1948.2012年9月12日(水) 日本の教育予算はOECD34加盟国中最下位

 経済協力開発機構(OECD)が加盟34カ国の教育状況調査結果として、2009年の日本の国内総生産(GDP)に占める教育機関への公的支出の割合が3.6%で3年連続最下位であることを発表した。因みにトップはデンマークで、以下アイスランド、スウェーデン、ベルギー、フィンランドとこの種のアイテムで予想されるように北欧、中欧が上位を占めている。

 絶対額で教育予算が少ないということではないので、これがそのまま教育に不熱心な国ということにはならないと思うが、教育の充実が科学の進歩につながり、それが国家経済を大きく支えているという見地から考えるとちょっと複雑でありショックでもある。しかも、過去3年に亘って最下位だったということは、下手をすると将来に禍根を残すような事態を惹起しなければ良いがと願ってしまう。

 項目別に意外だったのは、日本の小中高教員の初任給(25,454$)がOECD平均(小28,523$、中29,801$、高30,899$)を下回ることである。だが、これは円高という特殊な事情にもよるので、一種の歪んだ算出数値でもあり、必ずしも実態を伝えているわけではない。現状の為替レートで換算してみれば分かることだが、日本の教員の給料がこんなに低かろう筈がない。

 全体的に教育の公的支出割合が低いというのは、日本では医療や社会福祉を主とする厚生労働省の予算が大きいことから相対的に文科省予算が少なく見えるということも云えるのではないだろうか。

 だが、教育に関して言えば、いくら投資をしようが、将来にそれなりの実質的な効果が伴わないのではもったいない。ここでは政府の予算から推察した数値を問題にしているが、「教育」ということなら、学校教育以外に投資される巨大な関連経費がある。特に日本ではこの数値が馬鹿にならない。その最たるものは予備校や塾に使われる費用である。わが国の教育投資予算の中には、もちろん塾関連経費が含まれていない。

 実質的な教育効果とともに、経費はかけなくとも将来子どもにとって有益な効果が表れる全人的な教育について、考えてみる必要がある。例えば、これまで多くの国に派遣された文科省教員海外派遣団に同行して気付いたのは、アメリカの初等教育の現場では、教師が学校で子どもたちに教えること自体が好きであるというより、むしろ子どもが大好きな教師が結果的に教職に就いているという印象を強く持った。こういう点は数値には当然表れない。そしてこの点こそが、教育の原点であると思う。

 そもそも教育を数値で表すということ自体がおかしいのではないかと思っている。

 さて、今日自民党総裁選へ噂に上がっていた元首相の安倍晋三氏がやはり立候補を表明した。心身ともに健康なのでやり残したことをやりたいと述べていたが、この期に及んで恥の上塗りをやりかねない御仁の再登場である。身はともかく心がおかしい。いつまで経っても空気が読めない甘いお坊ちゃんである。まずダメだろう。

2012年9月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1947.2012年9月11日(火) 東日本大震災から1年半、9.11同時多発テロから11年

 1年半前の今日、あの忌まわしい東日本大震災が起きた。そして、11年前の今日、ニューヨークで恐ろしい9.11同時多発テロが発生した。

 今日も東北各地では、亡くなった人を偲ぶ慰霊の儀式があった。1年半の時間が経過したが、復興は遅々として進まず、避難した人の数はなお34万人以上を数える。行方不明者が2800余人もいる。まだまだ道は遠い。

 そして今日日本学術会議は原発から出る高レベル放射性廃棄物の総量を規制し、数十~数百年間暫定的に保管するべきだとの提言を内閣府原子力委員会に提出した。つまり、放射性廃棄物を最終処分するのではなく、暫定的に保管すべしとの提言である。最終処理を地中に廃棄する現在の政策を白紙に戻すよう提言したのだ。最終処分場ではなく、中間処分場としてその後に別の場所で処分するということのようだ。その先はどうするのか皆目分からないので、これでは使用済み核燃料処分の懸案の解決策とは言えまい。結局専門家がどう頭を捻っても核のゴミを処分する方法が現時点では見つからないのである。これでもなお核を利用し、原発施設を作ろうというのだろうか。この提言に対して原子力委員会は果たしてどんな結論を出すのだろうか。

 一昨夕TBS・BSで2時間番組「日本人キーンドナルド 90歳を生きる」と題するドキュメンタリーが放映された。キーンさんは今年3月日本国籍を獲得して漸く念願だった日本人となった。改めて知らされ映し出されていた。現在の家族関係についてはあまり紹介されていないが、90歳を目前に敢えてアメリカ国籍をたキーンさんのエピソードに、キーンさんの温厚な人柄と日本人との広い交友関係が捨ててまで日本人になったのには、ただ日本文学に傾倒し、日本文化に敬意を払っているからばかりではないのではないかと不遜なことを考えてしまう。好奇心が強く、誰とでも気さくに話す優しさと包容力が彼の魅力になっていると思う。

 現在新潮社が「ドナルド・キーン著作集」全15巻を刊行しているが、新潮社担当部長はキーンさんの翻訳によって日本文学が海外に広く紹介されるようになり、その結果川端康成や大江健三郎がノーベル文学賞を受賞するようになった功績は大きいし、新潮社自体もその恩恵に浴してきたので、せめてその恩返しと考え著作集刊行のお手伝いをしていると述べていた。

 キーンさんは機知とウィットに富んでいて、旅行とオペラが好きで、特にオペラに関しては評論を書くほどプロフェッショナルで、アフリカ旅行中に乗ったタクシーのドライバーがかけたオペラのCDに手拍子で無邪気に喜ぶ姿が映されていて微笑ましい。

 意外だったのは、石川啄木が1912年に書いたローマ字日記1週間分を高く評価し、それについて書いた評論が正岡子規、森鴎外、夏目漱石について書いた評論よりよほど評判を呼んだと語っていた。

 また、戦争中勤務していたハワイの日本人捕虜収容所に収容されていた元軍医・恩地豊さんと仰る受勲者との交流が二人の心の通い合いを印象深く伝えていた。現在施設にいる100歳の恩地さんを90歳のキーンさんが見舞いに訪れ、お互いをアプリシエイトする二人が話し合うシーンは、年を経てもかくありたいと思わせる理想の雰囲気を伝えていた。

 キーンさんが日本人となる決断は、昨年の東日本大震災で心身ともにボロボロになった被災者を想い、気持ちを通わせたいとの思いから下されたものであるが、インタビューの中で、ある女性が「ボロボロの日本を見捨てず、反って母国を捨ててまで日本人の力になろうとしてくれるキーンさんにありがとうと言いたい」と語った一言にキーンさんの温かい人間性があるような気がした。これまでの活動と現時点で「90歳になった今、生涯で一番幸せなのは現在です」と話すキーンさんは、日本文学を超えて人間としての崇高さを感じさせてくれる。

 中々見ごたえのある番組だった。

2012年9月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1946.2012年9月10日(月) いらいらを嵩じさせる政治家の動静

 千葉の「いきいき大学」の依頼により2時間ほど千葉市民会館で講義を行った。「世界遺産の楽しみ方」と題した得意のテーマである。最近訪れたペトラ遺跡、ベツレヘムの聖誕教会を中心に、私の好きな文化遺産と自然遺産、そして「新・世界7不思議」についても紹介した。受講者は約150名で平均75歳というから、主催者の苦労が分かる。

 何とか受講者に楽しんでもらえる画像をと考えながら昨日まで費やして作成したパワーポイント用スライドは、75枚となった。音声を出す工夫こそしていないが、画像の映写には大分凝って数々のテクニックを加えた。幸い受講者の受けはまずまずだったのではないかと思う。講義後幹部の方々に食事をご馳走になったが、その席上で来年11月の講義の申し入れをいただいた。

 少々残念だったのは、ほんの1週間前に千葉市内に住む幕張小学校時代の同級生に連絡したところ、わざわざ来てくれて講義後に食事を誘われたが、断わらざるを得なかったことである。

 さて、民主党代表と自民党総裁選挙を前に両党とも候補者が乱立気味だったところ、自民党ではフロントランナーだと思っていた谷垣禎一・現総裁が立候補を見送るとの意向を表明した。谷垣氏は石原伸晃・幹事長とともに執行部から2人出るのは好ましくないと述べたが、最近党内で確実に求心力が低下していた。結局のところ石原幹事長との一本化交渉がまとまらず、この状態が続けば自民党のイメージダウンにつながると判断したとされている。本音は出身派閥のボスから支援するとの確約をもらえず、協力を求めた石原幹事長からも色よい返事を得られず、現状では仮に立ったにしても総裁に選任される可能性が低いと判断し、苦渋の決断をしたものと思われる。

 この結果、石原幹事長、石破茂・前政調会長、町村信孝・元官房長官、安倍晋三・元首相、林芳正・政調会長代理が総裁の座を争うことになった。誰が選ばれても代わり映えしないと思えるが、安倍元首相の「私にはまだやり残したことがある」の発言には呆れた。自ら政権を放り出しておいて、今頃になってやり残したことがあるので、やらせて欲しいはないだろう。

 民主党は野田佳彦首相、赤松広隆・元農水相、原口一博・元総務相、鹿野道彦・前農水相の間で争われることになり、共同して記者会見を行った。野田首相の実績には、党を分裂させた責任ありとする他の3人の言い分を聞いていると、その責任をすべて首相に課したような発言をしていたが、3人の主張の方がよほど説得力に欠ける。いずれにせよ、今のところ野田首相の優位は動かないだろう。

 ところで、沖縄普天間基地に配備が予定されている新型輸送機オスプレイが、またまたアメリカで緊急着陸して、安全性に疑問を呈する事態が起きた。そして昨日沖縄県民大会で10万余人が参加してオスプレイ配備計画の撤回と、普天間基地の閉鎖と撤去を求める決議を採択した。沖縄では一気にオスプレイ配備反対の声が盛り返してきた。これも野田政権にとっては難しい問題であろう。今日前原誠司・政調会長がこれらの問題を協議するためアメリカへ向かった。この行く末はどうなるのだろう。

 わが国にとっては、内外ともに難題だらけである。

 先ほどビッグニュースが入ってきた。とても誇れるようなニュースではない。現職大臣が自殺したという驚くべきニュースである。国民新党の松下忠洋郵政改革・金融担当大臣が今夕自宅マンションで首を吊って自ら命を絶ったというのである。5年ほど前に松岡利勝・農水相が自殺して以来の現職大臣の不祥事である。それにしても最近どうもぱっとしないニュースが多すぎる。

2012年9月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1945.2012年9月9日(日) 李明博大統領の真意が分からない。

 昨日中途半端になったインターネットの有線から無線へ切り替える作業は、今日電話で小1時間ほど業者に指導してもらった結果、上手くいきそうだったが、無線を受けるための子機が必要でこれを買わなければいけないということが分かった。従ってパソコンによるインターネット無線接続に関して問題がないとは言え、新たに子機を設置して無線受信が確実になったところで、NTTとの契約を解除しなければ二重払いの可能性が残り、現時点では願い通りになったわけではない。まだ面倒なことが残っている。

 李明博・韓国大統領の竹島上陸と天皇への謝罪要求、更に野田首相の大統領宛親書受け取り拒否により、日韓関係が刺々しいものとなり、現状では両国の関係回復は当分難しいのではないかと見られている。

 そこへ今朝の朝日新聞によると、李大統領が日韓関係に詳しい専門家らを緊急に招集して今後の対日政策について協議していたことが分かったそうである。真意は最近の李大統領の言動から推して疑問視せざるを得ないが、以下のようである。

 「天皇の謝罪ありきとされているが、一気に懸案を解決するには天皇訪韓ほどの大胆な決断が必要ではないか」というのが大統領の本意であるという。随分嫌味の内容が薄くなっている。かなりトーンが落ち、ニュアンスが変わってしまったような印象を受ける。大統領が教職員を対象にしたセミナーで天皇の謝罪要求を求める発言をした時の様子は、実に堂々と発言していたようだった。こんなに急にトーンを落とす内容ではなかった。やはり、あまりにも行き過ぎた発言を精査した結果、予想以上に両国間にわだかまりを生んでしまったことに自ら謝罪はしないが、撚りを戻す手段として誤解を与えた発言だったと言いたかったのだろうか。

 しかし、大統領の礼を失した言葉は、韓国大統領府のサイトに載ったものであり、日本のメディアが間違って取り違えたというわけではない。韓国側の真意はどうなのか。これ以上関係を冷却化することは避けたいが、どうも大統領が投げたボールがワイルドピッチとなり、それをバックアップした選手がまた悪投したような印象がある。一体日韓関係はこの先どうなるのだろうか。

2012年9月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1944.2012年9月8日(土) 民主党代表選と自民党総裁選を監視しよう。

 インターネット接続にいま使っている光ファイバーよりモバイル通信端末に利用者の需要が傾き、料金的にもより安いとNTTの関連会社から再三連絡があったので、その口車に乗りこの際切り替えてみようという気になった。先日通信開始の知らせがあり、これまでのルーターより更に小型でポケットサイズの「Pocket Wifi」なる備品を送ってきた。今日そのルーターの代りにWifiなる備品を起動させてみた。ノートPCのソフトは新しいWindows7が挿入されていて問題はなかったが、デスクトップ型のソニーVAIOはWindowsXPで、サービスパック2がインストールされているが、Wifiが求めるのはサービスパック3だったために、ソニーのサポートセンターへ連絡を取り、サービスパック2から3へのグレードアップの依頼をした。結果的にその作業にかなり時間を費やし、今日はそれ以上作業を進めることができず、明日改めてWifiへ連絡して稼動できるよう頼まなければならなくなった。面倒なことである。説明では価格的に安くはなるようだが、果たして経済的かどうかは分からない。というのはこれまではルーターを電源とつないでおけば、敢えて充電の必要がなかったが、今後はWifiを度々充電する必要がある。どっちが得だったのか、何とも言えない。

 さて、今月21日に自民党、26日に民主党のそれぞれ総裁選と代表選が行われる。この数日間に少しずつ立候補者が絞られてきた。特に、民主党は野田首相に対して有力視されていた細野豪志・環境相兼原子力担当相が、一日考えた末に今日立候補を取りやめると発表した。それはそうだろう。野田政権の閣僚として、今最も懸案事項を抱えている大臣が、任期の半ばで任命権者である首相に弓を引くのは党内良識派の理解を得にくいのではないかと思う。案の定代表選に出た場合の損得勘定を深読みして、立候補せずとの結論を出した。残るは、原口一博・前総務相と赤松広隆・元農水相である。さあてこのご両人は勝ち目のない戦に挑むのか。

 一方自民党は良く言えば多士済々、悪く言えばどんぐりの背比べである。谷垣現総裁、石原現幹事長、安倍元首相、町村元官房長官、林芳正現政調会長代理らが入れ乱れ、真摯に国家国民を見つめず、私利私欲で争っている、所詮内輪の戦いである。安倍晋三氏の如きは、体調不良を理由にさっさと入院して1年間で政権を放り出したいわくつきの元首相である。困るのは、いずれにせよこの選挙の勝利者が前途に多くの課題を抱える日本のリーダーとなることだ。くだらない、次元の低い選挙と言ってばかりもいられない。

 例えば、昨夜テレビ朝日の報道ステーションに出演した町村元官房長官は、古館キャスターが財政逼迫の折党内で出ている公共事業に10年間で200兆円も投資することをどう考えているのかとの問いかけに対して、政治家特有のずるい逃げ口上を述べていた。南海トラフ地震が発生して道路が崩壊し機能しなくなったら日本経済はメチャクチャになので道路の耐震化を含め、道路投資は必要だと応えるし、200億円云々は独り歩きした数字だと無責任に応えていた。それなら、そういう声が出た時、なぜ毅然として自分の考えを言わないのか。政治家というのは、常に自分に都合の良い答えを造るプロだなとつくづく感心したくらいである。

 とにかく政治家の公約はその真意を探り、私利私欲に傾斜していないかどうかを検証しなければとても信用できない。

2012年9月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1943.2012年9月7日(金) エルサレムは条件付で世界文化遺産に登録されていた。

 NPO法人JAPAN NOW観光情報協会の定期機関紙に抱えている2つのコラムのうち、今月は「世界遺産物語」第20回としてベツレヘムにある「聖誕教会」について寄稿した。また、月曜日に千葉市内の「いきいき大学」で「世界遺産の楽しみ方」というテーマの講演を引き受けており、その資料・パワーポイントのスライドも作成した。

 前者はもとより、後者についても世界遺産の特殊なケースとして聖誕教会に触れ、教会があるパレスチナ自治区のベツレヘムとエルサレムについて話すつもりでいたところ、ちょっとした誤解があるのに気がついた。

 6月にイスラエルを訪れた時、ガイドのスタイン・朋子さんがエルサレムはヨルダンとイスラエルの領土問題がからみ、現時点ではヨルダンから世界遺産の申請が提出されているが、登録されていないと聞いた。それが旅行から帰った1ヶ月内に国家としては国連で未承認のパレスチナが申請した聖誕教会がパレスチナ初の世界遺産として登録されることになった。国の帰属が明確でないパレスチナ自治区内の世界遺産が国連の内部機関であるユネスコによって、国家未承認のまま正式に登録されたのである。これで話がややこしくなる。もちろんイスラエルはこの登録を政治的なものとして批判している。

 都市エルサレムについては、世界史上に知られた世界遺産に匹敵する遺跡が山ほどあるにも拘わらず、世界遺産として認められていないという。この事実をガイドさんから聞いて、残念なことだと思っていた。ところが、偶々エルサレムについて調べていたところ、エルサレムがヨルダン領になっていて、ヨルダンの申請によりすでに1981年に世界文化遺産として登録されている事実を知った。

 すでに聖誕教会の文章中にエルサレムが世界文化遺産でないと書き送稿してしまったので、ユネスコのHPで確認し、直ちにエルサレムの朋子さんにメール送信したところスピード回答があり、ヨルダンによる申請をユネスコは受け入れ、ヨルダンは申請したうえで、登録の権利を確保したと理解しているという複雑な考え方を知らせて来られた。

 ともかく、間違った情報を伝えることは拙いので、「世界遺産物語」の原稿は修正して改めて送り、講義内容はスライドも含めて正しい条件付登録としてお話しようと考えている。

 こんなところでパレスチナ問題のとばっちりを受けるとは意外だったが、事前に原稿をチェックすることができてほっとした。エルサレムを加えることによって、私の世界遺産訪問箇所は164箇所ではなく、165箇所ということになった。早速ホームページ上の「訪問世界遺産」も訂正しておく必要がある。

 今夕は日本ペンクラブ例会である。7月は追悼文集編集会議で出席できなかったので、久しぶりに小中陽太郎さんと話をしようと思っていたところ、先手を打たれて「近藤さん、明日から韓国へ出かけるので今日はお先に失礼します」と言われてしまった。韓国でペン大会が開かれ、それに出席するという話だった。

 ところが、今日は案外愉快なことがあった。山本澄子さんの全日空勤務の子息がゲストとして来られ、塾員同士としていろいろ話し合った。ほかにも今日ペン会員になったスリ・ランカのお坊さん・タランガッレ・ソーマシリさんと世界遺産やビルマの話をした。20年以上も日本に住んでいて日本語も達者な方である。もう一人は偶々会場へ来られて挨拶された文化庁長官・近藤誠一氏である。近藤氏が湘南高の後輩であることは承知していたので、その点を話すと驚いておられた。氏も私と同様に「湘南大樹」の一葉である。

 おまけにもうひとつ。下重暁子副会長と西木正明常務理事に試しにトライして下さいと死海の塩を手渡したら、下重さんはあまりお好みではなかったが、西木さんは結構お気に召したようだった。上智大学名誉教授のディーケン先生は死海には何度も行って味わったと言っておられた。

 今日の例会は最近毎週金曜日に行われる国会周辺の原発反対デモへ参加した会員が増えたせいだろうか、いつもより参加者が少なかったような気がする。

2012年9月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1942.2012年9月6日(木) 日本の国際競争力は10位

 日本の国際的な競争力が弱まったとはかねがね考えていたが、実際に世界経済フォーラムが「2012年版世界競争力報告」でその統計的裏づけを発表した。それによると昨年9位だった日本は10位にダウンし、代りに香港が11位から9位へ上がってきた。1位は前年と同じスイスがランクを占めている。アジアでは2位のシンガポールに続いて9位香港、10位日本となった。日本は2年連続して順位を落としたが、その最大の原因は、財政赤字と電力供給が不安定なことだという。労働市場の効率性の低さも懸念材料と見られている。このままの状態だと、原発再稼動の見通しは極めて厳しい状態だし、来年度も順位を落とす可能性が高い。ざっと見てみると北欧、中欧、アメリカが上位を占め、南欧とオーストラリア、ニュージーランド、中国、インド、ブラジルなどがランクインしていないのが、何となく分かるような気がする。

 日本の政府債務残高の国内総生産(GDP)比は、144カ国・地域で最下位だったという嘘のような話がある。それだけ財務残高が増えていることがマイナス評価されているということだ。近年国の借金が増えていることが大きく取りざたされているにも関わらず、政治家と財務省は積極的な解消策を打ち出さず、年々借金は増え続けている。少しは、借金解消のための建設的な提言をすべきであるにも関わらず、腰を上げようとしない。政治家と役人は最早国家のことは念頭にないかの如くであり救いようがないが、ダボス会議を主催する世界経済フォーラムは、政治家と役人が関与しない日本の民間企業の技術革新力や顧客優先度などには引き続き高い評価を与えてくれている。やはり国を劣化させている責任は政治家にある。

 今日アメリカでは11月の大統領選へ向けて開かれた民主党全国大会で、大統領候補にオバマ現大統領を正式に決定した。これで先に決まっていた共和党のロムニー候補と一騎打ちとなった。そのオバマ大統領のスピーチを聞いていると何と淀みのない喋り方だろうか。ほとんど下原稿を見ずにジェスチャーを交えてリスナーに訴えている。これだからカリスマ性も生まれ、聴衆が気持ちを受けて支援するのだろう。もちろん駆け引きもあるのだろうが、こと演説を聴いている限りでは日本の政治家はとても敵わない。

 今夕の朝日紙「素粒子」欄に「米大統領選を見るたびに考え込む。候補者の弁舌に熱狂する聴衆ら。そんな演説を一度聞いてみたい。日本語で」とある。

 そのわが国では、今日も党のトップを決める党代表選と総裁選を半月後に控えた、民主党と自民党の選挙活動は立候補者が入り乱れ、誰が選ばれるか見当もつかない。国会会期中であるにも拘らず、休会という閉塞状況に、これには流石に経済界と労働界の代表者から今日記者会見で、行き詰まって政治が前へ進まない現状に鑑み、国会の運営方法を検討すべきであると提言があった。もう誰も彼もが今の政治のあり方にうんざりし失望し、何とか打開してもらいたいと望んでいるのだ。

2012年9月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1941.2012年9月5日(水) 暴走する中国人の愛国心

 先週中国・北京で丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が襲われ、車に掲げられていた日章旗を奪い取られた事件で、北京公安局は拘束していた男らを5日間の行政拘留処分にしたと発表した。他国の外交官を襲うような野蛮や行為について、逮捕も起訴もしないという。日章旗を奪った「愛国的な」男らは尖閣諸島を巡って日本政府に不満を抱いていたと供述したという。

 どうも最近の中国政府や中国人の言動を見ていると、かつての中国人とは人間が違うのではないかと思えるくらい行動が礼儀を失し反日的で過激になってきた。その背景には、戦前の日本による中国大陸への侵略と一部の残虐行為があったことは認めざるを得ない。そのこと自体は日本として率直にお詫びしなければならない歴史的汚点であったと思う。更に中国人を反日的に駆り立てているのは、中国国内で厳しく行われている反日教育が大きく影響していると思う。

 ただ、今や世界がグローバル化してお互いに国際交流を深め、友好関係を培うよう世界中が努力している時代であり、今年は日中国交回復40周年の記念すべき年に当たり、これまで両国間で幅広く友好を育む努力を傾注してきただけに、あからさまに他国を一方的に誹謗するような行為は決して国際化と相容れるものではない。仮に逆の立場で日本国内で日本に駐在する中国大使が襲われる事態が発生したら、中国人はどう思うだろうか。日本人の乱暴者を日本人愛国者として容認するだろうか。

 ましてや今度の日本大使を襲うが如き行為は、国際外交上もモラル上も許されるものでないし、国家の信義を貶め、決して中国にとってプラスになるとは思えない。断じて許されるようなことではない。しかも中国政府は極めて軽い処分で済まそうと考え、今日中に男は釈放されると伝えられている。

 しかし、「愛国心」と「外国人を襲う」こととはどこでどう繋がるのか。まして国家の代表を委ねられている「特命全権大使」を襲うことが、なぜ中国人にとって愛国者になるのか、とても理解できるものではない。世界中が呆れている蛮行である。中国人の国際感覚というのは、まだこの程度の幼稚なものかと考えざるを得ない。中国人には愛国心の真の意味が分かっていないのではないか。実際、中国国内のNET上では彼らは愛国者、或いは英雄として高く評価されているという。中国政府も自国民による政府批判怖さに、中国人の「害国人」に対して重罪を課す気持ちがまったくなく、自国に滞在する安全を守らなければならない外交官を襲うような破廉恥な男たちに、手を出せないていたらくである。公安局の言い訳もすぐネタがばれるような浮薄な主張をしている。計画的ではなく、偶発性のトラブルと公言しているが、偶発的に2台の高級外車が追いかけたり、同じ場所に幅寄せしながら寄って包囲して、国旗を掲げている外交官公用車を無理やり停止させるようなことをするだろうか。お節介かもしれないが、こんな歪んだ規律のまま、中国はこれからのブローバル社会を果たして乗り越えられるのだろうか。

 今の中国政府と一部の中国人の行いをよく観察してみると、普通の人間同士の話し合いという風にはとても思えない。もう少し大人になってほしいというのが、かつて中国人とともに仕事をし、中国を訪ねて中国人から温かいもてなしを受け、楽しい思い出ばかりいただいた中国の人々から推すととても考えられず、残念な気がしてならない。中国人よ、もう少し大人になれないものか。

2012年9月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1940.2012年9月4日(火) あの村木厚子氏が戦没者遺骨収集担当の社会・援護局長へ

 今日の日経夕刊を読んでいて官僚の人事異動欄に目が行き、はっと思った。内閣府へ出向の形をとっていた村木厚子氏が厚生労働省へ戻り、社会・援護局長に就任することになった。村木氏とは言うまでもなく、厚労省企画課長時代に「凛の会」と称する偽の障害者団体に特別郵便料金適用のために、部下が無断で公印を押捺した罪で虚偽有印公文書作成・同行使罪に問われ逮捕された人である。その後部下が上司に無断で公印を押捺したことが分かり無罪となったが、検事の自白強要が問題となった事件としても国民的関心を集めた。

 その村木氏が就任することになった社会・援護局長は、主に戦没者の遺骨収集事業を取り扱う部門の責任者である。今や遺骨収集事業も戦後67年が経過して、難しい局面に立っている。戦没者の親はもちろん、妻や子ども世代の遺族も大分少なくなり、ややもすると事業も風化しかねない。戦没地における収骨は長年風雨に晒され、遺骨を捜すこと自体が困難であり、そこへそれぞれの国情や住民感情もあって思うようにいかず、年々収骨数は減少傾向にある。

 最近になって4年ぶりに日朝間協議が復活し、両国間の問題が話し合われているようだが、日本が懸案としている拉致問題が議題に上がったのかどうかが分からない。それと平行して民間レベルで、北朝鮮で亡くなった方々の遺骨の収集作業がテレビ公開された。これを契機に3万人とも言われている日本人の遺骨発掘作業が進むのではないかと期待されている。

 外国における日本人の遺骨発掘には当然高いハードルがある。これをこういう分野の経験がないと見られる新任の村木局長が、どうやって切り開いていくのか、幾分厚労省業務の中でも異色な分野であるだけに、簡単にはいかないだろう。かつて20年間に亘って中部太平洋地域を主に戦没者遺骨収集事業に関わっていた者として、村木氏の手腕を注視して見守りたいと思う。

 偶々今月発刊された中公新書の1冊に林英一著「残留日本兵」がある。昨日書店で買い求め、読んでいるが、あまりこういうテーマに取り組む作家がいない中で、20代の若い学者が意欲的に取り組んだことは評価したい。ただ、こういうテーマは取材相手がすでに生存していない可能性が高く、直に話を聞くことができないだけにどこまで事実と残留日本兵の主観的な考え方にアプローチできるか。まだ全体の1/3程度しか読み進んでいないが、資料では調べることができても、臨場感の伴う生の声が伝わってこない点に、やや物足りなさを感じている。

2012年9月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1939.2012年9月3日(月) 珍しい日本人女流作曲家

 昨晩NHKのETV特集で「吉田隆子を知っていますか」という番組が放映され、観るともなしに最後まで観てしまったが、中々興味深いストーリーだった。。日本人としては極めて珍しい女性作曲家を紹介したドキュメンタリーである。良く知られた与謝野晶子の反戦詩「君死に給うことなかれ」に曲をつけた反戦の人であり、4度の投獄にも耐えた不屈の人だった。これまでこの女性作曲家については寡聞にして知らなかった。軍人で陸軍大学校校長だった父親の厳しいしつけの下で育てられたが、東京高等女子師範学校(現御茶ノ水女子大)出の母親の影響を受けて、終生音楽と愛に生きた。だが、あまりその名は一般には広く知られていない。

 それが意外にも身近に思いがけない接点らしきものがあった。代々木の元勤務地の近くに人形劇「プーク劇場」というのがある。今でも子どもたちに人気があり、夏休みなどになると連日子どもが並んでいる姿を良く見たものである。長い間彼女はその人形劇に曲を付けていたそうである。

 もうひとつ親しい感情を持ったのは、戦後亡くなるまで自由が丘に住んでいたことである。画面では自由が丘のどの辺りに住んでいたのかよく分からなかったが、亡くなるまで住んでいた家屋が紹介され、今も室内はそのままだという。そして、近くに劇団民芸の俳優・宇野重吉の住まいがあったと紹介された。宇野邸はわが家から歩いてほんの5分程度の距離にある。吉田と終生のパートナーであり、築地小劇場で上演してヒットした「火山灰地」を書いた劇作家の久保某とのツーショット写真は、その宇野邸の前で撮ったことが背後の表札によって分かった。

 何となく親しみを感じる作曲家・吉田隆子は時代的に逆風の中で精一杯生き、戦後これからという時に可惜46歳の若さで逝った。こういう地味でしっかりと庶民の心を掴み権力に屈しないで、作曲に挑んだたくましい女性があの暗い時代のわが国にもいたのだ。良いドキュメンタリー番組だった。

 さて、昨日本ブログで原発から廃出される使用済み核燃料の最終処分場の土地探しについて書いたばかりだが、今日不意に横光環境省副大臣が福田群馬県知事と遠藤矢板市長を訪ね、福島原発によって汚染された指定廃棄物の最終処分場の候補地を矢板市内の国有林に決めたので了解してほしいと伝え、突然の申し出に地元では面食らい反発を買っている。どの自治体でもこのような事案はあまり積極的に受け入れる気にはなれない。従って充分議論し、意見を聞く根回しをして自治体にお願いするのが筋であろう。誰もが嫌がる事案を唐突に言い出されたら、素直に受け入れる筈がない。手順が少々おかしいのではないだろうか。政治家というのは、どうしてこうも稚拙なのかと思ってしまう。

2012年9月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com