「松本復興相が辞任-被災地発言で引責・首相に早期退陣圧力・就任9日目」(日経)、「松本復興相辞任-被災地での放言引責・就任9日目『言葉荒かった』」(朝日)は、今夕刊トップ記事の見出しである。
当然と言えば当然だろう。「言葉が荒かった」ではなく、人と接する心がけや腕組みしながら話す態度、横柄な口の ききかたなども悪かった。先日復興基本法が成立してできたポストで初代大臣が僅か就任9日目にして辞任とは、被災者もいまでは匙を投げている。それにして も随分軽いという印象は否めない。
今日駒沢大学講座でも、ジャーナリズム出身の菱山郁朗講師から松本大臣のパフォーマンスと暴言について、これは大臣の自爆だろうし、辞任もやむを得ないと の話があった。これで益々政治が停滞するのではないか。野田佳彦・財務相は、今年度予算執行のために予定されている赤字国債を発行するためには、8月中に 特例公債法が成立しなければ、9月以降予算執行を抑制せざるを得ないと述べた。これでは何としても特例公債法案を通さなければなるまい。海外から日本の政 治は三流と揶揄されるわけである。
世界にも多種多様な国があるが、その中でも今年1月にはブラジルで初めての女性大統領・ジルマ・ルセフ氏が就任した。昨日はタイでもタクシン元首相の妹イ ンラック氏が初の女性首相に選任された。今まで保守的で強権的な社会体制が堅持されたり、動乱などで政治的に荒れることはあったが、体制が変わるドラス チックなことはそんなに数多く起きているわけではない。それが今年に入ってアラブ諸国の政変が頻発し、これまでの殻を破った新しい民主化と体制変革の芽も 息吹いてきた。ブラジルやタイの他にもペルーの大統領選挙でもフジモリ元大統領長女が最後まで大統領選で戦った。世界ではそんな元気の良い女性が新しい風 を吹かせている中で、男が政治を牛耳る日本では相も変わらず政治は停止し、震災復興は遅々として進まず、お互いに足の引っ張りあいばかりだ。
松本復興相の辞任で、任命権者である菅首相の求心力は益々低下し、風当たりも一段と強くなり、首相辞任を求める声が強くなるだろう。ところで菅さんの後釜はいるのだろうか?