1874.2012年6月30日(土) ベツレヘムの聖誕教会、パレスチナ初の世界遺産に

 2012年の世界遺産申請の登録採否を認定するユネスコ・世界遺産委員会が、25日から来月5日までロシアのサンクト・ペテルブルグで開催されている。

 最近訪れたイスラエルのエルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教にとって聖地であり、世界遺産に匹敵する価値ある遺跡や文化財がゴマンとある。だが、残念ながらそのエルサレムは現在世界遺産に登録されていない。イスラエルのガイド、シュタイン・朋子さんに尋ねると、すでにヨルダンから申請が出されているそうだが、今ではエルサレムはイスラエルに占領されていて、下手に動くと両国間、またアラブ諸国とイスラエルの紛争再発の火種となる恐れもあり、その点を憂慮したユネスコが登録を保留しているという。

 今朝NHKのテレビニュースを観ていて、‘あれっ’どこかで見たような気がした石造りの教会の映像が映った。正に先日訪れたばかりのエルサレム郊外のパレスチナ自治区ベツレヘムにある聖誕教会だったのである。イエス・キリストが生まれた、その聖誕教会がパレスチナ自治区初めての世界遺産として登録されたという歓迎すべきニュースだった。それでは他にも今年リストアップされる世界遺産が決まったのかと興味を持ったが、いくらインターネットで探しても今年の世界遺産リストを見つけ出すことができなかった。結局朝日夕刊に報道された解説を読んでやっと事情が飲み込めた。現在開催中のユネスコ世界遺産委員会の会議で聖誕教会の登録が決定し、いち早く発表されたのだ。

 なぜこの聖誕教会の世界遺産に拘るかというと、そこにはこの世界遺産がどの国に所属するかという国籍問題があるからである。聖誕教会は現在立地上イスラエル国内にある。問題は、聖誕教会があるパレスチナ自治区のベツレヘムがかつての母国ヨルダンに帰属するのか、或いは占領国イスラエルの土地なのかが、はっきりしないことである。

 ところで今日の登録で、ある程度ユニークな事情が分かった。新聞によるとこの聖誕教会はヨルダンでもなく、イスラエルに所属するものでもない。国連には加盟していないが、ユネスコの加盟国である「パレスチナ国家」が申請していたのだ。その登録は今後政治的には問題を残しそうで、すでにイスラエルが反発しているようだ。その一方で、個人的にはこれだけ価値のある遺産が世界遺産として登録され、世間に知らしめる機会が増えることはめでたい限りだと思っている。

2012年6月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com