1871.2012年6月27日(水) 東京電力株主総会で実質国有化を決定

 昨日の衆議院で可決された「社会保障と税の一体改革」関連法案について、今朝から各メディアは喧しい。テレビでは賛成票を投じた議員より、反対票を投じた、いわゆる造反議員の方がもてはやされている。離党して新党か、党内に留まるか、注目を集めている渦中の小沢一郎・元民主党代表は、今のところこの問題に関しては口を閉ざしているが、メディアの間では離党して新党を結成するだろうと噂されている。残念ながらこんな政界の有様に震災被災地周辺から強い不満の声が上がっている。

 6月下旬と言えば、恒例の民間企業・株主総会の時節である。今日も各企業の株主総会がそこかしこで開かれていた。問題の東京電力と関西電力についても株主総会の様子がいつになく細かく伝えられていた。東電は、昨年ホテルの総会会場に予想を遥かに超える株主が押しかけ、会場に入りきれず株主が騒ぎ出した事態に懲りて、何と国立代々木競技場第一体育館を会場に充てる用意周到さである。筆頭株主である東京都を代表して猪瀬直樹・副知事が出席して、いくつか提案を出したようだ。メディアも言うように経営悪化を理由に電力料金の値上げに対して、その前に自分たちの身を削れとも主張した。これも何やら民主党の造反議員が主張している、消費増税の前にやるべきことがあると述べているのと同じ科白には笑ってしまう。

 猪瀬副知事らが追求しているのは、保有不動産を売却することが昨年決まったが、未だに遅々として不動産売却は進んでいないし、人件費等経費の削減にも努力が欠けているという点に関してである。

 なお、東電は政府から1兆円の支援を受け入れることにより、議決権の過半数を国が持ち、事実上東電は国有化されることになった。

 他方、関西電力の筆頭株主である大阪市は、橋下徹市長が出席して、いくつか質問していたが、そのひとつに、東京都の東電に対する提案と同様、関西電力の定款に原発の可及的速やかな廃止を書き込むようにと提案があった。定款の変更には、出席株主議席権の2/3以上の賛成が必要で、それは否決された。

 しかし、二つの株式総会だけでもかなり世間の関心を引いたのではないか。投資家である株主は、震災のように国を揺るがすような事態でも起こらなければ、これまで株主総会なぞに目を向けることはあまりなかった。

 その他の東北、中部、中国、四国、九州各電力会社の株主提案にも、原発の運転停止、廃炉など脱原発に関わる議案が多かった。

 それだけでも震災の影響は大きいと感じると同時に、我々の周囲にはまだまだ目を背けていることはないだろうかと意外な死角に気づかされたように思う。

2012年6月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com