昨日アフリカで54番目の独立国が誕生した。スーダン国内の南部が分離独立して南スーダン共和国が生まれた。内戦やダルフール紛争、民族虐殺等々過去にいくつかの厳しい試練を乗り越えて、とにもかくにも漸く新しい国家が生まれた。近々国連193番目の加盟国となる。
それにしてもアフリカの国々の隣国間の境界線を引くのは難しい。かつては、国民が線引きを決めたわけではなく、 植民地の支配者同志の損得勘定や支配権拡大などの都合によって決められるのが通例だった。今度のスーダンの場合は、過去の支配者の影響ではなく、スーダン 国内の地勢的、かつ民族的・宗教的な影響が大きい。
親のスーダン共和国と子の南スーダン共和国の住民は同じ国土内に住んではいるが、親がアラブ人であるのに対して子は所謂アフリカ人であり、宗教的にも親の イスラム教徒に対して子は一部キリスト教徒もいるがほとんどは土着の宗教である。今回の独立劇を見ていると、必ずしも民主的とは言えないアフリカの国内 で、対抗心の強い民族同士が共存することがいかに至難であるかということを証明している。
30年以上も前にスーダンの首都ハルツームを訪れたことがある。丁度車が左側通行から右側通行に変った時だった。地元の人たちに誘われ、夜中の12時の交通信号変更時間に交通事故を期待?して繁華街へ出かけて予想通り事故を目撃したことを懐かしく思い出す。
それはともかく、新独立国家に対しては、国内における影響力と資源獲得を狙って早くも米中2大国が積極的な工作を行っている。特に、これまでのスーダンに おける地下資源産出はほとんどが南部からであり、今後スーダンから南部が切り離されることにより、北のスーダンは苦境に追い込まれる。これから両国国境地 帯に埋蔵される石油資源を巡って、両国の権益争いが激化しなければ良いが・・・。
さて、現在ドイツで女子サッカーのワールドカップが開催されている。昨晩行われた決勝トーナメント準々決勝で日本代表チーム「なでしこジャパン」は強敵ドイツを延長戦の末1-0で下して、準決勝へ勝ち進んだ。先日のU-17のワールドカップで日本はベスト8に残った。日本代表チームが年々力をつけ、昨年のワールドカップではベスト16まで勝ち上がったが、女子、若手とも+の相乗効果が表れている。
昨晩の試合をビデオで観ているととても勝てそうな気がしなかった。相手のドイツは過去2大 会連続で優勝している強豪で、優勝候補の筆頭でもある。加えて地元開催という点でも力が入っている。全員背も圧倒的に高い。終始押されっ放しだったが凌ぎ きり、延長後半のワンチャンスに貴重な決勝点を挙げ、逃げ切った。よくぞ強敵に食い下がりワンチャンスをものにした。今すべての面で地盤沈下が目立つ日本 社会だが、こういうしたたかな若者たちが活躍してくれると気分もすっきりする。久しぶりにスカッとした。