3269.2016年4月25日(月) 東京オリンピックの新エンブレム決定

 2020年東京オリンピック・パラリンピック組織委員会は、昨年9月に撤回した旧エンブレムに代わり新しいエンブレムを今日発表した。先日一般応募作品約1万5千点の中から4作品が最終候補に選ばれ、そのデザインが公表されていたが、今日その4点の中から最終的に公式エンブレムが選定された。

 新エンブレムのデザインは下段にある五輪のマークを別にすれば、藍一色で江戸時代の市松模様を採り入れたもので、他の色彩豊かなデザインに比べてやや地味に感じる。国民から寄せられた意見には、「日本らしさ」「伝統」を感じるとの意見がある一方で、「地味」「躍動感がない」とのネガティブな声があったと聞く。私も個人的には、もう少し派手さを加えてカラーフルで日本の象徴である「桜」か「富士山」をあしらったデザインにして欲しかったというのが本音である。しかし、すでに決定した以上あれこれ言っても始まらない。いずれにせよ東京大会のシンボルマークとして決定した以上世界的に愛されるエンブレムとなるよう、組織委員会にはしっかりPRして欲しいものである。

 今日の日経夕刊にちょっとどうかと思う事象を扱った囲み記事が載っていた。公益社団法人北海道観光振興機構が昨年8月に発行した中国人向けの北海道ガイドブックについてである。

 何でも同ガイドブックで中国人は常識がないと決めつけていると中国人から指摘されて改定したという次元の低い話である。発行元では、内容が誤解を受けないよう訂正し、表題を「北海道旅行心得」に変えて英語版ガイドも同時に発行したという。

 中国人旅行者の数が増えるに従い、部屋を汚したり、騒ぐケースが散見され、宿泊施設では一部に中国人旅行者の受け入れに尻込みする例が見られるという。それがこのガイドブックを発行した理由だというが、標的にされた中国人にとっては事の是非は別にして面白い筈がない。機構の気持ちも分からないわけではないが、これは機構側の無神経な勇み足ではないかと思う。何よりも観光には、滝川クリステルさんが言っていたように「お・も・て・な・し」の気持ちが必要だろう。

 さて、今回の「平成28年 熊本地震」について、政府は激甚災害に指定することを決定した。復旧のためには地元自治体だけでは、とても再建不可能だと蒲島郁夫知事が国に激甚指定の要請をしていたが、これである程度財政支援は得られる。だが、被害が大きかった熊本県内7市町村では、倒壊などの恐れがある危険と判定された建物が36%に上るという。震災関連死も増え続け、なお余震が頻発し、阿蘇山北西部に新たな断層も発見された中で、復興への道筋はまだまだ先が見えない。

2016年4月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3268.2016年4月24日(日) またパソコンが故障

 昨日PCの無線回線が不調に陥ったらしく、書き上げたこのブログをHP上にアップできなくなった。いくらトライしてもうまく行かず、己むを得ず新HPへの切り替えをやってもらったITコンサルタントへ連絡し、急遽今日来宅してもらい、不通になった原因を調べてもらった結果、wifi無線に支障があることが分かり何とか元通り復活させてもらった。それにしてもこういう故障が起きてもPCの基礎や、構造についてほとんど詳しい知識がないだけにすぐに対応できない。そして、親しいコンサルタントの手を煩わすことになる。とにかく復元してホッとしているところである。

 さて、相変わらず余震の続く「平成28年 熊本地震」は、余震以外にも停電・断水などのライフライン・ストップ、交通機関不通、ゴミ処理問題に加えて、被災者の健康問題などが注目され出した。車内に宿泊する罹災者の間にエコノミークラス症候群が表れたり、遂にはノロウィルス患者まで現れた。震度1以上の余震がすでに800回を超え、過去に遡っても震度7以上の揺れが2度も発生した一連の地震は初めて、と言われるほど地域住民に心理的影響を与えている。昨日安倍首相も現地へ入り被災者を慰労し、近々復旧へ向けて今地震を激甚災害指定するようだ。

 地震で気持ちが打ちひしがれている時にひとつ嬉しいニュースがあった。妹の二男が先週結婚届を出して、親戚だけの披露宴を7月に行うと妹から連絡があったことである。甥は大学で絵画を学んでいたが、いつの間にやら音楽の方へ進んでしまい、今ではプロとしてグループを組んでステージ活動をやっている。時折アルバイトとしてクラブやバーで演奏活動を行っているようだ。一昨年の拙著出版記念パーティの折には、仲間とカルテットを組んで演奏して座を盛り上げてくれた。おめでたいことであり、ぜひ妻ともども披露パーティには出席させてもらおうと思っている。

 おまけの嬉しいニュースは、ラグビーの日本チーム・サンウルブスが世界最高峰リーグに参入8戦目にして36-28で初めて勝ったことである。これまで、接戦もあったが中々結果が出せず、昨年ワールド・カップにおける日本チーム善戦の色が褪せてきた時だけに、貴重な初勝利である。今後に期待したい。

2016年4月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3267.2016年4月23日(土) 最近当惑したことと困ったこと

 昨日1冊の週刊誌を買った。表紙に大きく「400円」と定価が書かれていたので、500円硬貨で支払ったところ釣銭が101円だった。釣銭が1円多いので、店員に理由を尋ねてみると税抜き本体価格は370円で、これに消費税8%を加算すると399円だという。それならなぜ定価400円ではなく399円と書かないのか。どうも腑に落ちないので、自分でも計算してみたところ、消費税分は29円60銭で1円未満を四捨五入とするか、切り上げれば400円となり納得が行くが、税法上は切り捨てるのである。円未満を切り捨てたのはそう決まっているから、これは筋が通っていることになる。でも、くどいようだが、それなら表紙に399円と記せばよさそうなものなのに、どうも納得が行かない。私が週刊誌を購入したのは、山下書店半蔵門店というしっかりした書店だったので、店もレシートに記載されているように正確に計算したのだろうが、小さな売店なら表紙の定価通り400円を受け取って知らん顔しているのではないかとも思った。これは少々下衆の勘繰りかな。

 ところで、いま困っているのは、近所から郵便ポストがなくなってしまったことである。ポストが事前の断りもなくごく最近になって忽然と自宅近くから取り払われてしまったのである。不便でしょうがないので、先日玉川郵便本局へ電話で問い合わせてみた。本局の言い分は、現在新築中の大邸宅の前に設置されていたポストが、建築完成後自家用車の出入りに邪魔になるので、建築主から設置場所を他へ移してほしいと申し入れがあったという。確かに自宅の真ん前にポストがあったのでは、邪魔にはなるだろう。だが、黙って取り払われては周囲の利用者は不自由で困るとコンプレインをしたところ、ポスト設置にはいろいろ条件があり、直ぐには場所が見つからないので、しばらく適当な場所が見つかるまで待ってほしいとのことだった。

 新しいポスト設置の前に郵便局は便宜的に、わが家から200mほど離れた目黒区内の特定郵便局を教えてくれた。今日も封書を1通投函するために200mをとぼとぼ歩いて行ったが、運動不足防止には好いとしても郵便は頻繁に利用するので、少々困っているのが現実である。

 さて、昨日22日に北九州地方にM8の大きな地震が起きるとその前日攪乱情報を流し、多くの住民を疑心暗鬼の不安に陥れ惑わした台湾の地震預測研究所の予測は実際にはどうだったか。熊本地震の余震は引き続き発生したが、M8なる大地震は全く起きなかった。出まかせのガセネタだったのである。この台湾の研究所は、この他にも近々北九州、京都、小田原にも地震が起きると不謹慎な情報を発信している。どうしてこんな悪質で好い加減なニュースを多くの人々が苦しんでいる被災地へ伝えて、被災者に追い打ちをかけるような衝撃を与えようとするのか、その神経が理解できない。きつくお灸をすえるべきだと思う。

2016年4月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3266.2016年4月22日(金) 日系ブラジル人のドキュメンタリー

 月例のJAPAN NOW観光情報協会第121回観光セミナーが、いつも通り麹町の海事センタービルで開かれた。今日は珍しく在職中お世話になった㈱UEX名誉会長・小田保中さんの姿を見ることになり、久しぶりに隣席で懐かしく話すことができた。小田さんは長い間緑内障を患い、テレビや書籍をあまり見ないと仰っていた。だが、今85歳ぐらいのはずだが、昔と変わらず向上心と好奇心は相変わらずお強いようだ。見た印象ではお元気そうなのでホッとした。

 小田さんには、ステンレス・ホールセーラー業界の海外視察ツアーを何度かオーガナイズしてもらい、私もヨーロッパと北米・ブラジル、ブラジル研修ツアーで3度もご一緒して楽しい思い出をたくさんいただいた。特に1985年の最初のブラジル・ツアーでは、折悪しく利用したパンナム航空が経営悪化で倒産が予想されていた時期だったために行く先々で、予約、予約再確認、荷物取り扱いで随分不自由な思いをして添乗員としては苦労した。結局パンナムは1991年に倒産した。そんなことも今にして思えば懐かしい。

 偶々今日の講師が、サンパウロ在住のドキュメンタリー・ビデオ映像作家の岡村淳氏だったというのも奇縁だろうか。岡村氏はフリーランサーではあるが、民放TVのヒット・シリーズの「すばらしい世界旅行」や、「新世界紀行」製作にも拘わった方である。ご自身ブラジルへ移住して凡そ30年になるという経歴もあって、ブラジル日系人に関するドキュメントが多いらしい。今日は20年前に製作した35分のビデオ「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」を見せてもらった。60年ぶりに日本の土を踏んだ女性のノスタルジックな旅の思い出を映像化したビデオだ。冒頭に皇居内を歩きながら感激の涙を流す80歳のヒロインの姿が何とも言えず初々しく新鮮である。ビデオを観終わって、岡村さんがブラジル人気質についてジョークを交えてユニークなブラジルならではの話を聞かせてくれた。中々楽しいセミナーだった。

 ところで、一昨日三菱自動車の不正が明らかになった。燃費テストで4車種62万台の検査に不正があったと社長以下役員が謝罪会見をした。天下の三菱グループ企業が消費者を欺いて車を販売していたのである。燃費効率の良い車が売れるということから、三菱は意図的にデータを操作して販売していたが、不正は提携先の日産自動車の指摘によって判明した。三菱自動車の許しがたい点は、この件が初めてではないということである。横浜市内で走行中のトラックのタイヤが外れ、それに直撃された母娘が死亡したことがあり、その後リコールを回避するために部品の欠陥を隠した事件など、悪質な行為を繰り返したために経営も悪化して、三菱グループの支援を受けて最近になって漸く経営的に立ち直りかけていたところだ。2015年3月期には、純利益1,181億円を計上し、過去最高益を更新したばかりである。

 いかに担当部門の責任者だけが承知していたにしても、やった行為から経営者が責任を問われるのは必至だ。今後の経営状態の落ち込みは明らかであり、折角立ち直りかけた会社も再び経営の岐路に立たされることになる。三菱自動車が斜陽の道へ落ち込むのを他の三菱グループ企業はもう支援しないだろうとの陰の声も聞かれる。

 それにしても日本を代表する大企業が、どうしてこう度々不祥事を引き起こすのだろうか。そこには、モラルとか、会社経営の理念、消費者への責任というものが存在しないのだろうか。何とも情けない。

 さて、今日ロック・ミュージシャンのプリンスが亡くなった。ロックに特別興味があるわけではないが、プリンスはまだ57歳だった。まだ若い。30年ほど前にアメリカで学校訪問をしていた時に、偶々アメリカ人の先生からその名を初めて聞いて以後プリンスの名前だけは長いこと頭の中に入っていた。同じロックのエルヴィス・プレスリーは42歳で、先年亡くなったマイケル・ジャクソンも50歳で旅立った。寿命であるかも知れないが、まだまだこれからと言う時に実に惜しいと思う。尤もロック・シンガーではないが、映画「帰らざる河」で披露したその声に酔ったマリリン・モンローもまだ36歳の若さでこの世を去っている。あれほど脚光を浴びてもこう早く彼岸へ旅立ってはファンならずとも虚しいという思いがしてならない。人生とは儚いものなのだ。

 

2016年4月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3265.2016年4月21日(木) 台湾・地震研究所の出過ぎたお節介

 地球物理学の権威で、国立極地研究所・神沼克伊名誉教授から、新宿の「ハイアット・リージェンシー東京」でランチをともにしながら地震と原発のお話を承った。1月に兄も交えて神沼さんとランチをともにして以来の3者昼食会となった。来月神沼さんにJAPAN NOW観光情報協会で専門の南極について講演をお願いしているので、今日はその打ち合わせもあった。未だ余震の続く熊本地震について断片的に話を伺ったが、いま問題になりつつある原発稼働の危険な問題点をお尋ねしたところ、大地震が起きる可能性についてはあまり深刻には考えておられなかったように受け取った。

 兄も連れ合いを亡くしてからまだ1年余で、独り者の寂しさからまだ完全にはふっきれてはいないようだが、高校在学中から特に親しかった友ととりとめもない会話を交わすことがストレス解消に役だつように思っている。これからもこういう会食の機会を作りたい。

 帰りの東横線車内で1人の乗客が「日刊ゲンダイ」を読んでいたので、見るとはなしに覗いてみると「熊本地震、次は京都、小田原、北九州」と大きな見出しが見えた。ぎょっとした。今朝未明で震度1以上の余震が14日以降すでに700回を超えたくらい、熊本地方には余震が続いて住民に恐怖感を与えている中で、こんな形で具体的に地震を予言された地域の人たちの気持ちは穏やかではあるまい。確認のために、すぐ駅売店で同紙と「夕刊フジ」を買い求めて記事を読んでみると「夕刊フジ」にも、「北九州あすM8」とショッキングな見出しが出ている。これほど具体的に地震予報を流したのは、台湾の「地震預測研究所」のインターネット上のブログである。この研究所は、これまでも1月「北海道北西沖地震(M6)」、2月「台湾南部地震(M6.6)」を的中させ、熊本地震でも今月9日に3日以内に南日本でM6.3の地震が起きると指摘し的中したので、言葉は悪いが少々図に乗っていると思う。不安な気持ちを抱えている被災地の人たちの気持ち斟酌することなく、一層疑心暗鬼にさせる無神経で不用意な情報の提供はもう少し考えてもらわないと困る。実際京都大学防災研究所の西村卓也(地震学)准教授も「不安をあおるような怪情報だ。現在の科学で『絶対ない』とも否定できるわけではないが、逆に『来る』などと確証を持って言うこともできない。九州の人々が不安がっている時に、こういう情報を流すのはやめてほしい」とごく当然のコメントを述べている。

 どうしてこういうブログが誰の目に入る形で流されたのか。人騒がせにもほどがある。奇を衒ったのか、この地震研究所の非常識と無神経には呆れるばかりである。なぜ一般の目に触れさせないようにして、まずは日本の気象庁なり、それなりの公的組織や団体に対して内密に具体的な情報を知らせることができなかったのだろうか。結果はどうなるか、明日にならなければ分からないが、ひょっとすると予測は当たるかも知れない。だが、この地震研究所は他国の罪もない人々の心をかどわかし、不安に陥れたのである。この種の軽薄な情報バラマキについては、地震が落ち着いたら日本として当該地震研究所に厳重に抗議するべきだと思う。

2016年4月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3264.2016年4月20日(水) 日本の「報道の自由度」は低下している。

 熊本の地震に気を取られている間に、昨日アメリカではニューヨーク州で大統領予備選が、民主党、共和党ともに行われ、それぞれ低調傾向にあった民主党クリントン氏と共和党トランプ氏が大票田の地元でともに勝って敗勢を立て直したように見える。だが、両党とも接戦の予備選ではまだ誰が候補者に指名されるか混沌としている。

 今回は過去の大統領選に比べて各候補者の政策や人間性に魅力が乏しい。8年前に颯爽とデビューし、‘Yes, we can’とそのフレッシュな言動が魅力的だったオバマ現大統領に比べると、現在渦中の候補者らにはいま一つアピール度が足りない。

 その中で私は個人的には民主党のバーニー・サンダース氏の政策に共鳴している。このところ7連勝と勝ち続けて勢いをつけてきたが、クリントン氏の地元NYで敗れてしまった。いずれにせよ世界のリーダーを決める11月の本選に向け、まだまだ勝敗は予断を許さない。

 さて、昨日キューバではフィデル・カストロ前国家評議会議長が、共産党大会閉会式に出席し、公的舞台からのお別れ演説を行った。ついに最後まで共産党員として自らの信念を貫き「キューバ共産党の思想は残る」との言葉で締めくくったようだが、ソ連共産党が壊滅的崩壊を遂げ、中国共産党は名ばかりの共産党で実態は帝国主義と変わらない。その中でまもなく90歳になる革命家カストロは、最後まで共産国家キューバの象徴だった。私にはチェ・ゲバラらとともにバチスタ政権を倒した革命家として、また米ソ冷戦下にキューバ海上封鎖をもたらしたエポックメーキングな人物として印象が強い。異論があるかも知れないが、世界政治史に一代を画した人物の1人と言ってもよいのではないだろうか。

 ついては、国際NGO「国境なき記者団」が今年も「報道の自由度ランキング」を発表した。対象の国、地域180ヶ国の中で、残念なことにこのところ日本は毎年ランクを下げ続け、ついに今年は72位という情けない地位に甘んじることになった。日本は2011年には高く評価され11位だったが、年々順位を下げ14年59位、15年は61位だった。日本への評価は「問題がある」アイテムに格付けされ、特定秘密保護法の施行が効いていると同時に、安倍政権になってから順位を落としていることから考えれば、安倍首相グループが報道の自由を絞めつけているという指摘も成り立つ。

 そんな情報の中で、今日原発稼働後40年を経過した関西電力高浜原発1号機と2号機について、原子力規制委員会が新規制基準を満たす審査書を正式決定し、安全対策の基本方針に関する関西電力の申請を許可した。老朽原発の再稼働に‘GO’サインを出したのである。どうもこの決定はやらせのような気がしてならない。熊本地震の影響で中央構造線断層帯延長線上にある伊方原発の危険性が指摘されている折、伊方は影響ないと言った直後、老朽化した原発の再稼働を認めたが、これら2つの事象は海外への原発建設工事セールスマン役を務めている安倍首相に対するご機嫌取りのようなパフォーマンスに思えて仕方がない。

2016年4月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3263.2016年4月19日(火) 時代小説「おも代の舞」を読んで

 先日1冊の時代小説を著者・佐々木征夫氏から送っていただいた。「おも代の舞」(遊人工房刊)と題する、江戸中期にある武家で起きた前代未聞の醜聞と悲恋を扱った物語である。

 一読して妙に心に残り心象面で忘れがたい印象を植え付けられた反面、およそ封建社会の倫理性に欠ける信じ難い事実に首を傾げ、衝撃を受けたというのが本当のところである。何故一廉の藩主でもある武士の家庭でこのような理不尽で、厳しく言うなら破廉恥な秘め事が生まれたのだろうか。

 武家の秘め事とは言え、あまりにも浮世離れしたストーリーと、考え及ばない男女3人のダブル心中事件というスキャンダラスな史実を俄かには信じ難い。

 秘め事をヒロイン「おも代」の伯父・仏僧浄禅と、偶々祇園の茶屋で浄禅と知り合い、その真相に心を打たれた、歴史家・神沢杜口が、ともにどうにかして後世にその事件の陰に隠された3人の純粋な愛の絡み合いと3人のお互いの信頼感を伝えようと試みた。その隠されたストーリーは、結果的に神沢の探究心と執着心が闇に埋もれた筈のドキュメントに光を照らすことによって今日文書に伝え残されることになった。そのほぼ忘れられかけた事件を、当事者3人の内のひとり、正室正子の末裔に取材することによってスキャンダル面を幾分抑え、悲恋物語として世に甦らせた著者の真摯な努力に敬意を表したい。

 ストーリー構成は、土浦藩江戸下屋敷内に起きた藩主・土屋能登守泰直と正室正子、そして正子の待女おも代の三人三様の愛のかたち、夫婦間の愛情あふれる睦まじさ、そして武家社会の身分制を絡ませた類稀な三角関係の微妙な題材から編み出された。本来ならことは箝口たるべき不祥事の罪としてお家断絶の沙汰により、家の子郎党を四散せしめかねない閨房の秘め事であり、その大立ち回りを演じた泰直は、藩主としての道を大きく踏み外した許しがたい罪を犯したのである。幸い藩主は、老中松平定信に平素よりその能力を評価されていたがため、お家お取り潰しを逃れ醜聞は藩内極秘のうちに処理され、事件として表に出ることはなかった。

 そもそも藩主泰直が奥方正子の待女おも代に想いを寄せ、無理やり側室にしたことがこのスキャンダルの発端であり、結果的に3人の儚くも悲しい末路となった。正子を慕っていたおも代の気持ちは複雑で心は千千に乱れ、ついには泰直の元を去る決意をしたことから事態は急展開する。おも代にぞっこんの泰直がおも代の変心に猛り狂い秘伝の短刀でおも代を一刺し、止めの直前になっておも代も泰直のひたむきな愛情に初めて心を開きその愛を受け入れた。泰直はおも代を手討ちにした直後自害して果てる。そして、その1ヶ月後正子も2人の後を追うようにして自害する。

 近松物なら大向うを唸らせる舞台となり、情緒的には多くの人々から同情を買うであろうが、藩主泰直は武家社会のエリートとしては自らの君主としての立場を考えず、あまりにも直情的で独断的な行動を取った。

 この悲劇の中で救いは当事者の3人が、それぞれお互いや周囲の人々への思いやりがあり、多くの人から慕われ、心情的に受け入れられていたことである。むしろそのことこそが、生前おも代の精神的な支えとなっていた伯父の僧侶・浄禅におも代不憫の感情を募らせることになり、浄禅は何とかしておも代の純粋な気持ちに応えてあげたいとの気持ちが頭から離れなかった。それがこの時偶然巡り合った神沢に一連の物語を内密と言いながらも話す糸口となったのである。その歴史家・神沢にとっても衝撃的で目を開かせられる事実は、おも代の生き方と同時に、藩主泰直と正室正子の愛でオブラートされた絆も強い興味と関心を抱かせることになり、古文書「翁草」に書き残され密かに今日に伝えられることになった。

 多くの読者は、今日では考えられない3人の純愛と信頼に心をときめかせ、3人それぞれに気持ちを寄せることであろう。特に女性読者にとっては、封建時代に身分上差別のある2人の女性の想像もできない愛情と信頼、そこへ良くも悪くも立ちはだかる藩主の存在にたじろぐ思いを感じることだろう。

 しかし、普段は冷静な藩主でも、現実にはふとした折に突然無分別な行動に突っ走った武士もいたし、階級社会の息苦しい中でもお互いに信頼し合った高位の女性とその侍女もいたのだということを改めて教えてくれた。その点でも本書は江戸時代の武家社会の厳しい身分制としきたりをベースに、思い切って特殊でほろ苦い男女関係を何の衒いもなくメロドラマ風に仕立て上げた力量から生まれた佳作である。女性読者のみならず、広く江湖に一読を薦めたい。

2016年4月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3262.2016年4月18日(月) 内外に暗い話ばかり

 今日もまた九州では余震が止まず、それを恐れて自宅から出て体育館や公の施設に寝泊まりしようとする人たちが増えて、ついに施設に収まりきらず、車の中で生活する人が増えてきた。それがまた健康上の問題を引き起こす恐れが出てきた。14日の前震以来震度1以上の余震は500回を超えるという。これでは怖くて自宅内には留まってはいられまい。今度の「平成28年 熊本地震」は、これまでの大震災では例を見ない余震続きの災害になった。いつ止むのか、当分気の休まることがない。

 ところが、折も折海の向こうでも大きな地震が起きた。それは16日赤道直下のエクアドルで起きた。すでに270名を超える死者が出ている。映像で観ると震源地は貧しそうな海岸際の村々で、軒並み家屋がつぶれている。がれきの下に埋もれている人も数多く、まだまだ犠牲者が増えそうだ。国内外で自然の試練に直面しながらこれに打ち勝つべく人間は懸命に闘っている。だが、その一方で無駄な戦争で無駄に尊い人命を失っている例も枚挙にいとまがない。何と理不尽なことだろうか。

 さて、そのエクアドル近くのブラジルで自然との争いならず、政治のもめごとで国を挙げて大騒ぎをしている。政府会計の粉飾に関わっていたとして批判されている2期目のルセフ大統領について、下院議会で弾劾すべきであるとの決議が2/3以上の賛成で承認された。これで上院の過半数が賛成すれば、大統領は180日間の職務停止処分となる。この間にリオ・オリンピックが開催されるので、大統領は開会式にも立ち会えない。下手をすれば、大統領を罷免される可能性がある。容易ならぬ事態である。

 ブラジルは今深刻な経済不況に陥っている。仮に多少前途に光明が見えても、国会議員の間に汚職が蔓延している現状ではそう簡単に窮状から抜け出せないだろう。人間とは何と浅はかなものかと思わざるを得ない。

2016年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3261.2016年4月17日(日) 油断ならない今後の余震

 昨日に引き続き今日も変わらず「平成28年 熊本地震」は余震を頻発して大分方面にも余震が及んできた。熊本から大分方面へかけた別府―万年山断層帯層の近くでしばしば余震が起きているのだ。その断層を更に北東方面へ伸ばすと、何と四国の最西端、佐田岬へ達する。そこには伊方原発がある。現在伊方原発は稼働していないが、もし稼働のためには政府がいう「世界一安全」との厳しい条件がクリアされたなら伊方原発も再稼働ということになる。そしてそのまま再稼働に突入した先に、大きな地震が起き原発から放射能が漏れだしたら、また福島第1原発の二の舞ではないだろうか。心配である。

 さて、今日は関東地方で天候が大荒れだった。各地で建物が倒壊したり、けが人が出ている。都内では徐々に雨が降り出すが、午後には晴れるとの予報だった。実際その通りとなったが、雨を伴った激しい風は予想外だった。東横線を始め、京王線などでは電車が止まり、ダイヤが大きく乱れた。

 実は吉祥寺で武蔵野稲門会音楽同好会第3回コンサートが開かれ、世話人の山本富士雄さんからご案内をいただいたので、プロではないとは言いながら日頃鍛錬しているお得意のクラシックを聞かせてもらおうとゼミ友人の長谷川くんを誘って出かけた。コンサートはアットホームな雰囲気の中で、4人のボーカリストによるポピュラーなイタリア歌曲と芸大出のピアニスト福崎舞由子さんによるショパンの名曲を充分楽しむことができた。山本さんは7歳でボーイソプラノから始めて74年間も唄い続けているとあって、歌唱力と存在感は他の人を圧倒していた。

 吉祥寺駅から会場へ向かう道すがら横殴りの激しい風雨に悩まされ歩くのにも往生した。ところが、終わってみて会場から一歩外へ出ると真っ青の空にまるで騙されたような気持だった。とにかく変わりやすい天候に翻弄された1日だった。

2016年4月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

3260.2016年4月16日(土) エスカレートする地震、原発は大丈夫か?

 「平成28年 熊本地震」はその後も大きな余震を繰り返して甚大な被害をもたらしている。一昨日夜9時26分ごろ大きな地震が襲ってその後度々余震があったが、実は余震ではなく、一昨日の地震は前震と呼ばれるもので、その後の余震らしい猛威が本震らしいことが分かった。本震後の余震は今までの大震災とは打って変わって震度3以上の揺れが目立つ。山崩れで山野の道路は寸断され、人々は孤立し、自衛隊のヘリで救出されている。家屋がつぶれた被災者はほとんどが外で炊き出しのサービスを受けている。停電を始め、ライフラインも大きく支障を来している。

 今朝1時25分ごろ起きた激震はM7.3を表示し阪神大震災級と言われている。一昨日以降震度4以上の揺れは155回を記録し、その勢いは一向に衰える兆しが見えず、住民は不安に暮れている。犠牲者の数も37名となった。文化財の損傷も甚だしく、国の重要文化財の熊本城天守の屋根瓦が落下したり、2つの櫓が倒壊した。同じく国の需要文化財である阿蘇神社でも2階建ての楼門が倒壊し、拝殿も全壊した。昨年IS(イスラム国)によって破壊された古代ローマ時代のパルミラ神殿をつい思い出したほどである。

 せめて最近震災に遭った各地からの支援を始め、ボランティアの活動が被災者にとって大きな支えとなっているのが救いである。

 昨日の朝からテレビ局はほとんどの時間をこの地震の報道に当てている。チャンネルを回せば、現地の悲惨な状況が映し出される。新聞も昨日からかなりのスペースを地震に割いているが、やはりと言うべきであろうか、今朝の朝日の読者欄には、何人かの地震関連の投書が掲載されたが、その中で、74歳の愛知県の無職の方が、政府は再稼働の審査は世界一厳しい基準をクリアしたとしているが、厳しい自然条件の下で、万が一事故が起きたら取返しがつかなくなる原発再稼働について、この際立ち止まって是非を検討すべきではないかと提言している。メディアでは漸く朝日夕刊「素粒子」に「震度7は前触れに過ぎなかった。どこでも起きると改めて知る。原発の下では起きないと思うか。何という慢心」と警告している。後から後から起きる余震に、あらぬ妄想が浮いてくる。地震の地域も九州全土にまで拡がりそうな勢いである。本当に鹿児島・川内原発と佐賀・玄海は大丈夫なのだろうか。

2016年4月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com