2058.2012年12月31日(月) 今年1年を振り返って

 今年もついに大晦日を迎えることになった。どういうわけだが、高校入学直前に従姉妹夫婦に観せてもらった樋口一葉原作の映画「大つごもり」を思い出す。

 さて、今日まで3連泊した二男家族は、午前中に新潟へ帰っていった。

 午後になって年末の様子を探るべく近所の駒沢公園へウォーキングに出かけたところ、公園内の静まり返った雰囲気の予想が見事に覆され、どっと人があふれ出てきた。ちょうど陸上競技場の周辺を歩いていた時、何かの団体スポーツが終わって観客が出てきたのだ。テレビ放送車の係員に尋ねてみると、ちょうど全国高校サッカー大会の青森山田高対滋賀県立野洲高戦が終わったところとのことだった。入場料金を見ると大人1500円だった。余計なことだが、いくら全国大会とは言え、高校生の試合にしては少々高いのではないかと思う。高校生のカラスのようなクロっぽいジャージー姿がやたら目についた。 

 ところで、今年を振り返ってみて、自分にとって果たして満足できる1年だっただろうか。健康管理はもう少し注意を払う必要があったと反省している。だが、自分の成すべきことはある程度やれたのではないかと思っている。

 幸いにも3月に昨年創立90周年記念事業として母校に新設された「湘南高校歴史館」内に、ノーベル賞受賞者・根岸英一博士、石原慎太郎「日本維新の会」代表、世界的指揮者・大野和士氏ら著名な卒業生とともに「湘南大樹」の一葉として名前と活動歴を展示してもらったことは大変名誉なことだと考えている。そのタイトルには、若い頃ヨルダンで軍隊に捕まったと紹介されている。それに刺激されて後記のように再びヨルダン訪れることになった。

 著述では、欲を言えば、一冊単行本を出したかった。だが、これは昨年書いたエッセイ「トラック島の日系人大酋長の大和魂と謎」の内容を膨らませる形で現在ドキュメント風に書き直しているので、来年の課題と考えている。

 私のエッセイやドキュメントの原点である旅とついては、6月に45年ぶりにヨルダンを訪れることができた。身柄を拘束された悪夢の現場を自分自身で検証し、長年の宿願を果たしたことで一応善しとしたい。ヨルダンの現状を見て、45年前のイスラエルとのささくれ立っていた敵対関係はかなり氷解したように受け止めた。パレスチナ問題を始めイスラエルに対するアラブ人の現在の感情もは理解することができたような気がする。来年はドキュメント執筆の絡みもあり、やはり旧トラック島を訪れないわけには行かないと思っている。もし、時間が取れれば、モロッコとチュニジアの世界遺産も訪れてみたい。

 世界遺産見学も今年は160ヶ所へ積み重ねるつもりだったが、それ以上の166ヶ所を訪れることができた。いくつ訪れるというターゲットがあるわけではないが、ひとつひとつ訪問数を着実に増やしたい。それが、今最も依頼の多い世界遺産関係の講演にも役立つことにつながると考えている。できれば、来年はトータル170ヶ所に足跡を残したいと思っている。

 また、昨年5月に亡くなられた大学ゼミの恩師・飯田鼎先生を偲ぶ追悼文集「飯田鼎先生追悼文集」を10月に発行することができたことも大きな喜びである。1年近い時間をかけたが、編集長として、ある程度納得のゆく文集を発行することができて、先生の奥様にもゼミ会員にも喜んでいただけたことは晴れがましい気持ちである。文集には親友で16年前に亡くなった中柴章くんに生前贈ってもらった短歌集から、そのいくつかを選択して掲載できたことは個人的にも大きな喜びである。彼の短歌に同期生全員の写真を添えて彼を思い出してもらえるよう工夫してみた。そのでき上がった文集を奥様と二人の娘さんにも贈呈して喜んでいただけたことは密かな喜びである。

 ベオグラードの山崎洋さんとも彼の2度の一時帰国中に何度か会って、コンサートに付き合ったり、セルビアの抒情詩人・ニェゴシュの翻訳書の岩波文庫版の橋渡しをすることができた。実現するかどうかは、五分五分の可能性だが、来年岩波文庫として出版の朗報を伝えられれば嬉しい限りである。

 考えれば、来年いくらでもやるべきことはある。健康に留意しながら、来年どころかもうしばらくはアクティブに活動したいと考えている。

 ニュースではアメリカの経済危機を予感させる「財政の崖」の期限が待ったなしとの報道が成されている。日本にも影響が及びかねない。来年の経済凶事を予感させないことを願っている。

 まもなくNHK紅白歌合戦も終わり、除夜の鐘が鳴る。明日はいよいよ新年を迎える。良い年であることを祈っている。

2012年12月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2057.2012年12月30日(日) 今年の10大政治ニュース

 今年もあと残り2日となり、いよいよ押し詰まってきた。滞在中の二男家族は、まだ私が寝ている間に雨の中をディズニーランドへ車で出かけてしまった。居候中の長男も昨晩遅く帰ってきて、今日と明日の2日間マラソン仲間と伊豆・修善寺で合宿すると言って車で出かけた。

 疲れ気味の妻は、昨日買い込んだ新種のスマホ使用方法の習得に余念がないが、中々思うように行かないようで、夕方帰ってきた二男に細かい説明を受けて漸く少しは分ってきたようだ。まだ、家の中は大掃除が残っているが、年賀状は25日までに511通投函したのでまずほっとしている。やれやれと新聞を読んでいると、日経紙に政治部記者が選ぶ今年の10大ニュースが載っているのが目についた。

 トップ10は、①衆院選で自民圧勝、②野田首相、党首討論で解散表明、③消費増税法が成立、④政府、尖閣諸島を国有化、⑤自民総裁選安倍氏が逆転で再登板、⑥消費増税巡り3党合意。民主分裂、⑦北朝鮮がミサイル発射、⑧韓国大統領が竹島上陸、⑨政府、大飯原発再稼動を決定、⑩維新など第3極が合従連衡、だった。⑩の第3極の動静の中でも、橋本徹・大阪市長の「日本維新の会」結成とか、嘉田代表と小沢一郎氏の「日本未来の党」結成や分裂が具体的な表現で載らなかったのは意外だった。これも彼らの影響力の薄さを暗示しているのではないだろうか。

 因みに昨2011年は、①に震災・原発、菅首相、問われた初動、②北朝鮮の金正日総書記が死去、③野田内閣が発足、がトップ3に入っていた。いずれも政治にからむ事象なので、必ずしも山中伸弥教授のノーベル賞受賞や、日本中が関心を持ったロンドン・オリンピックのようなあまり明るい話題が載ってなくて気晴らしになることはない。特に、尖閣諸島と竹島問題で中韓両国との関係が急激に険悪になり、当分回復の兆しが見えないことが引っかかる。大飯原発再稼動は、6月にアンマンで見た現地朝刊紙に、再稼動反対のプラカードを掲げているデモの写真入り記事が掲載されるほど海外で注目されている。だが、ご本家のわが国内では毎週金曜日に首相官邸前で反対デモがあっても現実には具体的な効果が表れず、政府に押し切られてしまうほど弱いものだったのかと失望させられるとともに、その厳しさも思い知らされた。

 果たして来年は、安倍新政権が国民の期待に応えてくれる政治や外交を行って、更に景気浮揚をやってくれるのか、あまり大きな期待はできそうもないが当面注視していきたいと思う。

2012年12月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2056.2012年12月29日(土) 就任早々にウソツキ発言の茂木大臣

 青森県東通原発が活断層上にあるとの原子力規制委員会の意見に対して、東北電力が反論しているが、やや説得力に乏しいところへ世間の脱原発ムードもあって些か旗色が悪い。このままだと東通原発の再稼動は難しい雲行きである。

 一方、関西電力が大飯原発は活断層上にはないとする反論について、原子力規制委員会が今日改めて大飯原発の地質調査を行い、結論は先に延ばされたが、活断層の疑いは依然として拭えない。

 昨日分裂することになった「日本未来の党」も総選挙中は卒原発をしきりに訴えていた。世論は脱原発の流れに乗っていた。だが、必ずしも先の総選挙で世論がそのまま通じたわけではない。

 それにしても茂木敏充・経済産業兼原子力経済被害担当大臣が、就任早々に民主党政権の「未着工の原発の新増設は認めない」との方針を白紙にすると堂々表明したのにはびっくり仰天である。

 前政権が決めた方針を就任したばかりの一大臣が、党内の意見をすり合せることもなく個人の見解で180度変更しても良いものだろうか。総選挙前から自民党は可能な限り原発依存度を減らすとしていたが、茂木大臣の見解との整合性はどうなのか。自民党は原発に依存しない社会をつくると謳ってきた筈ではなかったのか。実際手元にある自民党の選挙重点公約には、「エネルギー」項目では「3年間再生可能エネルギーの最大限の導入、省エネの最大限の推進」「安全第一の原則のもと、独立した規制委員会による専門的判断をいかなる事情よりも優先し、原発の再稼動の可否については順次判断し、すべての原発について3年以内の結論を目指す」と掲げている。

 今日の朝日の社説でも「脱原発への航路や速度に議論の余地があるにしても、乗客が船に乗り込んだとたん、逆方向へかじを切るようなやり方は、政治の信頼性に関わる。これでは『反省ゼロ』政策である」と茂木大臣の見解を手厳しく批判している。

 茂木大臣の発言は、捻じ曲げられた党の公的意見なのか、或いは大臣の個人的勇み足なのか、はっきりしてもらいたい。そのうえで、仮に大臣の個人的見解だとするなら、国民の期待を裏切った大ウソツキが大臣になったわけで、安倍首相の任命責任も問わなければならないし、茂木大臣には職責を全うできる見識や能力がないと判断せざるを得ず、直ちに辞任すべきではないかと考える。

 ことは安閑としている場合ではなく、メディアも厳しく追求すべきである。

 この茂木大臣のように、ちょっと目を離しているとすぐ悪事を行うチンピラ風情と何ら変わらないのが、昨今の政治屋稼業だ。大臣になってすぐに国民に向かって大オオウソをつくとは、公僕として倫理に悖るし、あまりにも軽薄な言動は情けない。

2012年12月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2055.2012年12月28日(金) 松井秀樹選手引退と来日するA・ジョーンズ選手

 アメリカ・メジャーリーグで活躍していた松井秀喜選手がニューヨークで引退を発表した。今年は本人にとって度重なる怪我のせいもあり、成績は上がらず不本意なシーズンだったろう。7月のシーズン半ばで所属のタンパ・ベイ・レイズから戦力外として契約解除され、他チームからオファーを待っていたが、結局どこからも声がかからず、大リーグ生活10年で終止符を打つことになった。有終の美を飾ったとは言えまいが、メジャー生活10年間を通してまずまず期待されていた通りの成績を収めたのではないかと思う。

 1236試合に出場して、1253安打、175本塁打を放ち、打率0.282の成績を挙げ、入団3、4年目には打率3割をクリアしたから立派なものだと思う。とりわけ2009年ヤンキース最後の1年はワールド・チャンピオンになり、自身MVPを獲得したので、ある程度満足だろう。もう一人の花形選手、イチロー選手は、引き続きヤンキースと2年間の契約を結んだので、改めて今後の活躍を期待したいと思う。

 日本選手の活躍は野茂投手のデビューをきっかけに、イチロー、松井秀、佐々木、伊良部、松坂、斉藤隆、黒田、ダルビッシュらが続々メジャーへ進んだが、結論から言えば、投手に比べて打者には少々厳しかったようだ。来年も中島内野手がメジャー入りするが、本人が納得できる活躍をされんことを祈るばかりである。

 一方、メジャーから日本球界へ出稼ぎに来る選手も増えるばかりである。その中でも出色の選手は今シーズンまでヤンキースで活躍していたアンドリュー・ジョーンズ外野手だと思う。そのジョーンズ選手がつい2、3日前東北楽天と契約直後に傷害事件を引き起こし逮捕されたとのニュースが入ってきた。実際は夫婦喧嘩の末に妻が暴力を振るわれたとして警察へ届け出た、痴話喧嘩に過ぎなかったようで、楽天との契約も破棄には至らず、来年日本にやって来るようだ。

 このジョーンズ選手とは、不思議な縁があって2001年5月、二男とアメリカ旅行した時、アトランタで彼が出場したシカゴ・ホワイトソックス戦を観戦した。その当時、地元アトランタ・ブレーブスの人気選手だった、チッパー・ジョーンズ選手と並んで、若きアンドリュー・ジョーンズ選手がダブル・ジョーンズとして期待されていたのだ。成績はどうだったか、憶えていないが、両選手とも地元ファンの熱烈な声援を受けていたように記憶している。観戦の記念に売店で2選手の記念グッズを買った。チッパーのベアー・グッズは2男が結婚とともに持ち出し、今新潟の彼の自宅に置かれている。背に「A.JONES 25」と縫い付けられたアンドリュー・グッズは、わが家にでんと鎮座している。

 その息子たち家族3人が今日新潟からやって来た。今日から3泊4日間わが家に逗留する。長男も相変わらず居候しているので、妻はてんてこ舞いで大変だ。早くも昼食と夕食を一緒に取ろうと外食に出かけ、財政緊縮の折大きな散財をした。財布も緩むし、気遣いも並大抵ではない。

 年末は慌しいだけではなく、忙しさと気ぜわしさも普段の数倍になる。新年が明けて体調を崩さないよう気をつけなければいけない。

 アベノミクスの影響か、東京株式市場では昨日記録した今年の最高値に続いて、本年最後の取引となった今日も日経平均株価は前日比72円20銭高の1万395円を記録し、再び今年の最高値を更新した。この景気回復への足音が夢物語に終わらないことを切望している。

2012年12月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2054.2012年12月27日(木) 新党「日本未来の党」分裂のお粗末

  昨日自民党新政権が公明党と連携し、多くの難題を抱えて「危機突破内閣」と称して発足した。景気回復・経済再生、震災復興、消費税増税、外交、領土問題、等々目の前には問題が山積している。今度の内閣閣僚にはそれほどド素人は見当たらないようなので、実行力においてはある程度期待が持てるかも知れない。その点を市場が好感したのか、東証株価は今年の最高値、1万322円を記録した。円相場も円安が進み85円64銭で、漸く85円台へ戻った。

 政治の安定により、景気が回復すれば、これに越したことはない。

 さて、その一方で早くも何やらきな臭い匂いがする。結党僅か1ヶ月で「日本未来の党」が分裂の様相を呈してきた。結党当初から「国民の生活が第一」との合併の狙いは選挙目当てと見られ、その前途が危ぶまれていたが、やはり嘉田由紀子代表と「国民の~」代表・小沢一郎氏の間がこじれてきて、嘉田代表が軽々に年内に分党を示唆する発言をした。お互いの考えが合わないからこの際分裂は止むを得ないかの如き発言を聞いていると、嘉田代表の信念やガバナンスはどうなっているのかと疑問を感じる。まったく政党の体を成していない。衆議院比例区で「日本未来の党」に投票された342万票の大きな信頼をどう受け止め、どう考えているのだろうか。どうも嘉田代表には政党代表としての責任感が感じられない。こういう思いつきだけで行動する無責任な人が政党の代表の座に就いていること自体おかしいと思う。同党の所属議員17人のうち、小沢氏と行動をともにする人が15人いるので、「日本未来の党」は所属議員がたった2人の超少数政党となり、政党交付金(17人で約8億6500万円)もいただけなくなる。嘉田代表は選挙前の第3極ムードに押され、大分考えが甘かったように思う。原発反対に関して自身の考えがぶれたり、滋賀県議会から知事と政党代表の兼務の問題点を指摘されたり、今も迷走している。2期連続当選の現職・国松善次氏を破って滋賀県知事に当選して、新幹線新駅建設を認めなかった環境学者らしい颯爽としたデビューが世間を唸らせただけに、最近の新線建設容認のような偏向ぶりと今回の取り乱し方は別人の感がする。実際この竜頭蛇尾ぶりにはがっかりさせられる。

 自民党も原発再稼動へ向けて平静にしているが、本音では色気満々のようだし、どうも選挙さえクリアすれば何でもやってしまえという怪しい動きが見て取れる。まったく政治家には、ウソツキが益々増えてきた。

2012年12月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2053.2012年12月26日(水) 安倍晋三・総理大臣就任と日系人映画「二つの祖国で」鑑賞

 今日開かれた第182特別国会の首相指名選挙で総理大臣自民党総裁・安倍晋三氏が選出され、第2次安倍内閣が発足した。3年ぶりに自民党の復権である。安倍氏が首相に返り咲いたのは、名宰相・吉田茂以来である。よほど幸運の星の下に生まれた、運の良い人だとしか言いようがない。もとよりれっきとしたプロの外交官だった吉田茂と、お坊ちゃまの世襲議員・安倍氏では、その能力、存在感、行動力、影響力等において比ぶべくもないが、前回のドジを謙虚に反省して、国家国民のために献身し、身を粉にして任務を全うされるよう願わずにはいられない。

 安倍内閣の閣僚19名の平均年齢が、57.7歳と極めて若い。私より年長者はひとりもおらず、一番近い年齢でも麻生太郎・副総理財務相の72歳である。仮にいくら資金、行動力、人脈、意欲があったにしても、74歳の私なんか最早これから政治家になれる芽はまったくないということだ。

 少なくとも民主党が国民を裏切ったようなウソツキ政治は行わないよう要望しておきたい。

 さて、前から観たいと思っていた高校後輩のすずきじゅんいち氏監督作品で、山路ふみ子文化賞受賞作品「二つの祖国で―日系陸軍情報部―」を観た。アメリカで生活していたすずき氏が、日系人を対象に製作した「東洋宮武が覗いた時代」「442日系部隊・アメリカ史上最強の陸軍」に続く3部作の最終作品として完成させたものである。

 全編を通して普通の映画なら観られる第三者との多くの会話、恋愛、活劇、屋外の移動シーン等々がまったくなく、終始入れ替わり立ち代り関係者へのインタビューだったことが珍しいと言えば珍しい。話の中で戦争場面はあったが、これほど単純と言えば単調なストーリーの映画も珍しい。真剣に話を聞いていないと眠くなるほどである。だが、この映画の素晴らしいところは、話をする人たちが、先般亡くなられた上院議員ダニエル・イノウエ氏、元ハワイ州知事ジョージ・アリヨシ氏ら多くのインテリが、日米人の考え方の違いなどを分りやすく説明して、日系人としての心の葛藤などの内容もありきたりでない点をありのままに指摘したことがストーリーを飽きさせない大きな原因だと思う。

 タイトルの英語名はアメリカ陸軍の秘密情報機関MIS(Military Intelligent Service)であるが、この機関に在籍した日系米軍人が、戦地、または陸軍情報部語学学校(MISLA)で祖国日本を敵とする苦しい狭間の立場で、アメリカと日本のために活動した記録を映画化したものである。

 日系部隊と言えば、とかくヨーロッパのイタリア戦線の活躍がおおっぴらに紹介されるが、この映画では主にMISLAに所属した軍人の献身的で涙ぐましい活動ぶりを描いている。沖縄の人たちの悲惨さや苦しみ、兄弟同士が敵味方に分かれて殺気立ち苦しんだ日系人の話、またミズーリー号甲板上の降伏文書調印の場で中国人から発せられた日本人を殺せの緊迫した場面の話などは特に印象に残った。

 寡聞にして日系人のMIS については知らなかった。これまで旧陸軍の人たちからは戦争の話を随分伺ったが、アメリカに日系人のこういう機関ができて、対戦中暗躍していたことを初めて知った。中々の力作であり、よくぞこれほど多くの関係者を見つけ出し、インタビューしてこれだけの作品を作り上げてくれたものだ。機会があればこのMISについてももっと調べてみたいと思っている。

2012年12月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2052.2012年12月25日(火) 楽しかったクリスマス・ランチ

 芝白金の鈴木武朗さんからクリスマス・ランチのお誘いを受けた。白金台にある「ボエム」というイタリアン・レストランだったが、以前食事をした時は気候が良かったので、外のベランダだったが、今日は寒いことから屋内でいただくランチ・パーティとなった。店内へは初めて入ったが、19世紀のアメリカ風バーの雰囲気が漂っていて中々魅力的だ。

 今日集まった人の中には、何度かお会いした人もいたが、中でも主役である横堀幸司さんが出色の存在感をアピールしてくれる。横堀さんは山田太一氏や大島渚氏らとともに、木下恵介監督の下で助監督を務めておられた。現在も映画監督として活動しておられる。麻布高校から2年浪人の後、早稲田を出られ、松竹に入られた。驚いたのは、横堀さんが高校で私の1年先輩の味岡亨さんと葉山水樹さんをよくご存知で、とりわけ味岡さんとは刎頚の友だということである。味岡さんとは話をしたことはないが、鵠沼の実家の近くにおられ、その姿はしばしば見て知っていた。弁護士の葉山さんともども鵠沼におられるが、葉山さんの健康状態があまりぱっとしないということが少々気になることである。葉山さんはラグビー部の先輩でもあり、一緒にスクラムを組んでいたこともあるが、卒業後一度もお会いしていない。幸い横掘さんが一度味岡さん、葉山さんを交えて鵠沼で一杯やりましょうということを言ってくれた。楽しみにしている。

 ともかく楽しいムードのクリスマス・ランチだった。

 先の総選挙で大敗北を喫した民主党が今日新しい代表を決定した。流石に前回の代表選に比べて黄昏模様の現状では華やかさがない。その沈滞した空気の中で海江田万里・元経産相が馬渕澄夫・元国交相を破り選出された。今後党の再建を担うことになる。

 一方で明日開かれる臨時国会では安倍晋三・自民党総裁が新総理大臣に選出される。今日は閣僚人事があれこれ噂されていた。国交大臣のように過去3年間で5人も交替しためまぐるしいドラマは止めてもらいたいものだ。

 さて、20日の本ブログで取り上げた銃乱射問題が一向に愁眉が開けない。アメリカのコネチカット州の銃乱射事件を機に、またもや出かかった銃規制の声が薄れて行くアメリカ銃社会の毅然としない姿勢には世界中が呆れている。オバマ政権は来月2期目のスタートを切る。筋の通る正しい行動なら、まともな国民の支持は得られるだろうし、仮にいくら反対があろうとも政治生命を賭けるくらいの覚悟なら思い切ってできるはずである。しかし、「あらゆる権限で悲劇を阻止する」という言葉は虚しく、現実的な行動はのろい。その間に全米各地で無法な銃撃事件が散発的に起き、尊い命が失われている。

 乱射事件後、アメリカでは自分の身を守るとの市民の自己防衛論の高まりから、反って銃の特需を生んでいるという。加えて先日全米ライフル協会ラピエール副会長は記者会見で「武装した警備員がいれば、子どもの犠牲は防げたのではないか。銃を持った悪者を止められるのは銃を持った善人だけだ」と身勝手な言い分を述べた。更に全米の学校に銃で武装した警察官を置くべきだとまで主張した。こういう野蛮な考えが受け入れられるようでは、銃規制、悲劇阻止は絶望的である。

 アメリカ国民は西部時代のカビの生えた論理を振りかざして相変わらず危険な社会に生きることを望むのか、或いはこの際思い切って銃を全廃する道を選び、いずれ銃撃事件とはおさらばする安全な社会を選ぶのか。

 先進諸国の中で銃が自由勝手に持てる国はアメリカ以外にはない。さあ、アメリカどうする?

2012年12月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2051.2012年12月24日(月) 不透明なペン国際大会の会計処理と報告

 日本ペンクラブから浅田次郎会長名で書状が送られてきた。文字がやや大きいが、A4判4枚に文章がきっちり書き込まれている。「国際ペン東京大会2010における諸問題の反省と改善」と題して、一昨年9月に開催された国際ペン大会の大赤字の会計処理について、会長として事情説明と会員の理解を求める書状である。

 私も京王プラザホテルで開かれたパーティに2度参加して、ほとんどのペン幹部が自画自賛しているように、大会自体は成功だったと考えている。ただし、浅田文書にも書かれているように会計処理があまりにも杜撰で、穴の開いたバケツの中へ会費を放り込み仕事をしていたのではないかと考えざるを得ない。

 大会後しばらくして、そのお粗末な会計についてメディアでも大きく取り上げられた。特に、毎日新聞は当初から不適切会計として内偵していたようだが、昨年5月21日付同紙で「臭いものには蓋」的な対応を取ろうとするペンに対して公益法人としてあるまじきと厳しく非難した。昨年5月25日開催のペン総会には私自身も出席したが、やはりかなりの会員から会計処理を承認できないと、執行部に対して厳しい声が上がった。その結果、新会長に選出された浅田氏が、調査委員会を設けて調査報告書を作成するとその場で約束せざるを得なかった。

 その調査報告書は一応今年5月総会で了承され、大量の資料は会員なら事務所で閲覧可能ということで手打ちとなりつつあった。だが、簿外口座の開設やら大幅な予算超過について責任の所在などの点で納得できない会員がいることを配慮して、その間の経緯の要旨を認めたのが今日受け取った書状である。

 それによれば、1.実行委員長(当時のペン会長・阿刀田高氏)と幹事長(吉岡忍・常務理事)の責任、2.事務局員の責任、3.実行委員の責任、4.財務室の刷新、5.総括、とされている。現状では大会成功に向けた勇み足で、誰にも悪意はなかったと理解して、無報酬の幹部の責任追及はしないことと、雇用されている事務局員は処罰が当然と思考するが、就業規則に賞罰条項がない、などの理由から処罰をしないことになった。

 波風を立てないようにとの浅田会長の考えは分らないでもないが、事前に責任者の了解を得ることもなく予算外の過剰支出を行って多額の赤字を出して不適切な会計処理を行った当事者の責任は誰一人として負うことがないことになった。いつまでもこの問題を引き摺っていくのは、建設的ではないが、少なくとも責任者は職を辞し、事務局員には戒告でも課さなければ示しが付かないし、再発を防止することも難しいのではないかと考える。

 事務局に大金を取り扱う人間はいても、誰一人として経理を理解する人間がいなかったこともそれまでの日本ペンクラブの組織が好い加減だったという印象を受ける。果たして良識ある会員は、こんな中途半端な処分(?)と報告で納得するだろうか。

2012年12月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2050.2012年12月23日(日) 安倍さんは「成長」したか。

 先の総選挙で自民党が大勝したせいか、安倍総裁の表面的にやたら元気な言動が目立っている。26日に首班指名でまず次の総理大臣に指名されることが確実視されているが、それにしても早くも総理大臣になったかのようにあれこれ指示し、5年前の憔悴した印象とは随分違って「元気の良い」発言が目を引く。

 現在の行動は、まるで小泉政権時代に官房長官に抜擢されてから総理大臣に一気に駆け上っていったころを髣髴とさせる。当時小泉首相にお供して北朝鮮に行って金正日総書記に会い、韓国をも訪れて朴槿恵(パク・クネ)・次期大統領にも会ったことが、今改めて外交面でもトピックになっている。幸運な人である。景気回復を念頭に、デフレ脱却をアドバルーンとして打ち上げ、金融緩和については日銀法の改正にまで踏み込む威勢の良さである。顔色が悪く決して健康面で安心だとは言えない安倍総裁だが、株価の上昇、円安現象など現象面のメリットはすべて自分の言動が原因だと言わんばかりに得意満面である。

 こんな浮ついた調子だから国内で安倍総理大臣を不安視する人も結構いるようだ。アメリカでもワシントン・ポスト紙を始めメディアが不安を伝えている。安倍総裁は日米同盟の強化を訴えているが、それは善しとして、アメリカは中国と韓国との関係を緊密にすることを求めている。安倍氏の短絡的な点は、前者だけで善しとしている狭量さである。

 このように世間知らずであまり物事を深く考えずに発言する安倍氏の性格を憂慮したのか、昨日の日経夕刊「夕刊文化」欄のコラムに「安倍さんは『成長』したか」との見出しでこんなことが書かれている。少し長いが、冒頭部分を引用してみる。

 「自民党総裁の安倍晋三さんが再び首相の座に就く。5年前に持病を理由に政権を途中で投げ出し、ひ弱な印象を残したが成長したのだろうか。ある経済団体の首脳はこう見る。『50歳を過ぎた人が、成長するわけがないでしょう。経験は積めますがね』。安倍さんは58歳である。政界に精通する、ある経済人は『安倍さんはやっぱり3代目なんですよ』という。祖父は岸信介元首相、父は安倍晋太郎元外相と、自民党の大物政治家だ。名門の出身だけに『小さい時から真綿でくるまれるようにして育っている』点を危惧する」。

 指摘されているように安倍氏は、苦労を味わうことがない正真正銘のお坊ちゃまである。学生時代に後楽園ホールへボリショイ・サーカスを観に行ったことがある。父が仕事のうえで手に入れたようで、ラッキーにも特等席だったせいもあり、偶々前列に賓客である岸、安倍家族がいた。その中に両親と祖父の岸信介氏とともに無邪気にはしゃぐ安倍ボーヤがいたのだ。あのボーヤが総理に、しかも2度もなるなどとは夢にも思わなかった。

 それにしても世間でその能力とリーダーシップに懸念の声が溢れているのは、5年前の辞め方に原因があるが、安倍総裁に肝心な総理大臣としての能力と器量が備わっていないと心配されているからである。ぺらぺら喋ってはいるが、どうも中身がなく、本当に分っているのかどうか、大いに気になるところである。こんな人物に日本の舵取りを任せて大丈夫なのだろうか。そんな人物が総理になれること自体が異常ではないかと考えてしまう。

 古代ギリシャの哲学者プラトンは、哲学者こそが政治家となるべきだとの構想を提起したが、その点で自らの哲学を持っているようには見えない安倍総裁は、果たして政治家たり得るのか。

 これは世襲社会の掟のようなもので、跡継ぎを決めるお祭りとか、ムードがいつの間にかでき上がってしまう。今のように安易に世襲議員の進出を許していることの是非を真剣に考えないと、相も変わらず頼りない第2の安倍、第3の安倍が今後も輩出され、国民はいつもハラハラしながら政治の道筋を気にしていなければならなくなるのではないか。

 実際ポスト安倍の自民党総裁だって、世襲議員の石破茂幹事長にほぼ決まったようなものではないか。

 さて、今日でNHKの今年の大河ドラマ「平清盛」は最終回となった。清盛の死によって壇ノ浦の戦い、そして義経と弁慶の死まで一気に話が進んだ。平安朝宮廷内の内容がやや複雑で、人間関係がやや分り難かったが、毎回楽しみにしていた。残念ながら近年にないほど視聴率が低かったらしく、熱演した主役の松山ケンイチにとっては気の毒だった。来年は新島襄の妻・八重がヒロインの「八重の桜」だが、どんなストーリーになるか期して待とうと思う。

2012年12月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

2049.2012年12月22日(土) 丹羽前中国大使の言い分と無念

 私自身はもちろん、世界中の人々は今日も生きている。マヤ暦による地球終末の日の昨日、地球には大きな変化もなければ、況や消滅なんてなかった。マヤ暦の噂の予言は空振りに終わったのだ。マヤ暦の正確性と精緻な技術は別にして、2012年地球終末のご託宣は迷信にしか過ぎなかったということを示しただけだった。

 さて、今月14日アメリカ政府国務省のベントレイ報道部長が、尖閣諸島は日米安保条約の適用範囲であると中国側に伝えたことにより、表向きは中国が尖閣諸島を攻撃することが難しくなったと15日の本ブログに書き込んだが、それは条件付きだった。安保条約第5条に盛り込まれているアメリカの防衛義務が国防権限法で認められることがその条件だった。昨日上院は2013年度国防予算の枠組みを決める同法案を可決した。これにより日米安保条約第5条に基づき、有事の際は日米が協力して仮装敵国を攻撃できることになった。結果として中国は日本領土の尖閣諸島にうっかり手を出せなくなったわけである。このところ日本領空海を度々侵犯している中国の出方を今後注視する必要はあるが、日米安保条約は中国にとって嫌な行動規制となるだろう。この現象だけを見れば、「60年安保」で安保条約反対運動に参加した私としては、忸怩たる思いと同時に、不思議な感覚に捉われるが、言い訳がましく言うならその当時安保が破棄されていれば、別の平和への道のりがあったことは間違いない。そして、その別の国づくりの中で今日の中国と顔を合わせることになるわけである。

 今はどんな形であれ、日中間に何らかの抑止力が働いて武力行使などのトラブルが発生しないように願うばかりである。

 ところで、昨日の朝日朝刊「オピニオン」に丹羽宇一郎・前中国大使へのインタビュー記事が掲載されていた。大変お気の毒な辞め方をされてつい最近帰国された。赴任当初は鳴り物入りで大型民間外交として期待され、伊藤忠商事での中国との商取引経験を活かして日中友好に尽くしてくれるものと思われた。それが志半ばで帰任を余儀なくされたのである。2年4ヶ月の任期を終えて帰ってはきたが、任期を全うしたわけではなく、何と日本政府によって罷免されたのである。日中友好のために力を注いでいた丹羽氏の心中を察すると忍びない気もする。

 石原・前都知事が打ち出した尖閣諸島購入計画について、そんなことをやれば日中関係は重大な危機に遭遇すると語ったことが、一部の右派系民主党議員の心証を損ね政府内部からも批判されて罷免されることになった。初の民間大使として期待して送り出した政府が、職責を尽くす自国の大使を公然と非難したことが海外でも皮肉な見方で取り上げられた。これに対して丹羽前大使は一切言い訳はしないが、「石原氏の尖閣発言をなぜ首相は止めないのか。こんなことをしたら世界の信を失う」と任命権者である野田首相を強く批判している。

 これで今後大国への民間大使の芽はなくなったのではないかと思うと残念な気がする。

2012年12月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com