡下りを計画しかけたことがあったが、残念ながら計画倒れに終わった。後々まで悔いが残った。

 事故はこれからどういう救援活動をし、多くの人々を救いだすのだろうか。祈るような気持ちである。昨年4月には韓国西南部沖でも積み荷の荷重から貨客船フェリー・セウォル号が沈没して300人近い死者を出したばかりである。1人でも多くの生存者がいることを願わずにはいられない。

 昨日はこの大きな事故による多数の犠牲者の反面、個人の突然の死もあった。前衆議院議長町村信孝氏が脳梗塞で亡くなられたのである。議長を辞めてまだ僅か1カ月しか経っていない。自民党、また政府で官房長官、外相など数々の要職をこなし実力者として派閥も率いていたが、まだ70歳という働き盛りで冥界へ旅立つとはちょっと早い気がする。自民党議員の中では、まともな議員だったと思っている。私とは人間としての格と器が違って勝負にならないが、元々町村氏とは主義主張が異なり、辿って来た道も異なるので、まったく接点はない。それでも存在感があり、言うことに一本筋が通っていて変節しなかった点で最近の政治家、しかも二世議員としては極めてまともな人物だったと思う。通産官僚だったことから、多分通産次官だった牧野力くんとも親しいだろう。町村氏は先週発売の‘AERA’にラグビー人脈のひとりとして紹介されていたが、日比谷高校時代はフォワードの中心、№8として活躍していた。勝手な推測だが、ラガーマンだったからこそ、メリハリも利いて変節せず、真っ向勝負を挑むことができたのだろう。惜しい政治家を喪った。

2015年6月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2940.2015年6月1日(月) 中国は世界で最も不遜な国家か?

 南シナ海が国家間の領有権争いで紛糾しているのは、明らかに中国が南沙(スプラトリー)諸島で国際法上とても許されない無法な岩礁埋め立てと施設建設工事を続けているからである。先般米空軍哨戒機の上空飛行に対して一方的に警告を発信したり、公海上をわがもの顔に埋め立てて軍事施設を作ろうとする行為が、周辺諸国の強い警戒心と不安を駆り立てている。しかし、中国は一貫して工事を続け、公海を自国領土と主張している。世界地図を見れば分かるように、どう考えても南沙諸島はベトナム、マレーシア、フィリピンなどの領土より遥かに中国本土から離れている。にも拘わらず自分たちの領土だと言い張り、他国からの抗議を素直に受け入れようとしない傲慢な姿勢と覇権主義は、これ以上何を言っても無駄なのだろうか。こういう中国の言動が、世界に大きな不安と衝突の危機感を生みだしていると言ってもいいのではないだろうか。中国政府には、もう少し大人の対応をしてもらいたいものである。

 昨日閉幕したアジア安全保障会議で、日米豪などが中国に対して硬軟交えた非難を繰り返しているにも拘わらず、中国は自国の一方的な立場を主張して反論するばかりである。会議でアメリカのカーター国防長官が埋め立て工事の即時中止を求めたことに対して、強硬姿勢で切り返している。大国主義が露骨に顕れたのは、アメリカに対して自らの主観に基づく無責任な発言は控えるべきだと言い、驚くべきことにこうも言ったのである。領有権を争うベトナムやフィリピンを批判して「小国は挑発的な行為をとるべきでない」と尊大な発言をしたのである。これでは南沙諸島の領有権争いに解決の見込みが立たない。

 傲慢な中国政府に平和と友好の意味を悟らせるのは容易なことではない。かつてはあれほど腰が低く思いやりのあった控えめな中国の人たちが、ここ40年ほどの間にどうしてこうも思い上がるようになり世界中の人たちから嫌われるようなことになってしまったのだろうか。戦後の学校教育のなせるせいだろうが、本当のところはどうしても分からない。そんなに人間の本性って簡単に変わるものだろうか。かつて親しかった親切な中国の人たちを思うと辛いし、寂しい気がしてならない。

2015年6月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2939.2015年5月31日(日) 2020年東京オリンピックが心配だ。

 昨日の大きな地震は、その後マグニチュードが8.5から8.1へと修正されたが、それでも4年前の東日本大震災の9.0に次ぐ大きなものである。ところが意外にも震源の深さは東日本大震災の24㎞に比べて、とてつもなく深く700㎞近いというから分からないものである。テレビでは朝から地震関連ニュースが流され、この騒ぎは当分収まりそうもない。それが、一昨日の口永良部島新岳噴火や箱根大涌谷噴火活動のニュースと連動して、大きな不安を煽っている。日本列島が揺れているとすると箱根の噴火も当分沈静化は期待できそうもない。

 さて、2020年東京オリンピックのメイン会場の国立競技場が現在再建中であるが、当初は屋内競技場の予定が2020年オリンピックでは開閉式屋根が間に合わず、取り敢えず屋根なしで行われると発表された。これについては、すでに本ブログで全体の責任者の実行力と無責任性を糾弾したところだが、週刊誌にも取り上げられ組織委員会はコテンパンにやられている。当たり前であるが、東京オリンピック大ピンチと非難されているのだ。

 そこへまた心配な事態が発生しつつある。日本の禁煙化の動きは世界の中でも鈍いと批判的な声がある。日本が批准しているタバコ規制枠組み条約が発効して10年が経過した。だが、加盟国は受動喫煙を法律で防止するよう求められているにも拘わらず、日本は中々動こうとしない。政治力が弱いからである。

 このまま放置すると非喫煙者に受動喫煙の可能性もあり、禁煙か分煙かをできるだけ早めに法律化すべきである。4年ほど前政府は全面禁煙か、喫煙室を設ける空間分煙を事業者に義務づける労働安全衛生法の改正案を国会に漸く提出した。だが、タバコ関係業界の反発で無残にも廃案になってしまった。

 厚労省は東京オリンピックを機会にスモークフリー国を目指すチャンスとみていた。近年のオリンピック開催国は公共の場での喫煙を法律で規制しているが、2020年の開催地・東京大会について舛添要一・都知事はその実施を国に委ねて条例で規制することから逃げてしまった。タバコ業界の反発が怖いからである。下手をすると2020年東京大会は喫煙に関して近年では稀な緩い大会になる。厚労大臣も務めたことがある舛添知事にはその辺りの事情が分かっている筈だが、この体たらくである。名誉欲ばかり強い東京オリンピック実施の無責任者集合体は、一体いつ本気度を出すのか。「禁煙」はどうなるのか。今日もわが家の前にはタバコの吸い殻が落ちていた。後進国のままオリンピックが開催されるようになるのか。メイン会場建設問題にしろ、禁煙問題にしろ、お先真っ暗である。1964年東京オリンピックに比べてすべての面で遅れているように思えて仕方がない。あ~あ、オリンピックは大丈夫だろうか?

2015年5月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2938.2015年5月30日(土) 銀座で突然地震に遭う。

 予想以上に口永良部島の新岳の噴火は深刻なようで、全島避難した島民たちはいつ戻れるのか不安を隠せない。地方再生とか、創生が叫ばれているが、現実には離島の人口減少による過疎化が懸念材料であるだけに、この島も危険な状態がこのまま続くと島へ島民が戻らず、無人島になる恐れも考えられないことではない。われわれ都市に住む人間にとっては普段あまり気にしないことだが、他人事ではいられないような気もする。

 口永良部島はかつて2千人もいた人口が、今や137人にまで減少し、小中学生も250人から10人にまで減ってしまった。政治家はいともたやすく地方創生などと口走るが、どれほど真剣に地方のことが分かって具体的な政策を考えているのか。昨日の国会答弁でも貴重な審議の中で空理空論を述べ、挙句の果てにその発言に懲罰とか、陳謝を議論しているていたらくでとても彼らの言葉を鵜呑みにはできない。

 さて、一昨日取り上げたFIFAのスキャンダルに関連して、昨日行われたFIFA会長選の結果、現会長のブラッター氏の5選が決まった。あれだけ世界中を騒がせて事件を引き起こし、ヨーロッパサッカー連盟会長らから辞職を求められながら、自分は無関係を装ってその職に留まろうとするその強欲と名声欲にはうんざりである。イギリスのキャメロン首相から愛想を尽かされ、ドイツのメルケル首相からも一歩距離を置かれるほど権力志向を非難されている。アメリカのサッカー協会は失望し、5選に賛成票を投じたアフリカ、アジアの国々だけが胸をなで下ろしている有様である。日本はどういう選択をしたかと言えば、アジアサッカー連盟の意向に沿って、ブラッター氏の5選を支持したようである。日本もブラッター氏から恩恵を蒙っていたのだろうか。しかし、これではFIFAの改革は生易しいものではないだろう。これからもFIFAが絡む選択の場では、眉に唾して見なければならないだろう。フェアプレイが求められるスポーツの世界のでき事だけに、気持ちがどうもすっきりしない。      

 今日は「俳優・高橋克典」と同姓同名のペンクラブ会員・高橋克典さんの出版記念会が銀座・三笠会館で開かれた。今年に入ってから「レストラン『藤木』へようこそ」と「お月見横丁のトラ」の2冊を出版された。集まった人たちは大分昔から高橋さんを知っている人ばかりで50名ぐらいだっただろうか。高橋さんはお育ちが良いそうだが、松本歯科大学を中退されたという経歴を持っておられる。中々思いやりのある方で皆さんに気を遣っておられる様子が感じられる。自分で会場内を歩きながら出席者を1人ひとり紹介する。それほど長いお付き合いではない私について、元小田急に勤めていたことや、近著「南太平洋の剛腕投手」をPRしてくれた。

 そして二次会会場の「ライオン」に移り、しばらくして大きな揺れがあった。2度ほど揺れた。小笠原沖を震源地とするM8.5、震度5の揺れということでかなり大きい地震である。一時JRが停まり、他の私鉄も一時運転停止や遅れがあったようだ。とにかく、昨日口永良部島で大噴火があったばかりで、どうも落ち着かない。大きな震災につながらなければよいがと願わずにはいられない。帰途地下鉄日比谷線と東急東横線に支障はなかったが、土曜日の夜11時過ぎという遅い時間にも拘わらずかなり多くの乗客がいたことは、多分地震の影響だろう。

2015年5月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2937.2015年5月29日(金) 吉川勇一・元ベ平連事務局長亡くなる。

 今朝の新聞を見てショックを受けた。ベ平連事務局長だった吉川勇一さんが慢性心不全で亡くなったとの訃報である。享年84歳である。ちょうど1カ月前の先月30日、「ベトナム戦争終結40周年記念講演会」に出かけ、それぞれベトナム反戦運動に参加された4人の方々の話を承った後、吉川さんが最後に感想を述べておられた姿が強く印象に残っている。あの時車椅子で出席され、鼻と口にはチューブを付けてそれこそ悲壮な覚悟で話された。4人のスピーカーを温かい言葉で良い話だったと講評され、今後はこういう機会に自分は出席できないだろうと、ベトナムが終戦40周年を迎えられたことを喜ばれ、最早思い残すことはない、すべてやり遂げたとの強い気持ちを滲ませていたように感じた。1965年に結成されたベ平連が、小田実、鶴見俊輔、小中陽太郎氏ら一面派手で素晴らしいリーダーを得たこともあって、ベ平連活動はかなりの成果を挙げ、活動全般に目を配り裏方として地道にその活動を支えておられた吉川さんの力は無視することができない。

 2007年8月4日青山墓地で営まれた小田実さんの葬儀では、小田の代わりはいないと述べていた姿が記憶に残っている。ベトナム戦争は終わり、中心人物の小田実、吉川勇一氏が彼岸へ旅立ち、ベトナム戦争もこれでひとつの区切りを迎えたように思う。私にとっても60年安保闘争と同様、ひとりで戦火のベトナムへ潜入し、平和の大切さを目覚めさせてくれ平和の何たるかを教え、戦い取らねば永久に権力者の言いなりになってしまうことを教えてくれたベトナム戦争は、今も私の心の中に大きな位置を占め、心の支えとなっている。吉川さんのように下積みに徹してあまり表へ出ず活動を支えるのは中々できることではない。そういう意味でも吉川さんは偉かったと思う。

 さて、今日午前鹿児島県口永良部島で爆発的な噴火が発生した。噴煙は上空9000mまで立ち上り噴火警戒レベルが5にまで引き上げられ、全島避難指示により島民137人が隣の屋久島へ非難した。箱根も相変わらず噴火の危険が去らず、日本列島全体に地下のマグマがざわついている。これだけ列島に火山噴火が心配されている時に、懲りもせず原発を再稼働しようとする不誠実な連中がいる。九州電力川内原発が7月下旬には先陣を切って再稼働をスタートさせると言われている。地元の了解を得たとは申せ、周辺自治体住民の了解はまだ得られていない。こんな時に近くの火山の噴火が可能性を帯びてきた。それでも再稼働を強行させるのだろうか。

2015年5月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2936.2015年5月28日(木) 集団的自衛権行使は戦争を招かないか。

 いま安保法制関連法案を巡って与野党の激しい論争が交わされている。だが、国会論争というのはそもそも何なのかという素朴な疑問がこの数日来頭の中を去来している。それは野党の質問に対して政府、自民党が正面から丁寧に、真摯に応えないからである。正面からまともに応えず、方法論とか、便法やすり抜け論で議論を戦わせている。大体「例外」規定が多過ぎる。例外とは正に例外そのものであって、そうそう有るべきものではない。然るに安倍首相を始めとして答弁する各大臣の回答には「例えば例外として・・・・」との引用が多過ぎる。

 政府が例外の根拠に挙げているのが、武力行使の新3要件である。抽象的だとの批判を承知のうえでこの3要件を挙げれば、①日本が武力攻撃されるか、密接な関係の他国がが攻撃され、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある。②国民を守るために他に適当な手段がない。③必要最小限度の実力行使に留まる。こんな要件はどうにでも解釈できるのではないか。

 また、気にかかるのは、中谷元防衛大臣が、特に集団的自衛権の行使によって海外派兵される自衛隊員にリスクが増えるのではないかと質問されたことに対して簡単に「そうはならない」とどういう根拠でそのようなデタラメを言うのだろうか。本人は本当にそう思っているのだろうか。今日南シナ海で問題視されている南沙諸島における中国の違法な埋め立て工事と周辺諸国との紛争解決に当たって、現在公海上空を警戒飛行している米空軍機の任務を、アジアの平和を守るため日米共同で対処するとの共同声明に照らせば、いつ何時アメリカ空軍の上空警戒飛行を米空軍機に代わって航空自衛隊機が任務遂行する可能性が生まれないとも限らない。それでも臨場感と危機意識に疎い中谷大臣はリスクが増えないと言いきることができるのだろうか。日本政府の上層部は、すべての係争事案を他人事と考え、自らの身に降りかかって来る筈はないと盲目的に信じ込んでいるキライがある。それらは現場感覚のなさから導き出される身勝手な論理なのだ。これだから世間知らずの政治家は困る。

 当分安保法制について議論を戦わせて、国民に隠している危なっかしい事態を洗いざらい公にして、そのうえで国民への理解を得られるよう論争をして欲しいものである。まぁ政府は何とか誤魔化そうとしているだけに国民の理解を得るのはそう簡単には行かないだろうが。

 さて、サッカー界にイメージ・ダウンにつながる新たな大醜聞が浮かび上がった。昨日からメディアで明らかになっている国際サッカー連盟(FIFA)の幹部を含む14人がアメリカ司法省の告発により、収賄容疑で昨日スイス司法当局に身柄を拘束された。世界でも大きく有力な組織であるFIFAの現職副会長を含む幹部が起訴された異例な事件は、ワールド・カップ開催地決定に関与して賄賂をもらって動いたと疑われたからである。その金額も桁外れで1億5千万㌦(約180億円)以上と言われている。資金が潤沢であるに越したことはないが、有り余るとこのような不誠実な事件の引き金となる。2人の副会長が逮捕されるとは尋常ではないが、それだけにゼップ・ブラッター現会長の責任論と次期会長選立候補が問題にされつつある。会長への捜索はこれからだそうだ。偶々明日が会長選挙の当日に当たっている。しかし、いくら図々しくともこれだけ世界を騒がせた組織の長としては、現在4期目で79歳のブラッター氏も流石に会長職に留まっているわけには行くまい。果たしてこのスキャンダルの行方はどうなるのだろうか。

2015年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2935.2015年5月27日(水) 向こう三軒両隣は今や昔か。

 駒澤大学公開講座で「ドキュメンタリーはこうして生まれる」を講義される須磨章講師が、NHK時代制作に携わった「新日本紀行」シリーズのうちの2作品「最初のニュータウン」と「クルスの家族たち」を見せてくれた。1979年と81年作品だが、時代の雰囲気と流れを全体を通して感じさせてくれる。前者は大阪万博とその後の千里ニュータウン変貌の様子を「かしまし娘」の正司照江がナレーションしたものだ。後者は五島列島で江戸時代から今に続く島のクリスチャンの生活ぶりを描いたものである。大阪万博も五島列島も観光に訪れたことがあるので、懐かしく観ていた。

 前者のストーリーで印象深い話があった。万博を控えて千里山ニュータウン計画が浮上して土地の造成が行われた時、地元地主のほとんどが開発と万博のために私有地を売却したが、旧家の88歳と84歳の高齢者夫妻が頑として土地は売らないと言い張り売却に応じなかったことである。言い分はそんなに現金を持っても使い道がないということもさることながら、気になったのは、ちょっと知り合った近所の人が別の機会に顔を合せても素っ気なかったと言ったことである。そんな人たちに住んでもらって従来通りの地域ぐるみの温かい雰囲気を壊されたくないという地元の人のささやかなこだわりと抵抗だったのではないだろうか。

 今あちらこちらで聞く同じような慨嘆の声は、日本で古くから培われていた温かい隣組意識の中で大阪万博の頃にはすでに聞かれていたのだ。ごく当たり前の隣人に軽く会釈したり、口を聞いたりする隣組のようなコミュニケーションの第一段階が見られなくなったのは、すでにこの時代から始まっていたのだと痛感した。

 実は最近わが家の真前にあった駐車場の跡地に新設した戸建て住宅に引っ越して来られた8世帯ばかりの人々もほとんど自宅から出て来られない。どういう家族構成なのか、またどんな仕事をしているのか、家庭像がまったく分からない。中には夫婦揃って転入の挨拶に来られた方もいるし、こちらから見かけたら声をかけた人もいる。だが、それっきりに終わり、まず自宅から顔を出さないし、近所づきあいをしようとの気持ちも見られない。中には表札を掲げていないお宅もある。ほとんど40歳台の人々だが、こういう乾いた時代とそんな無味乾燥な世間になったのかと思うと、子どもの頃は近所の人々と挨拶を交わして大人・子どもを問わず顔見知りだったり、井戸端会議に首を突っ込んでいたことを考え併せると、それらは実に遠い昔のような気がしてくる。今ではもう放映されないが、「新日本紀行」がふとそんな懐旧に耽らせてくれた。古き日本は遠くなってしまったと思うとやはり一抹の寂しさを感じる。

 さて、今日何気なく偶々PC上の‘Wikipedia’で元の勤務先㈱小田急トラベルの項を見ていて、はっと目を瞠った。概要の冒頭にこう書いてあった。「独自の企画で販路を拡大しており、特にマレー鉄道は毎年好評を博し、他社に先駆けてツアーを確立した」とある。何と40年以上も前に私が小田急電鉄㈱に勤務していた頃に考え、企画し、その後小田急トラベル創立とともに転属してシリーズ商品として企画し、大ヒットした「マレー半島縦断2000㎞鉄道の旅」のことである。最初は社内にも特殊な海外旅行に理解を示してくれる上司や同僚もおらず、中々評価してもらえなかったが、そのユニーク性と珍しさで企画を続けている間に少しずつ理解者が増えてツアーも売れ出した。やがて旅行業界でもユニークな旅行として取り上げてくれ話題を呼ぶようになった。ツアーには毎年2千名ぐらいの参加者があり、5年以上も続いた。まだ、他社ではこういう種類のツアーに商品を作り出していない時代に、自分なりの感性と臨場感から作りだしたものだ。ついには、あのJALPAKが疑似商品を売り出し誇大な宣伝を行った。だが、航空会社が企画した鉄道ツアーと鉄道会社のそれとの信用力の差という大きな力が圧倒して、私のツアーはJALPAKに完勝し、JALPAKを鉄道旅行市場から放逐した。誇らしくも懐かしい思い出である。今になってこういう形で第三者である ‘Wikipedia’に正当に評価してもらえることは実に嬉しい。今では旅行エージェントから足を洗ったが、若く元気溌剌だった頃の成果が今日に伝えられているのは有り難い。現在外人旅行企画の相談を受けているが、どうするか目下思案中である。

2015年5月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2934.2015年5月26日(火) スリランカ人僧侶ソーマシリさん

 今朝の朝日新聞「ひと」欄に顔見知りの僧衣姿の外国人が紹介されている。よく見ればスリランカのタランガッレー・ソーマシリ僧侶である。スリランカの言葉シンハラ語版マンガ「はだしのゲン」(故中沢啓治作)を出版したばかりである。3月末出版記念会を千葉県香取市蘭華寺・「平和寺」で開いた時、招待状をいただいたが、生憎先約があり欠席せざるを得なかった。昨年11月に開いた拙著の出版記念会にはスリランカから出席できないと返事をいただいた。頻繁にお会いすることはないが、偶にペンクラブ例会で会えば、スリランカの世界遺産などの話をすることがある。

 ソーマシリさんは、広島の原爆ドームや平和祈念資料館を訪れて強い感銘を受けた。これから永井隆博士著「長崎の鐘」翻訳に取り組むという。益々のご活躍を祈っている。

 さて、一時は「イスラム国」ISの拠点を連合軍の空爆により奪回したイラクが、シリアの世界遺産の地パルミラとイラク中部ラマディをいとも簡単にISに取り戻され旗色が悪くなった。イラク軍兵士には戦闘意欲がなく、武器を投げ出して退却する醜態もあり、この敗勢となった。流石に支援作戦を主導していたアメリカも「イラク軍兵士には戦う気持ちがない」と怒りを隠さない。ことの善悪はともかく、ISの結束力に比べて何ともたるんだ共同戦線連合軍の歯がゆさだ。こんな調子ではいくら連合軍が結束を訴えても、戦闘はいつまで経ってもケリがつかないだろう。ベトナム戦争の二の舞となるのではないだろうか。「どこまで続くぬかるみぞ」である。

2015年5月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2933.2015年5月25日(月) 怖い自然災害と戦争

 午後2時28分突然ぐらぐらと揺れが来た。そしてしばらく揺れ、慌てて書斎からベランダへ出てやり過ごした。戸外では電線や樹木が揺れていた。室内ではいくつかの置物が落下したが、大きな被害はなかった。

 揺れは4年前の東日本大震災に比べれば、小さかったが似たような状況にあった。あの時は時間も2時46分で同じようにPCに向っていたが、慌ててベランダに出た。

 早速テレビを点けると震源地は埼玉県北部でM5.5、震度は最大震度が茨城県南部の5弱、東京は震度4だった。このところ箱根山の噴火騒ぎに端を発して蔵王、浅間山、御岳山、桜島、西の島等々に俄かに噴火の兆しが見え、日本列島地下深くにマグマが煮えたぎっていて、いずれ近い将来に火山爆発が起きるのではないかと心配である。地震はある程度は予測できるのだろうが、決定的に正しい発生時刻を教えてくれるわけではない。箱根にせよ、これからしばらくは遠くから眺めて山の神の怒りが収まるのを待つより仕方がないのだろう。

 さて、今日千鳥が淵戦没者墓苑で無名戦没者を慰霊する拝礼式があり、今年は戦後70年の節目の年を迎えて安倍首相、秋篠宮ご夫妻らが参列された。かつて旧厚生省の遺骨収集に関わっていた当時、時の厚生省丸山一雄課長から一度出席した方がよいと言われて出席したことがある。その時首相は出席されなかったが、厚生大臣と高松宮様か常陸宮様が出席され、納骨式が厳かに執り行われた。今年は先月天皇・皇后両陛下がパラオを巡拝され、その折引き渡された身元不明の遺骨2千余柱を納骨した。これでここに眠る無名兵士は36万人を数えるまでになったが、両陛下の巡拝を機に中部太平洋諸国からは戦没者遺骨収集に更に協力してもらえることがお互いに確認された。しかし、激しい戦いの地となった太平洋諸島や、中国大陸、アジア諸国で戦没された240万人の英霊を祖国へお迎えするにはまだまだ不十分である。すでに消えてしまった遺骨もあるし、収骨するには危険な場所もあり、すべてを収めることは難しいが、今なお放置されたままの遺骨は何とかしてできるだけ早く祖国へ帰還させてあげたい。

 折しも昭和20年5月24日と今日25日は、東京山の手地区が米軍機により爆撃された日でもある。

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2932.2015年5月24日(日) 大国の我儘が核戦争を招来する。

  国連本部で1カ月以上に亘って開かれていた核拡散防止条約(NPT)再検討会議は、昨日最終文書を採択できないまま閉幕となった。この事実は核に反対する世界中のすべての人々を一時的に失望させたばかりでなく、将来の核戦争発生への懸念を増幅させたと言える。とりわけ原爆被災地の広島、長崎市民や被災者をがっかりさせた。これは基本的には核兵器保有国と非保有国との対立が原因である。数年前までは徐々に核兵器を削減して行こうとのコンセンサスが核保有国の間にもあった。

 2009年4月、オバマ大統領はプラハで要旨下記のような演説を行った。

1.米国は核兵器のない世界に向けた具体的な措置を取る。

2.冷戦思考に終止符を打つため、われわれは核兵器への依存度を下げ、他国にも同調を促す。

3.何千もの核兵器は最も危険な冷戦の遺物だ。

4.米国は核兵器を使用した唯一の核保有国として行動する道義的責任がある。

5.テロリストが絶対に核兵器を入手しないようにしなければならない。4年以内に核物質の安全性を確保する新たな国際的取り組みを提案する。

 オバマ大統領が軍縮から近い将来核兵器のない平和な社会を作る意欲を盛ったスピーチとして高く評価され、世界中から期待された。そしてその年ノーベル平和賞は非核世界を託してオバマ大統領に授与された。

 しかし、その後の世界情勢の変化の中でイスラエルとイランの核所有、ウクライナ問題など国際的な対立要因が浮上し、核保有国もきれい事は言えなくなり、核削減については概ね後退の印象を受ける。案の定世界へ向かって将来的に核のない世界を公約したオバマ大統領のメッセージは空手形に終わった。

 保有国と非保有国の対立は、中東の非核地帯化を巡る議論で紛糾した。事実上核保有国と看做されているイスラエルに、アメリカ、カナダ、イギリスなどが同調し、これに対して核兵器の非人道性を説くオーストリア、メキシコ、エジプトなどが反発したことが成果のない会議ならしめた原因である。2009年のオバマ演説時に比べて間違いなく核絶滅の道は逆戻りしていると言える。

 日本はアメリカの核の傘の下に入っているため、本音は核兵器に大反対であるにも拘わらず、アメリカの立場を慮り声を大にして反対を叫ぶわけでなく中途半端な立場に終始しているようである。しかし、最終文書素案の文言に各国の指導者が広島と長崎を訪問するよう促すと書き入れることを求めたのに対して、中国が反対し結局全会一致が原則の文書からは削除されることになった。そして、妥協案として中国との協議を継続し、「核兵器の被害を受けた人や地域社会の経験を直接共有し、交流することを通して核軍縮・不拡散の教育を強化、継続する」との中途半端な文言を盛り込むことになった。

 中国は先の大戦の勝者を誇大に自認し、敗者に対して徹底的に厳しく対応する。今度の会議でも、歴史上侵略者である敗者日本が被害を受けたことは当たり前で、被害者意識を持ち出して世界にアピールしようとするのはおこがましいと言わんばかりである。原爆投下は勝者、敗者を問わず悲劇であり、格別被害者にとっては辛く、等しく慰められるべきものであるとのシンパサイズが、今や核を保有し経済大国となり傲慢になった現代の中国には残念ながらまったく見られない。見られるのはどの国に対しても「俺が、俺が」の不遜な態度だけである。

 さて、話題を変えて3つばかり一昨日から今日にかけてあったスポーツの興味深い結果を紹介したい。第1はMLBマイアミ・マーリンズのイチロー選手がベーブルースの通算安打数2873本を超えて米大リーグ史上42番目の最多安打記録選手になったことである。41歳である。大したものだと思う。

 次に弱いチームの代名詞だった東大野球部が、法政大を延長戦の末破り5年ぶりに94連敗のワースト記録にストップをかけたことである。あわや100連敗かと心配されていた矢先である。3番手の投手として高校の後輩・宮台康平くんが投げていた。

 最後は今日大相撲夏場所千秋楽で関脇照ノ富士が12勝3敗で初優勝を飾ったことである。毎場所優勝力士が横綱白鵬と決まっていたような最近の大相撲で、この夏場所も漠然と白鵬の7連覇が期待されていた。白鵬のやや意外な不調もあったが、新進気鋭の大物力士・照ノ富士が逆転優勝を飾った。23歳の若手力士・照ノ富士の登場が今後の相撲界を背負っていくものと期待されている。しかし、問題はこの照ノ富士もモンゴル出身であることである。国籍に特に拘ることもないが、ことは日本の国技とも言える相撲である。強豪力士がすべて外国人力士では笑い話にもなるまい。照ノ富士は来場所には大関昇進が期待されるが、現在の3横綱がすべてモンゴル出身であることを思うと気持ちはやや複雑である。

2015年5月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com