6572.2025年5月11日(日) 西田参院議員の虚言撤回とカシミール紛争

 自民党西田昌司・参議院議員が先日沖縄の「ひめゆりの塔」に関して誤認発言をした。西田氏は批判されても発言を撤回しないと語っていたが、一昨日になって自身の発言について不適切だったと謝罪し、発言を撤回すると述べた。

 ここには憂慮すべきことがある。西田氏は当初反論に対して強く抗弁し、絶対に撤回しないと言っていたが、結局自論を引っ込めた。自民党内や、与党を組む公明党からも批判があり、あまりにも抗議と反対が強かったために抗しきれなくなったもので、西田氏の本心は分からない。ただ、警戒しなければならないのは、「ひめゆり平和祈念資料館」館長が、「80年前の過酷な体験を生身で語れる体験者がいなくなる時代に入り、あのような発言が出て来たのではないか」と危惧していたように、実態を知らずして生半可な知識と、持論を都合よく積み上げる知恵によって事実とは異なる発言を行うような風潮である。西田氏が、戦争を知らない世代であるだけに余程危険である。今回は西田論が間違っているとして理解されず、非難されることになったが、同じようなことが今後も保守的、右翼的な人々の間で発言されることがあり得ることを警戒しなければならない。

 さて、数々あるもめごとの中でも、最近突発したインドとパキスタンによるカシミール地方の衝突が、急遽停戦合意に至ったと昨日のニュースで伝えられた。例によってアメリカのトランプ大統領が、停戦合意のために仲介に当たったとSNSに投稿して強調していた。明らかに停戦を自らの手柄、成果としてアピールしているのだ。今朝のサンデーモーニングでは、寺島実郎氏が成果云々については否定していた。ところが、停戦合意後数時間にしてアメリカの仲介を逆なでするようにインド領内で爆発が起きた。インドが実効支配するカシミール地方の主要都市スリナガルとジャンムーの住民は、爆発音が聞こえ、空に閃光が走ったと証言した。インドの外務次官は「ここ数時間、我々が今晩早くに到達した合意に違反する事態が繰り返された」と述べた。同次官は、インド軍は「適切な対応を取っている」と述べ、パキスタンに対し「これらの違反に対処するよう要請する」と呼びかけた。これに対し、パキスタンの外務省報道官は「パキスタンは、本日発表されたパキスタンとインド間の停戦の忠実な履行に引き続き尽力する」と述べ、「インドがいくつかの地域で違反行為を行っているにもかかわらず、我々の部隊は責任と自制心を持って事態に対処している」とも語った。何ともお互いのさや当てのように思える。

 カシミール地方のインド支配地域では、数十年にわたる対立で何千人もの命が奪われている。それだけに両国の対立はそう簡単には収まるまい。ただ、世界中に紛争が蔓延っている今日これ以上民族間で争いが起きるのは止めるよう、世界中が真剣に行動しなければだめだと思う。

2025年5月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6571.2025年5月10日(土) 大学山岳クラブ同窓会に出席

 ほぼ20年近く、日程の都合が付かず欠席続きだった大学の山岳クラブ「アルペンクラブ」の同窓会が今日開かれ、久しぶりに出席した。これも何かの縁であろうか、偶々今日は結婚56年目の記念すべき日でもある。同窓会の会場は慶應義塾の社交場とも言える銀座4丁目の一等地にある立派な「交詢社」ビルの9階である。以前ゼミの飯田教授にここで夕食をご馳走になったこともあり、またここで開かれた会合では「旅行三田会」に1度出席したこともある。中々建物には重厚さと趣があり、指定文化財にでもなりそうな内部の雰囲気である。

 今日集まったのは35名だったが、皆学生時代に山登りに夢中になった山仲間ばかりで、ほとんどが後輩である。結婚式では司会進行役を務めていただいた永田会長だけが1年先輩で、欠席が続いたせいか後輩の中にも顔見知りが少ない。それでも同じ釜の飯を食った仲間の集まりでもあり、すぐ打ち解けて久しぶりに山の会話で楽しいひとときを過ごすことが出来た。

 私の同期生ももうかなり他界してしまって、残念ながら今日は同期生の誰も来なかった。挨拶では、身勝手にも私の海外武者修行について話し、拙著3冊を提供し、その中の1冊「八十冒険爺の言いたい放題」が近日英語版電子書籍が発売されることをPRしておいた。年齢的にも我々世代はかなり来世へ旅立ってしまって、同期生14名の内すでに8名がこの世にいない。同窓会への出席者が減るわけである。寂しい限りであるが、こればかりは運命であるのでどうしようもない。

 解散後、永田会長から一杯やろうと二次会に誘われたが、そもそも会長自身の体調があまり良くないようにお見受けしたし、アルコールは医師から厳禁とされていると言われていたので、酒の席はどうだろうかと気になっていたが、どんどん予定の二次会場へ向けて歩き出された。近日今年2度目の入院をすると言われるし、同窓会の席ではまったくアルコールを嗜まなかった会長とともに辿り着いた場所が、何と「ライオン・ビアホール」だった。目の前の銀座通りは歩行者天国でものすごい混みようで、空きテーブルはなかった。ここで驚いたのは、外国人観光客が多いことだった。店内もぎっしり満員だったが、その中に外人グループもかなりいた。よほどネットなどで、彼らにPRが行き届いているのだろう。アルコールを禁じられている会長は、そこでノンアルコールだと言いながらビールを飲んだ。ここでまた2時間近くおしゃべりを楽しんだ。

 会長は建設会社に勤務して時折海外へ出張したようだったので、それほど意外とは思わなかったが、それでも東西対立時代にベルリンを訪れた話をされたのには、興味を抱いた。私も何度か訪れたが、今ではあまり経験された人がいなくなってしまったであろう西ベルリンからチャーリー・ポイントを通過して東ベルリンへ入国するルートは、検査の際東側が車の下部に大きな鏡を挿し込んで、違法の品物の防止に努めていた話は、お互いに興味を持った。久しぶりに会長、はじめ一緒に山登りした後輩たちと気負うことなく山の話をして楽しい時間を過ごすことが出来た。幹事役は大変だったと思うが、来年以後もぜひ続けて欲しいと思う。

2025年5月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6570.2025年5月9日(金) 新しいローマ教皇に、レオ14世

 一昨日「コンクラーベ」第1日目の2度の投票で新ローマ教皇は決まらなかった。昨日も1回目では決まらなかったが、2度目のコンクラーベの結果、システィーナ礼拝堂の煙突から白い煙が上がり、新しい教皇が決まったことが報告された。アメリカ人のロバート・フランシス・プレボスト枢機卿が、133人もの枢機卿の中から第267代ローマ教皇に選出されたのである。新教皇は「レオ14世」と名乗られる。ローマ・カトリック教会の枢機卿たちの間では、どういうわけかアメリカ人を教皇に選ぶことについては警戒感があるとされて来た。アメリカにはカトリック教徒よりプロテスタント教徒の方が2倍も多いせいか、或いはトランプ大統領のようなアクの強いアメリカ人が嫌われたせいだろうか。しかしながら、69歳の新教皇レオ14世は、シカゴ生まれではあるが、約20年間南米ペルーで布教活動に当たり、アメリカ合衆国というより、アメリカ大陸出身者と受け取られ国際的な経験のある人物として、教皇の有力な候補者のひとりと見られていた。

 例によってお調子もののトランプ大統領は、アメリカ人教皇が選ばれたことに単純に光栄だ、感激だ、栄誉だと喜びを隠せないようで、早速SNSに投稿していたが、新教皇はかねてより地球温暖化現象に警戒感を抱いており、トランプ大統領とは考えが異なる。また、トランプ大統領がエルサルバドルのブケレ大統領と話し合い、アメリカ国内の刑務所に収容されていた犯罪組織囚人をエルサルバドルの刑務所に移送させた件について、新教皇はトランプ大統領に批判的だった。

 レオ14世教皇が決まったことにより、最近落ち着かなかったヨーロッパを中心とするキリスト教社会でも平穏な空気が生まれることだろう。この新教皇決定のニュースについて、ウクライナの一時停戦とともにメディアの報道の在り方について一言苦言を呈したいと思う。

 それは、この決定がバチカン大聖堂から教皇レオ14世自身によって最初のメッセージとともに伝えられたのは、日本時間今朝午前1時過ぎだったが、今朝の各テレビ局の朝のニュースではまったく伝えられず、私自身知ったのは、朝10時にネット・ニュースからだった。すでに得た情報がこんなに遅れて伝えられるようでは、メディアとしてニュースの価値があるとは言えないのではないだろうか。

 もうひとつ、ウクライナ戦争について、ロシアはロシアの戦勝記念日に合わせて8日午前0時から3日間停戦に入ったと一方的に伝えていたが、ウクライナの発表によると8日午前3時ころからウクライナ北東部でロシア軍が誘導爆弾による攻撃を行い、死傷者を出した。その後8日正午までにロシア側の停戦違反が734件もあったとウクライナ外相がSNSで公表し、「予想通りロシアの一方的停戦は茶番だということが明かである」と非難した。これについても、ロシアの身勝手な停戦提案とそれを裏切る行為があったにも拘わらず、ウクライナの首脳が公表した以外に、日本のメディアではほとんどこのニュースを伝えなかったのである。

 以上2件について、どうもメディアの報道というのは、元々私自身頭から100%信じてはいないが、これほどのニュースをよくぞ伝えないものだと思うことが結構ある。私が海外を歩き回っていた時に、日本のメディアへ不信感を抱くようになったが、普段の報道でも注意深く見ないと信用出来ない点が多い。

2025年5月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6569.2025年5月8日(木) 沖縄戦を知らず軽薄な発言をする世襲議員

 ロシアが今日から身勝手にも一方的な3日停戦に入った。一方のウクライナは直前にロシアが首都キーフに大規模攻撃を仕掛け、3日間の間に次の戦略の準備を進めるということから、ロシアの芝居がかったパフォーマンスであると反発し、以前から求めている無条件で30日間の停戦に応じるよう要求している。

 こうしてウクライナ戦争は一向に止む気配がなく、アラブではイスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区攻撃も継続的に行われ、戦火が絶えることがない。

 そんな時に、不意にカシミール地方で新たな戦火が口火を切った。インド軍がカシミール地方のパキスタン側が実行支配するパキスタン・イスラム過激派組織の拠点9カ所にミサイル攻撃を仕掛け、26人が死亡し、46人が負傷した。パキスタン軍は、直ちに報復すると表明した。

 元々このカシミール地区というのはややこしくて、インドとパキスタンのいずれもが領有権を主張し、インド実効支配地とパキスタン実効支配地、更に中国までも北東部の領有権を主張している有様である。インド人とパキスタン人は同じ民族でありながら、お互いの信仰する宗教がインドのヒンドゥ教とパキスタンのイスラム教で、主導権争いの様相を呈している。世界中が懸念しているのは、インド、パキスタン両国ともに核保有国であり、どちらかが核を使用するようなことになれば、核戦争が起き、それは世界中を恐怖の坩堝に追い込む恐れがある。このイ・パの衝突に懸念を示し、旧宗主国イギリスのスターマー首相、中国政府、トランプ大統領らが両国間の話し合いを求めているが、どうも片手間でそれほど真剣な要望には思えず、そんなに効果のあるようには思えない。

 一方国内では政治的なもめごとは最近あまり聞かないが、こんな理不尽なことがあった。3日に沖縄県那覇市内で開かれた「ひめゆりの塔」に関するシンポジウムの後に登壇した自民党西田昌司・参議院議員が、展示内容が「日本軍が入って来て、ひめゆりの隊員が死ぬことになった。そしてアメリカ軍が入ってきて沖縄が解放されたという文脈で書いている。歴史を書き換えるとこういうことになる」と不謹慎な発言をしたことについて、玉城デニー知事をはじめ、自民党県連幹事長ら県民から事実誤認も甚だしいと反発を招いている。このシンポジウムは沖縄県神社庁、神道政治連盟県本部、日本会議県本部に、自民党県連が共催したものである。

 「ひめゆりの塔」については、映画も制作され評判になった。津島恵子、香川京子、藤田進、岡田英次ら名優が出演し、1953年度売上1位になったヒット作品である。広く国民に同情と哀愁の気持ちを抱かせた名作で私も鑑賞した。沖縄女子師範らの女子学生たちが犠牲になった沖縄の悲劇を具体的に描写したもので、これを今更西田議員ひとりだけの思い込みで、証拠もなく「事実が曲げられた」とか、「歴史の書き換え」とか言いがかりを言うのは、戦後生まれでまったく戦争体験のない世襲議員だからだと思う。西田議員は浅はかにも裏金問題疑惑のマイナスを補って、今夏の参議院選で極右選挙民の支持により自民党候補者の立場を有利にしようとの目算でもあるのだろうか。

 厳しい批判を受けた西田議員は、発言を撤回する気持ちはないと強気に語ったが、沖縄振興調査会長を務める小渕優子・自民党組織運動本部長は大変残念な発言だと述べた。だが、発言の撤回についてまでは言及しなかった。しかし、各党の幹事長クラスからは、尊厳を踏みにじるもので断じて容認できないと厳しい非難の声が上がっている。それにしてもどうして戦争を知らない愚かな国会議員は、「ひめゆりの塔」の悲劇的な犠牲者を揶揄するようなことを軽々に口走るのだろうか。

2025年5月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6568.2025年5月7日(水) ドイツ首相とローマ教皇の異質な選出方法

 今のアメリカを見ても分かるように保守・右翼化思想及び現象が世界的に広がりつつある。昨日ドイツの連邦議会で首相選出のための議会投票が行われた。些か意外だったのは、当然選出されるだろうと予想していた中道右派「キリスト教民主・社会同盟」党首のフリードリヒ・メルツ氏が、過半数に届かず首相に選出されなかったことである。こんなことはドイツ議会にとって初めてのことである。そして、5時間半の中断の後に実施された2度目の投票でメルツ氏は何とか過半数を獲得し、首相に選出されることになった。メルツ氏が所属する「キリスト教民主・社会同盟」だけでは、過半数に達せず、極右政党「ドイツのための選択肢」とタイアップして選挙に臨んだ。しかし、両党内に不満分子がいて過半数に6票だけ不足した。2度目の投票で何とか1回目で棄権票を行使した議員が賛成票に転じ、一応新政権が発足することになった。メルツ氏もやゝ求心力が低下して今後の政権運営は、中々厳しいものになることだろう。特に、難しいのは、移民・難民政策である。フランスやイギリスなどに比べて、これまで穏やかな移民政策を取り移民を受け入れて来たドイツでは、近年移民問題が大きなネックとなっている。メルケル元首相、シュルツ前首相はともに移民の受け入れに前向きだった。今ドイツのデモ風景などを観ていると、右翼というより最早ナチ化の空気が感じられるほど右翼傾向が見える。ヒットラーのネオ・ナチが復活しなければ好いがと願う。

 今ヨーロッパでも右翼化の勢いが強く、フランスのマクロン大統領もかなり警戒している。トランプ大統領に引っ張られるように保守的ムードが蔓延るのだけは、勘弁してもらいたいものである。

 さて、政治とは全く別の事象であるが、今世界中、特にカトリック教徒の間で強い関心を呼んでいる問題がある。世界で14億人もの信者がいるカトリック教徒の頂点に立つローマ・カトリック教会の教皇を選ぶ、「コンクラーベ」である。今日からミケランジェロのフレスコ画「最後の審判」で知られるバチカンのシスティーナ礼拝堂で始まる。何度も訪れて見惚れていた素晴らしい礼拝堂内部である。何とも舞台仕掛けは、歴史的にも文化的にも最高の場で行われる。どうも政治の世界とは異なり、一部の人びとが秘密裏に最高権威者を選ぼうとする、他に例がない選挙であり、報道陣はもとより外部の人との接触も一切拒絶して密室で行われる。教皇に次ぐ聖職者である枢機卿の内、80歳未満の枢機卿による互選で決まる。この「コンクラーベ」と言う言葉が、日本語の「根競べ」を想像させて日本人にとっては、まさに「根競べ」のように競って教皇を選出するシステムが興味深い。原語は「鍵をかけて」と言うラテン語に由来するという。13世紀には権力闘争も絡み、教皇が3年間も決まらなかった時に、枢機卿らを会議場に鍵をかけて閉じ込め、早く決めるよう促したことから生まれた言葉である。選挙とはいえカトリックのトップである教皇を選出する儀式のようなものである。

 今回の「コンクラーベ」では、133人の枢機卿が投票する予定であるが、教皇に選出されるためには、2/3以上の89票が必要とされ、早くても3日はかかるようだ。教皇が決まり選出されると礼拝堂の煙突から白い煙が出ると同時に、サンピエトロ大聖堂の鐘も鳴ることになっている。

 かのトランプ大統領も教皇になりたいのか、教皇の衣装を纏った自らの肖像画をSNSに投じたが、こればかりは世界中から非難の声が上がり物議を醸している。果たしていつ、どんな枢機卿が新教皇に選ばれるのだろうか。

2025年5月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6567.2025年5月6日(火) 戦後80年、戦没者のご遺骨未だ帰らず

 先月26日から始まった長いゴールデン・ウィークも今日が最終日である。今日は朝から雨模様で、一昨日から長男が我が家に泊まっていたが、今朝雨の中を奈良へ帰って行った。昨日は横浜に住んでいる次男家族4人とともに近所の洒落たイタリアン・レストランでディナーをともにして、久しぶりにラグビーに熱中している中学3年生の孫ともラグビー話で打ち解けることが出来た。

 さて、今年は終戦後80年という節目の年でもあり、戦争に関する記念行事や、戦没者の慰霊、或いは未帰還のご遺骨収容などに関して、多くの情報が話題に上がる。今日の朝刊で中部太平洋のペリリュー島の遺骨収集の話が一歩進んだと知った。すでに集団埋葬地が見つかったとの情報は、昨年水落日本遺族会会長から聞いて承知していた。そこへこの連休に福岡資麿・厚生労働大臣がペリリュー島のあるパラオ共和国政府を訪れ、遺骨収集が出来るようパラオ政府担当大臣に協力を要請して受け入れてもらい、2027年度に実施されることに決まったようだ。

 パラオ共和国のペリリュー島へは新しい首都マルキョクのあるパラオ本島からかなりの距離があり、しかも海は平素からかなり高波があって収容したご遺骨を運ぶのは中々の苦労を強いられると思う。ペリリュー島の南のアンガウル島も玉砕の島として知られるが、この両島間が大分荒れ狂う。今度の遺骨収集団ではアンガウル島の遺骨収容は考えられていないようだ。半世紀ばかり以前にペリリュー島を訪れ、モーターボートでアンガウル島を目指した際に、随分荒波に悩まされ思うように前へ進めなかった。アンガウル島岸壁で当時のエンドー村長さんが、出迎えに来られながらも、これから海が大分荒れそうなので、直ぐ戻った方が安全だとジェスチャーで合図を送ってくれ、止むを得ず引き返したことがある。

 それにしても太平洋戦争激戦の地として知られるこのペリリュー島では、1万人以上の旧日本軍兵士が戦死されたとされている。他方、アメリカ兵も1,600~1,700人が命を落としたと言われている。海底に沈んだままで収容が難しいご遺骨は今回対象にはなっていないが、2,400人分のご遺骨が集団埋葬地に眠っている。

 私はサラリーマン時代にこの戦没者遺骨収集事業に長年関わっていたので、他の地域と合わせて随分実務に携わって来た。特に中部太平洋地区の遺骨収集団に関しては、当時の厚生省より一括取り扱いを任せられていたので、下見を含めて多くの戦没地を訪れた。

 太平洋戦争の海外における戦没者の数は、約240万人と言われている。最も犠牲者が多かったのは、中国大陸の71万1千人で、次いでフィリピンの51万8千人、それに次いでペリリュー島を含む中部太平洋と東部ニューギニアのそれぞれ24万7千人である。こればかりは相手国側の事情もあり、必ずしも犠牲者の数が多い国が、収骨数が多いかと言えばそうではない。事実未収骨数の多いのは、1番にフィリピンである。36.9万柱が未だに収骨されていない。戦没者の71%余のご遺骨が収容されていないことになる。それに次いで中部太平洋の70%の未収骨が多い。

 あの残酷な戦争があったことは日本人として決して忘れてはいけないことであるが、今の政治家らが、しばしば忘れてしまったような言動をとることを知って情けなくなり、絶望的になることもある。現地で遺骨収集作業に携わっていると焼骨の際に遺族が流す涙と立ち上る煙を見ていると涙腺が緩むのは如何ともしようがない。中部太平洋地域の遺骨収集事業では、各島で収骨されたご遺骨を最後に厚生省遺骨収集団本部のあるサイパン島で焼骨する焼骨式を行う。焼かれるご遺骨の周囲を取り巻いた団員やご遺族が静かに見守る中で、煙が立ち上がり蝶々が何匹か飛んで来て煙の中をかいくぐり煙とともに飛び去って行く蝶々を見てご遺族が、お父さんもやっと安心して冥界へ旅立ったというセリフを聞いて、涙がこぼれたことが思い出される。

 海外での戦没者240万人の内、戦後80年が経った今でも半数近い47%112万人のご遺骨がご遺族の元に帰ってきていない。すべてが収骨されることは難しいだろうが、おひとりでも多くのご遺骨が母国のご遺族の元へ帰還されるよう祈っている。

2025年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6566.2025年5月5日(月) 外国人に愛される日本人の国民性と風土

 「子どもの日」である。少子化現象で近年子どもの数が減りつつあり、その対応のひとつとして、子どもへの教育費支援などいろいろ施策を試みており、昔に比べて保護者は支出面で大分助かっていると思う。「子どもの日」の象徴的な習慣として伝統的な鯉のぼりがあり、今でも沢山の鯉が1本のロープに繋がれた鯉のぼりが、上空に飾られたりして五月の風物詩ともなっている。私たちの終戦直後の子どものころは「子どもの日」とは呼ばずに「端午の節句」と呼んで、目についた鯉のぼりは警察署や町役場などの敷地にはためいていたくらいの記憶しかない。

 総務省の発表によると、15歳未満の子どもは昨年より35万人も減って1,366万人となった。44年連続で減少し続け、初めて14百万人を割った。子どもの数は1950年には3千万人近い2,943万人だったが、それから46%にまで減った。人口4千万人以上の国で、子どもの割合が最も低いのは、韓国10.8%で、次いで日本の11.1%である。日本では子どもがいなくなりつつあるのである。将来の日本を考えると大変厳しいものがあると考えざるを得ない。

 「子どもの日」について今朝の朝日「天声人語」のエピソードに、日本では昔から子どもが愛されているという外国人の声があるという。「世界中で日本ほど子どもが親切にあつかわれ、子どものために多大な注意が払われる国はほかにない」と「日本は子どもたちの天国である」とまで述べている、明治の初めに日本を訪れ、大森の貝塚を発見したエドワード・モースである。それほど外国人には好意的にみられていたが、今では子どもの自殺が過去最多となるほどで、9人に1人の子が貧困に喘いでいるという。

 ところで、近年日本を訪れる観光客、いわゆるインバウンド業が急成長して日本の財政に大きく貢献していることは周知のことである。その中で格別注目されるようになったのは、何とロシア人の訪日客が増えたことである。ウクライナ侵攻後、ヨーロッパなどではロシア人に対して厳しい軽蔑的な視線が向けられ、あまり歓迎されなくなったが、戦争とは無関係に心から歓迎してくれる日本へ、異質な日本の文化への関心もあってロシア人が急激に増え始めた。日本へ観光し易くなったのは、ビザの申請要件が緩和されたことや、日ロ間の直行便が停止されたが、中国経由で安い航空券が入手できるようになったことが効果的なようだ。ロシア人の訪日客が急激に増え、今年3月は1か月間で過去最多の18,800人にまで増えた。仮にこの好調が1年間続いたとすると1年間で225,600人の訪日が予想されるが、2年前の2023年の各国からの訪日客数、韓国695万人、台湾420万人、中国245万人、香港211万人、アメリカ204万人に比べてもまだ遠く及ばない。これとは別に、実はこの単年度の数字では分らない意外な事実がある。それは、2019年、コロナ渦が急速に拡大した年である。その発生の地とも言われた中国では、厳しく海外渡航を制限した。その結果、19年には中国人訪日客数が959万人もいたが、翌20年には対前年▲88.9%の107万人に減少し、更に翌々年21年には、僅か4万2千人にまで激減した現実がある。観光はその時のいろいろな政治的、社会的現象によって大きく変わるものである。これまで日本への観光客が少なかったロシアから少しずつ訪日客が増えているのは歓迎すべき現象である。しかし、いつ好条件が一転するかも知れず、予断は許されない。精々好景気の時に、精一杯の努力でインバウンドに全力を尽くすことが大切であろう。

 果たして10年後の日本には、どのような外国人観光客分布図が描かれるだろうか。

2025年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6565.2025年5月4日(日) 世界中を悩ませる害虫・トランプ大統領

 先月末から再びウォーキングを始めた。昨年7月にコロナを発症して医師と相談のうえ、しばらくウォーキングを停止した。先日医師からまたウォーキングを再開した方が良いとのアドバイスをいただいた。そしてこのGWの間も自宅近辺の住宅街を歩いているが、ひょんなことに気づいた。所謂古くから固定の祭日となっている4月29日「昭和の日」と昨日「憲法記念日」に歩いてみて、国旗「日の丸」を竿に掲げている住宅がほとんど見当たらないことである。たった2軒だけだった。かく申す我が家でも、国旗を掲げていない。あまり国旗と国の祭日に関連性を気に留めない風潮になってしまったのだろう。

 ついては、このところトランプ大統領が就任してからのアメリカと日本の外交関係が、あまりスムーズではないような気がしている。日本側にも些か腰が引けて日の丸を掲げて毅然と正論を戦わせる気概が見られない。アメリカ側にも、常識人としてのトランプ大統領の言動に大きな疑問符がいくつも付きだしている。自分の利益、名誉のためには他人を誹謗中傷することはごく当たり前の人物が、自国アメリカは世界最大の資本主義国で、民主主義国だと自慢している。その煽りを受けて外交、経済面でとばっちりを受けている国が多い。つい最近は、大統領就任後100日にして、第2次世界大戦以降最低の支持率に落ち込んだ。しかし、ご本人はそれらはすべてフェイクであり、自分は最も実績を上げたと自画自賛している有様である。好き勝手に閣僚人事を決めたり、国内名門大学への嫌がらせのような助成金停止や、子どものようにローマ法王の服装を纏った写真を散布したり、閣僚人事をはじめ周囲の取り巻きをイエスマンで固めている。そのトランプ政権と話し合うのは中々難しいが、最近の関税問題で日米交渉をみていると相手国の立場を考えた正当な交渉をしないで、自分のためとアメリカの歪んだ国益のために派手に動き回っているだけである。

 2回目の日米関税交渉を済ませた赤澤経済再生相が帰国したが、予想通りアメリカには最初から日本の要求を取り込もうとの気持ちはまるでなかったようで、日本にとって何もプラスになるような結果とはならなかったようだ。赤澤大臣も日本の立場をきちんと主張する機会を与えてもらえなかったようで、交渉役としては荷が重かったような印象を受けている。

 会合から帰った赤澤大臣と石破首相が話し合ったが、アメリカが対日交渉では、関税25%の鉄鋼・アルミ・自動車については交渉対象外としているが、日本は自動車への追加関税を見直すよう求めている。互いに、引く気はないようで、このままでは交渉が暗礁に乗り上げるのは必至である。

 アメリカはトランプ大統領の実績を上げたとの功名心を満足させるために、これまで真面だった貿易にアメリカにとってハンデだと思う点を補い、ただ一方的にアメリカにとって有利な関税税率を押し付けようとしている。今日のアメリカは、大統領1人が身勝手に多くの国を悩ませる困った国になってしまった。

2025年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6564.2025年5月3日(土) 憲法記念日を機に、対米関係を考え直すべき時

 ゴールデン・ウィークも後半に入って、今日は後半最初の休日「憲法記念日」である。連休ともなるととかく話題はレジャー面に気持ちが傾きがちであるが、その中で今日「憲法記念日」のように、戦後国のあるべき姿や骨組みを規定した国法「憲法」が施行された厳粛な祭日であることは、つい忘れがちになる。しかし、日常生活ではあまり意識しない憲法について、「憲法記念日」としてメディアではかなり取り上げている。今日1日を憲法について考えてみることも必要ではないかと思う。

 具体的には、憲法が作られた背景には、三権分立に基づく政治の仕組みを定めて国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本としている。

 例年メディアでは憲法に関する世論調査を実施している。朝日新聞の調査では、民主主義が定着していると感じる国民は、48%で過半数に達しなくなっている。憲法の最も大事な条文「第9条-戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」が、国民にどう思われているのかとの問いに対しては、9条改正反対が56%である。戦後80年を経過した今では、憲法発布・施行からかなり時が経過したこともあり、憲法全般については今では実情にそぐわない点や、改定すべき箇所もあると思う。実際「憲法を変える必要がある」と応えた人が53%もいて、「変える必要がない」人の35%を上回る実情がある。この辺りを9条改正と信じて9条改正賛成者がかなり多いと都合よく解釈する人たちがいることに警戒しなければならない。それは、9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と書かれている点に注目しなければならない。現実には、今や自衛隊は軍隊と同じ戦力を有している。戦争にこそ参戦していないが、軍服を纏い、国内に自然災害などが発生すれば、地元自治体の要請を受けて救援活動に当たることが多い。自衛隊の存在と協力に感謝しつつ、これを非公認の自衛隊という軍隊から、実質的な軍隊に格上げしようと、憲法の精神を考えず、条文だけを書き換えようという憲法改正論者が、かなり現れて来た。危険な動きである。

 アメリカの要請もあり、自衛隊は予算を増額し、アメリカへの協力を迫られ、アメリカのお節介もエスカレートしている。日本は果たして独立国なのか疑問に思うことも多い。今では戦後ほとんど権力を握って来た自民党が、アメリカに対しては対等の立場、要求を行使出来ない有様である。我々が「60年安保条約」に反対したが、反対闘争は国民運動になりながらも報われず、今や日本は手足をアメリカに縛られている。この安保体制の不平等によって、経済面でもアメリカに不利益を押し付けられている。

 今トランプ政権による関税により、日本も例外なく理不尽な対応を迫られている。それは昨日の日米関税交渉で、日本が外したいと提示した自動車、鉄鋼、アルミニウムなどの関税について、アメリカは交渉の枠外だとの認識を示した。これまで自由貿易を行って結果的に優れた日本の商品は輸出でき、問題の多いアメリカ産製品が日本に輸入出来なかった結果、日米間の貿易はアメリカの赤字になった。それを一方的に相手国に圧力をかけて、重税を課そうとする非民主主義国・非自由主義国のアメリカの我が儘をこのまま許して良いものだろうか。

 今日の憲法記念日を機会に、アメリカとの外交、経済関係を見直して、対等な立場で付き合えるよう考え直すべき時に来たのではないかと考えている。

2025年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

6563.2025年5月2日(金) メキシコ・アカプルコにある支倉常長像

 世界の国々と同様に日本の政治、経済も、今トランプ政権の関税問題に振り回されている感じで、昨日再び訪米した赤澤経済再生相が日本時間の今朝アメリカの財務長官と話し合いを持ったところである。

 しかし、国内に与える社会的な影響が大きいのはお隣の韓国で、昨日韓国大法院(最高裁)によって降された判決で大きな話題になっている。その韓国の最高裁判決とは、次期大統領選の最有力候補者である「共に民主党」の李在明前代表に対して公職選挙法違反の二審無罪判決を破棄し、高裁に差し戻した件である。大統領選は、来る6月3日に行われるが、現状で李在明氏が立候補出来るかどうか、微妙な判断となった。世論調査によれば李在明氏への支持は38%を獲得し、現与党の「国民の力」の韓東勲前代表の8%と金文洙前雇用労働相の6%を完全に圧倒している。李在明氏が大きくリードして李氏のほぼ独走状態だった。この他にも「国民の力」の韓悳洙前首相が出馬を検討しており、当分の間韓国の政界は穏やかならぬ政争が熱を帯びることだろう。大統領選まで残り1か月となったが、これから先の争いに注視したいと思っている。

 さて、あるところから依頼されて、他愛もないテーマであるが、今「銅像」について書いている。いろいろ調べてみると「人間の像」も興味深い。我々の小学生時代には、ほとんどの学校に本を読みながら、背に薪を背負って歩いている勤勉な二宮金次郎像が建てられていた。私が通った2つの小学校にも校門を入った正面と、教職員室の前にそれぞれ金次郎の立像があった。それが、最近どこの小学校の校庭にも見られない。金次郎の実像は、戦後の民主主義教育の方針に合わないという背景があるらしい。「子どもが働く姿は勧められない」とか、「歩きながら本を読むのは危険」というように戦前の軍国教育では、むしろ推奨された教育の一環であるが、今日でもケースによっては十分受け入れることは考えられると思う。しかし、現代では歩きスマホに似た行為は認められないというのは当然であるが、こうして小学校唱歌に唄われた♪~親を助け、弟を世話し、兄弟仲良く孝行をつくす、手本は二宮金次郎♪が、唄われなくなり、その像も消えていく運命となったのには、若干寂しさを感じる。

 仏教国日本では古来大きな大仏像などが多くの国民から崇められ、奈良や鎌倉の大仏座像が広く知られているが、近年になって大仏への視点が変わり、大きな大仏像が建設される事情には、宗教的に仏様に祈り教えを乞うような精神的なことよりも、外形的に大仏の大きさを競うような傾向が現れ、座像より立像が各地に建造されるようになった。世界的に見てもベスト10に入る大きな像の中には、120mの牛久大仏や、100mの仙台大観音の立像がある。ただ、これらは観光客を引き寄せる目的があるように思えて奈良や鎌倉大仏のように崇められる存在とは大分かけ離れているような気がする。

 日本人の石像で、私自身一番驚いたのは、メキシコのアカプルコ市の海岸に海を背に建てられた支倉常長の立像を目にした時だった。確かに支倉常長は、伊達政宗が派遣した慶長遣欧使節団で太平洋を横断し、その最初の上陸地がアカプルコだった。

 その支倉常長像は、1973年に、常長生誕400年の翌年に仙台市がアカプルコ市に寄贈したものだったが、その後市内大通りに移転された。しかし、風化して、日系人がこれを心配して現地で運動して2010年再び海岸のPLAZA JAPON(日本広場)に、海を背に建てられた。

 初めて見た時は、海岸砂浜のPLAZA JAPONに建っていたが、こんなところに地味な支倉常長の立像があることに感動したことも事実である。出来るならば、今一度想いを噛みしめながら支倉常長像を訪れて見たいものである。

2025年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com