今日は憲法記念日である。日米安保や沖縄基地、核問題が話題になるたびに憲法議論が持ち上がるが、憲法について正面から国民的視点で議論や論点を取り上げ、これからの日本にとって憲法改正、なかんずく「第9条」をどう取り扱うかについて真剣な議論が闘わされたことがない。
朝日新聞の直近の世論調査によれば、改憲が必要だとする人は47%、不要とする人は39%で、3年前の調査の際前者33%、後者49%だったことに比べれば改憲賛成者が大分増えている。しかし、9条だけを考えると改正反対者が67%と全体の2/3を占める。これは国民にとって、相変わらず9条が戦争への抑止力となって欲しいとの願いが強いからだろう。
それにしても僅か3年間にこれだけ国民の気持ちが動くのは、それだけ将来に不安を抱いているからでもある。もうこうなったら真剣に憲法を議論するより仕方があるまい。憲法を改正するのかしないのか、はっきりさせれば、わが国の防衛問題にも見通しが立ってくる。例えば、沖縄の米軍基地問題等は、日米安保問題を抜きにしては解出来ないのではないかと思える。そうだとすれば、根本的な問題として憲法問題をやり過ごすことは出来ないと思う。
さて、毎週日経日曜版に連載されている瀬戸内寂聴さん寄稿エッセイの昨日付「奇縁まんだら」に、作家武田泰淳・百合子夫妻と評論家・埴谷雄高との酒にまつわるからみが面白おかしく書かれている。武田夫妻は高校ラグビー部のチームメート・大島泰毅くんの叔父叔母に当たるので、メールで記事について知らせてあげたところ直ぐ返信があり、読んでいないという。それならと今日彼にその日経記事を郵送した。
夫妻の作品はひとつも読んでいないので、コメントは書けないが、いつか大島くんが言っていたことを思い出す。武田泰淳は旧姓を「大島泰淳」といって、旧制浦和高から東大文学部に進んだが、官憲に検挙されて退学した。その後養子縁組で大島姓から僧侶の武田姓に変わった。大島家は名前に「泰」という字を付ける。大島くんもそうだが、父上、同じ高校ラグビー部の後輩で、東大ラグビー部で活躍した2人の弟さんの名前にも「泰」という字が付けられている。大島くんのメールによれば、夫妻の1人娘で写真家の花さんとはしばしば会っているとあった。いつか武田作品を読んでみようと思っている。