1088.2010年5月6日(木) ギリシャが危ない。

 先EUとIMFが、ギリシャに対して厳しい条件をつけたうえで約14兆円の緊急融資を決定したが、ギリシャ政府が呑んだ条件をギリシャ国民が納得せず、昨日激しいデモ騒動を引き起こし3人の死者を出した。

 テレビを観ると1999年とその翌年にも宿泊したことがある「ホテル・グランドブリターニュ」脇の王宮前で騒ぎを起こしている。これから相当の負担をしなければならないギリシャ国民の心情も分らないわけではないが、労働者に対する甘い待遇と年間10兆円と言われる脱税がギリシャ財政赤字の最大の原因である。ギリシャの累積赤字は実に33兆円である。こんな待ったなしの破綻状態に追い込んだのは、ほかならぬギリシャ政府と政府の施策に甘えた彼ら自身の責任でもある。ギリシャ人が自らまいた種ではないか。特に、今回の支援に対しては同じEU圏内諸国の中でもドイツが最後まで反対していた。仮にギリシャ政府が国民の要求に屈したら、EU諸国が黙ってはいないだろう。現在ギリシャの国債がEU諸国の銀行に買われているので、ギリシャが破産したら、連鎖して銀行が窮地に追い詰められ、また他の国に財政破綻の恐れが生じてくる。

 それでなくてもポルトガル、スペイン、アイスランド、イタリア辺りも怪しい雲行きとなってきた。前2国はすでに国家の格付けが下げられている。さらにもう1段階下げられるとの噂もある。ヨーロッパ全体に連鎖的な恐慌の不安が襲ってくるかも知れない。

 ソクラテス、アリストテレス、プラトンの3賢人らを輩出した長い歴史と伝統を誇るお国柄であるが、甘い蜜ばかり吸っていたギリシャ丸もエーゲ海を漂流し始めた。荒波の中で沈没しないか心配になってきた。

 案の定今日の日経平均株価は、3月11日以来の大幅な下落となり、361円も下げて終値は10,695円にまで落ち込んだ。NYを始め、各国の株式相場もみな大幅な下落である。漸く景気も立ち直りかけてきたと囁かれる中で、暗い話題が再び襲ってきそうである。

 さて、1日に開幕した上海万博の出足は上々の様子だったが、意外にも短期間ながら入場者数は予定していたほど伸びないようだ。その中で昨日になって北朝鮮館が突然閉館した。毎度周囲を煙に巻くのが当たり前の国ではあるが、これには流石に上海の万博事務局も呆気にとられているようだ。察するところ昨日北京入りした、金正日総書記のお世話に万博北朝鮮館のスタッフが借り出されたのではないかとの憶測が乱れ飛んでいる。いずれ真相は判明するだろうが、相変わらず北朝鮮という国は人騒がせな国である。

2010年5月6日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1087.2010年5月5日(水) 文化大革命は中国にとってプラスだったか?

 NHK・BS放送が開始されてから今年でちょうど20年になる。これを記念していくつかの作品が再放送されている。その中でも過去に放映されたドキュメンタリー作品で、各種の賞を受賞した意欲的な作品をアーカイブスとして再放送している。

 先日「民衆が語る中国激動の時代~文化大革命を乗り越えて~」が放映され録画しておいたが、今日やっと全部を観ることが出来た。何せ4回で4時間分の長編である。中国の文化大革命(1966~76)については、当然のことながら断片的には知っているが、自分の知識がかなり怪しいものだということも分った。

 文革中に中国首相現職のまま亡くなった周恩来、文革とともに国家主席の座から追放され、不遇の死を遂げた劉少奇、さらに改革解放で今日の中国経済の礎を築いた鄧小平らの業績、そして国民が彼らに寄せていた気持ちを、多くの関係者へのインタビューを通じてこれほどリアルに表現しているのには感心した。劉少奇なぞは、反革命の張本人としてあまり良いイメージで伝えられていなかったが、このビデオでは、良識の人で国民のために奉仕して、挙句の果てに毛沢東に裏切られた悲運の人ということになっている。歴史の評価もそうだが、人物評価もどれだけ公平に出来るか、難しいものだと思う。

 私の文革に対する理解も不充分ではあるが、文革にばかり気持ちが入り過ぎて、それ以前の1958年に始まった「大躍進政策」を見落としていた。実は毛沢東は中国全土の農村に「人民公社」制度を取り入れて失敗した「大躍進政策」を取り繕うため、4人組や紅衛兵を使って文化大革命を仕掛けたようだ。また中国共産党内での権力闘争、敢えて言えば劉少奇に集まりつつあった権力を、毛沢東は奪還しようとして反革命打倒と見せかけたクーデターを企てたとのストーリーは、迂闊ながらこれまで気がつかなかった。その点で言えば、大躍進政策も文化大革命も独裁者・毛沢東によって計画されたライバル追い落とし運動だったと言えるのではないか。何も考えず、ひたすら4人組の指令に従った当時の若者が気の毒である。今も文革に対する評価は定まらず、あまり踏み込んでは「偉大な指導者・毛沢東主席」の名誉を傷つける恐れがあり、中国政府としては腫れ物に触るように扱っている歴史事件である。

 池上彰著「そうだったのか! 中国」(集英社刊)にもかなり詳しく書かれているので、もう少し腰を据えて読んでみたいと思っている。

2010年5月5日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1086.2010年5月4日(火) 鳩山首相、基地移設猛反対の中を沖縄入り

 鳩山首相が首相就任後初めて沖縄を訪れた。訪問の目的ははっきりしている。すでにメディア等で報道されているように、地元に対して普天間基地移設政府案の説明と説得である。政府は普天間基地施設を2つに分散して移設しようというのである。その候補案のひとつは辺野古海上の桟橋案であり、もうひとつは徳之島への施設移設である。

 まず、仲井真・沖縄県知事と稲嶺・名護市長に会って政府の素案を説明したが、案の定辺野古案は断固反対された。住民大会に出席した首相はここでは四面楚歌だった。地元は約束違反だと首相を強く責める。

 この次は東京で徳之島の3人の町長との話し合いが持たれるが、町長らは早くから米軍基地の受け入れに強く反対している。とても首相の思い通りには進まない。

 首相はこの問題を今月末までに解決すると言い続けているが、かねがね漏らしていた腹案があると言っていたのは、キャンプ・シュワーブの海上桟橋と徳之島に分ける分割案であると分った。昨年の総選挙で「海外移設、最低でも県外移設」は、いかなる成算があって首相の口をついて出たのかまったく分らない。この発言も首相周辺では、今頃になって選挙公約ではなく、首相が話の中で個人的に発言したものだと言い逃れを言っている。常識的にみてもこの発言は明らかに国民に公約として受け止められている。普天間基地移設は現時点では完全にデッドロックに乗り上げた。最早月末までに解決する糸口も可能性も絶望的となった。

 厳しい言い方かも知れないが、鳩山首相は政治家、ましてや1国の総理大臣としての資質に欠けるようだ。政策の理念と政策の実行をどういう段取りで、誰と話し合ってどういう風に作業を進めるべきかということについてまったく分らないようだ。これでよくも政治家をやっていられると思う。首相の取り巻きも悪い。日米問題、並びに日本の防衛問題に関する重要アイテムを抱えて首相自らが沖縄へ乗り込もうとしているにも拘わらず、深く関わるべき官房長官、外務大臣、防衛大臣らが誰ひとりとして首相に同行し、首相ひとりの話し合いに任せずに、内閣の連帯責任者として立ち会おうとしないのか。無責任の謗りを免れまい。

 それにしても、連立政権を組んでいる社民党や国民新党の対応、各閣僚らの行動や対応も首を傾げるところである。まるで反応なしの他人事扱いである。社民党の福島党首に至っては、今もって海外移設とわめきちらしている。これで鳩山首相は完全に袋小路に入り込んでしまった。この様子では、事態は解決のメドが立たず、こじれる一方である。

 この難局に当たって、鳩山政権はこれからどうやって問題を打開し解決へ導こうとしていくのか。

2010年5月4日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1085.2010年5月3日(月) そろそろ真剣に憲法論議をするべきでは?

 今日は憲法記念日である。日米安保や沖縄基地、核問題が話題になるたびに憲法議論が持ち上がるが、憲法について正面から国民的視点で議論や論点を取り上げ、これからの日本にとって憲法改正、なかんずく「第9条」をどう取り扱うかについて真剣な議論が闘わされたことがない。

 朝日新聞の直近の世論調査によれば、改憲が必要だとする人は47%、不要とする人は39%で、3年前の調査の際前者33%、後者49%だったことに比べれば改憲賛成者が大分増えている。しかし、9条だけを考えると改正反対者が67%と全体の2/3を占める。これは国民にとって、相変わらず9条が戦争への抑止力となって欲しいとの願いが強いからだろう。

 それにしても僅か3年間にこれだけ国民の気持ちが動くのは、それだけ将来に不安を抱いているからでもある。もうこうなったら真剣に憲法を議論するより仕方があるまい。憲法を改正するのかしないのか、はっきりさせれば、わが国の防衛問題にも見通しが立ってくる。例えば、沖縄の米軍基地問題等は、日米安保問題を抜きにしては解出来ないのではないかと思える。そうだとすれば、根本的な問題として憲法問題をやり過ごすことは出来ないと思う。

 さて、毎週日経日曜版に連載されている瀬戸内寂聴さん寄稿エッセイの昨日付「奇縁まんだら」に、作家武田泰淳・百合子夫妻と評論家・埴谷雄高との酒にまつわるからみが面白おかしく書かれている。武田夫妻は高校ラグビー部のチームメート・大島泰毅くんの叔父叔母に当たるので、メールで記事について知らせてあげたところ直ぐ返信があり、読んでいないという。それならと今日彼にその日経記事を郵送した。

 夫妻の作品はひとつも読んでいないので、コメントは書けないが、いつか大島くんが言っていたことを思い出す。武田泰淳は旧姓を「大島泰淳」といって、旧制浦和高から東大文学部に進んだが、官憲に検挙されて退学した。その後養子縁組で大島姓から僧侶の武田姓に変わった。大島家は名前に「泰」という字を付ける。大島くんもそうだが、父上、同じ高校ラグビー部の後輩で、東大ラグビー部で活躍した2人の弟さんの名前にも「泰」という字が付けられている。大島くんのメールによれば、夫妻の1人娘で写真家の花さんとはしばしば会っているとあった。いつか武田作品を読んでみようと思っている。

2010年5月3日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1084.2010年5月2日(日) 葛西JR東海会長の中国嫌いは異常ではないか?

 鳩山政権の新成長戦略の柱のひとつに、「技術・システムの海外展開」というのがある。その足がかりとして前原誠司・国交相がJR2社、車両会社トップらと訪米してアメリカ政府の高速鉄道構想にインフラ・セールスを開始した。すでに政府はインドに原発技術提供の、ベトナムには原発や高速鉄道セールスを開始している。

 わが国の鉄道技術水準は世界でも最高レベルにあるが、それでもフランスとドイツが強敵と看られている。そこへ近年はスペイン、中国、韓国が参戦して、今後は激しい受注合戦が繰り返えされそうだ。日本は、過去において中国、韓国の新幹線導入競争で敗れ、独自の技術を海外で生かせなかったが、初めて台湾の新幹線導入で車両以外の鉄道敷設、駅施設工事を受注し、施行した。

 日本では、政府が漸く本腰を入れて官民一体の大型海外プロジェクトへ協力体制を整えるようになったことは、資金面で優位に動けるようになったということだ。今後の成果を期待したいと思う。

 ところが、月刊誌「選択」5月号によると、今回前原大臣の訪米に同行した葛西敬之・JR東海会長が大の中国嫌いで通っているそうである。そのこと自体個人的な感情で困ったことではあるが、どうしようもない。問題は葛西会長の中国嫌いが度を超えていることにあるようだ。中国政府の外交や経済政策に反論があるというなら、正々堂々議論することが出来るが、単に中国を蔑視するかのごとき中国嫌いでは、いずれ人種差別主義者と軽蔑され誰も相手にしなくなるのではないだろうか。

 例えば、新幹線京都駅には、JR西日本とJR東海の管轄地域があるそうだが、JR東海管轄地域では中国語の表記がないそうだ。JR西日本地域ではちゃんと表記があるだけに余計不可思議な感じがする。これでは自社の顧客へ可能なサービスを怠っていると非難されても反論出来まい。この低次元の不親切な対応に葛西会長の意向が反映されているようだが、これでは個人的な遺恨、或いは私怨と言われても仕方がないのではないだろうか。

 しかし、真相はどうあれ、公務に私情を交えては拙い。ましてや、社会的にも影響力のある大会社の会長職にある人だけに、その与える影響が大きい。モラル的にも好ましくない。こんな私情を業務に持ち込むようでは、経営者としての感覚を疑いたくなる。JR東海もこんなボスの意向を慮って営業分野に、歪んだ配慮をするようでは、社内の士気にも影響するのではないかと思う。

 今後葛西会長がアメリカの鉄道建設工事入札の際、人種差別感や中国蔑視感が表れやしないかと懸念される。今どきこんな駄々っ子のような大物経営者がいるなんて、とても信じられない。

2010年5月2日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1083.2010年5月1日(土) 中国の栄光と恥部

 今日上海万博が開幕した。これから10月一杯向う半年間開催される。北京オリンピックに次いで、中国政府はこの上海万博を国威発揚の絶好の場と捉え、全力を注いで246ヶ国・地域が参加する過去最大規模の万博にしようと目論んでいる。1970年の大阪万博では、幸い仕事上何度も訪れる機会があり、人気のアメリカ館やソ連館を長い間並んで月の石を見たことも懐かしい思い出である。その他にも大阪の花博や、つくばの科学万博を訪れたことも記憶に残っている。

 これから当分上海から発信されるニュースがメディアを忙しなくさせることだろう。とにかく最近では国際的なニュースの発信源として、中国の存在感は圧倒的なパワーを与え続けている。NHKドキュメンタリー番組のアーカイブスの中でもかつての人民中国の懐かしい映像をいろいろな角度から放映しているが、観てみたい番組も多く、気がつくと録画しては改めて観賞している。中でも文化大革命が始まった1966年から76年までの中国史は興味深かった。

 今や世界中が中国に振り回され、中国の同意なしにはことが進まないキライすらある。それは1にも2にも、その成長著しい経済力に負うところが大きいが、中華思想に捉われた中国は、自らの立場を有利に持ち込もうとして、少なからず国際社会と摩擦を引き起こし、外から顰蹙を買っているのも事実である。

 今日の夕刊をみても、万博以外に中国を主題とした記事として、①知的財産権保護、②南太平洋のカツオ漁、について中国のやり方に対して批判的な内容が掲載されている。他にも最近中国海軍艦艇が公海とはいえ、八重山諸島の間を堂々と通過したり、何かと話題を提供することが多くなった。

 その中でも①については、アメリカ通商代表部(USTR)が年次報告書で、知的財産権保護が不充分な「優先監視国」として、中国、ロシア、インド、カナダなど11カ国を指定した。これら11カ国は昨年も優先監視国だった。

 これらの国々は、これまでは違法な模倣品の横行などに焦点が当てられていたが、今後は中国などが、海外の技術を模倣し国産化することにUSTRは神経を尖らせている。巧妙な手口で模倣を模倣と思わせないテクニックに目が注がれる。中国政府はことあるごとに知的財産権の保護には国を挙げて注意を払っていると口では言っているが、キャラクター商品の模倣品や、今回の上海万博のPR曲のパクリなどを見ていると、物真似は中国の体質だとしか思えないので直ぐになくなることはないだろう。

2010年5月1日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1082.2010年4月30日(金) 袋小路の鳩山首相が、世界の100人とは?

 発言がぶれるうえに実行力がない、我らが鳩山由紀夫・総理大臣が驚くなかれ、アメリカの週刊誌「TIME」5月10日特別号で「世界で最も影響力のある100人」の指導者25人のひとりに選ばれた。先日の核安全サミットに出席した各国首脳の中で最大の敗北者とワシントン・ポスト紙から酷評された同一人物とはとても思えない持ち上げ方である。アメリカのマス・メディアも少々辛口が過ぎたと思ったのか、「対等な日米関係」「政治の主導」などは達成出来ていないが、「事実上、1党支配だった国から民主主義が機能する国に変えたことはほめる理由として十分」という首相にとっては、漁夫の利のような理由で選ばれた。結局は鳩山首相の実績や期待度を評価したわけではなく、「CHANE」を選択した日本国民の行動を賞賛したものだ。鳩山首相もこんな理由では、気恥ずかしくてあまり話題にされたくないのではないだろうか。

 その鳩山首相が4日に沖縄入りするという。果たして四面楚歌の中で気の弱い首相が、したたかな現地の首長らを相手に言いたいことを言うことが出来るだろうか。

 さて、先日ギリシャ政府がEUとIMFに緊急支援を要請したが、ギリシャの返済能力が疑問視され、中々色よい回答をもらえなかった。EUとIMFは、ギリシャ政府に①全労働人口の25%を占める公務員数と給与の削減、②年3回の賞与の廃止、の条件を付けたうえで、支援することをほぼ承認することになった。これでヨーロッパの信用不安が少しでも消せればよいが、スペインとポルトガルの格付けも下がっているので、いつ他国へ飛び火するか分らない。

 一昨年駒沢大学・マスコミ研究所主催の公開講座を受講したが、その講座のうち「報道メディア論」を講義された片山正彦講師から、近刊書「ここに記者あり!」(岩波書店刊)を送っていただいた。帯表紙に原寿雄氏が推薦文を書いておられる。同年この原氏の岩波市民講座も受講したが、お2人とも共同通信社出身なので、師弟関係というご縁だと思う。その主人公記者というのは寡聞にして知らなかったが、村岡博人という共同通信社記者で、生涯現場記者として記事を書き続けた。驚いたのは、村岡がサッカー元日本代表のゴールキーパーで、ロッキード事件の刑事被告人だった佐藤孝行代議士に殴られたり、ソ連のスパイから濡れ衣を着せられたこともあるという。中々気骨のある人のようだ。

GW中に楽しみに読んでみようと思っている。

2010年4月30日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1081.2010年4月29日(木) 今の政権では普天間基地移設問題は解決しない。

 幸福度というあまり聞きなれない言葉があるが、一昨日内閣府が日本人の幸福度というものを発表した。10点満点で6.5点だそうである。幸福度なんて基準が必ずしも明確ではないし、人によって感じ方も判断の尺度も異なるので比較は難しい。日本の幸福度は、無作為の15歳から80歳までの4千人を対象にしたものである。これに対して一昨年のヨーロッパ28カ国の幸福度の平均は6.9点だったいう。

 幸福というのは、主観的なもので外からあまり数字で推し量るものではないと思う。今わが国では、幸福度を左右する象徴として高齢化、年金、子育て、教育、治安等々の問題が考えられるので、現況からみて余計に幸福度が低下する傾向にある。日本とヨーロッパ間の幸福度の差が実際にどの程度のものなのか何とも言えないが、今夕NHKニュースで報道していた、一見貧しいブータン国の国民が感じる幸福度が97%というのには些か考えさせられた。GDPの比較だけなら、ブータンは日本の1/20程度である。しかし、彼らは言う。幸せとは近所付き合い、家族との語り合い、仲良く暮らすこと、などと言っているのを観ていると、現在の日本から消えつつある情景であるだけに、経済が発展するにつれ、人びとの情感や幸せな気持ちが薄れていくということを表しているのではないか。

 さて、普天間基地移設問題がデッドロックに乗り上げて、結論を出す期限があと1ヶ月後に迫ってきた。だが、のらりくらりの政府が固めたとされる腹案はまだ公表されていない。国民の心配をよそに期限内に解決する兆しはまったく見えない。

 今朝の朝日新聞によると大体固まりそうな案として、鹿児島県徳之島に普天間のヘリ部隊の一部、1,000人を移し、更に辺野古に桟橋を作って滑走路を建設する分離方式を考えているらしい。これは元々アメリカが同意する気がない徳之島への海兵隊移設問題である。仮に沖縄案を強引に押し進めても、日米間の話し合いは紛糾し、まとまらないのではないか。

 それにしても、今頃になって社民党の福島瑞穂・社民党党首がテニアン案を主張し出したのには開いた口が塞がらない。テニアンもサイパンも受け入れを歓迎すると日本側に伝えていたのは、もう大分前の話だ。今頃になって窮地に追い詰められて、突然のように言い出すから余計にややこしくなる。民主党もダメなら連携している国民新党や社民党も話にならない。一体このていたらくでは落としどころをどこに見出そうと言うのだろうか。

2010年4月29日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1080.2010年4月28日(水) 1独法に埋蔵金が1兆4千億円とは?

 昨日行われた独立行政法人を対象とする事業仕分けで、「鉄道建設・運輸施設整備支援機構」に1兆3千5百億円もの利益剰余金があることが明かされて問題となり、機構はその場で利益剰余金を国庫に返納するよう求められた。この独法のスタートは鉄道建設公団であり、それに旧国鉄清算事業団がくっついたもので、当初はそれほど豊かな財務状況ではなかったが、事業団の抱える国鉄保有地を高く売却したり、JR3社(東日本、東海、西日本)の株式売却益を管理したり、更に国からの補助金などの収入により、埋蔵金と称せられる資金が溜ったものである。国交省や機構は抵抗したようだったが、返納せよとのお沙汰で国へ返納することになった。

 偶々今日麹町の海事会館で今秋発行する観光関係書の関係者5人が集まって編集会議を行った際、元運輸事務次官で、鉄道建設公団総裁でもあった松尾道彦・JN協会理事長から伺ったが、国鉄保有地を高く売って資金を増やすべく努力しても資金の使途については制約が多く、新幹線建設資金として使うことは認められなかったという。一連の事業仕分けで主催者側は、事前に調査はしただろうし、この席で独法の説明を受けたが、事業仕分けの現場でいきなり廃止とか、縮減とか、継続ということをいとも簡単に一刀両断に出来るものだろうか。拙速に走らなければ良いと思う。

 それにしても1兆4千億円という大金が、1独法に保管されていたという事実を関係者はどう考えるのか。1兆4千億円という大金は、私が大学経済学部に入学した時、経済原論の安川正彬講師が最初に経済学を学ぶ学生なら覚えておくべき数字だと言われた金額である。それは1959年の国家の一般会計予算とまったく同じ金額なのである。国民の視点で言えば、どうも関係者は少し金銭感覚が鈍いのではないかと思わざるを得ない。

 今日の夕刊紙で大きなニュースが3つある。ひとつは、赤坂プリンスホテルが来年3月に閉館されるという寂しい話である。都心の1等地にあり、建築家・丹下健三氏のその垢抜けたデザインのせいもあって一時は、華やかでランドマーク的な存在だった。何度か利用したことはあったが、ついぞ宿泊することはなかった。閉館の理由は、建物の老朽化に伴う営業不振だそうだ。立替られる建物はオフィスビルに変わる。

 2つ目は、今月限りで閉場する歌舞伎座が千秋楽を迎えたことである。新しく建て直される新歌舞伎座は、オフィスとの複合ビルとなって3年後に生まれ変わる。大学生の頃、丁度父が明治乳業㈱宣伝部長の時、会社がPR企画で歌舞伎座とタイアップしていたので、運良く毎月のように歌舞伎を観に行く機会があり、多くの名優の芝居を観ることが出来たし、小学校の恩師・湯浅和先生とも一緒に観劇したことがある。残念ながらそれ以降社会人となってまったく歌舞伎座へ足を踏み入れたことはないが、再建されるとは言え、やはり寂しさが募ってくる。

 もうひとつは、東京株式市場で日経平均株価が一時300円を超える終値287円安となり、昨年11月のドバイ・ショックの円高株安以来の大幅な下落となった。その理由は、金融不安で支援を要請したギリシャが格付け会社S&Pから格下げされたことにより、欧米の株式市場が下落した影響を受けたからと言われている。ちょっと明るい材料が見えてきた経済市況だが、まだとても安定した回復基調に入ったとは言えないようだ。

2010年4月28日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1079.2010年4月27日(火) 法曹関係が慌しい。

 一昨日鳩山首相の資金管理団体をめぐる偽装献金問題で首相に対する検察審査会の結論は不起訴相当となった。それでも議決は、毎月1,500万円の資金提供を母親から受けていることを首相自身がまったく知らなかったという説明に対して、素朴な国民感情からして考え難いと疑問を呈した。

 結局権力の頂点に立つ人の周りには見えない壁があって、検察の手が及び難いということなのかもしれない。

 かつて派閥の1億円献金隠し事件の際、橋本龍太郎・元首相も起訴されなかった。この時政治家本人がまったく不問に付されるのはおかしいとの疑問が上がったことがある。

 そして、今日小沢一郎・民主党幹事長に対する検察審査会の出した議決は、鳩山首相に対する不起訴相当とは反対の起訴相当だった。敢えて言えば、小沢幹事長と鳩山首相とは、ウソをついていたかいないかが異なった判断が下された理由だと思う。これで今後また時間がかかるが、とりあえず本件に関しては国民感情としては納得がいくのではないか。検察当局は3ヶ月内にどういう判断を下すだろうか。

 今日公訴時効を廃止する刑法、及び刑事訴訟法の改正案が衆議院本会議で可決、成立した。これは逃げ得を失くすことを最大の目的としている。殺人などの凶悪犯罪が目だって増えてきたが、犯人逮捕に至る割合が年々低下している。被害者の遺族から時効廃止を求める声が根強く、今日改正法案が通ったことにより、あくまで犯人逮捕へ向けた捜査活動が続けられることになった。

 しかし、時効廃止によりいくつかの問題点も指摘されている。その1番目は、冤罪が発生する恐れがあるということ、第2に証拠や証人が無くなりつつあること、第3に捜査体制の継続により、捜査人員が足りなくなるということ、等々が心配されている。だが、ある日を境に犯人が自由に動けるようになるという事態は、遺族にとっては許し難いし、耐えられないのではないか。その点では今日の時効廃止決定は、国民感情からしても受け入れられると思う。

 偶々放火により岡山県の夫婦が殺害された事件が今夜12時に時効となることをにらんで、法律改正を急いだ。これから法律専門家の間でも議論が闘わされるだろうし、現場でも難しい問題が出てくると思う。言えることは、1日も早く犯人を捕まえることと、逃げ得を許すなということである。

2010年4月27日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com