2708.2014年10月12日(日) スーパー台風襲来

 強烈な台風19号がちょうど沖縄を襲っている。先日来アメリカのテレビ局でも話題になって、900ヘクトパスカルの‘Super typhoon’と呼び、近日日本列島を襲うと取り上げていたほどである。明日遅くから明後日にかけて関東地方にやって来るようだ。先週の18号より本州内陸部を通過するとの予報なので、気象庁はしきりに警戒を呼び掛けている。一昨日まで雨が降っていたために、御嶽山の行方不明者の捜索活動も一時中止していたが、昨日再開し早速死亡者を発見した。他にも複数の身体の一部を見つけたとの報告があり、暗い気持ちになる。これで犠牲者の数は56名になった。それにしても自衛隊、警察、消防が体調不良者を出しながらも一体となって、一刻も早く行方不明者を探し出そうとの気持ちには頭が下がる思いである。

 ただし、台風の襲来が予想されるため、明日、明後日の2日間は捜索を見合わせるという。行方不明者の家族にとってはさぞかし恨めしい台風だろう。

 さて、日経紙夕刊に連載されていた火坂雅志の小説「天下-家康伝」が昨日で終わった。1年半、454回に亘って大名間の心理的、実践的戦いを描いた長編力作である。テーマの通り徳川家康の天下取りを描いた小説だが、小説は関ヶ原合戦で家康軍が石田三成軍に勝利して、ほぼ天下の帰趨を決めたところで終わっている。家康は関ヶ原の後一旦は隠居を決め込むが、柿田川の湧水を見ながらここまで辿って来た道を思い、これまで「上を目指すことを途中で諦めていたら、自分はついに何者にもなり得なかった」と思い直し、隠居を撤回し新たな天下取りへ気持ちを切り替える。天下取りはまだ終わらぬと再び立ち上がったところで「完」となっている。ここに至るまでの経緯と家康の心理を巧みに描いた作品で、家康があまたいる秀吉配下の大名の中からいかにして東軍のリーダーとなったか、というストーリーを分かりやすく書いている。なるほどこういうステップを踏んで天下人になったのかと納得しながら読んでいた。

 加えて今日も放映されたNHK大河ドラマ「軍師官兵衛」と並行的に話を進めていたので、秀吉の天下取りと家康の生き方を比較しながら読んでいた。それが一層時代背景と相まってストーリーを分かりやすくさせてくれた。こういう大舞台的な史実に沿ったストーリーを、歴史上あまりにも有名な登場人物の言動と生き方をからませる中で知ることができるのは、ノンフィクション時代小説の醍醐味であり、最も魅力的な点だと思う。

 また、誰かの作品で歴史を紐解いてみたいものだ。

2014年10月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2707.2014年10月11日(土) 世界都市総合力の怪!

 駒澤オリンピック記念公園(通称:駒澤公園)へ行ってみたら、やはりオリンピック関連のイベントを賑やかにやっていた。明日まで2日間タレントやスポーツ選手を呼んでショー的なエンターテイメントを行っている。訪れた時には、すでに5時を過ぎていたので、ほとんど行事は終わっていたが、それでもステージ上でサッカーの釜本邦茂氏と4年前のワールドカップ日本代表チームのキャプテン・宮本恒靖氏、ウェイトリフティングの三宅義信・義行兄弟と義行氏の娘・宏実さんが子どもたちに語りかけ挨拶していた。会場周辺にはほのかなムードが流れて中々良いものだ。

 昨日テレビで記念塔が5色の光を放っている夜景を観たが、今日はまだ薄暗かったせいもあって、夜景は見られなかった。しかし、空が暗くなるに従いカラー光線が光を増すことになるのだろう。競技場、屋内体育館、交通の利便性、周辺環境、これだけの立派な施設がありながら、なぜこの駒澤公園を2020年オリンピック会場として使用しないのか理解に苦しむ。しかも最近になって新施設は費用がかかり過ぎるとして規模を縮小するような話まで出ている。それでも依然駒澤を競技会場として使用しようという節約的な話は出て来ない。新施設建設には、意固地な利権屋がからんでいるのではないか。

 さて、森記念財団のシンクタンク・都市戦略研究所が毎年まとめている「世界都市総合力ランキング」なるものがある。昨日の朝日、日経紙に掲載されていた。昨年までの上位5位と今年のそれは変わらず、ロンドン、ニューヨーク、パリに次いで東京の4位というのはまずまずと思っていたが、何とも意外だったのは、交通・アクセスの順位が世界40都市の中で東京が9位だということである。これが総合力の点で東京が今一つ伸びない原因となっている。現在東京の交通の利便性から言えば、世界のどの都市にも見劣りしないと思っている。言葉の点を除いても観光客・住民の目から見てもロンドンやニューヨークなどと比べても遜色ない、いや実際上位3都市の交通システムを利用した印象からみても、むしろ上回っていると思っている。

 このアクセスというのは、どうも空港と主要駅周辺との利便性を判断の物差しと考えられているようだ。だが、都市の核となる人溜まり間の移動が便利でさえあれば、それこそが一番アクセスが良いと考えるのが一般的ではないだろうか。第一普段空港を利用しない人が多い地域では、これではあまり意味のない比較となるだろう。シンクタンクなるものが、どうも実態を捉えているとも思えないランキングをよくもまあ堂々と発表するものである。

 今夕の新聞を見て驚いたのは、あのPL学園が野球部員の募集を停止するというニュースである。夏4度、春3度の甲子園優勝を誇り、近年の高校野球界に君臨した高校が随分簡単に部活を止めてしまうのものだとあっけにとられた。最終的に野球部廃止は決まったわけではなく、来年度は募集を止めるという。監督不在がひとつの理由だというが、PL辺りになれば自薦他薦を合せて、監督候補者がいない筈はないと思っている。だが、やはり宗教法人PL教団のお眼鏡に敵わないと野球部の監督になるのでも難しいようだ。更に最近の部員の暴行事件があって謹慎していた期間があった。これらが重なって教団として「検討中」との結論に達したようだ。

 たかが、高校野球ではあるが、自前の立派なグランドや寄宿舎を持ち、桑田、清原らのスター選手を輩出した高校野球界の名門校だけにちょっと気になる。

2014年10月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2706.2014年10月10日(金) 東京五輪開催から50年目の今日、ノーベル平和賞決定

 50年前の今日東京オリンピック開会式が行われた。生憎決算の直後でもあり経理マンにとっては繁忙期で、土曜日とは言え、その当時新米経理マンだった私は、連日残業させられていた。それでも時々応接室で同僚とテレビ観戦していた。前日は雨だったので、その日の快晴が清々しくやけに印象に残っている。そしてその2週間後マラソンでトップ集団が近づいて来るのをラジオで聞き、会社近くの甲州街道へ出て、アベベ選手や円谷選手が目の前を走り去っていく姿を見送った。あれから半世紀が過ぎ去ったかと思うと感慨深いものがある。

 2020年2度目のオリンピック開催を睨んで50年前を振り返るイベントが都内所縁の地で行われている。近くの駒澤オリンピック記念公園でも各種の催し物が行われているようで、NHKでも中継番組を流していた。公園内の高い記念塔は、話題のLEDによる五色の華やかなライトアップを演出していた。明日ウォーキングに行ってみようと思う。

 50年前のオリンピック関係者のコメントや記事もあちこちに見る。その中で日経紙夕刊に、1964年東京大会で金メダルを獲得したレスリングの吉田義勝氏の人生行路が紹介されていた。金メダルを一度は紛失したが、発見されたことでも話題になった選手である。吉田氏は父の勤務先・当時の明治乳業に入社して、父の部下だった時期もあり鵠沼のわが家に遊びにきたこともある。記事の中に吉田氏が営業上草むしりもやらされたと苦労話を述べていたが、ひょっとするとその草むしりとはわが家の庭の草むしりではなかったのかと想像した。

 さて、連日ノーベル賞受賞者の発表で何かと姦しい。今日は平和賞の発表である。一部には日本の「憲法9条を保持する日本国民」が期待されたが、受賞者は大方の予想通りパキスタンの17歳少女・マララ・ユスフザイさんと、もう一人インドの人権活動家カイラシュ・サティヤルティ氏だった。マララさんはノーベル賞受賞者史上最年少である。女性の教育を禁止しているイスラム教過激組織タリバーンに対して教育の権利を主張し、一昨年生死の境をさまよう酷い危害を加えられながらも、すべての子どもに教育の権利を訴えている。しっかりした少女で、昨年国連総会で行ったスピーチではその毅然とした態度とスピーチ内容に、これが16歳の少女かと見まごうばかりだった。近年平和賞はあまりぴんと来ない受賞が目立ったが、マララさんなら文句ない。

 もうひとりともに受賞したサティヤルティ氏は、「自動労働に反対するグローバルマーチ」を設立し、不当に就労させられている子どもたちを解放する運動を続けている。子どもの強制労働から彼らを救う活動を行ったということが受賞の対象になった。お二人とも平和賞の名に相応しい人たちだと思う。

2014年10月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2705.2014年10月9日(木) 新聞報道の難しさと微妙さ

 先月朝日新聞から「初秋の候~」で始まる差出人無記名のお詫び状のチラシをもらったが、今日も「秋冷」のお詫び状をもらった。今度は木村社長名入りである。福島第一原発吉田調書を巡る記事については社内で審理を申し入れし、慰安婦報道については新たに立ち上げる第三者委員会に検証をお願いしたとの報告と、再び同じようなミスを繰り返さないため新たな社内体制を立ち上げたというものである。

 今回世間の非難を浴びた誤報については、未だに他のメディアがいろいろな角度から朝日批判を繰り返している。よほど朝日に対するこれまでの恨みや憎しみが溜まっていたのではないかと思うほどである。傍から見ると報道機関の内部で内ゲバを繰り返しているようで、こんなことで真実を伝えるメディアの体制は大丈夫なのだろうかと心配になってくる。

 折も折、昨日韓国の検察当局が産経新聞・加藤達也前ソウル支局長を朴槿恵大統領への名誉棄損で在宅起訴した。支局長が産経のWEBサイト上に、「朴槿恵大統領が旅客船沈没事故当日、行方不明に…誰と会っていた?」といかにも異性と会っていたかのような記事を、韓国紙から引用して掲載した。ソウル中央地検は、朴大統領は沈没事故当日大統領府の敷地内におり、記事は事実と異なっていたとし、根拠もなく女性大統領に不適切な男女関係があるかのように報じて大統領の名誉を傷つけたと指摘した。また、加藤氏が当事者らに事実関係を確認せず、信頼できない資料を報道の根拠としており、被害者に謝罪や反省の意思を示していないことなどから、情報通信網法に基づく名誉毀損罪で起訴したのだ。片手落ちとの批判は、情報の源泉である朝鮮日報に対しては何らの制裁も課さないことである。

 外国人記者をこのような形で起訴することは極めて稀で、ソウル駐在の外国メディアの記者らで構成する「ソウル外信記者クラブ」が緊急理事会を開き、会員の自由な取材環境の醸成に務めてきたクラブが高い関心を持たなければならない事案ということで合意し、今後成り行きを注視していくことを決めた。

 日本政府も報道の自由、及び日韓関係の観点から遺憾で事態を深く憂慮しているし、国際社会の常識からかけ離れ過ぎていると強く非難した。

 朝日とはともすれば反対極の立場にある産経が、国内では韓国人従軍慰安婦問題で躓いた朝日を徹底的に攻撃し、国外ではその韓国政府から厳しい対応を迫られているのもおかしな巡りあわせである。

 これで険悪な日韓関係では益々関係改善の機会が遠のくだろう。

 さて、今日はもうひとつがっかりさせられる事象があった。今年も期待が高かった作家村上春樹にノーベル文学賞が授与されなかったことである。ロンドンのオッズでは、毎年トップのかけ率で今年もトップだったが、結果はダメだった。まぁ来年に期待を持ち越せるから良いと思っているが・・・。

2014年10月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2704.2014年10月8日(水) アメリカの名門ホテル売却

 今日は予想していた通りノーベル物理学賞を受賞した3人の日本人科学者のニュースで持ちきりだった。テレビでは改めて青色LEDの効用について図解付きで詳しく説明している。勝てば官軍とでも言おうか、その中で十数年前に特許権問題で勤務先の会社と争っていたUCSBの中村修二教授の発言は、他の2人の受賞者の言動とは異なりやや異色と言えるものだった。自分が今日あるのはそのベースに怒りがあったからだと言い、日本の研究環境には年功序列などを理由に自由がないと意気軒昂と述べたことが一際目を引いた。

 中村教授は、日本企業のグローバル化を進める必要性を訴え、誰もが起業できるよう、規制やシステムを見直すべきだとも注文をつけた。日本の企業と争った後アメリカへ渡りUCSBで10年以上に亘って研究を続けてアメリカ国籍を取得した立場から、過去の受賞者のやや控え目な姿勢とは一味違って日本社会へ厳しい苦言を呈した。いずれにせよ実績を残した人の発言は、流石に説得力があるなぁと感心させられる一方で、何となく違和感のようなものを感じたのも事実である。

 さて、その他に今朝の朝日新聞を見て驚いたのはアメリカの名門ホテルの売却である。ニューヨークの高級ホテルと言われる「ウォルドルフ・アストリア」が中国の保険会社に買収されたのだ。アメリカのVIPや有名人もよく泊まり、安倍首相も国連総会の折に宿泊した名門ホテルである。かつては女優マリリン・モンローが住まいとしていたし、ダグラス・マッカーサー元帥未亡人も亡くなるまで居住していたホテルである。

 場所的にもセントラル・ステーションのごく近くの至極便利なロケーションにあり、私自身デラックス・ツアーで何度となく泊まったことがある。かつて日本経済が急激に発展して、アメリカへの進出が顕著になった時代に、ソニーがアメリカ人の神経を逆なでするような些か強引なやり方でロックフェラー・センターを買い取り、ニューヨーカーの心象を損ねたことから物議を醸したことがあった。今度は中国の保険会社が買収したが、向こう100年間はホテル経営を旧所有者のヒルトンが請け負うという、外からは窺がい知れない契約を取り結んだので、契約後にヒルトンはホテルの大改装を計画しているという。

 それにしても財産が他人へ移るとなると幾許かの寂寞感が伴うものだが、この取引はソニーの取引とは異なり格別問題にはなっていないようだ。何とも分かりにくいドライなビジネスかと思う。

2014年10月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2703.2014年10月7日(火) 日本人科学者3人がノーベル物理学賞受賞

 今夕電撃的に嬉しいニュースが入ってきた。今年のノーベル物理学賞に3人の日本人科学者が選ばれたとスェーデン王立科学アカデミーが発表したのである。発光ダイオードの発明に貢献した名城大学教授・赤崎勇氏、名古屋大学教授・天野浩氏、そして青色ダイオードのLEDの発明と普及で知られるカリフォルニア大学サンタバーバラ校教授・中村修二氏である。これで日本人ノーベル賞受賞者は22人になった。

 普通発明や発見によるノーベル賞受賞の功績というものが、一般には理解しにくいがこの受賞は青い色の発光と普及による使用電気量の低減によるコストダウンで、我々もその恩恵に与かっているということが言える。

 さて、その一方で最近「イスラム国」へ戦闘員として入国を計画していたと警察から事情聴取を受けた愚かな北大生の、世間知らずで無目的、かつ無意味な行動を起こそうとした人騒がせな個人的事象が明らかにされた。1~2年内に死にたいと言っていて、真摯にイスラム教を学んでいるわけでもなく軽薄にも戦場であるシリアに行こうとしただけだ。一体この大学生は何を考えているのか。家族や友人、これまで世話になった人たちに対してどういう気持ちでいるのか。バカバカしくて、あまりの無節操さに呆れるばかりである。これが国立大学の学生なのかと一部ではあるが、今時の大学生の劣化ぶりには言葉もない。

 ところで、今日の日経紙によると日本政府はブラジルと共同で中米諸国へ日本式交番の導入を支援するという。中米諸国の治安改善を目指すというが、果たしてどんなものになるのだろう。すでにブラジルには導入が進んでいるというが、日本式発想の善意に根差した交番方式がどれだけその異質な土地に根付くか、少々疑問を感じる。

 ブラジルではサンパウロ州が2000年に交番を導入してから、それ以前に比べて人口当たりの殺人件数が約5分の1に減少したという。それなりの効果があったということなのだろう。その他にもシンガポールやインドネシアでも日本式交番は採用されているという。

 かつて私自身東南アジアやブラジルに度々訪れた頃には、日本式交番なんてものはまったくなかった。思い返すと、2000年にパキスタンが誇る世界遺産・モヘンジョダロを訪れた時、村はずれに1ヵ所ぽつんと交番が在った。だが、そこにはお巡りさんもおらず、空家と化していた。当時のブット大統領が来日した際に、日本政府が制度として薦めいくつか寄贈したものだそうだ。だが、私が訪れた時その村では交番はすでに御用済みとなって、小さな廃屋となっていた。援助の一環だったのかも知れないが、あまりにも無駄な支援ではなかったか。やはりこういう住民が利用するものは、ある程度現地の実情に合ったものでないと無用の長物になりかねない。

 今回政府が将来の中米諸国を大きな経済市場と睨んで、そのために治安をもっと良くすることが必要と考え支援を考えたようだが、本心ではラテン系の国々に日本式交番を設けることにそれほどの確信はないのではないだろうか。

2014年10月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2702.2014年10月6日(月) 「冒険ダン吉」に差別はあるだろうか。

 昨日から台風18号が関西地方を襲い、今日朝8時頃浜松市へ上陸するや僅か4時間ほどで関東地方からあっと言う間に東北沖方面へ駈け抜けて行った。猛烈な風と雨でNHKは朝から台風情報と交通関係のニュースをずっと流し、ついに8時から始まる話題の朝ドラ「マッサン」は放送中止となってしまった。

 日本本土を襲った強い台風のせいで、この2日間御嶽山の行方不明者捜索活動がまったくできない。犠牲者は51人で身元不明者がまだ12人もいる。上空から撮った一昨日の映像では、頂上付近には惨憺たる景色があり、灰が降り積もったうえに雨が降ればどういう状況になるのか、安否を心配し無事を願っている行方不明者の家族を思うとお気の毒でならない。

 ところが、昼前に台風は関東地方を通過すると空は明るくなり、青空が見えてきた。ほっとしていつも通り駒澤公園へウォーキングに出かけようするとお隣の小林さんのご主人が、直ぐに次の19号がやってくると言っていた。しばらく小林さんと立ち話をしていて日本の自然災害の多さと危険に話が及び、これだから原発稼働はわが国では心配の種であるし、原発再稼働は絶対止めるべきであると意見の一致をみた。

 さて、毎年定期的に高円寺で「西部古書展」という古本展示会が開かれ、いつの頃からか、主催者からパンフレットを送ってくれるようになった。ぱらぱらと頁を捲っていてそこに「冒険ダン吉」全4冊を見つけた。しかも昭和13年発行の初版ものだという。近刊「南太平洋の剛腕投手」でも「冒険ダン吉」については散々触れた。森小弁がそのダン吉のモデルだという挿話も盛り込んだ。

 パンフレット表示にお粗末な間違いがあり書店とひと悶着あったが、購入することに決めた。。何のことはない。実際には昭和13年ではなく、51年発行のものだったが、今日その実物が送られてきた。

 第1巻のあとがきに漫画家手塚治虫がこういうことを書いている。

 「ダン吉が侵略主義だの、人種偏見だのと指摘されるのは、結果論であって、当時の読者はそんなことはおかまいなしに、おもしろがって読んでいたのです。たとえば、ダン吉に仕えている原住民たちがそうです。人食い人種かなにかわからないけれども、彼らの振舞いや生活が、なんと身近で庶民的ではありませんか。そこらのサラリーマンや、職人や、いなかのオッサンたちと、なんの変わりがないではありませんか。しかも、時には彼らは、まだ社会的に未熟な少年であるダン吉に、道理を教え、忠告し、父親や兄のようにやさしく見守ったりするのです。こんなあたたかく、人間愛にあふれた黒人たちを、それまで世界中のどの漫画家が描いたことがあるでしょうか」。

 手塚治虫が言っているように、私も「冒険ダン吉」には、教条的な意味の「差別」とか、「野蛮」「暴力的」を意図するようなことはなかったと思っている。拙著では当初タイトルに考えていた「酋長」という言葉が差別的と指摘され、結局撤回することになってしまったが、今でも私にはこれらの差別的と言われる言葉が差別だとはとても思えないでいる。NHKでは「酋長」という言葉を差別用語と看做して使用しないようだが、手塚氏のあとがきで救われたような思いである。

 改めて全4巻を通読してみたいと思っている。

2014年10月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2701.2014年10月5日(日) 小中陽太郎氏の岡目八目的考察

 韓国の仁川で開催されていたアジア大会が昨日閉会となった。今度の大会は観客が意外に少なく、種目によっては会場に閑古鳥が鳴いていた。この他にもマイナスの話題が多く、バスケットボールでパキスタンの女子選手がへジャブを身に付けて失格になったり、日本の水泳選手が韓国カメラマンのカメラを盗んで国外追放になったり、バドミントン会場では韓国選手に有利な風が吹いたり、およそスポーツ精神とは相容れない事件が目立った。中国の孫楊、韓国の朴泰桓ら水泳のオリンピック・ゴールドメダリストが200m自由形で揃って日本のMVP選手・萩野公介選手に敗れた腹いせからか、孫選手が日本の国歌は聞き苦しいと発言したり、どうもエチケット面でも褒められたものではなかった。

 観客の入りがあまり良くなかった原因はいろいろあるだろうが、韓国の平昌では4年後に23回冬季オリンピックが開催される。やはり不入りの原因をきちんと調べて対策を練らないとまた閑古鳥が鳴くことは充分考えられる。

 それでも大きなトラブルの発生もなく、韓国の人々の韓流おもてなしが評価される中で終えられたのは良かった。

 さて、昨日の本ブログで元朝日の阿部和義さんが私について新聞に書いてくれたことに触れた。その中で小中陽太郎氏が旬刊誌「出版ニュース」に拙著の書評を書いていただいたことに触れていたので、阿部さんが書いた記事を小中さんにメールで送ったところ、小中さんから早速次のような返事をいただいた。

 「さすが新聞記者、短い中に貴著の中身を要領よくまとめているね。脱帽。皮肉も入れて。ぼくの書評は、○○日岩橋邦枝の偲ぶ会で林真理子に会って話した。自分で探して読むってさ。君のも一緒に読むでしょう。市川森一のいとこで元読売旅行、フリートラベル企画の井上ただ氏、(ペンネーム)池上真也君がこんな原稿送ってきた。どう思いますか?ぼくの感想つけておくね。貴著のことは電話で話してあるから、おくってあげてくれない?住所はペンの住所録池上真也にある。同志社卒だけあってやさしいいい人だよ。あなたの強引さと足して2で割ると二人ともちょうどいいけれど、東の近藤、西の池上、旅行業界出身の文筆家だ!」と。

 これには少し説明が必要だ。林真理子の名前を挙げたのは、彼女が現在朝日朝刊に連載小説「マイストーリー」を執筆していて、その小説と拙著を抱き合せた書評を書いたことから林真理子の名前が出たものだ。また、池上信也氏にお会いしたことはないが、小中さんからFAXで送っていただいた氏の「こんな原稿」を読むと私も現役時代に考えさせられた旅行業界の問題が書かれていて、池上氏も旅行業者として悩んでおられたことが察せられる。ただ、小中さんが言いたいのは、旅行のプロが同じプロが作るツアーのからくりが分からないと嘆いているのは止めて、嘘でも良いからさりげなくプロの味を入れなさいと至極ご尤もなアドバイスである。

 それにしても小中さんも阿部さんと同様に私が何でも自分から行動を起こすという積極性を好意的に評価して下さっているが、東の私と西の池上氏が旅行業界出身の文筆家とまで持ち上げてくれているのは、些か面映ゆいほどである。ただ、私の強引さと池上氏のやさしさを足して2で割るといいと言われているのは、「私の強引さ」という捉え方にやや不満を覚えないわけではない。私の流儀は、自分でできることを他人に任せることは却って相手に精神的な負担や迷惑をかけるから自分でやり、自分がやった方がむしろ早くできると勝手に思い、自分で片付けてしまう。そんなに強引ではないと思っているのだが、他人から見るとそんなやり方がちょっとやり過ぎということになるのかなぁ。

 それにしても、阿部さんにしても、小中さんにしても随分好意的な先達である。感謝。

2014年10月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2700.2014年10月4日(土) ステーキの肉が硬い。

 今日はあまりすっきりしない、初めての経験をした。我々は近くの玉川高島屋レストラン街でしばしば食事をするが、今日も妻と夕食に出かけた。そんな時、「鎌倉山」のローストビーフをぜひ食べたいというような目的でもなければ、その時の気分次第でレストランを決める。今日も何となく洒落た感じのステーキ屋前でメニューを見て決めた。これまでも何度か入ったことがあり、まず満足させてくれる和風ステーキ・レストランである。店内は壁でいくつかのスペースに仕切られていて我々が入った一角の先客は、カップル2組だった。

 美味しそうなステーキ定食を妻ともども注文した。肉は100gでよいという妻に、私は50gを追加して150gでコースを待っていた。ところが、この赤いステーキが見栄えは良いのだが、硬くて噛み切れないのだ。妻が随分硬いわというので、私がトライしてみても本当に硬くて美味しい味は口の中へ流れてくるのだが、いくら噛み切ろうとしても中々こちらの望むようには噛み切れない。食べきれず食べかすを口から出しては皿に戻す情けなさである。ひと口用にカットしてあるのだが、すべて食べきれない。ステーキ屋さんでこんなことは初めてである。これでは多めに注文した50gは無駄だった。結局最後の一切れは抵抗の意も込めて食さず皿に残した。

 最後にデザートを出された時、店員に少し肉が硬すぎやしないかとつい苦情を言ったところ、恐縮して申し訳なかった言って引き下がった。支払いする段になって肉の硬い部署が当たったのかも知れないと言って謝罪するのだが、他のお客さんはどう感じたのだろうか。まああまり良いディナーとはならなかったが、一流の店でも致命的な欠陥が表れることがあるものだ。

 さて、今日は嬉しいこともあった。元朝日経済記者の阿部和義さんからある新聞のコラム欄に阿部さんが書かれた記事を送っていただいた。先日阿部さんが11月の拙著出版記念会に出席できないので、食事をしながら久しぶりに話し合いたいとランチのお誘いを受けたのだ。その時この記事について初めて伺った。私のことを随分好意的に書いてくれている。タイトルは「近藤さんの努力に脱帽」というものである。阿部さんと私の付き合いの始まりから、高校時代のラグビー部活動、近著「南太平洋の剛腕投手」、出版記念会についても書いてくれている。特に、この出版記念会に関する描写が愉快である。そもそもこういう会は出版社か、友人有志が主催して著者本人が主催者になることは珍しいとのコメントがある。実は出版記念会にはその辺りの事情を、司会者の口から言ってもらおうかと思っていた矢先である。阿部さんの言う通りで、実情は主催を他の人に頼むと気を遣わせて申し訳ないという気持ちと同時に、私自身が好きなようにやりたいことと、自分でやった方がスピーディに自分のリスクでできるというのが本音である。

 このコラムは「~私はこの日は都合が悪く出られないので、近藤さんを招いて昼飯をたべることにした」と結んでいた。嬉しいことに、悪かった都合が一週間延びたことにより、阿部さんは出版記念会に出席できることになったと手紙に添え書きがしてあった。また、近いうちに阿部さんと会える。善し善し。

2014年10月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2699.2014年10月3日(金) 香港のデモで内政干渉について考える。

 今香港が世界中から注目されている。民主派市民が求める行政長官選挙に対する抗議運動が、国際社会から強い関心を持たれているのである。発端は中国政府が示した選挙改革案に民主派が反発したことにある。香港の中心街で連日行われている座り込みが益々大きくなってきた。学生側が求める行政長官の辞任を長官は認めず、他方で学生が要求する話し合いには応じた。

 昨日になってケリー米国国務長官、そしてオバマ大統領も普通選挙に対する香港市民の志を理解すると抗議運動自体を支持する立場を表明した。これに対し、訪米中の王毅・中国外相は直ちに内政干渉と強く反発した。散々他国の権利を侵害していながら、中国は自国の権利を批判されるような発言をされると反論して、口を出すなと言わんばかりである。

 確かに他国の行為に口を出すことは、基本的に内政干渉に触れる点はある。だが、一般的な人権論として捉えると、他国で残虐行為が行われていると分かっていながら内政干渉に当たるとして手をこまねいていることが、絶対に正しいと言えるだろうか。難しい判断ではあるが、その場合は垣根を乗り越えてもその残虐行為を止めさせるのが、人間として当然とされる行為ではないだろうか。問題はそのことを口実に他国へ乗り込み、他国の人権を無視して危害を加えたり、残虐行為を行うことではないか。戦争のきっかけにもなりかねない、他国への武力の使い方が難しい所以である。

 香港のケースでは、制度として1国2制度が認められていることと、中国政府が行政長官選挙に制約を課したことが民主的ではないとして政府のやろうとしていることが国際社会から糾弾されるのは致し方あるまい。これにアメリカが好ましくないと発言したことは、内政干渉に当たるかも知れないが、国際社会から間違っていると非難されることはないのではないか。

 内政干渉と不干渉の分かれ目は、他国の行為に口を出すかどうかというより、その行為自体が民主的であるか、非民主的であるかということにあるのではないだろうか。

2014年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com