6566.2025年5月5日(月) 外国人に愛される日本人の国民性と風土

 「子どもの日」である。少子化現象で近年子どもの数が減りつつあり、その対応のひとつとして、子どもへの教育費支援などいろいろ施策を試みており、昔に比べて保護者は支出面で大分助かっていると思う。「子どもの日」の象徴的な習慣として伝統的な鯉のぼりがあり、今でも沢山の鯉が1本のロープに繋がれた鯉のぼりが、上空に飾られたりして五月の風物詩ともなっている。私たちの終戦直後の子どものころは「子どもの日」とは呼ばずに「端午の節句」と呼んで、目についた鯉のぼりは警察署や町役場などの敷地にはためいていたくらいの記憶しかない。

 総務省の発表によると、15歳未満の子どもは昨年より35万人も減って1,366万人となった。44年連続で減少し続け、初めて14百万人を割った。子どもの数は1950年には3千万人近い2,943万人だったが、それから46%にまで減った。人口4千万人以上の国で、子どもの割合が最も低いのは、韓国10.8%で、次いで日本の11.1%である。日本では子どもがいなくなりつつあるのである。将来の日本を考えると大変厳しいものがあると考えざるを得ない。

 「子どもの日」について今朝の朝日「天声人語」のエピソードに、日本では昔から子どもが愛されているという外国人の声があるという。「世界中で日本ほど子どもが親切にあつかわれ、子どものために多大な注意が払われる国はほかにない」と「日本は子どもたちの天国である」とまで述べている、明治の初めに日本を訪れ、大森の貝塚を発見したエドワード・モースである。それほど外国人には好意的にみられていたが、今では子どもの自殺が過去最多となるほどで、9人に1人の子が貧困に喘いでいるという。

 ところで、近年日本を訪れる観光客、いわゆるインバウンド業が急成長して日本の財政に大きく貢献していることは周知のことである。その中で格別注目されるようになったのは、何とロシア人の訪日客が増えたことである。ウクライナ侵攻後、ヨーロッパなどではロシア人に対して厳しい軽蔑的な視線が向けられ、あまり歓迎されなくなったが、戦争とは無関係に心から歓迎してくれる日本へ、異質な日本の文化への関心もあってロシア人が急激に増え始めた。日本へ観光し易くなったのは、ビザの申請要件が緩和されたことや、日ロ間の直行便が停止されたが、中国経由で安い航空券が入手できるようになったことが効果的なようだ。ロシア人の訪日客が急激に増え、今年3月は1か月間で過去最多の18,800人にまで増えた。仮にこの好調が1年間続いたとすると1年間で225,600人の訪日が予想されるが、2年前の2023年の各国からの訪日客数、韓国695万人、台湾420万人、中国245万人、香港211万人、アメリカ204万人に比べてもまだ遠く及ばない。これとは別に、実はこの単年度の数字では分らない意外な事実がある。それは、2019年、コロナ渦が急速に拡大した年である。その発生の地とも言われた中国では、厳しく海外渡航を制限した。その結果、19年には中国人訪日客数が959万人もいたが、翌20年には対前年▲88.9%の107万人に減少し、更に翌々年21年には、僅か4万2千人にまで激減した現実がある。観光はその時のいろいろな政治的、社会的現象によって大きく変わるものである。これまで日本への観光客が少なかったロシアから少しずつ訪日客が増えているのは歓迎すべき現象である。しかし、いつ好条件が一転するかも知れず、予断は許されない。精々好景気の時に、精一杯の努力でインバウンドに全力を尽くすことが大切であろう。

 果たして10年後の日本には、どのような外国人観光客分布図が描かれるだろうか。

2025年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com