案の定と言うべきであろう。沖縄で墜落した米軍機オスプレイの飛行再開について、沖縄県民の怒りはもとより、今朝の新聞各紙はトップページから社説に至るまで在日米軍、並びに日本政府の対応に厳しい意見を突きつけている。
翁長沖縄県知事の毅然とした批判発言に比べて、政府の対応は米軍の説明を鵜呑みにするばかりで、日本及び沖縄県に対する保護者としての説明というより、米軍の言い分を代弁しているだけである。何とも情けない有様である。
それにしても日本政府の米軍に対する気の使いようは些か常軌を逸している。その背景には、トランプ次期米大統領が、飛行再開が難航したら沖縄から出て行くと言いかねないことも考慮しているらしいようだが、わが日本政府は同じ日本国民である沖縄県民のことより、アメリカ大統領の言動を気にしている体たらくである。極端に言うなら、アメリカがそれほど自分たちの都合ばかりを言うくらいなら、安全保障の問題は別にして、すべての基地問題が解決され、駐留経費を支払わなくても済む在日米軍を全面撤退してもらったが、日本人としてはよほどすっきりするのではないか。
この問題の最大のガンは、日米地位協定である。例え米軍基地の外で起きた米軍が絡む事件、トラブルでも米軍だけに警察権を認め、日本の警察にはまったく調査権がないからである。日本側が調査も捜査もできない。今回も海上保安本部が米軍に捜査協力を申し入れても返事さえもらえない、舐められたような対応である。
加えて米軍当局者には、どういうわけか日本人を差別する言動が見られ、その傲慢不遜な態度には思わず、日米同盟が結ばれた堅い同盟関係にあるのに、なぜこんな発言がなされるのかと驚かされる。それは、今回の事故だけに限った問題ではなく、2004年に沖縄国際大学キャンパス内に大型輸送ヘリコプターが墜落した際にも同じような対応で、日本側はまったく口を差しはさむこともできず、事故当日から10日目に米軍は同じ型のヘリを再飛行させた。
沖縄県民感情が少しは理解できる沖縄の自民党関係者も流石にこの在日米軍の不遜な対応には憤りを隠せないようだ。
しかし、アメリカが日本に対して植民地的な見方をするのは、アメリカの白人優勢意識、一強多弱の自民党政権のアメリカ追随思想と、安倍首相の祖父・岸信介首相が締結した日米安保条約のせいである。その意味では、我々も闘った60年安保闘争で岸信介政権に屈したことが今日に至るまで尾を引いている。残念である。
しかしながら、一朝一夕には進まないが、このままの状態を許すとアメリカは、益々増長して日本に対して植民地的言動を行うようになるのではないだろうか。わが国の周囲には、人間的に真面な考え方ができない傲慢なロシア、中国に加えて、世界最大強国のアメリカまでも自国の利便のために、日本を徹底的に利用しようと牙を研いでいるのだ。そろそろ注意した方が良いのではないだろうか。
プーチン大統領に手玉に取られた安倍お坊ちゃんでは、とてもこの嫌な流れを乗り切れないのではあるまいか。ストレスが溜まる世の中になったものだ。