ロシアが今日から身勝手にも一方的な3日停戦に入った。一方のウクライナは直前にロシアが首都キーフに大規模攻撃を仕掛け、3日間の間に次の戦略の準備を進めるということから、ロシアの芝居がかったパフォーマンスであると反発し、以前から求めている無条件で30日間の停戦に応じるよう要求している。
こうしてウクライナ戦争は一向に止む気配がなく、アラブではイスラエル軍によるパレスチナ・ガザ地区攻撃も継続的に行われ、戦火が絶えることがない。
そんな時に、不意にカシミール地方で新たな戦火が口火を切った。インド軍がカシミール地方のパキスタン側が実行支配するパキスタン・イスラム過激派組織の拠点9カ所にミサイル攻撃を仕掛け、26人が死亡し、46人が負傷した。パキスタン軍は、直ちに報復すると表明した。
元々このカシミール地区というのはややこしくて、インドとパキスタンのいずれもが領有権を主張し、インド実効支配地とパキスタン実効支配地、更に中国までも北東部の領有権を主張している有様である。インド人とパキスタン人は同じ民族でありながら、お互いの信仰する宗教がインドのヒンドゥ教とパキスタンのイスラム教で、主導権争いの様相を呈している。世界中が懸念しているのは、インド、パキスタン両国ともに核保有国であり、どちらかが核を使用するようなことになれば、核戦争が起き、それは世界中を恐怖の坩堝に追い込む恐れがある。このイ・パの衝突に懸念を示し、旧宗主国イギリスのスターマー首相、中国政府、トランプ大統領らが両国間の話し合いを求めているが、どうも片手間でそれほど真剣な要望には思えず、そんなに効果のあるようには思えない。
一方国内では政治的なもめごとは最近あまり聞かないが、こんな理不尽なことがあった。3日に沖縄県那覇市内で開かれた「ひめゆりの塔」に関するシンポジウムの後に登壇した自民党西田昌司・参議院議員が、展示内容が「日本軍が入って来て、ひめゆりの隊員が死ぬことになった。そしてアメリカ軍が入ってきて沖縄が解放されたという文脈で書いている。歴史を書き換えるとこういうことになる」と不謹慎な発言をしたことについて、玉城デニー知事をはじめ、自民党県連幹事長ら県民から事実誤認も甚だしいと反発を招いている。このシンポジウムは沖縄県神社庁、神道政治連盟県本部、日本会議県本部に、自民党県連が共催したものである。
「ひめゆりの塔」については、映画も制作され評判になった。津島恵子、香川京子、藤田進、岡田英次ら名優が出演し、1953年度売上1位になったヒット作品である。広く国民に同情と哀愁の気持ちを抱かせた名作で私も鑑賞した。沖縄女子師範らの女子学生たちが犠牲になった沖縄の悲劇を具体的に描写したもので、これを今更西田議員ひとりだけの思い込みで、証拠もなく「事実が曲げられた」とか、「歴史の書き換え」とか言いがかりを言うのは、戦後生まれでまったく戦争体験のない世襲議員だからだと思う。西田議員は浅はかにも裏金問題疑惑のマイナスを補って、今夏の参議院選で極右選挙民の支持により自民党候補者の立場を有利にしようとの目算でもあるのだろうか。
厳しい批判を受けた西田議員は、発言を撤回する気持ちはないと強気に語ったが、沖縄振興調査会長を務める小渕優子・自民党組織運動本部長は大変残念な発言だと述べた。だが、発言の撤回についてまでは言及しなかった。しかし、各党の幹事長クラスからは、尊厳を踏みにじるもので断じて容認できないと厳しい非難の声が上がっている。それにしてもどうして戦争を知らない愚かな国会議員は、「ひめゆりの塔」の悲劇的な犠牲者を揶揄するようなことを軽々に口走るのだろうか。