1540.2011年8月3日(水) 原発反対の若者はどのくらいいるのか。

 今日もドル安円高は進み、1㌦=77.15円で昨日よりちょっとばかり円高になった。予想通り株価は207円も下げ、日経平均は9637円 で相変わらず1万円を割ったままである。この不景気の中で、日立がテレビの生産を止めるという。パナソニック、東芝もテレビの売れ行きが悪く、ある面で日 本のバブル経済をリードしてきたテレビが、ここへ来て韓国製品に押されて四苦八苦の有様である。震災で農業、漁業、畜産業が大打撃を受け、日本産業が地盤 沈下を起している最中だが、まだまだ「坂の上の雲」は見えない。
 今日JAPAN NOW観光情報協会企画会議を終えてから雑談の中で、JR東 海顧問の須田寛さんが、中国高速鉄道事故について個人的な感想を述べておられたが、技術を中国側にパクられた立場でもあり、内心は忸怩たるものがあるであ ろうが、手厳しい考えは話されなかった。ただ、専門家の視点から今のシステムでは事故が起きるのが予想されたとも述べておられた。私も須田さんの意見に賛 成である。
 しかし、その後に福島原発事故が話題になった際、須田さんはこの機に原発反対派が力を得て「脱原発・先にあり き」のムードが優勢になりつつあるが、よく考えなければならないと話された。かつて左翼に乗せられた原爆反対、核兵器開発反対のように若者が原発反対運動 に一直線に向うのは要注意と心配しておられた。しかし、どうだろう。敢えて異を唱えなかったが、そんなことはないと思う。今の原発反対派は、純粋に原発の 恐ろしさを知って、後世の安全のために代替エネルギーの開発を進めるべきだと悟り、純粋に脱原発を訴えているものと考えている。
  それにこう言っては若者から反撃されるかも知れないが、現代の若者はかつての若者に比べて、政治問題や社会問題に些か関心が薄く、それらの問題に真摯に向 かいあっていないと思っている。実際学生が反社会的な動きに対して、阻止行動や反対運動を行ったというニュースは最近聞いたことがない。彼らは現在を刹那 的に楽しむことに先ず関心が向う。現状に必ずしも満足はしていないだろうが、不都合な社会を改革しようとか、濁った社会を正すためのアイディアを提言しよ うというような国民運動には腰が引けているような気がする。その意味では、左翼云々に拘わらず、若者が原発反対へ積極的に進み出したとするならば、それは それで私は大いに評価したいと思うが、どうだろうか。

2011年8月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1539.2011年8月2日(火) 中国の海洋進出は高圧的、防衛白書が指摘

 正式にアメリカの債務上限引き上げ法案が議会で承認された。これによって当面の危機は先延ばしされたが、心配していた日本の円高が一段落するかと思いきや、再び円高が進み、一時は過去最高値(76.25円)に迫る76.29円にまで達した。その後77円台で推移しているが、まだとても安心出来ない。
 昨日ホンダが第1四半期決算を発表したが、今日トヨタの決算発表ではホンダを遥かに上回る円高損失500億円以上を計上した。営業損失も震災の影響と円高分を合せて1079億円というから、流石に世界のトヨタらしく桁外れである。
 この円高に引っ張られ株式市況もぱっとしない。連日日経平均株価は下がりっぱなしである。
 一方、福島原発事故の放射線漏れで肉牛の出荷が停止されていた岩手、宮城、福島県に続いて栃木県の肉牛も全頭検査することになった。
 稲作も放射線汚染の影響が懸念され、収穫される米も各県で独自に検査をするようだ。気の毒なのは農業、畜産業に関わる人たちである。
  さて、今日防衛白書が報告された。その中で特に強調されているのは、近年海洋進出に積極的な中国への対応である。同時に中国への警戒感も記載されているよ うだ。昨年の白書でも国防政策の不透明性や軍事力の動向は、わが国を含む地域・国際社会にとっての懸念事項と指摘したが、今年も中国については、日本など 周辺諸国と利害が対立する問題で中国は高圧的と決め付けた。日本とは尖閣列島問題で一波乱あり、南シナ海では東南アジア諸国との間で軋轢が生じている。最 近の国防政策を見てみても、旧ソ連の払い下げ空母を改造してアジア海域へ乗り出し、軍事力をみせつけそうだ。実際今南沙諸島周辺で問題を起している中国の 行動自体は無理があり、無茶苦茶で筋が通らない。国際法的に見てもとても自国の領土とは思えない海域で自国の利益のために活動し、自国領土を主張する他国 とことを構えるというスタンスでは顰蹙を買い、恨みを買うばかりではないか。とても相手国の考えを聞いて話をまとめるというセンスは感じられない。俺が、 俺がの論理でどこへでも乗り出してくる。警戒し、警戒されるのは当然だと思う。その意味では、防衛白書の指摘はごもっともだと思う。
  ただ、それにしてもここまで中国をつけ上がらせてしまったのは、米ロを始め日本にも責任の一端はある。もう遅いかも知れないが、力で押し通そうとする中国 には時間をかけてひとつひとつ丁寧に説明して納得させてあげるより方法はない。中国は今や横車を押すばかりの巨大な国になってしまった。食品衛生、高速鉄 道、知的財産などに問題だらけの国が、どうしてこれほど大きな顔をして、でかい態度を取れるのだろうか。
 今日女子ワールドカップで優勝した「なでしこジャパン」チームに、国民栄誉賞が授与されることが正式に決定した。ご立派!お見事!

2011年8月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1538.2011年8月1日(月) アメリカ、債務引き上げに合意

 明日2日に期限切れを迎えるアメリカ連邦政府の債務上限について、すったもんだの末漸く民主党・共和党両党間で上限引き上げが合意された。これでドル安円 高相場も一息つくことになる「筈」である。だが、アメリカの財政に関して根本的な問題が解決されたわけではない。これで米国債の債務不履行は回避されそう だが、依然としてその格下げの可能性は残っている。
 これからドルと円の動きがどうなるのかは予断を許さない。「選択」8月号によれば、アメリカの景気回復は当分望むべくもないようだ。最大の原因は雇用が確保されないことで、公表されたアメリカの失業率は9.2%、14百万人で、これに潜在失業者を含めると実質失業率は16.2%、24百万人となる。このための失業保険給付が連邦政府にとって大きな財政負担となる。もうひとつ大きな原因は住宅価格の下落だそうである。これにはヘッジファンドのチャンピョン、ジョージ・ソロス氏も一時為替相場から手を引いて現金を引き上げるらしい。
 恐いのは最近の調査で、アメリカ人の39%がアメリカ経済は永久的な衰退に入ったと感じていることであり、半数の人が1年内に重大な不況が始まると信じていることである。
 しかし、このアメリカの債務上限引き上げにより、取りあえず円は78円台に下がった。今日ホンダが第1四半期決算報告を行ったが、「1ドル=80円を想定していたので、約225億円の為替損失を蒙った。早く想定相場に戻ってほしい」とホンダ役員が苦しい胸の内を語っていた。これに対して菅政権の金庫番である野田佳彦・財務大臣からは当たり障りのないコメントしか述べられなかった。やっぱりなぁ。
 この胃が痛むような株式不況と経済停滞はいつまで続くのだろうか。

2011年8月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1537.2011年7月31日(日) やらせメールの原因は公が造り上げた組織にある。

 明日から8月に入るというのに、今日の肌寒さは格別である。今は真夏なのでこれも一時的な気象ではあるが、東京都内の最高気温は25.4℃だったからまるで秋の気候である。これは朝鮮半島からやってきた前線の影響によって大雨を降らせたからであるが、韓国でも大きな被害が出ている。日本では一昨日来新潟と福島を集中的に豪雨が押し寄せ、30万人以上の人々が避難した。農作物は平成17年に襲った新潟・福島豪雨を上回る被害を出しそうである。福島県民にとっては踏んだり蹴ったりであろう。

 あれもこれもその遠因を探ると地球温暖化に行き着くことになるようだが、その点を強調し過ぎると原発推進派が力を得ることにもなる。
 流石に福島第一原発の放射線漏れ事故以来原発推進派の影は薄い。だが、推進派も今までは表立っていた活動を裏へ回って姑息にやっているようだ。

 一昨日公になった原子力安全・保安院のやらせの圧力に対して、菅首相を始め各方面から批判が相次いでいる。そこへまた同じようなやらせを誘発するような 古川康・佐賀県知事の言動が暴露された。九州電力玄海原発の運転再開のためのシンポジウムを前に、知事が九電役員に「電力の安定供給の面から再開を容認す る意見を出すことも必要」とやらせメールを引き起こすような発言をした。知事はやらせメールへの影響を否定しているが、この発言がやらせメールを誘発した のではないかと九電の第三者委員会が見解を発表した。

 原発推進の国策の下で、権力者はもう善悪の区別がつかなくなってしまっているのだ。佐賀県知事だって元々官僚だったから、本心は原発推進なのだ。今や原発推進なら何でもOK、反対ならすべてNOというソフトウェアが出来上がってしまっている。この牙城を切り崩すのは中々骨の折れることだと思う。それでもわずかな世論に耳と傾けてみる限りでは、脱原発、減原発、自然エネルギー転換、の声が少しは聞こえてくるようになった。
  現在国会へ提案中の再生エネルギー法案の内容がメディアでも解説され議論されているが、自然エネルギーを採用した業者から電力会社が一定期間定額で電力を 買い取る内容については、業者は価格的に赤字になるようではやらないと言うし、上げれば電力料金に上乗せされ消費者へ電力料金値上げとなって皺寄せされ る。これらの議論を聞いていると、第一義的には何が最も大切かという根本的なポイントを話し合わないで、枝葉末節な話し合いに終始しているケースが多い。 毎度のことながら、結局これも国が政策と方向性を早く、しっかり打ち出さないからではないか。

2011年7月31日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1536.2011年7月30日(土) あと一歩で戦後最高値の円高へ

 8月2日にアメリカ政府の債務上限が期限切れになるのを目前に、アメリカ議会では民主党と共和党の話し合いがまとまらず、ドル売りに歯止めがかからない。そのとばっちりを受けドル安円高が益々昂進して円は戦後最高の1ドル=76.25円(今年3月17日)を追い越さんばかりの勢いである。これでは輸出関連企業は堪ったものではない。昨年は外為レートを90円台に設定していた企業が多かったようだが、今年は80円台に設定している企業が多いようだ。それが76円台だというからとても持ちこたえられないかも知れない。
 1998年に妻とエーゲ海クルーズへ行った時のレートは、韓国経済が不況の真っ只中だったせいもあり、その影響を受けて日本円も安く、1ドル=148円だった。円安であまりものを買えなかったことを思い出す。
  しかし、外国為替相場と直接関係のない普通の日本人は手の施しようがない。景気は悪くなり、株価は下がり僅かな貯金もその価値が目減りするばかりである。 この現象に対して、政府は何の対策も打ち出そうとしない。毎度決まりきった「為替の動きを注意深く見守りたい」の定番コメントも今更と思ったのか、今度ば かりは何の発表もない。まったく現政権は何もしない、できない政権である。
  その何もしない菅政権の閣僚のひとり、海江田万里・経済産業大臣が昨日国会における答弁中に泣き出す始末である。辞めると言って中々辞めない点を追求され て泣き出すとは前代未聞で、国民注視の国会内でそんな醜態を曝け出すとは社会人としても失格ではないだろうか。何とまあ軟弱なことか。こんな腰抜け大臣に 国政を任せて大丈夫なのか。これでは国民は堪らない。あまりにも「想定外」の出来事が多過ぎる。
 どうしてこんなひ弱な人物が大臣にまでなることが出来るのだろうか。これでは大震災のような重大な国難なぞ乗り越えられるわけがない。これは大臣になるまでのコースで、普通の人間が決して行わない異常で怪しげなことを行っているからではないか。

2011年7月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1535.2011年7月29日(金) 原子力安全・保安院は何をする役所か?

 中国高速鉄道の事故処理で鉄道省の対応が批判され、実際責任逃れや補償金の増額で遺族をなだめて非難の拡大を抑えようとの対応が事態を一層混乱させて、中国のリスク管理が杜撰であることをはっきりさせた。さらに新たな疑惑も生じているらしい。
 ところが翻ってわが国の為政者の国策の進め方と、その対応について胸を張って正しいと言い切れるか。怪しいものである。
 今日嫌な「やらせ」が公表された。2007年 に中部電力浜岡原発のプルサーマル導入に関するシンポジウムで、こともあろうにニュートラルな立場で安全チェックをすべき原子力安全・保安院が参加者の動 員、並びに賛成意見を求めるよう中部電力に圧力をかけていたことが判明した。先日の九州電力玄海原発のやらせメール事件と同根であるが、立場が立場である だけにより悪質である。他に四国電力に対してもやっていたらしい。
  公共的事業と呼んでもよい電力事業には、どうしても国の立場が反映される。現実には現在の原子力政策推進の考えが全般的に表れるのはある程度止むを得ない が、一番重要な「安全」に関して中立的立場であるべき原子力安全・保安院が、政府側の意見を誘導するようなことがあっては、肝心要の「安全」が骨抜きにな るのではないか。保安院は元々経済産業省に直結する組織だが、このこと自体に無理がある。経産省には原発推進する資源エネルギー庁があり、同時に安全を チェックすべき保安院が原発推進派に転向したら、審判が選手に味方するプレイになってしまう。
 結局国が原発推進の方針が決定した以上、経産省は何がなんでも原発推進しようとの考えではないかと考えてしまう。これでは最初から保安院なんて必要ない のではないか。煩い組織や人たちに対して、めくらましを食らわすか、安全重視のポーズさえ取れば良いと考えているように思えてならない。

  このシンポジウムにヤラセを知らずに出席していた学者たちは憤慨し、この種のなれあいシンポの開催に疑問を呈している。こと原発に関しては出来レースで事 業の推進を図っているが、経産省の暗躍ぶりから見て、もしかすると原発廃止とか、原発減少は夢物語に終ってしまうのではないだろうかと悲観的にならざるを 得ない。

2011年7月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1534.2011年7月28日(木) 中国鉄道事故の責任のなすりつけ方

 JR三鷹駅前で佐々木信也さんと待ち合わせ、佐々木さんの車でファミレスへ行ってエッセイに添付する「高橋ユニオンズ」時代の写真を見せてもらい複写した。佐々 木さんから現役時代のユニフォーム姿と、岡山県営球場における高橋球団解団式の貴重な写真である。それでも複写写真の鮮明度にやや自信が持てず、コンビニ のコピー機器で改めてコピーを撮った。この方がよほど良い。後者は1957年の最下位チームのスプ リングキャンプ場のグランド状態を偲ぶことが出来る貴重な写真であるが、よく見てみると現在と比べて球場自体はもとより、周囲の光景があまりにもみすぼら しく見える。今ではメジャーリーガーも輩出して派手に見られがちのプロ野球選手も、この時代は一部の選手を除いて特別ちやほやされるようなこともなく、さ して割りの良い職業ではなかったのではないだろうか。この解団式の写真はアピール度がかなり高いので、ぜひエッセイに添えて載せたいと思う。
 佐々木さんとは3日前に亡くなられた森元総理のご子息についても、ひとしきり話した。森元総理のご子息・祐喜氏は玉川学園で佐々木さんのご子息の1年後輩だったそうで、その当時文部大臣だった森喜朗さんが同学園PTA会長、そして佐々木信也さんがPTA副会長を務められたという。佐々木さんも森さんがお気の毒だとしきりに同情されておられた。
  さて、こう言っては野次馬的だが、中国の高速鉄道事故の処理と対応に対して犠牲者の遺族から猛烈な非難と抗議が鉄道省関係者に向けられている。過去にはな かったような、テレビの女子アナが涙を流しながら惨劇を伝える情緒的なシーンも放映されるほど、政府への不信感が強く、犠牲者の遺族は同情を買っている。
  それが今日になって事故原因は落雷による天災とのこれまでの説明を後退させ、落雷による後続追突車両へ停止信号が伝えられなかった信号操作の間違いによる 人災説へ訂正した。事故真相追究隠蔽がバレそうになり批判の矛先が政権へ向けられる恐れに慌てて取り繕った様子である。それにしても上海鉄道局長の言い分 が笑っちゃう。「信号が本来は赤のはずが、緑に表示されていた」だと。こうならないようにするのが、鉄道当局のやるべきことであり、責務ではないのか。命 を粗末に取り扱う体質と相も変わらない隠蔽体質が吹き出ている。その他にも運転士の経験不足や教育期間不足も槍玉に挙がっている。これまで徹底した言論統 制により、庶民の生の声を封殺してきた中国当局の対応が危うくなってきた。この事故が民主化へのワンステップになれば良いがと思う。
 事故発生5日目にして、温家宝首相が漸く事故現場に足を運び死者に哀悼の意を表したが、遺族の怒りは収まらず、首相は今まで11日 間病気のため来られなかったと情けない言い訳を述べる一方で、徹底的な事故原因究明を口にしながら責任を現場に押し付けている始末である。最初に考えた事 故収束のシナリオがあまりにも責任逃れと犠牲者を愚弄した猿芝居だったために、後から付け加える修正作業が追いつかず、解決策が後手後手に回り、温家宝末 期政権も綻びを見せたと言えよう。人権無視、言論封殺、疑惑隠蔽、汚職、等々、これが現代中国の実態だろう。

2011年7月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1533.2011年7月27日(水) 駒沢大学前期最終講座で「ハンセン病」を考える。

 駒沢大学社会人講座の前期最終回は清田義昭講師の授業である。いつも通りビデオを観て講師から解説してもらった後、問題点や感想を話し合った。今日のビデオはハンセン病を扱った「いのちの格差」という2008年三重テレビ制作作品で、中々の力作である。昨年もハンセン病を扱った作品を見せてもらったが、ハンセン病については近年特効薬の開発により患者が激減して、過去の患者と国との補償問題も解決し表面的にはあまり目立たなくなった。
 しかし、ハンセン病患者に対する偏見が消えたわけではない。寡聞にして知らなかったが、北京オリンピック前には中国オリンピック委員会がハンセン病患者 の一時入国禁止を打ち出した事実があった。もちろん中国は海外各国から強い非難と反発を受け、すぐに撤回した。戦前わが国では「祖国浄化」の名の下に、ハ ンセン病患者は軍人にはなれず、社会から隔離され、患者を抱える家族にとっては恥ずべき不名誉だった。

  話し合いの中で、僭越ながら私見を申し述べた。戦前軍役に就けず、社会から冷たい目で見られた患者と同じようなケースとして、戦時中、或いは戦後に傷痍軍 人となって帰国した元軍人や、外地で脱走したり部隊が孤立して現地の人々の中にもぐりこんで逃避生活を送り、戦後母国へ復員出来ず家族や日本社会と連絡を 断ち切ったような気の毒な元軍人がいる。特に、ビルマで慰霊祭の最中にしばしば見たケースだが、ビルマ人の中に混じって、遠くから黙って慰霊祭を見て慰霊 祭が終るといずこへともなく姿を消した旧日本軍人と見られる人物についてお話した。清田講師はそんな話を初めて知ったと仰ったが、ビルマだけではなくスマ トラにもいたとお話したら、大変興味を持たれドキュメントとしてテレビで取り上げられたことがなかったことが不思議だと仰ってもらった。
  ほぼ脱稿したエッセイ「トラック島の日系大酋長が見せた大和魂と謎」の故相澤進酋長の例とは異なるが、戦争によって環境が一変し生き方がまったく変わって しまった人もかなり多い。当エッセイは相澤酋長と野球解説者・佐々木信也さん、そして森喜朗元総理の交流について書いたものだが、突然森元総理にご不幸が 見舞った。ご子息の森祐喜氏が一昨日46歳の若さで急逝されたのである。地元で記者の質問に対して 森元総理も悲しみを堪え沈痛な表情で応えておられた。5月に佐々木さんと森元総理を議員会館へお訪ねした時、祐喜氏のトラック島訪問のお話も伺ったが、こ の時祐喜氏は健康が優れず入院されていたようだ。何ともお気の毒である。
  ちょうど森元総理には前記拙稿の推敲をお願いしているところだが、まだ返送してもらっていないので、そろそろ催促してみようと考えていた矢先で実に間が悪 い。お取り込み中だろうから、しばらく待って来月に入って少し落ち着いた頃を見計らって、秘書に電話で様子を伺ってみようと思う。

2011年7月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1532. 2011年7月26日(火) 円高進む。アメリカはどう出る?

 このところ円高がじわじわと進んでいる。ついに今日は77円 台まで進んだ。これで東北大震災の復興も益々苦しくなる。円高の原因は日本側に原因があるわけではなく、主にアメリカのドル安によって引き起こされてい る。ドル安を導いた最大の原因は近年苦しくなったアメリカ財政のせいである。現在アメリカ連邦政府が発行している長期国債に債務不履行の恐れが生じ、それ を回避するために来月2日に期限切れを迎える債務上限を引き上げることを、オバマ政権と民主党が提案している。
 しかし、民主党と共和党との間で話がまとまらず、オバマ大統領も苦闘している。もう時間がない。もし来月2日ま でに民主・共和党との間で妥協が成立しなければ、債務不履行(デフォルト)の可能性が生まれ、アメリカ国債の格下げも現実として考えられる。そうなると、 ドル不安による世界経済への影響が大きくなり、世界経済同時不況の恐れも出てくる。ここ一両日の間オバマ大統領がどんな手を打ち、行き詰った現状に少しで も光を当てることが出来るだろうか。気になるところである。
 どうも中国の高速鉄道事故後の対応と処理に関して、中国鉄道省はまたまた常識では考えられない行動を起こした。 何をやったのか? とんでもないことをやったのである。昨日呆れた処理について本稿でも指摘したように、事故車両は検証することもなく壊され埋められた。 つまり証拠品を国民やテレビ監視の中で隠蔽処分したのである。ところが、今日になって昨日埋めた証拠品を再び掘り出し、指定の場所へ運んだ。あまりにも昨 日の対応に怒った遺族を始めとして、ネット上で批判した国民に抗し切れなくなった鉄道省が、調査と称して折れたような印象である。
 それにしても追突した先頭車両を破壊して埋めて、掘り出したところで原形は変わってしまっていて本当に証拠品として役立つのだろうか。一番肝心な証拠品を慌てて壊してしまったところから憶測すると、どうも自動制御システム(ATS)が本当に運転席のある先頭車両に設置されていたのかどうかすら怪しくなってくる。そうでなければ、これだけの大事故発生に際して、慌てて証拠品を隠すような馬鹿な行動に出るはずがないと思う。
 とにかく中国鉄道省には事故発生の原因を徹底的に究明してもらいたいものである。

2011年7月26日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1531.2011年7月25日(月) グエン・カオ・キ元南ベトナム副大統領死す。

 昨日の朝日朝刊にベトナム戦争中一世を風靡した、元南ベトナムのグエン・カオ・キ氏が、23日マレーシアで死亡したとの写真付の囲み記事が載っていた。享年80歳だった。ベトナム戦争中常に彼の一挙手一投足が世界中から注目され、若くして力を得た空軍パイロットはグエン・バン・チュー大統領の下で副大統領としてアメリカの支持を得て、北ベトナムやベトナム民族解放戦線と戦った。だが、卑劣にも1975年4月、あの象徴的なサイゴン陥落の直前に米軍ヘリでサイゴンを脱出してアメリカへ亡命した。
  存在感の強い個性的な軍人で、プレイボーイ的パフォーマンスで何かにつけ話題になることが多かった。私がベトナム反戦運動に関わっていた間、彼の動きが連 日マス・メディアで派手に報道され、あのひげ面の小憎らしい顔を見ない日は一日たりとてなかったほどである。われわれにとっては、にっくき仇のようなもの だった。その点でグエン・カオ・キはベトナム民主化に障害となった、ゴ・ディン・ジェム大統領、弟のゴ・ディン・ヌー秘密警察長官、妻のゴ・ディン・ヌー 夫人らと並び、最も警戒され嫌われた人物のひとりである。
 1967年1月私が初めて戦時下のサイゴンを訪れた時、彼は得意の絶頂にあった。その意味では、栄枯盛衰「奢れる平家は久しからず」を味わった典型的な人物のひとりである。ベトナム戦争が終って早や36年が経過した。戦争の匂いは遥か彼方へ遠ざかり、南北統一が実現したベトナムでは戦争当時北ベトナムの後ろ盾となって力強く支えた中国が、今では南シナ海問題でそのベトナムの権益を脅かしつつある。世界の流れと考えも変わったなぁとつくづく思う。
 グエン・カオ・キの死は時代の流れと同時に感慨深いものを感じる。
  さて、昨日起きた中国高速鉄道の事故について、常識的にはとても考えられない事後処理が成されている。事故発生以来まだ1日しか経っていない昨日、早くも 事故原因究明の最大の証拠品である転落した事故車両を壊して穴を掘り埋めてしまったのだ。そして、事故現場では試運転を開始して、平常通り高速鉄道が走っ ている。
 呆れるというか、驚いたというか、あまりの手際の良さには開いた口が塞がらない。JR西日本の福知山線事故では、事故発生後最初の列車が運行されたのは事故発生から55日 目である。こんな荒っぽいやり方では事故原因を調査するというより、事故原因を隠蔽しようとの意図ありと見られても致し方あるまい。流石にいつも政府に楯 突かない御用新聞が証拠隠滅だとその対応に批判的である。一般的に事故の原因として「安全よりスピード」の中国当局の意向が反映されているという見方が多 い。
  ところが、今日事故最寄り駅でこれから乗車しようとしていた乗客がインタビューされた時、高速鉄道は恐いが急ぐので高速鉄道を利用するとか、チケットを 買ってしまったので乗らざるを得ないとか、当局にとってつけ込まれる心情の中国人が多いことに事故発生の遠因があるような気もした。結局は国民の安全につ いて深く考えない性格が、政府の政策や行動に反映されるのではないかとも思った。ただ、誰かが、今回の事故は安全と言っていた高速鉄道が安全ではなかった という点について、福島原発も散々安全と言っておきながら実際には安全ではなかったという点で、日本の危機意識も似たようなもので当てにはならないと皮肉 を言っていた。
 鉄道関係者が事故は落雷によるものと決め付けていたが、落雷の後に安全な停止装置を起動させられなかったオペレーションの不備が指摘されている。当局は責任者3人を追放したと強弁しているが、問題の本質を取り違えているのではないか。
 現在判明している限りでは、死者が39人、負傷者は200人を超えているので、死者はもっと増えるのではないだろうか。中国当局が何と言おうと、結局これも原発と並んでおぞましい人災ではないか。

2011年7月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com