いよいよリビアのカダフィ政権も末期症状を露呈したのか、最後のあがきを取材しようと世界中のメディアが注目している。昨日のTBS「報道特集」に続いて 今日はNHK・BSで外国メディアのドキュメント「リビア市民蜂起の真実」が、カダフィ政権の罪のない市民の虐待と殺戮行為を暴いていた。いずこの独裁政 権もその体制維持のためには、一般人からの密告やリンチなどの陰湿な残虐行為が常習化しているようだが、リビアで反政府軍が力を得たきっかけとして、弟を 殺害された市民運動のリーダーの弁護士が今年2月に逮捕されたことが大きな原因となった。これに対して非合法的に逮捕され殺害された遺族グループが共鳴し 反政府運動に火をつけたと詳しく報道していた。日本の新聞ではあまり残酷なシーンは報道されないが、ベンガジ市内のアブ・サリム刑務所では1200人が処刑されたという。荒れ果てた刑務所内も映し出された。
カダフィ政権が姿を消し廃墟となった政府軍建物の跡から、密告の証拠書類が見つかり、密告者はそれが露見すれば自分の身が危ういと秘密警察署を襲い証拠 書類を消滅させようとする。反政府運動を代表する国民評議会アブドル・ジャリル議長は、密告の証拠書類の公開は報復の連鎖を招くとしてその公開を拒否して いる。われわれの感覚ではとても考えられない異常な事態が起きていた。
それでも着々とカダフィは追い詰められている。遺族グループが火をつけた運動が政府側を弾劾し、追い詰めて民主化の動きを広げていけばリビアにもいずれ明るい未来が訪れることを期待したい。
ここ数日前からゆっくり北上してきた台風12号 が、のろいスピードで四国から関西を襲い日本海へ抜けたが、近畿地方に記録的な豪雨をもたらし、多くの被害を与えた。意外なことに台風通過地点より若干外 れた紀伊半島に大きな被害を与えた。特に、和歌山、奈良、三重で多くの犠牲者を出した。全国で今晩24名の死者が報告されている。
こういう自然災害の惨状を見るにつけ、日本の立地は災害に襲われる地質、国土、地形になっているとつくづく思う。地震や津波ばかりでなく、毎年やってくる 台風も巨大なもので多大な被害をもたらしている。こんな脆弱な地盤では原発事故に対する不安感から、今後建設反対の声が上がってくるのも当然であろう。
今日細野豪志・原発担当相が福島第一原発で汚染された瓦礫の処理施設は福島県外で行うと公表した。 先日辞任直前の菅首相が福島県を訪れ、佐藤雄平知事に福島原発から排出された原子力放射性廃棄物は福島県内で処理して欲しいと前触れも無くお願いしたとこ ろ、知事が怒り一喝された。細野大臣はその辺りの福島県民の気持ちを斟酌して、国全体で負担するのが国の配慮であるとの発言をした。それはそうだろう。
ただ、福島県以外の自治体がどれだけ福島原発から排出される放射能汚染廃棄物を引き取ってくれるだろうか。また新たな問題を提起することになるのではないだろうか。