これが法治国家のやることかと憤慨するようなことが行われた。13日に沖縄県名護沿岸に墜落した米軍輸送機オスプレイの機体破片の収拾をし、墜落原因を調査中としていたアメリカ海兵隊が、事故発生以来中止していたオスプレイの飛行を事故から6日目の今日再開したのである。沖縄県がオスプレイの撤去、辺野古移転反対を求めている最中に、事故を引き起こしたオスプレイの事故原因も詳らかにされない内に、再飛行を開始したのである。
米軍の飛行再開に当たっては、当然ながら米軍は日本政府に許可を求めた。これに対して政府は米軍の要求を抵抗もなく受け入れたのだ。「言葉を尽くしても尽くし切れないほど、怒りとむなしさを感じる」。翁長県知事の言葉である。これだけ県知事を筆頭に県民挙ってオスプレイ撤去を求めているにも拘わらず、政府はこれを一顧だにしなかったばかりか、神経を逆なでするようなことをやってのけたのである。政府としては、せめて沖縄県民感情を考慮して、米軍の言い分をそのまま受け入れイエスというのではなく、沖縄県の意向を充分聞いて米軍高官の不遜な記者会見の反省も促し、そのうえで日本側にも調査権を与えて日米が公正に原因を調べ上げた末に、オスプレイ撤去とは別に、再開是非の結論を出すべきだろう。
それがそんな思惑に捉われることなく午後2時前にオスプレイは飛び立ったのである。この強引とも思える米軍の判断にも呆れるが、米軍の言い分をすんなり認める日本政府に対しても、沖縄県民は反発を強めている。オスプレイ配備が決まって以来、県民のオスプレイ拒絶反応は強くなる一方だった。そんな時に事故は起きた。そして事故原因がはっきりしない間に、またオスプレイを飛ばした。これではまた同じような事故が起きる恐れがある。どうして日本政府は、これほどまでに反対する沖縄県民の気持ちに耳を傾けず、米軍の意向を汲み取ろうとするのだろうか。これでは、政府と沖縄県の距離は益々広がるばかりである。このありようは、果たして法治国家と呼べるだろうか。