ゴールデン・ウィークも後半に入って、今日は後半最初の休日「憲法記念日」である。連休ともなるととかく話題はレジャー面に気持ちが傾きがちであるが、その中で今日「憲法記念日」のように、戦後国のあるべき姿や骨組みを規定した国法「憲法」が施行された厳粛な祭日であることは、つい忘れがちになる。しかし、日常生活ではあまり意識しない憲法について、「憲法記念日」としてメディアではかなり取り上げている。今日1日を憲法について考えてみることも必要ではないかと思う。
具体的には、憲法が作られた背景には、三権分立に基づく政治の仕組みを定めて国民主権、基本的人権の尊重、平和主義を基本としている。
例年メディアでは憲法に関する世論調査を実施している。朝日新聞の調査では、民主主義が定着していると感じる国民は、48%で過半数に達しなくなっている。憲法の最も大事な条文「第9条-戦争の放棄、戦力の不保持、交戦権の否認」が、国民にどう思われているのかとの問いに対しては、9条改正反対が56%である。戦後80年を経過した今では、憲法発布・施行からかなり時が経過したこともあり、憲法全般については今では実情にそぐわない点や、改定すべき箇所もあると思う。実際「憲法を変える必要がある」と応えた人が53%もいて、「変える必要がない」人の35%を上回る実情がある。この辺りを9条改正と信じて9条改正賛成者がかなり多いと都合よく解釈する人たちがいることに警戒しなければならない。それは、9条2項には「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」と書かれている点に注目しなければならない。現実には、今や自衛隊は軍隊と同じ戦力を有している。戦争にこそ参戦していないが、軍服を纏い、国内に自然災害などが発生すれば、地元自治体の要請を受けて救援活動に当たることが多い。自衛隊の存在と協力に感謝しつつ、これを非公認の自衛隊という軍隊から、実質的な軍隊に格上げしようと、憲法の精神を考えず、条文だけを書き換えようという憲法改正論者が、かなり現れて来た。危険な動きである。
アメリカの要請もあり、自衛隊は予算を増額し、アメリカへの協力を迫られ、アメリカのお節介もエスカレートしている。日本は果たして独立国なのか疑問に思うことも多い。今では戦後ほとんど権力を握って来た自民党が、アメリカに対しては対等の立場、要求を行使出来ない有様である。我々が「60年安保条約」に反対したが、反対闘争は国民運動になりながらも報われず、今や日本は手足をアメリカに縛られている。この安保体制の不平等によって、経済面でもアメリカに不利益を押し付けられている。
今トランプ政権による関税により、日本も例外なく理不尽な対応を迫られている。それは昨日の日米関税交渉で、日本が外したいと提示した自動車、鉄鋼、アルミニウムなどの関税について、アメリカは交渉の枠外だとの認識を示した。これまで自由貿易を行って結果的に優れた日本の商品は輸出でき、問題の多いアメリカ産製品が日本に輸入出来なかった結果、日米間の貿易はアメリカの赤字になった。それを一方的に相手国に圧力をかけて、重税を課そうとする非民主主義国・非自由主義国のアメリカの我が儘をこのまま許して良いものだろうか。
今日の憲法記念日を機会に、アメリカとの外交、経済関係を見直して、対等な立場で付き合えるよう考え直すべき時に来たのではないかと考えている。