昨晩遅く中国長江を南京から重慶へ向かっていた観光船が竜巻に巻き込まれてあっという間に沈没して500名近い乗船客に多数の犠牲者を出している。長江と言えば、かつての揚子江で長い距離の間に両岸には数々の景勝地がある。その中でも高校時代漢文で習った李白の「早発白帝城」はあまりにも有名である。昨日中国政府の尊大な姿勢と海洋進出に対して苦言を呈したが、一般の中国人観光客の災難はあまりにも気の毒である。私もエージェント時代この長江を下る三峡下りを計画しかけたことがあったが、残念ながら計画倒れに終わった。後々まで悔いが残った。
事故はこれからどういう救援活動をし、多くの人々を救いだすのだろうか。祈るような気持ちである。昨年4月には韓国西南部沖でも積み荷の荷重から貨客船フェリー・セウォル号が沈没して300人近い死者を出したばかりである。1人でも多くの生存者がいることを願わずにはいられない。
昨日はこの大きな事故による多数の犠牲者の反面、個人の突然の死もあった。前衆議院議長町村信孝氏が脳梗塞で亡くなられたのである。議長を辞めてまだ僅か1カ月しか経っていない。自民党、また政府で官房長官、外相など数々の要職をこなし実力者として派閥も率いていたが、まだ70歳という働き盛りで冥界へ旅立つとはちょっと早い気がする。自民党議員の中では、まともな議員だったと思っている。私とは人間としての格と器が違って勝負にならないが、元々町村氏とは主義主張が異なり、辿って来た道も異なるので、まったく接点はない。それでも存在感があり、言うことに一本筋が通っていて変節しなかった点で最近の政治家、しかも二世議員としては極めてまともな人物だったと思う。通産官僚だったことから、多分通産次官だった牧野力くんとも親しいだろう。町村氏は先週発売の‘AERA’にラグビー人脈のひとりとして紹介されていたが、日比谷高校時代はフォワードの中心、№8として活躍していた。勝手な推測だが、ラガーマンだったからこそ、メリハリも利いて変節せず、真っ向勝負を挑むことができたのだろう。惜しい政治家を喪った。