2936.2015年5月28日(木) 集団的自衛権行使は戦争を招かないか。

 いま安保法制関連法案を巡って与野党の激しい論争が交わされている。だが、国会論争というのはそもそも何なのかという素朴な疑問がこの数日来頭の中を去来している。それは野党の質問に対して政府、自民党が正面から丁寧に、真摯に応えないからである。正面からまともに応えず、方法論とか、便法やすり抜け論で議論を戦わせている。大体「例外」規定が多過ぎる。例外とは正に例外そのものであって、そうそう有るべきものではない。然るに安倍首相を始めとして答弁する各大臣の回答には「例えば例外として・・・・」との引用が多過ぎる。

 政府が例外の根拠に挙げているのが、武力行使の新3要件である。抽象的だとの批判を承知のうえでこの3要件を挙げれば、①日本が武力攻撃されるか、密接な関係の他国がが攻撃され、わが国の存立が脅かされ、国民の生命、自由、幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある。②国民を守るために他に適当な手段がない。③必要最小限度の実力行使に留まる。こんな要件はどうにでも解釈できるのではないか。

 また、気にかかるのは、中谷元防衛大臣が、特に集団的自衛権の行使によって海外派兵される自衛隊員にリスクが増えるのではないかと質問されたことに対して簡単に「そうはならない」とどういう根拠でそのようなデタラメを言うのだろうか。本人は本当にそう思っているのだろうか。今日南シナ海で問題視されている南沙諸島における中国の違法な埋め立て工事と周辺諸国との紛争解決に当たって、現在公海上空を警戒飛行している米空軍機の任務を、アジアの平和を守るため日米共同で対処するとの共同声明に照らせば、いつ何時アメリカ空軍の上空警戒飛行を米空軍機に代わって航空自衛隊機が任務遂行する可能性が生まれないとも限らない。それでも臨場感と危機意識に疎い中谷大臣はリスクが増えないと言いきることができるのだろうか。日本政府の上層部は、すべての係争事案を他人事と考え、自らの身に降りかかって来る筈はないと盲目的に信じ込んでいるキライがある。それらは現場感覚のなさから導き出される身勝手な論理なのだ。これだから世間知らずの政治家は困る。

 当分安保法制について議論を戦わせて、国民に隠している危なっかしい事態を洗いざらい公にして、そのうえで国民への理解を得られるよう論争をして欲しいものである。まぁ政府は何とか誤魔化そうとしているだけに国民の理解を得るのはそう簡単には行かないだろうが。

 さて、サッカー界にイメージ・ダウンにつながる新たな大醜聞が浮かび上がった。昨日からメディアで明らかになっている国際サッカー連盟(FIFA)の幹部を含む14人がアメリカ司法省の告発により、収賄容疑で昨日スイス司法当局に身柄を拘束された。世界でも大きく有力な組織であるFIFAの現職副会長を含む幹部が起訴された異例な事件は、ワールド・カップ開催地決定に関与して賄賂をもらって動いたと疑われたからである。その金額も桁外れで1億5千万㌦(約180億円)以上と言われている。資金が潤沢であるに越したことはないが、有り余るとこのような不誠実な事件の引き金となる。2人の副会長が逮捕されるとは尋常ではないが、それだけにゼップ・ブラッター現会長の責任論と次期会長選立候補が問題にされつつある。会長への捜索はこれからだそうだ。偶々明日が会長選挙の当日に当たっている。しかし、いくら図々しくともこれだけ世界を騒がせた組織の長としては、現在4期目で79歳のブラッター氏も流石に会長職に留まっているわけには行くまい。果たしてこのスキャンダルの行方はどうなるのだろうか。

2015年5月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com