先月朝日新聞から「初秋の候~」で始まる差出人無記名のお詫び状のチラシをもらったが、今日も「秋冷」のお詫び状をもらった。今度は木村社長名入りである。福島第一原発吉田調書を巡る記事については社内で審理を申し入れし、慰安婦報道については新たに立ち上げる第三者委員会に検証をお願いしたとの報告と、再び同じようなミスを繰り返さないため新たな社内体制を立ち上げたというものである。
今回世間の非難を浴びた誤報については、未だに他のメディアがいろいろな角度から朝日批判を繰り返している。よほど朝日に対するこれまでの恨みや憎しみが溜まっていたのではないかと思うほどである。傍から見ると報道機関の内部で内ゲバを繰り返しているようで、こんなことで真実を伝えるメディアの体制は大丈夫なのだろうかと心配になってくる。
折も折、昨日韓国の検察当局が産経新聞・加藤達也前ソウル支局長を朴槿恵大統領への名誉棄損で在宅起訴した。支局長が産経のWEBサイト上に、「朴槿恵大統領が旅客船沈没事故当日、行方不明に…誰と会っていた?」といかにも異性と会っていたかのような記事を、韓国紙から引用して掲載した。ソウル中央地検は、朴大統領は沈没事故当日大統領府の敷地内におり、記事は事実と異なっていたとし、根拠もなく女性大統領に不適切な男女関係があるかのように報じて大統領の名誉を傷つけたと指摘した。また、加藤氏が当事者らに事実関係を確認せず、信頼できない資料を報道の根拠としており、被害者に謝罪や反省の意思を示していないことなどから、情報通信網法に基づく名誉毀損罪で起訴したのだ。片手落ちとの批判は、情報の源泉である朝鮮日報に対しては何らの制裁も課さないことである。
外国人記者をこのような形で起訴することは極めて稀で、ソウル駐在の外国メディアの記者らで構成する「ソウル外信記者クラブ」が緊急理事会を開き、会員の自由な取材環境の醸成に務めてきたクラブが高い関心を持たなければならない事案ということで合意し、今後成り行きを注視していくことを決めた。
日本政府も報道の自由、及び日韓関係の観点から遺憾で事態を深く憂慮しているし、国際社会の常識からかけ離れ過ぎていると強く非難した。
朝日とはともすれば反対極の立場にある産経が、国内では韓国人従軍慰安婦問題で躓いた朝日を徹底的に攻撃し、国外ではその韓国政府から厳しい対応を迫られているのもおかしな巡りあわせである。
これで険悪な日韓関係では益々関係改善の機会が遠のくだろう。
さて、今日はもうひとつがっかりさせられる事象があった。今年も期待が高かった作家村上春樹にノーベル文学賞が授与されなかったことである。ロンドンのオッズでは、毎年トップのかけ率で今年もトップだったが、結果はダメだった。まぁ来年に期待を持ち越せるから良いと思っているが・・・。