一昨日鳩山首相の資金管理団体をめぐる偽装献金問題で首相に対する検察審査会の結論は不起訴相当となった。それでも議決は、毎月1,500万円の資金提供を母親から受けていることを首相自身がまったく知らなかったという説明に対して、素朴な国民感情からして考え難いと疑問を呈した。
結局権力の頂点に立つ人の周りには見えない壁があって、検察の手が及び難いということなのかもしれない。
かつて派閥の1億円献金隠し事件の際、橋本龍太郎・元首相も起訴されなかった。この時政治家本人がまったく不問に付されるのはおかしいとの疑問が上がったことがある。
そして、今日小沢一郎・民主党幹事長に対する検察審査会の出した議決は、鳩山首相に対する不起訴相当とは反対の起訴相当だった。敢えて言えば、小沢幹事長と鳩山首相とは、ウソをついていたかいないかが異なった判断が下された理由だと思う。これで今後また時間がかかるが、とりあえず本件に関しては国民感情としては納得がいくのではないか。検察当局は3ヶ月内にどういう判断を下すだろうか。
今日公訴時効を廃止する刑法、及び刑事訴訟法の改正案が衆議院本会議で可決、成立した。これは逃げ得を失くすことを最大の目的としている。殺人などの凶悪犯罪が目だって増えてきたが、犯人逮捕に至る割合が年々低下している。被害者の遺族から時効廃止を求める声が根強く、今日改正法案が通ったことにより、あくまで犯人逮捕へ向けた捜査活動が続けられることになった。
しかし、時効廃止によりいくつかの問題点も指摘されている。その1番目は、冤罪が発生する恐れがあるということ、第2に証拠や証人が無くなりつつあること、第3に捜査体制の継続により、捜査人員が足りなくなるということ、等々が心配されている。だが、ある日を境に犯人が自由に動けるようになるという事態は、遺族にとっては許し難いし、耐えられないのではないか。その点では今日の時効廃止決定は、国民感情からしても受け入れられると思う。
偶々放火により岡山県の夫婦が殺害された事件が今夜12時に時効となることをにらんで、法律改正を急いだ。これから法律専門家の間でも議論が闘わされるだろうし、現場でも難しい問題が出てくると思う。言えることは、1日も早く犯人を捕まえることと、逃げ得を許すなということである。