不謹慎な発言で辞任した鉢呂吉雄・経産相の後任は、枝野幸男・前官房長官に決定した。菅政権の下で原発事故に対応していたことが、原子力を担当する大臣として現状では最も適任と見られたようだ。もう軽薄な発言をして政治と震災復興を遅らせるようなことがないよう望みたい。
さて、今夜は中秋の名月、しかも6年ぶりの満月という静かな夜であるが、フランス・プロヴァンス地方のマルクールで原子力核施設が爆発し、1名が死亡、4名が負傷したとの気になるニュースが入ってきた。現時点では放射能漏れはないと言われている。しかし、こと原子力については専門家の言葉はあまり信用できない。
それは、福島原発事故に関する事故原因究明のため、衆議院科学技術・イノベーション推進特別委員会が東京電力に提出を求めた、事故発生後の対応マニュアルを東電が中々提出せず、求めに応じて渋々提出した書類12頁のうち、9頁が真っ黒に塗りつぶされていたことでも分る。これでは意味を成さないし、そもそも国会に提出する資料が3/4も使えないようでは、国会を軽視していると受け取られても仕方があるまい。こういう隠蔽体質を許している監督官庁もおかしいのではないだろうか。大体経産省と東電は毎度できレースをやっている。どうも東電には隠蔽体質があるらしく、都合の悪い事実や機密事項は公にしない。これに同調する原子力専門の御用学者らにも責任がある。自分たちのチョンボで犯した事故を解明しようとすることに対して、頑なに拒もうとする。これでは自分たちは責任から逃れるばかりで、問題は一向に解決しない。
果たしてマルクールの核施設に放射能漏れは本当にないのか。機密事項を隠したがる原子力専門家もついに隠しきれずに、後になって漏洩はあったということにならなければ良いが・・・・。当分目を離せないし、気を許すわけにはいかない。
フランスの原子力政策というのは、徹底している。福島事故発生の際にも、断固として自分たちの安全な原発政策を推し進めるとの固い姿勢を崩すことはない。しかし、万が一マルクールで放射能漏れが発生したら、フランス政府はどういう対応を取るだろうか。事故があっては困るが、揺ぎないフランスの原子力安全神話も、絶対ということはあり得ないと思う。気になるところである。
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1581.2011年9月11日(日) 東北大震災発生6ヶ月とNY同時多発テロ発生10年
今日は東北大震災から丁度半年を迎えた。と同時に、あの忌まわしい9.11同時多発テロから奇しくも10年目に当たる。新聞紙上は勿論、テレビでも大震災とテロに関する番組が目白押しである。
大震災では地震と津波のほかに、原発事故関連の情報が多い。地震と津波は目に見える瑕であるが、原発は人の目に映らないだけに面倒である。家屋、土地が傷ついていなくてもそこに流れる空気の中に目に見えない放射性物質が含まれているから厄介だし、その空気を避けて自分で避難するより手段がない。
先日茨城県の知人から秋の味覚「梨」を送っていただいた。その梱包の中に収穫した農園から1枚の用紙が封入されていた。「当園の梨の放射線試験結果は別紙の通りです。放射線ヨウ素、セシウム134、セシウム137、放射線セシウム(Cs-134、137合算値)のいずれも検出せずとの報告でした」と書かれていた。農家の方もこんな専門用語や数値はあまりぴんと来ないのではないか。このように書きなさいと言われたので、自分たちの商品が安全だと知らせるために書いたわけで、気の毒になった。勿論私にはその梨が衛生上安全だと分っているので美味しくいただいているが、その専門的な表示はやはりよく分らない。
同時多発テロにしても、発生から丁度10年目の節目と考えると感慨深いものがある。その2日前に妻の母が亡くなり、お寺で通夜の合間にテレビで知った。あの衝撃的なシーンはあまりにもショックだった。現実に起こったとはとても信じられない光景だった。こんな大騒ぎでは亡くなった義母もすんなりと冥界へ行けなかったのではないだろうか。一瞬これはえらいことになったと思った。同時に、やや不謹慎と受け取られかねないが、やはりこれがそうなのかなと何となく感じていた「予感」が現実に起こったと思ったのも本当のところである。
実はその1年半前にアフガニスタンとパキスタンの国境、カイバル峠を訪れた。その峠の手前にパキスタン領内最西部の集落ランディ・コタールがあり、そのほとんどが商店だったが、寂れた商店群の中に際立って流行っている商店が何軒か建ち並んでいた。その商売繁盛の商店を見ているとすべて銃砲店だったことに気付き、アレッと思うと同時に、何やら納得がいったような、変な予感めいたものを感じたのである。詳細は拙著「停年オヤジの海外武者修行」に書いてあるが、その当時頻発していた反米テロを時系列で追っているとそろそろ新たな反米テロが起きる頃ではないかと思っていた。その最中にタリバンが支配するカイバル峠近くで武器商売が繁盛している現実を見て、取引された武器がタリバンに流れてテロに使用されるかも知れないと思った。もしやと感じたことが同時多発テロと結びついたのである。そんな恐ろしい類稀な経験を思い出した。
自然災害は避けようがないかも知れないが、それでも万全を期した備えが惨事を軽減し防ぐことにつながる。一方テロは、理屈はともかく人間が意図的、無差別に無謀な大量殺人を犯す許すべからざる犯罪である。国際的な連携と警戒を強めて、絶滅を期さなければならない。
夜遅くなって現地、ニューヨークのグラウンド・ゼロの追悼式典の実況中継を観ていると止め処もなく嫌な妄想が浮かんでくる。この世から果たしてテロを絶滅させることは本当に可能なのだろうか。
1580.2011年9月10日(土) 早くも野田新内閣に綻び
夜になって臨時ニュースが流れた。実に馬鹿馬鹿しいニュースである。今月2日に就任したばかりの鉢呂吉雄・経産相が野田首相に早くも辞表を提出して受理されたのである。辞任の理由は、東日本大震災による被災地を死の町と呼んだり、取り巻く記者に放射能をくっつけちゃうぞと脅かしたり、あまりにも子どもじみた行為に呆れてしまう。何とまあレベルの低い理由で辞めたものである。野田内閣で危なっかしい大臣のひとりだった。元々社民党員だったが、離党して民主党に加わった。これまでもあまり重要法案の立案に関わったとか、建設的なプロジェクトに関与したという話は聞いていない。北大農学部を卒業して地元の農協に勤めた程度の業務歴である。それなのにどうしていま原発問題で注目されている経済産業大臣に指名されたのか、これも不思議である。かつて年金未納問題とか、北海道教職員組合から違法な献金を受けていたとのスキャンダルにも塗れていた。こんな人物が、よくも経産相になったものである。
それにしても野田内閣は早くもその一端がほころびてきた。危なっかしい大臣がほかにもいるので、爆弾を抱えているような内閣だ。そうなるとまたも短命内閣に終る可能性もある。この非常時に好い加減にしてほしいところである。
さて、このところ、女子サッカーチーム・なでしこジャパンのロンドン・オリンピック予選やら、男子チーム、・さむらいブルーの次回ワールドカップの第1次アジア予選やらが脚光を浴びている中で、今日からニュージーランドではラグビーのワールドカップが始まった。第1回大会以来日本は毎回参加しているが、過去6回の大会で、ジンバブエに勝った僅か1勝止まりである。体格が勝負を決めるラグビーでは世界の強豪を相手に勝ち越すのは中々難しい。
今日は午後から日本対フランス戦の実況中継をちょっと観ていたが、優勝候補のひとつ、フランスを相手に日本は食い下がり一時は21-25と4点差まで迫った。最後には日本にミスも出て21-47と突き放されてしまったが、予想以上に善戦である。
16日には優勝候補の筆頭であるニュージーランド・オールブラックスとの対戦が控えているが、どこまで善戦してくれるか、頑張ってほしいものである。
以前に比べれば日本の実力は確実に向上している。ただし、その大きな原因は外国人選手の加入によるものであり、勝つのは嬉しいが、それが外国人選手の活躍によるものなら日本人の気持ちとしてはちょっと複雑である。男女サッカーチームが世界の中で実力をつけ、大和魂や大和撫子の結束力をチームの求心力にして力をつけてきただけに、人気の点でこれからサッカーに敵わなくなるのではないかという心配もある。まもなく国内では関東大学ラグビーが始まるが、ワールドカップと並んで楽しみだ。
1581.2011年9月9日(金) 前原誠司・民主党政調会長の勇み足
今日は五節句のひとつ「重陽」である。中国にも日本にもそれなりの故事来歴がある。そもそも奇数月日が重なるのは本来あまり良いことではないとされてい る。日頃から敬愛している小中陽太郎氏は偶々重陽の節句に誕生され、お名前も重陽に因んで「陽」太郎と名づけられた。今朝早速誕生祝いのメールを送ったと ころ、誕生日が昭和9年9月9日なので三重苦(9)ですとユーモアのあるご返事をいただいた。
そう言えば、個人的にも1976年 9月9日の重陽の節句が印象深い。文部省教員海外派遣団の添乗員として、初めて欧米へ1ヶ月間の長期視察旅行へ出かけた。ところが出発する直前に、羽田空 港でビッグニュースを聞かされた。当時世界に現存した最高の大物、毛沢東・中国国家主席が亡くなったというのである。世界を駆け巡ったこのホットニュース については、その直後ストックホルム市内で学校訪問の間にも現地の教育委員会関係者から、度々話があったことを思い出す。そのくらい毛沢東の死は影響力が あり、衝撃的なインパクトを与えた。それ以来「偉大なる」?毛沢東の没年月日を忘れることはない。
今年の重陽の節句はどうか。原発事故で夏の電力不足が心配され一応の目安として15% の節電を目標にし、実施していたが、幸いその目標は達成されそうで、今後極端に電力消費量が増える可能性はなくなったということから、今日前倒しでその節 電要請を解除することになった。取りあえず一難去ったが、各地の原発が停止したり、再稼動を中止したりして今後供給電力の絶対量が不足することが予想さ れ、今冬電力消費が増える時期に再び節電要請を受け入れるようになるのではないか。
さて、昨日アメリカ・ワシントンで民主党政調会長の前原誠司氏が軽はずみな公式発言をした。しかも、PKO活 動の自衛隊の武器使用基準緩和、武器輸出三原則の見直し、その他にも中国関連の発言をした。内容そのものよりむしろどうして権限のない前原氏が公式の場で こういう発言を行うのか、それ自体が問題である。前原氏が軽いのは、偽メール事件に見られるように今に始まったことではない。前原氏の発言は、外交問題に 抵触し、防衛問題にも関わっている。つまり、彼の業務の範疇ではないのだ。彼の行為は、本来の外交ルート、防衛ルートを差し置いて越権行為を犯している。 元々関係の玄葉外相や一川防衛相はおの分野の素人で、あまり専門的な知識、人脈は持ち合わせておらず、些か執行能力が気になっていたが、そこを前原氏に見 透かされたのか先手を取られてしまった感がある。当該の二人の大臣は不快感を示しながらも格別目くじらを立てているわけでもなさそうだ。これではまた前原 氏のめくらましにやられそうだ。前原氏が独自に先取り発言したのは、早めに自らの存在をアメリカ政府首脳に売り込んで、ポスト野田のポジションを確立した いとの思惑があるのではないか。
こういうパフォーマンス症候群の輩が現れると国家の政治も、行政もメチャメチャになることが本人には分らないのだろうか。相変わらず若気の至りが直らない困ったお人である。
1580.2011年9月8日(木) 「冒険ダン吉」をインターネットで見つける。
ドキュメント「トラック島の日系大酋長が見せた大和魂と謎」に取り掛かっているが、その中に「冒険ダン吉」が登場する。ダン吉のモデルと称せられた森小弁 について触れた箇所があるからである。実際には原作者・島田啓三が冒険ダン吉にモデルは実在しないと言っていたので、後になって森小弁を取り巻く周囲の人 が、その生き方が冒険ダン吉に似ているからとダン吉を騙らせたのだろう。それでも今も断固として小弁こそ冒険ダン吉と思い込んでいる人も少なからずいるよ うだ。その小弁の孫を妻として迎えたのが、拙稿の主人公アイザワ・ススム大酋長である。そんなことから冒険ダン吉が拙稿に登場することと相成った。
そこで何とか「冒険ダン吉」の漫画を一コマでも良いから拙稿に取り入れたいと思ったが、昭和8年から14年まで「少年倶楽部」に連載された古い作品で、簡単に手に入るような代物ではない。いつも利用する八雲中央図書館に電話で聞いてみたら、目黒区内の全図書館にも「冒険ダン吉」は在庫としてないということだった。幸いインターネットで調べて、今日漫画1冊だけだが1000円 で楽天を通して購入することが出来た。この漫画本には何枚かは気に入る漫画があるだろうから、それを拙稿に掲載させてもらいたいと思っている。それにして もこのアイザワ大酋長を追っていくとトラック島の大物の人脈にぶつかる。大酋長夫人はミクロネシアのモリ現大統領と従姉再従兄弟の関係であるし、トシヲ・ ナカヤマ初代大統領の兄と大酋長の姉が結婚している。トラック島では相当名誉ある家系らしく、大物量産家系にはいやはや驚ろかされる。「冒険ダン吉」は小 学生のころ少しは見たことはあるが、今見たらどんな感じがするだろう。楽天からどんな漫画本が送られてくるのか、楽しみである。
さて、民主党の新閣僚人事を見ていると、大丈夫かなと思うような些か頼りない大臣が何人かいる。安住財務大臣と玄葉外務大臣が心配だと駒沢大学の菱山郁朗 講師にメールしたところ、その他に山岡国家公安委員長と平岡総務大臣も心配だと返信をいただいた。小宮山洋子・厚生労働大臣の如きは畑違いのタバコ増税を 発言して、安住財務相から担当は自分だと釘を刺されている。果たして任期を全う出来る大臣はどのくらいいるだろうか。
一方、党内人事もわけが分らない。特に、幹事長に小沢グループの輿石東氏が就任したが、幹事長が部 下を統括して選挙対策や陳情窓口、国会対策、政策担当などを配置して仕切る考えのようだが、輿石幹事長の下に筆頭副幹事長、副幹事長、幹事長代行、幹事長 代理等々が取り巻いて序列すらよく分らず、まるで伏魔殿である。大体代行と代理はどっちが順位は上なのか。命令系統は大丈夫か。こんな複雑怪奇なことをや るから、党内でも混乱するのではないか。この様子を見ると何事もすぱっと決められない民主党という未熟な政党の体質が透けて見えてくる。
1579.2011年9月7日(水) 台風12号による被害は平成になって最悪
紀伊半島を襲った台風12号が平成になって以来最悪の被害を出している。今日現在死者は53人、行方不明者54名 という状態である。被害を蒙った地域は山間部のため、土砂崩壊、洪水に襲われ集落が孤立している。ライフラインが寸断され、特に断水により病院で点滴も充 分行えない状態である。今度の台風被害で原因が分析されているが、初めて聞く言葉が多い。山が深く崩れたのは、スピードののろい台風の停滞のために降雨が 底深くまで浸み込み、丸ごと土砂を崩した深層崩壊というのだそうだ。これまでの表層崩壊とは大分違うようだ。
それにしてもわが国では自然災害に遭う運命にあるようだ。自然災害は想像もできないことが起こる。想定外だらけなのである。これからは、少しでも可能性があるなら、あらゆる対策を考えておかなければならないと思う。
さて、リビアのカダフィ大佐と彼が支配する政府軍が姿を隠して以来、どこへ逃げたか、捕り物帳的な 見方をされている。今やカダフィ軍復権の希望は考えられず、いつ、どこで幕引きをするのか、いま世界の目はそこへ集まっている。昨日になって、カダフィ一 行はリビア国境を越えアルジェリア経由でニジェールへ入ったとの報道がなされた。アルジェリアとの亡命交渉はアルジェリアに断られた。カダフィ政府は亡命 交渉をしながら国外へ脱出し転々と彷徨い出したらしい。リビア中央銀行から持ち出した大量の金塊と現金を車列に積んで移動している。ニジェールで留まるこ とをせず、更に旅は続けられている。その行き先がどこか。噂ではニジェールの南西隣国のブルキナファソ共和国へ入ったという。ブルキナファソなんて国は知 らなかった。世界が大きく動くと今まで知らなかったことを知ることが出来る。このブルキナファソもそうだ。これからカダフィはどこへ落ち延びるのだろう か。身から出た錆びとは言え、あれだけ権力を乱用していた独裁者としては哀れというしかない。こうなると、他の国の独裁者も心中穏やかではあるまい。父子 で40年に亘り独裁政治を敷いてきたシリアのアサド大統領も今やデモ騒ぎが頻発して、カダフィ追放劇をのんびり対岸の火災視しているわけにはいくまい。もうどんな国家であっても独裁国というのは、そう長続きしないと支配者は悟るべきである。
1578.2011年9月6日(火) 原子力について考えを変えた人たち
今朝の朝日に菅直人・前首相への福島原発事故に関する単独インタビューの内容が掲載されている。まもなく事故発生以来半年になるのに一向に明るい見通しが 立たない。菅さんも追及ばかりされていた首相職を下りてほっとしたのだろうか、インタビューの内容はかつて野党時代の弁舌鋭かったように中身が分り易く説 明されている。しかし、このインタビューの中で放置出来ない大事な点が2つ明らかにされた。
ひとつは、今年5月フランス北西部のドーヴィユで開催されたサミットで、原発大国フランスのフィヨン首相から菅前首相に使用済み核燃料を引き取ってもよい と日本にとって有難い話があったという。フランスにとっても厄介な核燃料だが、商業ベースに立つという点、そしてフランスの原子力技術をアピールできると いう長期的な視点から、積極的に持ちかけたようだ。前首相はこの話をすぐに経産省に伝えた。ここからが問題だが、日本側は返事を留保している。その理由 は、使用済み核燃料についてわが国は、2012年に完成予定の六ヶ所村の再処理工場でプルトニウム を抜き出す核燃料サイクルを進める予定で、フランスの申し出に応じれば日本の核燃料サイクル政策が根底から崩れかねないと内輪の論理で経産省内では反対論 が強く、まだ協議を続けている段階だという。核や原発等、いわゆる原子力に別れを告げられないのだ。5月の話がいまだに宙ぶらりんの状態でフランス政府に 諾否の回答もしていない有様である。
もうひとつは、事故直後の3月15日 に東電から「福島第一原発から撤退したい」という話があったということである。冗談じゃない。撤退しそのまま放置したら全部がメルトダウンし、チェルノブ イリどころではないと前首相が撤退は許さず、命がけで抑え込むとの決意だったという。どこまで信用して良いのか分らないが、国民の安全を放っておいて責任 を取るべき立場の人間が自分たちだけ逃げてしまおうとのふざけた話である。
2つの話はわれわれ国民が知らないところで、安全を司るべき政府の責任者と事故責任者が揃いも揃って、国民不在で自分たちの思い通りにやることだけにうつつを抜かし、また自分たちが失火した火事場が燃え盛っているのに自分たちだけ逃げようと考えている不届き千万な話だ。
どうして日本の中枢がこうも無責任な連中ばかりになってしまったのか。また、なぜこんな動きをこそこそ「原子力村」の人間だけに任せるようになってしまったのか。良識、誠意、思いやり、そして倫理観が無くなり、人間力が機能しなくなってしまったのだ。
ところが、今日の朝日夕刊の「ニッポン人脈記」で「核に別れを」と題して、かつてのアメリカ政府の重鎮が世界に訴えている寄稿論文が取り上げられている。この論文は寡聞にして知らなかったが、2007年 1月にジョージ・シュルツ、ヘンリー・キッシンジャー、ウイリアム・ペリーら3人の元国務長官らが、サム・ナン元上院軍事委員長とともに訴えた主旨が今核 問題がとやかく言われているこの時代に心ある人々の胸に訴えている。その主旨とは「これからの最大の脅威は核を使ったテロ。失うものがないテロ集団には、 核で脅しをかけても抑えがきかない。だから核を持ち続けるより、核をなくしてテロを防ぐ方がいい」である。この4人はかつて核兵器が世界の安全に欠かせな いと主張していた人たちである。シュルツ元長官のようなガチガチの保守派が、謙虚に核兵器に詳しい物理学者から原子力について学んだ末に辿り着いた結論で ある。
いつまでも核に固執している時代ではないし、こんな危険なものを捨てられないことが、何も知らない人々を不幸に追いやるのだ。核を含めて原発に賛成する人たちは、自分の問題としてよくよく考えるべきだ。
1577.2011年9月5日(月) 佐々木信也さんの高校時代の球歴
近畿地方を襲った台風12号の猛威には圧倒される。最初はゆっくりしたペースで日本本土に上陸したが、このゆっくりしたペースが曲者だったようだ。降雨量が普通の台風とは違って多く、地盤の弱い地区や、堤防が脆い地区では土砂崩壊や洪水が押し寄せ多数の犠牲者を出している。今日現在で31名の死者が判明した。これらの地区が復旧するのは、まだ遠い先になるのだろう。今年は自然災害に襲われる地域が多く、地震・津波災害にやられた東北地方、台風・洪水にやられた近畿地方、等々に起きた被害に鑑みて新たな防災対策を含め災害対策も待ったなしである。
こんな時に船出した野田政権は目の前に溜った多くの課題を可及的速やかに対処しなければならない。事態の深刻さを承知した野田総理は、臨時閣議で大雨被害 の情報収集を強化する一方で、人名救助と行方不明者の救出に全力を尽くすことを強調した。野田政権にとって救いとなるのは、政権発足時の支持率が60%を超えていることである。20%を切るような政権末期の鳩山内閣や菅内閣のような不人気でないことにほっとする。実行力は未知数ではあるが、前向きな姿勢だけは伝わったようだ。野田総理にとって内外に難題を抱えて大変な時ではあるが、指導力を発揮して難問に果敢に挑戦してもらいたい。
さて、相澤酋長に関するドキュメントの内容で、佐々木信也さんに確認したい点があったので、電話で尋ねてみた。昭和24年 夏の甲子園で母校湘南高校が初出場、初優勝の快挙を成し遂げたが、佐々木さんはその時1年生だった。その後高校卒業までの戦績を聞いてみたかった。2度目 の甲子園は3年生になった、翌々年の選抜大会で主将だった。「トップバッターでセカンドでしたか?」と大学、プロを通じて定番のポジションに関する質問 に、「いや、三番でショートでした」との回答だった。佐々木さんには悪いが、三番とは意外だった。チャンスメーカーではなく、一発勝負を決める役割を期待 されていたのだ。守りもセカンドでなく、ショートだったとは更に意外だった。それにしても常識とはかけ離れた球歴があったわけで、面白いと思った。
佐々木さんからは相澤さんが湘南OBである確認がとれたかどうかと尋ねられたが、確証がなく確認できないので、こればかりははっきり応えられない。小林泉著「南の島の日本人」では、相澤さんを湘南OBと結論づけていたが、本ドキュメントでは私は詮索しないということにしている。拙文を読んだ方がどう受け取られるか。
1576.2011年9月4日(日) 記録的な豪雨をもたらした台風12号
いよいよリビアのカダフィ政権も末期症状を露呈したのか、最後のあがきを取材しようと世界中のメディアが注目している。昨日のTBS「報道特集」に続いて 今日はNHK・BSで外国メディアのドキュメント「リビア市民蜂起の真実」が、カダフィ政権の罪のない市民の虐待と殺戮行為を暴いていた。いずこの独裁政 権もその体制維持のためには、一般人からの密告やリンチなどの陰湿な残虐行為が常習化しているようだが、リビアで反政府軍が力を得たきっかけとして、弟を 殺害された市民運動のリーダーの弁護士が今年2月に逮捕されたことが大きな原因となった。これに対して非合法的に逮捕され殺害された遺族グループが共鳴し 反政府運動に火をつけたと詳しく報道していた。日本の新聞ではあまり残酷なシーンは報道されないが、ベンガジ市内のアブ・サリム刑務所では1200人が処刑されたという。荒れ果てた刑務所内も映し出された。
カダフィ政権が姿を消し廃墟となった政府軍建物の跡から、密告の証拠書類が見つかり、密告者はそれが露見すれば自分の身が危ういと秘密警察署を襲い証拠 書類を消滅させようとする。反政府運動を代表する国民評議会アブドル・ジャリル議長は、密告の証拠書類の公開は報復の連鎖を招くとしてその公開を拒否して いる。われわれの感覚ではとても考えられない異常な事態が起きていた。
それでも着々とカダフィは追い詰められている。遺族グループが火をつけた運動が政府側を弾劾し、追い詰めて民主化の動きを広げていけばリビアにもいずれ明るい未来が訪れることを期待したい。
ここ数日前からゆっくり北上してきた台風12号 が、のろいスピードで四国から関西を襲い日本海へ抜けたが、近畿地方に記録的な豪雨をもたらし、多くの被害を与えた。意外なことに台風通過地点より若干外 れた紀伊半島に大きな被害を与えた。特に、和歌山、奈良、三重で多くの犠牲者を出した。全国で今晩24名の死者が報告されている。
こういう自然災害の惨状を見るにつけ、日本の立地は災害に襲われる地質、国土、地形になっているとつくづく思う。地震や津波ばかりでなく、毎年やってくる 台風も巨大なもので多大な被害をもたらしている。こんな脆弱な地盤では原発事故に対する不安感から、今後建設反対の声が上がってくるのも当然であろう。
今日細野豪志・原発担当相が福島第一原発で汚染された瓦礫の処理施設は福島県外で行うと公表した。 先日辞任直前の菅首相が福島県を訪れ、佐藤雄平知事に福島原発から排出された原子力放射性廃棄物は福島県内で処理して欲しいと前触れも無くお願いしたとこ ろ、知事が怒り一喝された。細野大臣はその辺りの福島県民の気持ちを斟酌して、国全体で負担するのが国の配慮であるとの発言をした。それはそうだろう。
ただ、福島県以外の自治体がどれだけ福島原発から排出される放射能汚染廃棄物を引き取ってくれるだろうか。また新たな問題を提起することになるのではないだろうか。
1575.9月3日(土) カダフィ大佐の行方分らず、リビア情勢はどうなるか。
TBSの報道特集でリビア情勢について、現地からの中継を交えて金平正紀特派員がリビア各地の様子を伝えていた。10日前ごろ反政府軍が首都トリポリを制圧したと発表されたが、主役のカダフィ大佐の行方が掴めず、その後の成り行きが注目されていた。
今日の番組を見たところでは、国内のいずこかに姿を隠しているカダフィが政府軍や支援者をたきつけて降伏拒否、徹底抵抗を叫んでいる。しかし、都市の荒廃 した状態を見ると、カダフィ側がほぼ国内を制圧した反政府軍に対して巻き返すことは至難に思える。カダフィ城陥落は最早時間の問題だろう。
一昨日9月1日は、リビア革命から42年に当たるが、今や追われる立場に追い込まれたカダフィ大佐を思うと、つくづく「奢れる者は久しからず」を感じる。
国民評議会がカダフィ大佐へ降伏を求めているが、カダフィには受け入れる意思が見られず、このままではカダフィの潜伏先を見つけて攻撃するシナリオが浮か んでくる。カダフィの長男と三男は降伏を受け入れ、条件を話し合おうとしているが、カダフィと二男が頑強に抵抗し、絶対降伏しないと死を辞さない覚悟であ る。こうなると行き着くところまで行くことになるだろう。
テレビ画面を観ると市街地は瓦礫の山と化し、人々はカダフィから解放されて自由を喜んでいるが、これからの国の再生を考えると気の遠くなるような話である。反政府軍の後ろ盾になって、空爆を繰り返して支援したNATO軍とEU諸国の責任も重いと思う。いずれにせよ、国会も憲法もない国を民主国家として軌道に乗せるのは、並大抵ではない。
それにしても埋蔵量ではアフリカ第一と言われる石油資源に目が眩んで、カダフィ大佐のご機嫌ばかり取っていた中国やロシアは、ここでポスト・カダフィにどう決着をつけるつもりだろうか。
さて、漸く相澤トラック島大酋長のドキュメントを仕上げたので、原稿をコピーして森喜朗元総理事務 所とジョン・フリッツ・ミクロネシア大使宛へ郵送した。これが推敲されて返送されれば最終原稿にまとめたい。そんな折今夕知研・八木哲郎会長から「冒険ダ ン吉」漫画シリーズがアマゾンで買えると連絡があった。件のドキュメントに一部「冒険ダン吉」に触れる箇所があり、相澤酋長のリリー夫人も冒険ダン吉と云 われる森小弁の孫だということでもあり、「冒険ダン吉」の漫画再刊版を複写でドキュメントに添えたらどうかとのアドバイスだった。面白いと思うので、もし 漫画が入手出来れば考えてみたい。