1874.2012年6月30日(土) ベツレヘムの聖誕教会、パレスチナ初の世界遺産に

 2012年の世界遺産申請の登録採否を認定するユネスコ・世界遺産委員会が、25日から来月5日までロシアのサンクト・ペテルブルグで開催されている。

 最近訪れたイスラエルのエルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって聖地であり、世界遺産に匹敵する価値ある遺跡や文化財がゴマンとある。だが、残念ながらそのエルサレムは現在世界遺産に登録されていない。イスラエルのガイド、シュタイン・朋子さんに尋ねると、すでにヨルダンから申請が出されているそうだが、今ではエルサレムはイスラエルに占領されていて、下手に動くと両国間、またアラブ諸国とイスラエルの紛争再発の火種となる恐れもあり、その点を憂慮したユネスコが登録を保留しているという。

 今朝NHKのテレビニュースを観ていて、‘あれっ’どこかで見たような気がした石造りの教会の映像が映った。正に先日訪れたばかりのエルサレム郊外のパレスチナ自治区ベツレヘムにある聖誕教会だったのである。イエス・キリストが生まれた、その聖誕教会がパレスチナ自治区初めての世界遺産として登録されたという歓迎すべきニュースだった。それでは他にも今年リストアップされる世界遺産が決まったのかと興味を持ったが、いくらインターネットで探しても今年の世界遺産リストを見つけ出すことができなかった。結局朝日夕刊に報道された解説を読んでやっと事情が飲み込めた。現在開催中のユネスコ世界遺産委員会の会議で聖誕教会の登録が決定し、いち早く発表されたのだ。

 なぜこの聖誕教会の世界遺産に拘るかというと、そこにはこの世界遺産がどの国に所属するかという国籍問題があるからである。聖誕教会は現在立地上イスラエル国内にある。問題は、聖誕教会があるパレスチナ自治区のベツレヘムがかつての母国ヨルダンに帰属するのか、或いは占領国イスラエルの土地なのかが、はっきりしないことである。

 ところで今日の登録で、ある程度ユニークな事情が分かった。新聞によるとこの聖誕教会はヨルダンでもなく、イスラエルに所属するものでもない。国連には加盟していないが、ユネスコの加盟国である「パレスチナ国家」が申請していたのだ。その登録は今後政治的には問題を残しそうで、すでにイスラエルが反発しているようだ。その一方で、個人的にはこれだけ価値のある遺産が世界遺産として登録され、世間に知らしめる機会が増えることはめでたい限りだと思っている。

2012年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1873.2012年6月29日(金) 健康のありがたみ

 少子高齢化が言われて久しい。最近では高齢化の特徴である、一人暮らしの老人の生活実態がしばしばニュースとして取り上げられるが、今夜NHK首都圏スペシャル「あなたの老後と死は?」で1時間15分に亘って、一人暮らしの老人の生活と孤独死の問題点をビデオ映像を紹介しながら評論家・内橋克人氏ら有識者が話し合っていた。わが国の今後にとって極めて深刻な問題である。

 さて、この2日間でかつて活躍していた歌手、映画俳優、タレントが相次いで亡くなっている。いずれも私よりちょっと若いが、同年輩である。

 今月15日に「ピーナッツ」の双子姉妹、姉のエミさんが亡くなったと報じられた。享年71歳である。そして、昨日タレントの小野ヤスシさんが癌のため72歳でこの世を去った。更に、今朝俳優・地井武男さんが心不全により亡くなられた。70歳である。みんなまだまだ若いし、活躍するチャンスはこれからもいくらもあったのではないかと思う。

 ピーナッツの場合は、そのヒット曲を耳にしながら人生をともに生きてきたような気がする。レコード、CDを合わせて1750万枚も売れたというからすごいものだと思う。結婚で引退した時もまだ若かったし、少々惜しい気がしたものだ。

 地井さんは、つい先日まで「ちい散歩」という番組を持ち、健康上の理由から一時的に番組を降りると伝えられ、時々観ていたが、それほど特徴があるとも思えない土地をさりげない語り口で興味深く紹介して視聴者を楽しませてくれていた。

 大なり小なり、それぞれに病気を抱えていたようだが、地井さんだけはほんのつかの間の療養だと思っていただけにニュースを聞いて驚いた。彼ら同年配者の健康を考えると私もあまり油断できない。

 今整形外科、内科、そして肛門科へ通院しているが、痔を悪化させたのは年甲斐もなく塩水湖「死海」で浮いたせいもある。飲酒を慎み、几帳面に毎日血圧を測り、医師の教えを忠実に守っているが、中々体内に入り込んだ疫病神は出て行ってくれない。それでも飽くことなくひたすら疫病神と戦っている。

 言い古されたことだが、やはり健康に勝る幸せはない。普段健康な時には気がつかなかったものだが、ちょっとでも身体に支障が出ると健康の有り難味が分かる。でも、疫病神なんかに負けてはいられない。何とか追い出して元の健康優良児だった健康体を取り戻したいと強く願っている。

2012年6月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1872.2012年6月28日(木) シリアは戦争状態に

 このところシリア国内の政治的、社会的混乱と迷走は留まるところを知らず、遂に独裁者・アサド大統領自身が戦争状態に入ったことを認める発言を国内外に対してはっきり行った。大統領はつい最近までは反政府勢力によるテロ行為だと国際社会の批難に対して開き直っていたが、現実にあまりにも凄惨な事態を前に戦争状態を認めざるを得なくなったようだ。このところデモやテロ騒ぎを通り越して、シリアはすでに内戦状態に突入して、国連ではアナン前事務総長を特使として現地へ派遣して内戦停止のために活動させていた。シリア国内では国連停戦監視団も常駐していたが、危険過ぎるとして退去を余儀なくされ、監視団はシリアの加熱する戦争状態を監視できるような状態ではなくなっていた。

 一方で、数日前トルコ空軍機がシリア洋上で撃墜され、シリア反体制派に同情的なトルコ政府は、シリア政府に対して強く非難している。この事件も欧米諸国のシリアに対する態度を硬化させている。本来北大西洋条約機構(NATO)に所属するトルコへの攻撃に対しては、同盟国が協力して反撃することができることになっており、NATO軍が連携してシリア国内を空爆してもおかしくないのだ。今回はNATO軍が自重して敢えて強硬策を取らなかったが、一触即発のムードである。下手をすると、いつ戦火が拡大して本格的な戦争にならないとも限らない。

 ここで問題にしなければならないのは、シリアの背後にいるロシアと中国の出方である。両国は早くから国連安保理事会でも、徒に他国に武力介入するのは内政干渉に当たると主張して、国連軍がシリアに介入することに強く反対していた。だが、両国の言い分を受け入れ、何らの手を尽くさない内に、戦争は一層悲惨な結果をもたらし、今も毎日多くの犠牲者を生んでいるのである。

 ロシアと中国の筋の通らない主張の背後には、ロシアはシリアからミサイル基地を提供され、中国もシリアに武器供与の支援を続けている後ろめたい事情がある。いつも利己主義を貫きながら、覇権主義を拡大させ、将来の権利獲得・擁護を企んでいるのだ。

 アサド大統領がはっきりと戦争だと公言した以上、国連は遅滞することなく今すぐにも緊急安保理事会を招集して果断的に結論を出すべきだと思う。

 幸い30日にジュネーブで開かれる安保常任理事国やシリア周辺国の外相級会合で、アナン前国連総長が「暫定統一政府」の設立を提案する。明言してはいないが、アナン氏はこの暫定統一政府には、アサド大統領らを排除する意向のようだ。ロシアや中国は決して横車を押すようなことがあってはならない。

2012年6月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1871.2012年6月27日(水) 東京電力株主総会で実質国有化を決定

 昨日の衆議院で可決された「社会保障と税の一体改革」関連法案について、今朝から各メディアは喧しい。テレビでは賛成票を投じた議員より、反対票を投じた、いわゆる造反議員の方がもてはやされている。離党して新党か、党内に留まるか、注目を集めている渦中の小沢一郎・元民主党代表は、今のところこの問題に関しては口を閉ざしているが、メディアの間では離党して新党を結成するだろうと噂されている。残念ながらこんな政界の有様に震災被災地周辺から強い不満の声が上がっている。

 6月下旬と言えば、恒例の民間企業・株主総会の時節である。今日も各企業の株主総会がそこかしこで開かれていた。問題の東京電力と関西電力についても株主総会の様子がいつになく細かく伝えられていた。東電は、昨年ホテルの総会会場に予想を遥かに超える株主が押しかけ、会場に入りきれず株主が騒ぎ出した事態に懲りて、何と国立代々木競技場第一体育館を会場に充てる用意周到さである。筆頭株主である東京都を代表して猪瀬直樹・副知事が出席して、いくつか提案を出したようだ。メディアも言うように経営悪化を理由に電力料金の値上げに対して、その前に自分たちの身を削れとも主張した。これも何やら民主党の造反議員が主張している、消費増税の前にやるべきことがあると述べているのと同じ科白には笑ってしまう。

 猪瀬副知事らが追求しているのは、保有不動産を売却することが昨年決まったが、未だに遅々として不動産売却は進んでいないし、人件費等経費の削減にも努力が欠けているという点に関してである。

 なお、東電は政府から1兆円の支援を受け入れることにより、議決権の過半数を国が持ち、事実上東電は国有化されることになった。

 他方、関西電力の筆頭株主である大阪市は、橋下徹市長が出席して、いくつか質問していたが、そのひとつに、東京都の東電に対する提案と同様、関西電力の定款に原発の可及的速やかな廃止を書き込むようにと提案があった。定款の変更には、出席株主議席権の2/3以上の賛成が必要で、それは否決された。

 しかし、二つの株式総会だけでもかなり世間の関心を引いたのではないか。投資家である株主は、震災のように国を揺るがすような事態でも起こらなければ、これまで株主総会なぞに目を向けることはあまりなかった。

 その他の東北、中部、中国、四国、九州各電力会社の株主提案にも、原発の運転停止、廃炉など脱原発に関わる議案が多かった。

 それだけでも震災の影響は大きいと感じると同時に、我々の周囲にはまだまだ目を背けていることはないだろうかと意外な死角に気づかされたように思う。

2012年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1870.2012年6月26日(火) 消費増税法案、衆議院で可決

 お中元品を買い求めるために妻と小田急百貨店へ出かけて帰ってみると、テレビでタイミング良く衆議院本会議の真最中で、「社会保障と税の一体改革」関連法案の採決が行われていた。

 ここ数日消費税値上げに関する本質的な議論から脱線して、民主党内でどれほど法案反対の造反議員が現れ、彼らに対するお仕置きをどの程度課すべきかという低次元で本末転倒の話題ばかりが先行して些かうんざりしていたところである。

 関連法案は8つばかりあって、それぞれ、投票、或いは起立による採決を行っていたが、本丸の「消費税率引き上げ法案」の採決の結果は、賛成363、反対96の大差で法案が可決された。反対票の内、いわゆる民主党員の反対投票者は57人で、16人が棄権した。

 しかし、造反者は73人の多数に上り、民主党員の約1/4が異を唱えたことになる。反対の先鋒・小沢元代表は離党をほのめかすようなニュアンスのコメントを述べていた。当分民主党内には激震が走りそうな気配である。

 衆議院で可決されたことにより法案は参議院に送られ、来月か、8月初めに参議院で可決なら法案成立となり、消費税は2014年4月に8%へ、15年10月に10%へ値上げされるというシナリオになる。

 今回の一連のドタバタ騒ぎについて、はっきり言って国民は呆れている。3年前の総選挙で民主党がマニフェストに掲げた肝心の約束はほとんど実行されていない。そして、この大騒ぎの消費増税だってマニフェストには書かれていなかったものだ。小沢元代表が言うように、約束していないことをやる前にやるべきことがあると声を大にして叫ぶ気持ちも分からないではない。どうも、未熟児民主党は自民党がガバナンスがまるで駄目だと指摘するように、政党の体を成していない。自民党も今回ばかりは消費増税賛成の立場から、与党案に同意したが、他の政策案で反対を言い出す可能性も大いにありで、野田首相の政権運営は前途多難である。

 民主党がふわふわして腰が落ち着かない体質になった最大の原因は、元々寄り合い所帯だったことに加えて、強いリーダーシップを持った人物が嫌われ者の小沢氏以外におらず、党内が小粒の政治屋でばらばらだったことにある。

 民主党最初の総理大臣になった、恥知らずの鳩山由紀夫氏が、在任中空手形を連発して選挙民に対しても実行できもしない約束を平気で口走る軽率さが、国民の信頼を失い大きな味噌をつけた。自分から引退を公言しながら、性懲りもなく恥の上塗りをやっている人物が今日もまた投票後に何ゆえ自分が反対票を投じたかの自論を軽佻浮薄にも語っている。こんな人物が党内にいるようでは、与党民主党も奈落の底へ落ちていくばかりだと思う。

 一段落したら、少数与党に転落しようとも民主党は一度身を削いだ方が、将来民主党が生き残っていくためにはより大切なことのように思えるのだが・・・。

2012年6月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1869.2012年6月25日(月) ロベール・ギラン著「ゾルゲの時代」を読む。

 先日セルビアの友人・山崎洋さんが「三田評論」6月号に書いた、ベオグラードで慶應塾歌が演奏されたエピソードに関するエッセイのコピーを慶應関係の友人らにメール送信したところ、早速ゼミの仲間・池田博充くんから連絡があった。山崎さんのご両親(ゾルゲ事件のブランコ・ド・ブケリッチ氏と山崎淑子さん)について、フランスの「ル・モンド」紙の名物編集長だったロベール・ギランが著した「ゾルゲの時代」が実に興味深いという。戦前・戦中時フランスの「アヴァス」通信社・東京支局長で、その当時ブケリッチ氏の上司としてプライベートな面を含めて、ブケリッチ氏を身近によく知るギランが、主役として山崎さん家族のことに大きく頁を割いて、その仕事ぶり、人柄、関係者の交流まで詳しく書いているので、ぜひ読んでみてはどうかと親切に知らせてくれた。

 新刊書ではないので、街の書店で買い求めることは中々難しい。彼がアマゾンで入手できるというので、早速インターネットでアマゾンから古書2冊を購入した。1冊は同じゼミの赤松晋さんに差し上げたところだ。山崎さんのエッセイには私の紹介同様に、赤松さんの名前も紹介していることもあるし、先日山崎さんが一時帰国の際にはともに食事をとったからでもある。

 読書家・池田くんお薦めの「ゾルゲの時代」を一気に読んだ。筆者はブケリッチ氏とオフィスで机を並べながら、敏腕ジャーナリストらしい筆致で冷静に生々しいドキュメントを描いている。あの戦前・戦中の軍国化が進む日本の首都・東京で、外国人記者として厳しい注目と監視の下に、ブケリッチ氏の仕事ぶりと人柄を高く評価し、ブケリッチ夫妻には公私に亘り温かい友情を持って好意的に接している。

 また、日独防共協定、日ソ不可侵条約、スターリンとヒットラーの駆け引き、険悪化する日米関係の経緯、等々について今まで知らなかった事実を含め、興味深い内容が盛りだくさんだった。これまでどうしてこのようにゾルゲ事件を間接的に描いた佳作を知らなかったのだろうかと、もう少し早く読んでおけばと少々残念な気がした。それにしても池田くんはよくこんな名著を見つけて教えてくれたものだとありがたい気持ちである。

 母上・山崎淑子さんは毅然とした教養溢れる女性だったが、いつか電話でお話した時、ブケリッチ氏が亡くなられて遺体を引き取りに網走刑務所へ行った際、遺体は座棺に納められていたので、多分酷い待遇を受けたのだろうと涙が止まらなかったと悔しそうに率直に話されたことと、山崎さんが生まれる前に「洋」という名前は二つの大陸を結び世界へ向かうことを意味する「洋」と名づけようとブケリッチ氏と話し合われたと仰っていた。また、ユーゴ紛争の時なぞ、NATO軍の空爆に対して欧米を厳しく批難されていた。

 しかし、これほどの好著がさして洛陽の紙価を高めたように思えなかったのは、何か原因があったのだろうか。

戦時中のスパイ事件について世界的なジャーナリストが書き下ろした、話題のテーマを取り扱った好著として、1980年中央公論社から上梓された経緯を考えてみてもどうも分からない。

 ともかく、友人を想い久しぶりに読み応えのある、考えさせられる本を読んだという感想である。改めて父上の旧ユーゴ日刊紙「ポリティカ」記事を山崎洋さんが編纂した「ブランコ・ヴケリッチ 日本からの手紙」(2007年「未知谷」社発行)を再読してみようかと思っている。

2012年6月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1868.2012年6月24日(日) クラシック音楽と美食の一日

 大学ゼミの赤松晋さんが所属している上野浅草オーケストラの今年最初の定期演奏会があり、いつも通り浅草公会堂でゼミ仲間と演奏を楽しんだ。妻はコーラス・グループの合唱祭があるため不参加である。

 まず浅草で驚いたのは、やはり東京スカイツリー人気のおかげであろうか、混雑した地下鉄に始まり、浅草駅構内の混雑ぶり、路上へ出た時圧倒されるような人混み、観光バスの多さ、そしてレストランの満員御礼である。いつもは直ぐ入れる蕎麦屋では、店外でしばらく待たされるほどの千客万来ぶりである。漸く店内に入り相席をした商人風のおじさんに尋ねてみると、最近は毎休日になるとこのような溢れる人出だと話してくれた。日本経済に少しでもおすそ分けしてくれないものかなと願う。

 さて、今日の演奏曲目は、①ロッシーニの歌劇「どろぼうかささぎ」序曲、②ブラームス作曲ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲・イ短調・作品102、③シベリウス作曲「交響曲第2番・ニ長調・作品43」で、①以外は初めて聴く曲だったが、最近シベリウスに若干関心を持っていたので、注意深く聴いたが、中々難解だと感じた。しかし、深みのある曲で、北欧の緑深い自然のバックグラウンドが感じられた。できれば順序として、この交響曲第2番の前にフィンランドの第二国歌とも言われる「フィンランディア」を聴くことができれば、なお良かったかもしれない。

 演奏会終了後、奥さま方を交え総勢16名の食事会。前回と同じ「アリゾナ」レストランで美味な食事をいただく。この席で現在進行中の追悼文集発行作業の途中経過を説明し、秋の飯田会で配布の予定にしていることを了解してもらう。この「アリゾナ」は、文豪・永井荷風が生前愛用していたレストランで、店内にも荷風の写真などが飾られている。店の主人に荷風の「濹東綺譚」復刻本を拝見させてもらう。筆かペンか分からないほど繊細な筆使いで書かれた直筆には、つい唸ってしまう。改めて荷風の天才ぶりに脱帽である。

 それにしても、ゼミの強い仲間意識の絆で今もクラシック音楽に、文学の香りに触れることができることは幸運であると考えている。いつまでもこのほの温かい集まりが続くことを願っている。

2012年6月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1867.2012年6月23日(土) 67年を迎えた沖縄「慰霊の日」

 今日6月23日は沖縄「慰霊の日」である。67年前の今日、悲惨な地上戦で旧日本軍の組織的な戦闘が終わった。戦闘員、非戦闘員を含め全島民の約1/4が亡くなったと言われている。正午から糸満市内の摩文仁の丘にある平和祈念公園で沖縄全戦没者追悼式が行われ、野田首相、衆参両議院議長、仲井真知事らが出席して追悼の辞を述べていた。

 その追悼式の中継より、公園内にある「平和の礎(いしじ)」の戦没者の墓名碑の前で、花環を手向け語りかける幾組かの遺族の姿が印象的だった。そこには24万人の名前が刻まれているという。

 沖縄が日本に復帰してから今年でちょうど40年になる。奇しくも日中国交が回復してから同じ40年になる。

 沖縄問題の底辺に残るわだかまりのようなものは今も消えない。67年の長い間の沖縄県民の苦労は、どれだけ癒されただろうかと考えると、一時期本土復帰運動に関わった身としては忸怩たる思いである。

 今日の知事と首相のスピーチを聞いていても、言葉のすれ違いが目立つ。知事は「沖縄戦の痛ましい犠牲を教訓として肝に銘じ、平和を求めてきたが、県民の負担は続いている。日米両政府には普天間基地の一日も早い県外移設、日米地位協定の抜本的見直しを強く求める」と述べた。その一方で、野田首相は沖縄県民の気持ちを斟酌し、米軍基地の縮小を図りながら問題の普天間基地を辺野古へ移転して市民の負担を軽減したいと語り、従来通り話は平行線である。当分の間交わることはないような気がする。

 夢物語であるが、60年安保闘争に熱中していた学生時代、もしあの時安保条約改定を許さなかったら、今の沖縄の現状はもう少し良い方向へ変わっていたのではないかとも思う。いつまでも心に残る棘が消えることはない。

2012年6月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1866.2012年6月22日(金) 中国覇権主義の実態

 シリアで市民の凄惨な虐殺が行われている。テロについてシリア政府は反政府軍が仕掛けたものだという。今や国内は内戦による泥沼状態となり、国連監視軍もあまりにも危険で市街をパトロールできない状態だという。そこへ昨日ミグ戦闘機で隣国ヨルダンへ脱出したシリア空軍パイロットまで現れた。シリア軍内にも異変が起きているのかもしれない。国連安保理も、ロシアと中国の反対に遭って効果的な停戦への話し合いもできない有様である。

 その中国の言い分には、シリアへの他国の干渉は内政干渉に当たるという、もっともらしい論理があるが、どう見ても最近の中国政府の自意識過剰な傲慢ぶり、自己本位、露骨な覇権主義は明らかに度を超えていると思う。

 今年は日中国交40周年という記念の年である。だが、国を挙げて賑々しくお祝いするほどのムードではなくなっている。NHKの最近のアンケートでも、中国人の日本に対するイメージが良くないとする人の割合が約60%であるのに対して、日本人の中国に対する印象は80%以上が良くないと回答された。最近になってイメージが悪化している。

 実際に中国を訪れたり、中国人と付き合う人はそれほど多くはないと思うので、そのマイナス・イメージのほとんどはメディアによる影響であろう。しかし、日本人の5人に4人が中国にあまり良い印象を抱いていないことは、国際間の交流が深まっていく中で決して双方にとって幸せなことではない。

 翻ってお前は現今の中国についてどう思うかと問われれば、残念ながら今の中国政府の考えや手法には賛意を示すわけにはいかないというのが、本心である。かつて同じ職場に若い中国人が働いてくれていて、彼らは優秀で人柄も素晴らしく、何度か一緒に中国へ行った。当時現地で接した中国の人々も温かく、親切で清々しい印象を持った。それが今の一般的な中国人のイメージとなると、どこに対しても闘争心剥き出しで、手ごわい自己中心的な国民というイメージがある。大きなお世話かもしれないが、今の一党独裁の政治体制ではいずれ行き詰まり、中国の民主化は遠い夢と考えざるを得ない。広く国民による選挙制度によって選ばれた人たちによる国家の運営を図って行かなけらば、中国の民主化は程遠いし、遠からぬ将来に大きな壁、第二の革命にぶち当たるのではないかと憂慮している。

 日本人が昨今中国に対して抱く良からぬ印象の最大の原因は、領土問題、いわゆる尖閣列島問題である。折も折今朝の日経紙に依れば、南シナ海の領有権を巡る緊張が再び高まってきた。相変わらず覇権主義が満々なのである。中国は西沙諸島と南沙諸島の領有権争いで、前者はフィリピンと、後者はベトナムと自国領土を主張して争っているが、地図をよく観察すれば、どう贔屓目に見ても両諸島は地勢上中国には自国領土と主張する資格がないように思える。これまでも横車を押し続ける中国のやり方に対しては、いずれ周辺諸国からレッドカードが突きつけられるだろう。そうならない内に、冷静にどちらの言い分に理があるか、考えて善隣外交を行った方が、将来的にどれだけ中国にとってプラスかをよくよく考えた方が良いのではないだろうか。

 中国に関するマイナス報道はこれだけに留まらない。今朝の朝日一面にも中国が北朝鮮制裁決議で違反の疑いが明らかになった21件について掲載されている。これまでも国連の調査を拒否して、北朝鮮に対する支援を否認し続けてきたが、国連安保理で批判を受けて近く公表することに同意した。

 どうも今日の中国では、孔子、孟子ら偉大な先人が嘆くような事態が恥ずかしげもなく行われている。これでは国際社会の信頼も損なわれるのは明らかだ。

 さて、今日で東京スカイツリー開業1ヶ月になった。入場者は580万人で、当初予想の2倍だというからこの不景気の時代に大変結構なことである。東京ディズニーランドの1年間の入場者数が24百万人程度だというから、いかに人気があるか想像がつく。久しぶりのホームランではないだろうか。ぜひともあやかりたいものである。

2012年6月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1865.2012年6月21日(木) 民主党は分裂か。

 昨日民主党は党として国会に提出する消費増税を含む「税と社会保障の一体改革関連法案」を、党議員に説明し党内でまとめるべく国会議員懇談会を開き、野田首相及び執行部が法案提出への協力を呼びかけたが、端から消費増税に対する小沢元代表ら反対グループの強い抵抗の声に押されて時間切れとなり、首相と幹事長に一任という事態になり怒号の中を集会は打ち切りとなった。周囲はいよいよ民主党内は分裂かと色めき立っている。小沢元代表は今日法案提出では当然反対票を投じると語り、採決後に同志と相談して最善の選択肢を採るとコメントした。小沢氏の離党はほぼ確実だろう。民主党の分裂は間違いないところだ。

 その後、国会では当初噂されていた会期末の今日中に同法案の採決を図るかと思いきや、審議が必要であるとして国会会期を9月8日まで何と79日も延長することを決めたこと以外何も決められなかった。

 政治がこんな行き詰まった状態だから、皆すべてに真剣味が薄れている。昨日は原発再稼動が決まったばかりの大飯原発で、タンク内の水位が異常に低下して警報が鳴ったにも拘らず、直ちに事態を報告せず、大分経過してから公表するという好い加減さである。これを関西電力では、外部に公表するような事態ではないと真剣味のない開き直りのコメントを出す有様である。こんな弛緩したマインドで、第二の福島原発事故の再発を防ぐことができるのだろうか。

 さて、日本国内の政治がこの体たらくなら、海外でも心配なことがたくさんある。先日大統領選が行われ、イスラム同胞団のムルシ氏が当選したばかりだが、新しい政治体制には軍部が同調しないようで、若者の間では軍部によるクーデターだと、軍に対する反発の声が挙がっている。

 シリアでは相変わらず政治と社会の混乱は続いており、内戦状態にある。アメリカのオバマ大統領がシリアを支援するロシアと中国にシリアへの援助を控えるよう説得したが、これも功を奏さず、袋小路に入った感じである。

 ギリシャでは漸く連立政権が成立する舞台はできたが、財政不安は未だ解決の見通しが立たず、ユーロからの離脱は一時的に避けられたとは言え、今もギリシャ経済への不安は消えていない。

 内外の社会環境がこんな状態で、我々大したことをやっていない人間にとってもどうしてこうも今権力を握っている人たちは、自分たちのことしか考えないのだろうと不信感ばかりが募る。

2012年6月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com