月例のJAPAN NOW観光情報協会第121回観光セミナーが、いつも通り麹町の海事センタービルで開かれた。今日は珍しく在職中お世話になった㈱UEX名誉会長・小田保中さんの姿を見ることになり、久しぶりに隣席で懐かしく話すことができた。小田さんは長い間緑内障を患い、テレビや書籍をあまり見ないと仰っていた。だが、今85歳ぐらいのはずだが、昔と変わらず向上心と好奇心は相変わらずお強いようだ。見た印象ではお元気そうなのでホッとした。
小田さんには、ステンレス・ホールセーラー業界の海外視察ツアーを何度かオーガナイズしてもらい、私もヨーロッパと北米・ブラジル、ブラジル研修ツアーで3度もご一緒して楽しい思い出をたくさんいただいた。特に1985年の最初のブラジル・ツアーでは、折悪しく利用したパンナム航空が経営悪化で倒産が予想されていた時期だったために行く先々で、予約、予約再確認、荷物取り扱いで随分不自由な思いをして添乗員としては苦労した。結局パンナムは1991年に倒産した。そんなことも今にして思えば懐かしい。
偶々今日の講師が、サンパウロ在住のドキュメンタリー・ビデオ映像作家の岡村淳氏だったというのも奇縁だろうか。岡村氏はフリーランサーではあるが、民放TVのヒット・シリーズの「すばらしい世界旅行」や、「新世界紀行」製作にも拘わった方である。ご自身ブラジルへ移住して凡そ30年になるという経歴もあって、ブラジル日系人に関するドキュメントが多いらしい。今日は20年前に製作した35分のビデオ「60年目の東京物語 ブラジル移民女性の里帰り」を見せてもらった。60年ぶりに日本の土を踏んだ女性のノスタルジックな旅の思い出を映像化したビデオだ。冒頭に皇居内を歩きながら感激の涙を流す80歳のヒロインの姿が何とも言えず初々しく新鮮である。ビデオを観終わって、岡村さんがブラジル人気質についてジョークを交えてユニークなブラジルならではの話を聞かせてくれた。中々楽しいセミナーだった。
ところで、一昨日三菱自動車の不正が明らかになった。燃費テストで4車種62万台の検査に不正があったと社長以下役員が謝罪会見をした。天下の三菱グループ企業が消費者を欺いて車を販売していたのである。燃費効率の良い車が売れるということから、三菱は意図的にデータを操作して販売していたが、不正は提携先の日産自動車の指摘によって判明した。三菱自動車の許しがたい点は、この件が初めてではないということである。横浜市内で走行中のトラックのタイヤが外れ、それに直撃された母娘が死亡したことがあり、その後リコールを回避するために部品の欠陥を隠した事件など、悪質な行為を繰り返したために経営も悪化して、三菱グループの支援を受けて最近になって漸く経営的に立ち直りかけていたところだ。2015年3月期には、純利益1,181億円を計上し、過去最高益を更新したばかりである。
いかに担当部門の責任者だけが承知していたにしても、やった行為から経営者が責任を問われるのは必至だ。今後の経営状態の落ち込みは明らかであり、折角立ち直りかけた会社も再び経営の岐路に立たされることになる。三菱自動車が斜陽の道へ落ち込むのを他の三菱グループ企業はもう支援しないだろうとの陰の声も聞かれる。
それにしても日本を代表する大企業が、どうしてこう度々不祥事を引き起こすのだろうか。そこには、モラルとか、会社経営の理念、消費者への責任というものが存在しないのだろうか。何とも情けない。
さて、今日ロック・ミュージシャンのプリンスが亡くなった。ロックに特別興味があるわけではないが、プリンスはまだ57歳だった。まだ若い。30年ほど前にアメリカで学校訪問をしていた時に、偶々アメリカ人の先生からその名を初めて聞いて以後プリンスの名前だけは長いこと頭の中に入っていた。同じロックのエルヴィス・プレスリーは42歳で、先年亡くなったマイケル・ジャクソンも50歳で旅立った。寿命であるかも知れないが、まだまだこれからと言う時に実に惜しいと思う。尤もロック・シンガーではないが、映画「帰らざる河」で披露したその声に酔ったマリリン・モンローもまだ36歳の若さでこの世を去っている。あれほど脚光を浴びてもこう早く彼岸へ旅立ってはファンならずとも虚しいという思いがしてならない。人生とは儚いものなのだ。