伊勢志摩サミットも2日目で閉幕となったが、今朝はG7首脳の他にアジア7カ国及び5つの国際機関の長も加わり拡大会議を行った。その後オバマ大統領は現職のアメリカ大統領としては初めて広島を訪れた。だが、報道の焦点は、サミット後のオバマ大統領の広島訪問に当てられ、オバマ大統領、安倍首相の他のG5首脳の行き先、行動がどうなったかのニュースはほとんど報道されなかった。
その一方でオバマ大統領の行動は中部国際空港から大統領専用機「エア・フォース・ワン」による岩国米軍基地への移動、そこからヘリによる広島ヘリポートへの飛行、そして専用車による車列の広島平和公園入りを空と陸から断続的に伝えていた。大分以前から鉦や太鼓を打ち鳴らしていたサミット騒ぎは一体どうなったのかと問いたい。主客転倒も甚だしいと思う。オバマ大統領の広島訪問にG7が付き合わされたような印象を受ける。メディア・センターに集結していたヨーロッパのメディアはこれをどう伝えるだろうか。
安倍首相は、異論もあったが、言うべきことは言って概ね理解を得られたと述べたが、世界経済の冷え込みを防ぐための財政出動はドイツ、イギリスと意見が合わなかった。ドイツは財政的に黒字であり、財政出動には否定的だった。その情報は事前に把握していた筈で、ドイツが財政出動より構造改革を優先すべきであるとの意向をサミットの場で斟酌しなかった。この点では首相は浮かれている場合ではなく、今後のためにもきちんと反省すべきではないか。
広島到着後のオバマ大統領の行動は、出迎えた安倍首相の案内で先ず広島平和記念資料館を訪れた。ここで約10分間内部を見学したが、メディアが内部に入ることは認められず、大統領が悲惨な資料を見てどういう様子だったかははかり知ることができなかった。その後原爆慰霊碑で安倍首相とともに献花をした後、17分間のスピーチを行った。被爆地にいて感じる印象と核廃絶への思いを述べた。世界は広島によって一変した。核兵器をなくすことを誓う。過去から学ぶことができる。日本もアメリカも犠牲は同じ。戦没したアメリカ人にも哀悼の気持ちを伝える。戦争を止めるためにはすべての国、人の努力が必要。誰しも戦争は望まない。戦争はいけない。等々である。
広島へ落としたひとつの原子爆弾が今日の核問題の始まりとなった。爆弾を積んだエノラ・ゲイ機は小さなテニアン島を発った。かつて厚生省遺骨収集団でテニアン島を訪れた時、エノラ・ゲイが離陸した小さな飛行場の滑走路先に原爆機が飛び立ったことを記した石碑があったことを思い出す。
オバマ大統領に続き安倍首相は、戦火を交えた日米両国が今ではお互いの信頼と友情によって同盟国としての絆を強めていると昨年米議会でスピーチした言葉を述べた。
大統領は原爆被災者のもとにに立ち寄り代表者2人と握手したり、抱き合ったりしながら立って言葉を交わした。
その後両首脳は川向こうの原爆ドームを見て平和公園を後にした。凡そ1時間の慌ただしい訪問だった。でも広島訪問は総じて良かったのではないかと思う。取り敢えずサミットも終わってホッとした。