1520.2011年7月14日(木) 菅首相の真意を曲解しようとする取り巻き

 女子サッカー日本代表チーム「なでしこジャパン」が、また強敵を破りワールドカップ決勝戦へ進出した。正直に言ってスウェーデンに勝てるとは思わなかった。平均身長差10cmの 不利な体格に加えて、過去の対戦成績も分が悪い。それでも「なでしこジャパン」は大敵をものともせず、終始積極的に攻め、前半先制点を奪われながらもすぐ 同点に追いつき、後半2点をもぎ取って見事にスウェーデンを破った。たいしたものである。鮮やかなゲームメークとタフネスぶりには、地元のドイツでも賞賛 の声が広がっている。
 18日決勝戦の相手はランキング世界№1のアメリカだが、相手にとって不足はない。過去24回対戦して一度も勝っていないが、今の日本は上げ潮ムードだし、パスワークが進歩しているので、得意技を活かして金メダルを獲得し、震災の被災者に元気を与えて欲しいものである。
 一方、名古屋では八百長相撲の禊が済んだとして大相撲名古屋本場所が開催されているが、今日5日目に大関魁皇が勝ち、幕内通算1046勝を挙げ、横綱千代の富士の従来の記録を破った。これもメデタイ話である。
 さて、やはりと言うべきか、昨日の菅首相の脱原発発言に対して、民主党内外から皮肉たっぷりの嫌がらせ発言が発 せられている。民主党をダメにした張本人の鳩山由起夫・前首相が方向性は間違っていないが、実現までの時間軸があいまいと言い、執行部のひとりは「党内議 論は全くやっていない。『またやったな』という話だ。たわごとにしか聞こえない」とまるで相手にしていない。首相を支えるべき枝野官房長官までが、「首相 は脱原発依存とは言っていない。当面安全性をより高めつつ原発を活用していく」と言った。そしてこうも付け加えた。「首相の遠い将来の希望である」と菅首 相の発言の内容を曲解したり否定するようなことばかり言っている。みんなで寄ってたかって、脱原発ムードが高まるのを押さえ込もうとしている。かっての盟 友・仙石由人官房副長官までが記者会見で願望を語ってはダメだと首相の発言を批判する有様である。これほどまでに一国の最高責任者である総理大臣の発言は 軽いものなのだろうか。一体全体この菅内閣を取り巻く面々は、何を考えているのか。
 脱原発の世論の高まりを最も恐れる電力会社のひとつ、九州電力で公になったテレビ公聴会のやらせメール事件の概要が分ってきた。テレビ局に対して原発運転再開を求めるメールを送るよう、会社が社内外に圧力をかけた。結果的に原発再開反対が163だったのに対して、原発再開賛成は286だった。だが、その賛成メールの内141が 九電関係者のメールだったと判明した。もし、それらのやらせメールがなければ、原発反対メールの方が多かったということになる。世間を欺く卑劣な行為を犯 した真部利応・九電社長は、今日辞任の噂を否定して続投すると述べた。世間をこれだけ騒がしておいて現在のところ社内では誰も責任を取らないという。例え 悪質と見られようとも原発を維持するとの信念の下に、国策会社として国民に一切責任を取らないという腹積もりのようだ。こんな鉄面皮が許されるのだろう か。こんなことで良いのだろうか。大会社のモラルも低下したものである。
 今日日本旅行作家協会例会に出席するはずだったが、午後になって急に下痢を起こし体調が優れず欠席した。山本澄子さん、近藤聰さんと積もる話が出来なかったことが残念だった。明日の日本ペンクラブ例会には、何とか出席したい。

2011年7月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1519.2011年7月13日(水) 朝日新聞、原発ゼロ社会を提言

 朝日新聞社が原発に対する自社の立場と見解を明らかにした。今日の朝刊第一面に原発に関する自社の見解、そして 提言「原発ゼロ社会」を論説主幹の筆で訴えた。提言は「いまこそ政策の大転換を」とアピールしている。日本のエネルギー政策を大転換し、原子力発電に頼ら ない社会を早く実現しなければならないとの主張である。その大きな理由として、止めたくても止められないという原子力の恐ろしさを思い知ったからだとい う。まったくその通りで、科学が作り出した物は、例え発火しても根元を止めれば消化できると信じていたことが、原子力に関してはそうではないと今回初めて 知ることになった。はっきり言ってこんな恐いものは止めるに限る。その他にも地震の巣の上にある日本列島が活動期に入ったということも理由として挙げてい る。
 社説も広告なしで1頁半を使って事細かに訴えている。「脱原発への道筋」「廃棄物の処理」「自然エネルギー政 策」「新たな電力体制」に分けて詳しく解説している。この中で一番問題だと思うのは、最近テレビのドキュメンタリー番組などでもしばしば取り上げられる 「廃棄物の処理」だろう。現状はこの廃棄物処理がかなり多額の費用を使いながら一向に前進していないことである。核燃料サイクル政策に問題があるのではな いか。ひとつは六ヶ所村(青森県)の施設が使用済み燃料を再処理してプルトニウムを取り出し、高速増殖炉でまた燃料として使う仕組みのはずであるが、度々 トラブルが起きて今なお試運転中である。もうひとつは高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県)が1995年 のナトリウム漏れ事故以来稼動していないことである。二つの施設がともにまったく機能していないのである。後者の「もんじゅ」なんか、停止中でも1日5千 万円もの維持管理費用がかかると言われている。国民はこんな無駄遣いをまったく知らされていない。今の原子力政策は一部の人間だけが、国民の税金を無駄に 消費しながらこっそり進めている。みんな金食い虫である。朝日も折角脱原発に踏み切ったのなら、今後はこの辺りの報道に腰を据えて知らせるべきではない か。
 現在稼動している原発からは当然毎日「高レベル放射性廃棄物」が排出されているが、この処分が袋小路に入り込んでしまっているのだ。これをどうするのか。脱原発と並行してこの廃棄物問題も精査し、道筋を決めなければならない。
 今夕菅首相が記者会見で、「原発に依存しない社会を目指すべきだとの考えに至った」と脱原発を表明した。「計画 的、段階的に原発依存度を下げ、将来は原発がなくてもやっていける社会の実現を目指す」とも述べた。朝日と歩調を合わせるような発表である。この首相の発 言自体は評価されるものだと思う。だが、いつもながらの1人相撲の感が拭えない。もう少し閣内で話し合いをしたうえで閣僚の同意を得て発表するという手法が取れないものだろうか。
 海江田経産相との間に齟齬を来たした原発ストレステストの採用辺りから、首相の本音と言動は分かりにくくなったが、側近中の側近と慎重に検討したうえで、腹を固めなりふり構わず押し切ったのだろう。
 朝日が脱原発の見解を表明し、菅首相も脱原発の方向性を示した。
 さて、果たしてオピニオンリーダーである朝日と菅首相の考え表明によって、脱原発が今後原発世論をリードしていくことになるだろうか。

2011年7月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1518.2011年7月12日(火) 世界同時不況の中で、中国だけがひとり勝ち

 中国を除いてどこの国の経済もあまりぱっとしないが、その中でもギリシャはデフォルト寸前と見られ、スペインやイタリアもその不景気集団に巻き込まれそう な勢いである。スペインのサパテロ首相の如きは、自国の景気が悪いのはギリシャのせいだと八つ当たりに近いぼやきようである。
 この非常時にEU各国も地盤沈下のままいずこもぱっとしない。アメリカも長期金利の急激な低下でドル安傾向である。こんな欧米の不景気の中で本来なら大震災の影響で円が買われるはずがないのに、逆に日本円が買われ1ヶ月ぶりに1$=80円を割って79円台にまで上がった。この影響で日経平均株価も1万円を割り9925円となった。対前日では143円安である。いつまで日米欧の不景気状態が続くのだろうか。
 それにしても世界同時不況の中で中国だけがひとり勝ちである。中国の6月末外貨準備高は前年同期比で30.3%増の約256兆円(3.1975兆$)というから凄い。5年前に日本(6月末で1.14兆$)を抜いて今では世界最大というのだから、30年 前の中国の貧困ぶりを知る身からすると驚き以外の何物でもない。中国の景気自体は確かに良いのだが、中国経済にはその他に人民元を実勢より低く保つための 元売り・ドル買い介入で外貨が膨らんだ側面もある。以前からアメリカから元切り上げを求められるたびに、中国独自の論理を振りかざし、のらりくらりと言い 逃れ今日に至っている。しかし、これほど他国との間に外貨の価値に差が生まれると、果たしていつまで中国流言い逃れが通用するのだろうか。
 それにしてもわが道を行く中国は、他の国々と歩調を合せて歩んでいく気があるのだろうか。どうも世界とのバランスより、自国だけ繁栄すれば良いとの成り上がり者の独尊的なテーゼが目に浮かんできてしようがない。

2011年7月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1517.2011年7月11日(月) 東京電力の情報公開に隠されているもの

 福島原発事故が発生して以来電力の供給量の逼迫懸念から、東京電力は地域ごとに計画停電を要請していた。その後全国的に節電を周知させ、そのお陰で今のところ毎日20% 近くの余裕があるようだ。実は、その計画停電を実施していた当時から、毎日地区ごとの計画停電時間帯が発表されていたが、わが家のある世田谷区は表示され ず、実際に計画停電が実行されることはなかった。それは正直に言ってありがたいような気持ちではあるが、他の地域が等しく不便を強いられるのにわが世田谷 区だけ、のうのうと恩恵に浴しているのも気がひけるし、これはこれで不公平ではないかと気にしていたところ、やはり気にする人が多くいたらしく外野がざわ ざわしてきた。なぜか世田谷区だけ計画停電から除外されているのは、当然それなりの理由があると思う。東電はその理由を明かさない。あれこれ風評だけが一 人歩きすることになる。
 ところが、この計画停電とは別の話題として今週の「AERA」(7月18日発行)が、世田谷区の電力消費量について採り上げている。「世田谷区VS.東 京電力―なぜ消費量出せないのか」であるが、この記事の中で気になったのは、東電が世田谷区には電力消費量を示せないということである。なぜ世田谷区だけ 提示できないのか。その根拠が分らない。区としては夏祭りの自粛、つまり電力の節約を行うには、実際の電力消費量を知りたいわけで、東電に数字を提供して くれるよう求めたが、NOの回答だった。東電が数字を出す根拠を提供できない理由が分らない。もし 世田谷区の望む数字を提供するためには、そのシツテムを増設するために4億円と8ヶ月の時間が必要との東電の説明は、素直に納得できるものではない。どう もこの辺りに何やらファジーな東電という会社の特殊性、隠蔽性、国策会社的体質があるのではないだろうか。
 今日で大震災発生後丁度4ヶ月となった。吉村美栄子・山形県知事と嘉田由起子・滋賀県知事が原発依存からの脱却と太陽光など代替エネルギーへの転換を訴える「卒原発」を明日、明後日開催される全国知事会議で共同提案する。
 さて、どんな反応が表れるか。注目したい。

2011年7月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1516.2011年7月10日(日) アフリカに新たな独立国誕生

 昨日アフリカで54番目の独立国が誕生した。スーダン国内の南部が分離独立して南スーダン共和国が生まれた。内戦やダルフール紛争、民族虐殺等々過去にいくつかの厳しい試練を乗り越えて、とにもかくにも漸く新しい国家が生まれた。近々国連193番目の加盟国となる。
 それにしてもアフリカの国々の隣国間の境界線を引くのは難しい。かつては、国民が線引きを決めたわけではなく、 植民地の支配者同志の損得勘定や支配権拡大などの都合によって決められるのが通例だった。今度のスーダンの場合は、過去の支配者の影響ではなく、スーダン 国内の地勢的、かつ民族的・宗教的な影響が大きい。
  親のスーダン共和国と子の南スーダン共和国の住民は同じ国土内に住んではいるが、親がアラブ人であるのに対して子は所謂アフリカ人であり、宗教的にも親の イスラム教徒に対して子は一部キリスト教徒もいるがほとんどは土着の宗教である。今回の独立劇を見ていると、必ずしも民主的とは言えないアフリカの国内 で、対抗心の強い民族同士が共存することがいかに至難であるかということを証明している。
 30年以上も前にスーダンの首都ハルツームを訪れたことがある。丁度車が左側通行から右側通行に変った時だった。地元の人たちに誘われ、夜中の12時の交通信号変更時間に交通事故を期待?して繁華街へ出かけて予想通り事故を目撃したことを懐かしく思い出す。
  それはともかく、新独立国家に対しては、国内における影響力と資源獲得を狙って早くも米中2大国が積極的な工作を行っている。特に、これまでのスーダンに おける地下資源産出はほとんどが南部からであり、今後スーダンから南部が切り離されることにより、北のスーダンは苦境に追い込まれる。これから両国国境地 帯に埋蔵される石油資源を巡って、両国の権益争いが激化しなければ良いが・・・。
 さて、現在ドイツで女子サッカーのワールドカップが開催されている。昨晩行われた決勝トーナメント準々決勝で日本代表チーム「なでしこジャパン」は強敵ドイツを延長戦の末1-0で下して、準決勝へ勝ち進んだ。先日のU-17のワールドカップで日本はベスト8に残った。日本代表チームが年々力をつけ、昨年のワールドカップではベスト16まで勝ち上がったが、女子、若手とも+の相乗効果が表れている。
 昨晩の試合をビデオで観ているととても勝てそうな気がしなかった。相手のドイツは過去2大 会連続で優勝している強豪で、優勝候補の筆頭でもある。加えて地元開催という点でも力が入っている。全員背も圧倒的に高い。終始押されっ放しだったが凌ぎ きり、延長後半のワンチャンスに貴重な決勝点を挙げ、逃げ切った。よくぞ強敵に食い下がりワンチャンスをものにした。今すべての面で地盤沈下が目立つ日本 社会だが、こういうしたたかな若者たちが活躍してくれると気分もすっきりする。久しぶりにスカッとした。

2011年7月10日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1515.2011年7月9日(土) 放射性廃棄物をどう処分するのか。

 運転停止中の原発の安全定期検査終了後の運転再開について、政府と地元との間で相手に対する不信感から大きな溝が出来てしまった。原発推進派にせよ容認派にせよ、現時点では運転再開について直ちに‘YES’とは応えられない不信感が芽生えてしまったのである。福島原発では作業員が放射能汚染を心配しながら懸命の作業を続けているにも拘わらず、収束へ向けた明るい見通しが一向に示されない。
  テレビ番組でもしきりに原発是非討論をやっているが、素人にとって難しい説明をしたうえでいくつか示される専門家の資料がまた殊更分かりにくい。今気に なっている問題で、早く話を進めて欲しいと願うのは、わが国が将来のエネルギー政策で原子力発電を必要とするのか、不要なのか、不要とする場合の代替エネ ルギー源を何に求めるのかという、最も基本的で重要な課題である。それに、あまり議論されていないが、現在貯蔵されている分を含めて放射性廃棄物、使用済 み核燃料の処分を今後どうするのかという点をもっと真剣に議論すべきではないかと考えている。放射能漏れを引き起こす可能性のあるそれらの問題について、 ほとんど報じられていないのが実態である。
 そんな中で8日午前0時にNHKが「世界のドキュメンタリー」番組の「放射能廃棄物はどこへ」シリーズで放映した2010年ドイツContex TV制作の「旧ソ連原子力潜水艦の末路」は、放射性廃棄物に対する無関心層に警鐘を鳴らす意味でも必見の作品だった。
 米ソ冷戦時代に核兵器開発競争にしのぎを削っていたソ連は、開発製造した原子力潜水艦を保有すること自体が抑止力につながるとの考えの下に、200隻近い原潜を製造した。それが2000年 8月に起きた原潜「クルスク」の海底爆発事故以降、国の財政事情もあり原潜の存在価値が減じ、それらは無用の核廃棄物となり、ロシアはその処分に頭を痛め ている。そこで旧東ドイツ科学者の指導の下で放射能廃棄物を凍土に放棄する計画が実行された。その一時的な処分までの一部始終を追ったドキュメンタリー で、放射能の怖さと放射性廃棄物の処分の難しさをアピールしていた。
 原潜200隻に搭載された原子炉をこれからどう処分するのか。重さ1基1600トンの原子炉7基をタグボートで雪深いサイダ湾保管施設へ曳航して運び、そこの野外に固定して監視するという。厳しい気象条件もあり、これだって1年にたった1回しか運搬出来ない。つまり1年に7基だけしかこの地へ運ぶことが出来ない。更にここに保管しても放射能漏洩の可能性がないわけではない。このまま置いたままでも放射能が消えるのに70年かかるという。
 こういう危険な廃棄物の処分方法が国によってばらばらであり、これという決め手はない。こんな危ないものを造り出して、その処分法もはっきりせず、放射能漏洩の危険性は限りなく高い。この問題をこのままいつまでも放っておくわけにはいくまい。

2011年7月9日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1514.2011年7月8日(金) 懐かしきかな!加藤隼戦闘隊

  「歴史街道」8月号特集に「加藤隼戦闘隊」が採り上げられている。♪エンジンの音轟々と~♪で始まる勇ましい戦隊歌とともに、加藤隼戦闘隊が懐かしく甦ってくる。早速買い求めてぱらぱらっと頁を捲ってみると懐かしい方々の写真とお名前が目に入ってきた。1972年1月戦後初めて「加藤隼戦闘隊ビルマ戦跡巡拝団」を企画、案内して以来、ビルマへ一緒に巡拝された方々である。すでに皆さんほとんどがお亡くなりになっておられる。
 加藤戦闘隊といえば、その行動は満州の牡丹江からスマトラのパレンバンまで広範囲にまたがるが、何と言っても主 戦場はビルマである。加藤建夫戦隊長が散華されたベンガル湾に臨むアキャブ海岸の慰霊祭を始め、ビルマ各地で戦没者を弔う慰霊祭を行って同部隊戦友の方々 と旅を続ける中で、数々の忘れ難い体験をし貴重なお話を伺った。
 現在わが国では政治が機能せず、東日本大震災という未曾有の国難に遭遇して国民の間に国家のリーダー不在が囁かれている。
 加藤戦隊長が部下に与えた訓示が3つある。「どんな困難にあっても平常心を保つ」「団結を乱さずに組織戦を重視 する」「任務遂行を第一とする」である。この訓示を胸に飛行第六四戦隊(加藤隼戦闘隊)は、戦隊長の指導よろしきを得て戦隊はよく統率され輝かしい戦果を 挙げた。加藤戦隊長の抜きん出たリーダーシップは、いかなる部下をも心酔させずにはおかなかったようだ。第1回巡拝団で訪麺した折、招待されたビルマ政府 迎賓館でチッ・キン元内務相から、加藤戦隊長の人間性とリーダーシップについて賞賛の言葉をいただいたほどである。
 戦後復員した隊員は日本各地に散って行かれたが、その後東京都内在住の何人かの世話役のお骨折りにより、戦隊は 再結成?され、中心となった幹事さんが亡くなるまで、六四会として毎年六月四日に靖国神社に集い、加藤戦隊長を始めとする多くの戦友の霊を慰めていた。戦 隊長未亡人の加藤田鶴さんも必ず参列され、隊員は仲良くいつもまとまっていた。戦隊には戦隊長から継承された断固たるリーダーシップと困難に打ち克つチー ムとしての固い結束力があった。
 それに引き換え時代も状況も異なるが、今の政界に当てはめてみると現在の首相や閣僚ではこの訓示をまったく遂行できていないことが分る。仮に戦争をやったら菅内閣は完膚なきまでに叩かれるということなのだ。
 必ずしも戦陣訓を見習い採り入れるべきだとは思わないが、加藤部隊長の訓示は説得力があり、戦時に非ずとも納得し得るし、場面に応じては現在でも充分通用する。
 その後何度も六四会の方々とビルマへご一緒したが、私自身旅行業者としての営業活動をやってこられたのは、この 戦隊の素晴らしい方々と巡り会えたこと、そして皆さんの固い結束とチームワークに目を見開かされたことにあると思っている。営業のきっかけと本質を教えて いただいたのは、実に加藤隼戦闘隊の皆さんのお陰だと思っている。

2011年7月8日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1513.7月7日(木) 菅首相また豹変、憲政史上最低内閣か。

 何とも未熟と言うべきか拙いと言うべきか、お粗末としか言いようのない原発再稼動に関する政府の対応である。敢えて言うなら、菅首相の方針がはっきりせず 二転三転し、閣僚の間でも意思の統一も出来ず、各人各様に発言して内閣の足元がふらふらしている状態である。これでは信頼感がまったく生まれてこない。こ んな有様では、これほど重要な原発問題を精査したり、判断する能力も資格も持ち合せていないと判断せざるを得ない。
 昨日から今日にかけて噴き出した政府首脳の迷走と未熟ぶりはあまりにも酷い。原発再稼動について先月26日に海江田万里・経産相が玄海原発のある佐賀県を訪れ、定期検査の結果安全が保証されたので、停止中の原発を運転再開するよう申し入れた。それ以前に菅首相は全国の原発が定期検査を終えれば安全であると公表していた。経産相の申し入れを受けて29日 に岸本英雄・玄海町長が運転再開容認を九州電力へ伝えた。古川康・佐賀県知事も再稼動容認を覗わせるニュアンスの言葉を漏らした。まだ、運転再開には時期 尚早ではないかと世論はもちろん、私自身も感じた。原発立地町、原発立県の「原発漬け」となってしまった拭い難い事情が表面化した。
 だが、これと政府の判断・決定とは筋が違う。言うならば、佐賀県も玄海町も再稼動ヴァージョンに入ってしまっているのである。周辺市町村の冷たい視線を背に受けながら、玄海町は‘GO’ サインを出してしまった。そこへ昨日になって首相サイドが、唐突に運転再開のための安全のために余裕分として「ストレステスト」を行うと言い出した。専門 的過ぎてその内容はあまりよく分らないが、安全のために念には念を入れるという主旨自体は歓迎されるべきである。私がここでより安全性を重視しようとする 政府を批判し、早すぎる再稼動の決定を下した玄海町に同情するのは、政府のやり方があまりにも常識を欠き、二転三転してことの順序を間違え、しかもそれも 時間をおかずに簡単に置き換えるイージーな言動であるからである。
 菅内閣には誰一人として判断力のある人間がいないことが悲劇の始まりなのだ。
  この「ストレステスト」の実施により、また一からやり直しである。当然政府に翻弄された玄海町長は大むくれで、今日になって再稼動容認の撤回を言い出す始 末である。県知事にしても怒り心頭に達して、何のための玄海原発安全宣言なのか、なぜ「ストレステスト」が今なのか、と枝野幸男官房長官に会い直接不満と 不信感をぶつけている。
  同じ菅政権の原発担当閣僚である海江田経産相に至っては、先月末にわざわざ佐賀県に足を運び原発再稼動のために根回しをしたばかりなのに、菅首相に梯子を 外されたとの感情は捨てきれない。原子力担当大臣が不信感を募らせているのである。そして、菅首相の原発政策に不満の溜った海江田経産相は、今日午後の参 議院予算委員会で大臣を辞する発言をした。どうなってんだろう、この内閣は???。
 とにかく今日言ったことが、翌日には反対意見へ転化するのだから、手に負えない。こんな好い加減で子どもじみた政権運営は未だかつて記憶にない。
  ところが、政治家が政治家なら、民間の電力会社も電力会社である。昨日九州電力で呆れたメール事件が発覚した。玄海原発の運転再開問題を佐賀県民に説明す るため国が主催したテレビ番組で、再開賛成の意見をメールで送るよう九電幹部社員が子会社や取引会社へ圧力をかけていたことが判明した。これでは世論を自 分たちに有利に誘導するためのヤラセではないか。政府同様お粗末の限りである。真部利応・九電社長の記者会見における応対も低レベルで、まるで小学生の学 芸会と変わらない。何でもかんでもノーコメントで、差し出されたメモ用紙を見てやっと責任を感じていると言ったが、社長は今日になって辞任する意向を表明 した。こんな人物が社長になれるのだから、電力会社の程度も知れよう。元々電力会社なんて国策企業みたいなものだから、パフォーマンスが政治家や公務員と 似てくるのも想像がつく。
 しかし、それにしてもこの数日間はわが国の原子力行政で、国も国策会社も無能を曝け出した。こんな調子では福島原発事故は収束できないのではないかと思うと気持ちも寒々としてくる。

2011年7月7日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1512.2011年7月6日(水) 深刻で考えさせるテレビ番組二つ

 3日前の夜NHK・ETV特集で「大江健三郎・大石又七-核をめぐる対話」という1時間半に亘る中々密度の濃いトーク番組が放映された。偶々昨日駒沢大学の講座で片山正彦講師が、この番組のあらすじについて解説された。
 大江氏は言うまでもなくノーベル賞作家で誰もが知る著名人であるが、一方の大石氏については一部で知っている人を除いてあまり著名な方ではない。1954年にビキニ環礁で死の灰を浴びた第五福竜丸の元乗組員である。二人は初対面であるが、大江氏がすでに大石氏の著作「死の灰を背負って」を読んだうえで第五福竜丸展示館内の船の上で話し合った。
 二人は今度の福島原発事故はこれまでの大国の原水爆実験、及び国際的な原子力開発競争の延長線上で起きた事故であると言われる。80歳に近い二人が話されるので、やや会話の歯切れが悪く聞き取りにくかったが、その中にはいくつか感銘を受ける言葉があった。
 大江氏は子どもの頃に大人の話す言葉について母親に度々質問して、感銘を受ける言葉とは真面目な言葉で悲しみの伴った言葉であると学んだという。一方、大石氏は23名の乗組員のうち亡くなった14名 はほとんど白血病と甲状性癌によるもので、事件以来放射能に怯え、地元・焼津の人たちの謂れなき噂話や中傷に追われるように上京した。自分たちは死の灰に よって苦しめられたのに、事件がどんどん忘れ去られていくことに無性に腹が立ったと言い、それが自分に書を書かせた動機であり、世の無関心に警鐘を鳴らす きっかけになったという。 
 その当時ソ連の水爆実験により原子力が兵器開発に向けられるのを恐れた、アメリカのアイゼンハワー大統領がビキニ水爆実験の前年、1953年 に原子力平和利用を訴えるステートメントを発表した。その翌年のビキニ環礁水爆実験に反対する国際世論の高まり、とりわけ被害者である日本国内の強力な反 原子力運動を抑えるために日米両政府が原子力平和利用について取引して協定を結び、それ以降反原子力の声は小さくなった。この舞台裏を当時のフィルムを交 えて説明してくれた。
  国内では政府と実業界の間に原子力政策を推進する協調路線が確立され、当時の読売新聞社主・正力松太郎氏が自民党・中曽根康弘氏とともに政界、及び経済 界、文部科学行政において原子力推進の仕掛けをした。それ以来わが国の原子力政策は原発推進を中心に据えて止まるところを知らず、今日のエネルギー政策に 至っている。この福島原発事故を導く結果となった、わが国の原子力政策を推進した人たちは誰も責任を取らないだろう。それは太平洋戦争を引き起こした罪に 対して、誰も責任を取っていないのと同じ図式である。
 この間ビキニ環礁周辺では66回もの核実験が行われ、多くの放射能被災者が生まれ、今日では実験こそ中止されたが、未だに後遺症は残っている。大石氏は2004年このビキニ環礁内にあるロングラップ島へも出かけ、被害を受けたジョン・アンジャイン元村長を始め島民とも交流を深めているが、ここにも放射能の影響は残り、彼らは島から移送され別の島で暮らしている。
 幸い大石氏は紹介者がいて結婚することは出来たが、生まれた子どもは死産だった。死の灰の影響を受けたことをいつまでも気にして心は休まらない。都内に開店していたクリーニング屋も寄る年波で昨年閉店した。前向き志向の方ではあるが、20歳以降死の灰の恐怖に取り付かれ、一日たりとも死の恐怖を忘れたことはなかったという。
 こういう貴重なフィルムは、原子力推進派にも見せて、自分の問題として考えることをもっとPRしたら良いのではないかと考えた次第である。
 今日の駒沢大学の講義では、清田義昭講師が裁判員制度について問題提起をした。昨年放映のビデオを観賞して考えることになった。
 「『死刑裁判』の現場」と題する気の重くなるビデオである。元東京高検検事で弁護士の日大教授・土本武司氏が、 検事時代にただ一度だけ求刑した死刑により処刑された犯人との生前の交流を描いたドキュメント作品である。裁判で自分が極刑を求刑し、死刑が確定していな がら犯人の人間性と母親の息子への愛に、少しずつ極刑を求めた気持ちに迷いが生じ心が揺らいでいく。手紙を交換する過程で次第に減刑を求める気持ちが強く なり上司に「個別恩赦」の相談をする。まったく矛盾した気持ちを上司に突かれ、その気持ちを絶つ。鬼になりきれなかった自分を情けないと嘆いて、今でも心 に引っかかるのを何とも仕様が無いと言い、死刑制度はない方がよいとも言う。
 しかし、清田講師が個人的に知人から聞いたところでは、土本氏は必ずしも死刑制度廃止論者ではないという。だから分らない。人間の生死がかかっているだけに、簡単には結論は出そうもない。見終わって考えさせられもし、また気が重くなったドキュメントである。

2011年7月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1511.2011年7月5日(火) 松本龍復興担当相ついに辞任

 「松本復興相が辞任-被災地発言で引責・首相に早期退陣圧力・就任9日目」(日経)、「松本復興相辞任-被災地での放言引責・就任9日目『言葉荒かった』」(朝日)は、今夕刊トップ記事の見出しである。
 当然と言えば当然だろう。「言葉が荒かった」ではなく、人と接する心がけや腕組みしながら話す態度、横柄な口の ききかたなども悪かった。先日復興基本法が成立してできたポストで初代大臣が僅か就任9日目にして辞任とは、被災者もいまでは匙を投げている。それにして も随分軽いという印象は否めない。
  今日駒沢大学講座でも、ジャーナリズム出身の菱山郁朗講師から松本大臣のパフォーマンスと暴言について、これは大臣の自爆だろうし、辞任もやむを得ないと の話があった。これで益々政治が停滞するのではないか。野田佳彦・財務相は、今年度予算執行のために予定されている赤字国債を発行するためには、8月中に 特例公債法が成立しなければ、9月以降予算執行を抑制せざるを得ないと述べた。これでは何としても特例公債法案を通さなければなるまい。海外から日本の政 治は三流と揶揄されるわけである。
  世界にも多種多様な国があるが、その中でも今年1月にはブラジルで初めての女性大統領・ジルマ・ルセフ氏が就任した。昨日はタイでもタクシン元首相の妹イ ンラック氏が初の女性首相に選任された。今まで保守的で強権的な社会体制が堅持されたり、動乱などで政治的に荒れることはあったが、体制が変わるドラス チックなことはそんなに数多く起きているわけではない。それが今年に入ってアラブ諸国の政変が頻発し、これまでの殻を破った新しい民主化と体制変革の芽も 息吹いてきた。ブラジルやタイの他にもペルーの大統領選挙でもフジモリ元大統領長女が最後まで大統領選で戦った。世界ではそんな元気の良い女性が新しい風 を吹かせている中で、男が政治を牛耳る日本では相も変わらず政治は停止し、震災復興は遅々として進まず、お互いに足の引っ張りあいばかりだ。
 松本復興相の辞任で、任命権者である菅首相の求心力は益々低下し、風当たりも一段と強くなり、首相辞任を求める声が強くなるだろう。ところで菅さんの後釜はいるのだろうか? 

2011年7月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com