2699.2014年10月3日(金) 香港のデモで内政干渉について考える。

 今香港が世界中から注目されている。民主派市民が求める行政長官選挙に対する抗議運動が、国際社会から強い関心を持たれているのである。発端は中国政府が示した選挙改革案に民主派が反発したことにある。香港の中心街で連日行われている座り込みが益々大きくなってきた。学生側が求める行政長官の辞任を長官は認めず、他方で学生が要求する話し合いには応じた。

 昨日になってケリー米国国務長官、そしてオバマ大統領も普通選挙に対する香港市民の志を理解すると抗議運動自体を支持する立場を表明した。これに対し、訪米中の王毅・中国外相は直ちに内政干渉と強く反発した。散々他国の権利を侵害していながら、中国は自国の権利を批判されるような発言をされると反論して、口を出すなと言わんばかりである。

 確かに他国の行為に口を出すことは、基本的に内政干渉に触れる点はある。だが、一般的な人権論として捉えると、他国で残虐行為が行われていると分かっていながら内政干渉に当たるとして手をこまねいていることが、絶対に正しいと言えるだろうか。難しい判断ではあるが、その場合は垣根を乗り越えてもその残虐行為を止めさせるのが、人間として当然とされる行為ではないだろうか。問題はそのことを口実に他国へ乗り込み、他国の人権を無視して危害を加えたり、残虐行為を行うことではないか。戦争のきっかけにもなりかねない、他国への武力の使い方が難しい所以である。

 香港のケースでは、制度として1国2制度が認められていることと、中国政府が行政長官選挙に制約を課したことが民主的ではないとして政府のやろうとしていることが国際社会から糾弾されるのは致し方あるまい。これにアメリカが好ましくないと発言したことは、内政干渉に当たるかも知れないが、国際社会から間違っていると非難されることはないのではないか。

 内政干渉と不干渉の分かれ目は、他国の行為に口を出すかどうかというより、その行為自体が民主的であるか、非民主的であるかということにあるのではないだろうか。

2014年10月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com