先週中国・北京で丹羽宇一郎・駐中国大使の公用車が襲われ、車に掲げられていた日章旗を奪い取られた事件で、北京公安局は拘束していた男らを5日間の行政拘留処分にしたと発表した。他国の外交官を襲うような野蛮や行為について、逮捕も起訴もしないという。日章旗を奪った「愛国的な」男らは尖閣諸島を巡って日本政府に不満を抱いていたと供述したという。
どうも最近の中国政府や中国人の言動を見ていると、かつての中国人とは人間が違うのではないかと思えるくらい行動が礼儀を失し反日的で過激になってきた。その背景には、戦前の日本による中国大陸への侵略と一部の残虐行為があったことは認めざるを得ない。そのこと自体は日本として率直にお詫びしなければならない歴史的汚点であったと思う。更に中国人を反日的に駆り立てているのは、中国国内で厳しく行われている反日教育が大きく影響していると思う。
ただ、今や世界がグローバル化してお互いに国際交流を深め、友好関係を培うよう世界中が努力している時代であり、今年は日中国交回復40周年の記念すべき年に当たり、これまで両国間で幅広く友好を育む努力を傾注してきただけに、あからさまに他国を一方的に誹謗するような行為は決して国際化と相容れるものではない。仮に逆の立場で日本国内で日本に駐在する中国大使が襲われる事態が発生したら、中国人はどう思うだろうか。日本人の乱暴者を日本人愛国者として容認するだろうか。
ましてや今度の日本大使を襲うが如き行為は、国際外交上もモラル上も許されるものでないし、国家の信義を貶め、決して中国にとってプラスになるとは思えない。断じて許されるようなことではない。しかも中国政府は極めて軽い処分で済まそうと考え、今日中に男は釈放されると伝えられている。
しかし、「愛国心」と「外国人を襲う」こととはどこでどう繋がるのか。まして国家の代表を委ねられている「特命全権大使」を襲うことが、なぜ中国人にとって愛国者になるのか、とても理解できるものではない。世界中が呆れている蛮行である。中国人の国際感覚というのは、まだこの程度の幼稚なものかと考えざるを得ない。中国人には愛国心の真の意味が分かっていないのではないか。実際、中国国内のNET上では彼らは愛国者、或いは英雄として高く評価されているという。中国政府も自国民による政府批判怖さに、中国人の「害国人」に対して重罪を課す気持ちがまったくなく、自国に滞在する安全を守らなければならない外交官を襲うような破廉恥な男たちに、手を出せないていたらくである。公安局の言い訳もすぐネタがばれるような浮薄な主張をしている。計画的ではなく、偶発性のトラブルと公言しているが、偶発的に2台の高級外車が追いかけたり、同じ場所に幅寄せしながら寄って包囲して、国旗を掲げている外交官公用車を無理やり停止させるようなことをするだろうか。お節介かもしれないが、こんな歪んだ規律のまま、中国はこれからのブローバル社会を果たして乗り越えられるのだろうか。
今の中国政府と一部の中国人の行いをよく観察してみると、普通の人間同士の話し合いという風にはとても思えない。もう少し大人になってほしいというのが、かつて中国人とともに仕事をし、中国を訪ねて中国人から温かいもてなしを受け、楽しい思い出ばかりいただいた中国の人々から推すととても考えられず、残念な気がしてならない。中国人よ、もう少し大人になれないものか。