1228.2010年9月23日(木) 馬淵大臣は「観光」大臣としての資質に欠けるのではないか。

 お彼岸のお中日で、「暑さ寒さも彼岸まで」のことわざ通り、暑苦しかった気候が今日は10℃以上も下がって一転雨が降り冷気を感じるほどになった。沖縄へ新婚旅行中の二男夫婦から、沖縄の特産ガラスで製作した一対のコップを送ってくれた。

 さて、民主党政権は新経済成長戦略の重点政策のひとつとして「観光振興」を打ち出し、とりわけ中国人観光客の獲得へ強い意欲を示した。私自身その意を念頭に、先般脱稿した「そこが知りたい 観光・都市・環境」の中で中国人のインバウンド・ツーリズムに関してページを割いた。

 ところが、その旗振り役である新任の馬淵澄夫・国土交通省大臣が、昨日から奈良市内で開催されたAPEC観光相会談で渦中の尖閣諸島問題の影響であろうが、中国代表の祝善忠・国家観光局副局長とまったく接触しようとしない。両者はともに目を合わせることもなく、一言の言葉も交わさなかった。馬淵大臣は議長役を務めている、いわばホスト役である。ホストの役割はいうまでもなくゲスト全員がその場の雰囲気に馴染むよう心配りをするホスピタリティを求められる。集合記念写真の最前列中央で間に女性を挟んだ形ではあるが、すぐ近くにいながら口もきかないほどの仏頂面であり、副局長の表情にも戸惑いが感じられた。前日にも馬淵大臣は祝副局長の表敬挨拶を拒んでいる。

 馬淵大臣は、あまりにも頑ななで「人と人とのふれあいを通して相手の伝統・文化を知る」観光を促進させ、監督するトップとしてはあまりにも資質に欠けているのではないか。大臣としては完全なミスマッチであると思う。この人は他人の気持ちを理解することが出来ない人なのではないか。

 数年前耐震建築偽装問題がクローズアップされた際、当時野党の建築に詳しい馬淵大臣は、国会で鋭い質問を投げて、一躍時の人となった。「構想日本」のセミナーでも理路整然とロジカルに解説し説明して、中々の切れ者と思った。だが、相手の気持を斟酌する思いやりがない。これでは観光の真髄が分る筈がない。こういうミスキャストを冒すようでは、国家にとっても大きな損失となろう。日中関係がギクシャクしている時であるからこそ、観光部門は一層手を携えて協調するという気持がどうして出せないのか。

 案の定、昨夕の大臣主催の晩餐会には副局長は、急遽出席をキャンセルした。これでまた、修復が一層難しくなった。こじれた問題の本質と発火点は、間違いなく尖閣諸島の領土問題である。だが、昨日の儀礼を欠いた大臣の対応は、別の問題である。そんなことも分らず、政権の重大施策「観光振興」をまったく配慮しないやり方はあまりにも常軌を逸している。これでは、日本が目標にしているインバウンドツアーの底上げと中国人旅行市場の活性化はしばらく時間がかかるのではないだろうか。

 それにしてもお粗末な大臣である。採用されるかどうかは分らないが、午後朝日新聞「声」へ宛てて率直な心情を600字内にまとめ投稿した。

2010年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1227.2010年9月22日(水) 呆れた検察スキャンダル

 前代未聞の呆れたスキャンダルである。大阪地検特捜部の主任検事が押収した資料を改ざんした容疑で逮捕された。昨日の朝日新聞トップ記事で大きく取り上げられたと思ったら、電光石火の早業で昨日のうちに容疑者がスピード逮捕となった。それだけ検察サイドも事態を深刻に受け止め、国民の不信を一刻も早く払拭しようと考えたのであろう。

 容疑は、郵便割引制度を悪用したニセの証明書発行事件で、つい先日無罪判決を受けた厚労省の元局長・村木厚子氏の証拠書類として押収したフロッピー・ディスクのデータを、事件の主任である検事が改ざんしたというものである。本事件はまだ無罪が確定しておらず、検察も控訴を視野に入れていたが、流石に改ざんが絡む事件で世論の反発を慮ったか、直ちに上訴権を放棄した。これにより村木氏の無罪が確定した。

 この事件は昨日のメディアに大きな話題を提供し、法務大臣、官房長官を始め、元検事らから検察に対して厳しいコメントが発せられていた。さらに最高検察庁内部でもことの重大性に鑑み、夜9時過ぎに最高検の伊藤鉄男・次長検事が急遽記者会見を行い、「重大、深刻に受け止め、事実関係を徹底的に捜査し、早急かつ厳正に対処する」と語った。

 村木氏は個人的な行為と捉えずに検察という組織全体で検証してほしいと述べている。検察では改ざんの事実をまったく知らなかったのかと思っていたところ、今日になって新たな疑問が浮かび上がってきた。主任検事が改ざんした事実を同僚に話し、それを特捜部長に話して、大阪検察庁のトップである検事正に報告まで上がっていたという。これでは組織ぐるみで改ざんを隠蔽していたと見られても致し方ないのではないか。しかも、7ヶ月間に亘ってその事実に頬かむりだった。

 警察官の違法はしばしば起こるが、まさかエリート中のエリートである検事、しかも悪を糾弾すべき立場の人間がこういう粗相を仕出かしたこと、そして検察内組織が改ざんの事実を知りながら黙っていた不祥事について、徹底的にその原因を究明し検証して国民の前に事実を明らかにしてほしい。さもないと普通の人間は、何をよりどころに善悪の判断をしたら良いのか分らなくなってしまうのではないか。

 今日も暑い。今年71回目の真夏日となり、真夏日の回数としては過去最大である。明日は雨が予想され、冷え込むとあって暑かった今年の気候もようやく秋らしくなってくる。一方で大雪山黒岳では初雪があったが、昨年に比べて13日も遅いそうである。

 さて、駒沢大学マスコミ研究所の公開講座も夏休みだったが、先週から再開された。最初の講義は息子の結婚式で出席出来なかったので、今日が最初の授業である。清田義昭講師が「マスコミの敗北」というビデオを見せてくれ、その後に話し合った。優秀作品として受賞したドキュメントで、外務省機密漏えい事件に関する内容で、西山太吉氏の取材から裁判までを追ったものだ。すべての授業に出席出来るかどうか分らないが、清田講師のこの授業も私にはとても面白く、考えさせてくれる。

2010年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1226.2010年9月21日(火) 日に日に悪化する日中関係

 徐々にことが大きくなってきた。言うまでもなく、尖閣諸島への中国漁船侵入事件である。2国間でトラブルが起き紛糾した場合、普通ならなるべく火の粉が広がらぬように当事国は気を遣うものだが、最近の中国は経済力と軍事力を背景に、自分たちの言い分だけを一方的に主張して相手をへこませる強引な手法に出てくる。

 今度のケースでも、非は日本にありとして主張が通らぬなら、友好関係に水を差すことでも何でも押し付けてくる。なぜ外交問題として領土問題を取り扱おうとしないのか。むしろ領土問題から離れて「日本憎し」から反日デモ、日中友好ムード撲滅の動きに出る。あまりにも大人気なく、身勝手な論理には呆れるばかりである。30年ほど前に中国へよく出かけていたころ面識のあった中国の人たちとは性格的に大分異なるようだ。

 中国の若い世代は反日教育のせいで、頭の中に反日思想がこびりついているようだ。表面的にうまくいっている事柄でも、それが一旦こじれると抑えていた反日感情が表面化する。年配者の間では、日清戦争、日中戦争以来日本軍によって痛めつけられている筈にも拘わらず、それほど怒りを日本人にぶつけてくることがないのに反して、近年中国の若い人はすぐ日本に対して闘争的になる。

 その原因として、メディアでも伝えられているように中国国内の政治基盤の不安定さから来る、政府当局の国民への遠慮がちの配慮がある。騒ぎがあまりに大げさになって、国が抱えている諸問題の原点を国民に嗅ぎつけられ、国民の不満が政府批判に向かうのを恐れているからである。

 民主化が遅れている中国には3権分立はない。あくまで共産党による1党独裁政権である。現在日本で司法の手に委ねられている中国漁船長を政治的に釈放しろとの中国デモの言い分は、司法への干犯であり、まるで子どもの論理である。

 一昨日中国の王光亜・筆頭外務次官は丹羽宇一郎・日本大使に対して閣僚級の交流を停止すると伝え、併せて航空路線増便交渉の中止も公表した。一方、民間交流のひとつである「北京国際観光祭」で参加待機中だった日本の参加団体の出演が急遽中止となった。それに呼応して中国側の招待で今日訪中する予定だった1,000人規模の「日本青年上海万博訪問団」の受け入れ延期も伝えてきた。旅費、宿泊費を中国側が負担するものではあるが、それにしても2日前になって特別の理由を伝えられることもなく、一方的に延期というのは、あまりにも礼儀に反している。ここまで民間外交を軽視しているのかと思うとがっくりである。いずれの民間団体の計画中止についても、中国側は「現在の雰囲気で友好交流事業はふさわしくない」だの、「安全を保証出来ない」だの、種をまいて不安を煽ったのは中国側であるにも関わらず、一方的に相手に責任を被せるやり方である。

 ここまで両国間の関係が悪化すると、日本の観光庁が期待している中国人訪日観光客の今年の飛躍的な増加は難しいかも知れない。

 中国政府の「聞く耳持たぬ」の威圧的な態度を見ていると、力で日本を屈服させようとの姿勢がはっきり見て取れる。今や行け行けドンドンの登り龍には、「退く」とか、「妥協」という言葉は目に入らない。

 だとすれば、日中間の外交をこのまま黙って見ているわけには行かないのではないか。今は中国の出方をもう少し見極めようとしているのだろうが、そろそろ日本政府にも、解決への糸口を考える動きがあってもよい。このまま悪化した状態を放置しておくのは、両国の将来にとって決してプラスにはならない。

2010年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1225.2010年9月20日(月) 後輩Tくんの活動に刺激を受ける。

 高校、会社の後輩であるTくんから時折2つ折り4頁の自作の報告書を送ってくれる。直近のリポートには、民主党代表選挙の話題と離婚時の年金分割制度、運動同志の追悼などが格調高く、筆力のある内容となって論理的に描かれている。

 Tくんは高校のちょうど10年後輩に当たり、昨年会社も定年となった。折角国立大に入りながら中退して中途入社社員として同じ会社へ入社してきた、彼の真意は分らない。このように入社前後の経歴や入社後の社歴も他の社員とは一味変わっていて、「現場」に拘っていた。強い正義感を持ち仲間や同志のために自らの意思を貫き、「生涯一現場社員」を全うした。会社の労働組合運動にも熱心だったが、幾分他の組合員とはその考え方において距離があり、一部の仲間を除き孤高の立場に立って心から全組合員の幸せと、待遇改善を願って運動に邁進した。結局最後まで必ずしも他の組合仲間と心をひとつにとはいかなかったようだ。

 退社後は努力でかち得た行政書士や社会保険労務士の資格を活かして個人事務所を開業し、多くの人たちの相談に乗っている。秀でた能力を会社からは充分評価されず、会社内で活かしきれない才能を惜しむ声は多々聞かれたが、Tくんは安易に妥協することなく信念を貫き自分で選んだ道を歩んだ。私自身必ずしも全面的にTくんの行動に納得するものではないが、それでも思いやりのある優しい人柄、類稀なタレント、堅実で正確な仕事ぶりには常々敬服していた。

 前記のリポートを読むと、その着眼点や内容の分析にはつくづく感心する。今後も誰に遠慮することもなく、このまま自己の信念に基づいて己の道を突き進んで欲しいものである。

 いままでプレッシャー下にあった縄を解き放たれ、信念に沿って縦横に活躍する姿を見ていると力を与えられ嬉しい気持ちになる。数年前にはガンであることが判明したが、早期治療により現状は回復に向かっているようだ。拙著の出版記念会にも出席してくれ、逆に励ましてもらった。Tくんの活動に大いに刺激を受ける。好漢Tくんの益々の健闘を祈るや切なるものがある。

 さて、今日は敬老の日である。高齢者に関する話題が急激に増えてきた。足立区内で高齢者の男性の白骨遺体が発見されたことから、行政でも高齢者の所在の確認など高齢者に対するケアに神経を使うようになった。

 総務省が発表した高齢者推計人口では、80歳以上の高齢者は800万人を超える。40年前には100万人程度しかいなかった。65歳以上の高齢者は3,000万人に達して総人口の23%を占める。これも40年前には750万人ほどしかいなかった。長寿はもちろんめでたいことであるが、高齢者に関連する経費が嵩むばかりである。年金、医療問題を主とする高齢者問題は喫緊の課題として、政府はもっと真剣に国民に解決へのロードマップを示してもらわなければ困る。

2010年9月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1224.2010年9月19日(日) 中国の「愛国無罪」思想の行方

 束の間軽井沢へ出かけている間に国内外で政治的、外交的に大きな動きがあった。政治的には国内で菅第2次改造内閣が発足したことである。外交的には大きな問題となりつつある中国漁船の尖閣諸島領海侵入事件である。後者は予断を許さない外交問題に発展する様相を帯びてきた。

 昨日は柳条湖事件発生により満州事変が勃発して79年目という節目の日に当たり、中国各地で反日デモが勃発した。しかし、反日デモの拡大を警戒する中国当局の抑制的な警備によって大事には至らなかった。

 そもそもこの問題の根底には、領土問題が横たわっている。日本、中国がともに尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権を主張し、そこへ近年になって台湾まで領有権を主張するようになった。中国が領有権を主張し始めたのは、その海域周辺で海底ガス田の存在が調査結果で明らかになってからで、ほんの数年前のことである。わが国が尖閣諸島を日本領土であると国際社会へ向けて宣言したのは1895年で、爾来そのまま推移してきた。当然わが国は領有権を主張出来る権利がある。中国の領有権には正当の権利がないと思う。それがこのようにこじれてきたのは、両国間でじっくり話し合いをしてこなかったことと、中国の海洋資源簒奪を目論む拡張主義と、自国の利のためなら他国を粉砕しても良しとする「愛国無罪」主義がある。「愛国無罪」とは、国家のための行為は何事にもまして許されるというもので、今回はそれほど露骨でもないが、5年前の反日デモの際日本領事館や日本商店を暴徒が襲っても、そのまま野放図に放置されたまま罪に問われなかった事実がある。

 漸くテーブルに着こうとしていたガス田掘削交渉を一方的に延期したり、掘削作業用の機材を了解事項に反して秘かに搬入したり、要人の来日を突如中止したり、遂には民間ベースである企業の社員1万人優待旅行をキャンセルしたり、日本への報復行為はエスカレートするばかりである。これまで中国側のやり方は日本へ圧力を加えれば、日本は退くとの強硬論至上主義があった。わが国は中国にいつも舐められていたのである。ここは毅然として、筋を通して主張すべきは主張するという強いスタンスを取ることが大切である。

 ここ数日中国国内、或いはニューヨークの日本領事館前では反日デモが繰り返されている。

 しかし、これまでの中国政府の対応はあまり大騒ぎをされても困るとの姿勢に終始している。政府サイドが一部の反日分子の意向を汲んで反日ポーズを煽っていながら、一方ではあまり行動が過敏になっては迷惑との臆病なスタンスが窺える。ここには、中国国内へ向けた国民懐柔のための苦肉の策が弄されているのである。国民の声を無視しては国内問題として政府批判につながりかねず、国内に公務員汚職や貧富格差のような深刻な問題を抱える政府としては、問題の拡大化を懸念して国民と歩調を合わせながら国際問題に対応しているジェスチャーを示しているに過ぎない。この辺りにも中国人特有の「傲慢」と「臆病」が垣間見られる。

 それにしても民間外交とも言うべき観光旅行にまでブレーキをかけさせるというのは、あまりにも神経過敏で些か異常であり、どういう意図や真意があるのか見当もつかない。

 アメリカ政府は表面的に日中両国間の問題と冷静な対応を求めているが、内心中国が近年軍事力を突出して増加させていることを憂慮している。

この騒ぎの最中に中国にとっても経済的に大きな課題がクローズアップされてきた。

 ひとつは、国際通貨基金(IMF)が中国の出資比率を大幅に増額させることを要求し、これは実現の見通しである。中国は現在世界第2位のGDP達成を目前にしながら、未だに新興国の立場を取り続け、IMFへの出資比率は3.9%で、これを日本の6.5%並に引き上げようというものである。

 もうひとつは、アメリカのガイトナー財務長官が懸念を示した中国の人民元引き上げ問題である。今年始めから中国人民元の水準の低いことが指摘され、切り上げに踏み切ることを世界は求めていたが、中国政府は敢えて強い為替相場への介入はしなかった。だが、アメリカ政府にとっては経済不況から失業者が増大し、安い中国人民元がアメリカ経済の立ち直りを邪魔しているとの観測が強く、今後も国を挙げて中国為替政策への圧力を強めてくるだろう。早晩中国が何らかの対抗措置を講じざるを得ないことになろう。

 いずれにしても中国の強い存在感と恫喝的な威圧感は日本にとってもかなりのものである。内閣改造により前原誠司氏が新たに外相となった。中国は新外相をタカ派と見て警戒しているようだが、あくまで対等に筋を通す姿勢を貫き、堂々と日本の考えを主張して欲しいものである。そのひとつとして、いつまでも互恵原則を形式的に唱えるだけではなく、尖閣諸島の領有権については、正々堂々と国際司法裁判所に審判を下してもらうことを現実的な解決策として考えてみてはどうであろうか。

2010年9月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1223.2010年9月18日(土) 軽井沢に漂う文士の名残

 ホテルを引き払う前に新婚の二男夫婦が宿泊しているプリンスホテル・イーストへ預かり物を届けに車で出かけた。プリンスホテルの広い敷地内を移動用に走っているプレートナンバーのない電気自動車に乗れば、直線距離としてそう遠くはないが、一旦ホテルの敷地外へ出て一般道を通り移動すると軽井沢ショッピング・プラーザを外周することになるので、かなりの距離になる。

 驚いたのは、10時前後だったが、帰りにプラーザに沿った周囲の道路が数珠つなぎの車で詰まっているのを見た時だった。そんなに朝からショッピングに大勢の人々が訪れるのは、確かにプラーザに魅力があるからだろうが、それにしてもその人気ぶりには度肝を抜かれた。昨夕は夕食に出かけたが、これが流行りというものだろうか。

 今日は妻の友人から教えてもらった軽井沢文学コースを訪れてみることにした。いずれもまったく知らない施設だったが、ひとつは「軽井沢高原文庫」で、もうひとつは「軽井沢タリアセン」である。2つの施設が塩沢湖に沿った道路に向かい合って位置している。「軽井沢タリアセン」というのは聞きなれない言葉だが、何でもウェールズ語で「輝ける額」という意味で、吟遊詩人だったタリアセンに因んで命名されたそうだ。

 前者は、理事長・加賀乙彦氏と副理事長が妻の友人の親戚であるということで特に勧めてくれたところである。

 元々軽井沢は文士と縁が深い。昨日の結婚式場の向かいの「つるや旅館」を始め、万平ホテル、星野温泉旅館、三笠会館などは特別な所縁がある。「軽井沢高原文庫」の屋外庭園には、掘辰雄の山荘と野上弥生子の書斎が移築されている。中村真一郎の文学碑や立原道造詩碑も建てられている。館内には著名な文士の直筆原稿や、初版本、写真なども展示されていて中々興味深い。その前には「一房の葡萄」という洒落た喫茶店があるが、これが何と有島武郎の別荘「浄月庵」を移築したものである。ここのベランダでコーヒーを嗜んでいたところ、心地よい風に、これなら良い作品も生まれるのではないかと思ったほど心が落ち着く場所だった。有島武郎は良家に生まれたが、この時代の文士らは自由に、気ままな生活を送りながら秀作を世に送り出していたのだ。

 後者の「軽井沢タリアセン」には周囲にペイネ美術館、深沢紅子野の花美術館、旧朝吹山荘「睡鳩荘」を見学した。とにかく昔の成功者が金に糸目をつけずに残した財産が、今日別の形で世間に昔を偲ばせる形で伝えられている。

 軽井沢は、それほど脚光を浴びてはいないが、土地と関係深い有名人の足跡を伝えてくれるアカデミックな施設が、公的なバックアップではなく、一般人の支援によって支えられているところが素晴らしい。

 6時過ぎに帰宅して、夕食は妻とともにどうにか2人の息子が巣立ったことを喜び合い、軽くビールで乾杯して労わりあった。

2010年9月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

 1222.2010年9月17日(木) 二男崇史結婚式を挙げる。

 二男崇史の結婚式当日を迎えた。軽井沢の「クリーク・ガーデン」で行われるため、当人たちと長男家族、それにわれわれ夫婦が軽井沢のプリンスホテルに宿泊しているが、それぞれ別棟に宿泊しているので思うように連絡、往来が出来ない。そのうえ着物の着付けを頼んだので、長男の嫁と妻が先に出かけて思うように全員が揃わない。会場にはそれぞれバラバラに出向くことになった。

 嫁高橋すみれの両親は、今朝新潟市内の自宅から車で来られ、式を終えて再び車で帰っていった。式はなかなか良かったと思う。式場の周囲が大木に囲まれていて森の中にある雰囲気が漂い、神秘的だった。列席者50名の皆さんには式とパーティに出席していただいた。崇史の会社から名誉会長の小田保中氏にご出席いただき、主賓としてスピーチをいただいた。お会いしたのは昨年の出版記念会以来だったが、お元気そうで安心した。旅行好きで旅行の話になると止め処もない。崇史に期待しているようなお話をしていただけるのは、親として嬉しいものだ。スピーチをされた列席者は、3名だけだったが、会社の同僚の方々が余興にグループで替え歌を歌ってくれた。中々機知に富んだユニークな余興で会場を和ませてくれた。替え歌の歌詞が中々秀逸で、下品な感じがまったくなく、近ごろの若者のセンスには恐れ入った。

 長男家族は明日孫たちの運動会があるので、未練を残しながら帰って行った。崇史は2次会、われわれはもう1泊して明日ゆっくり帰ろうと思う。

 さて、その間東京では、第2次菅改造内閣閣僚名簿が発表された。最早首相以下18名の閣僚の中で私より年長者は、1歳年長の北沢防衛相だけになった。確実に世の中は若返りが進み、私は高齢化社会へ突っ込んでいる。

 今回の改造内閣で、岡田克也外相が党幹事長へ転出されたのに伴い、外相に前原誠司・前国交相が入り、その後釜に馬淵澄夫副大臣が昇格した。他にも転入・転出があるが、民主党代表選に敗れた小沢色は薄まったと見るべきであろう。目だった小沢派は海江田万里の経済財政大臣就任ぐらいのものである。

 岡田氏が党務を行うことになった影響で、外相が交代したが、外交面を考えると首相同様に外相はあまり替えない方が良いのではないかと思っている。特に、現在一番緊張状態にある対中国関係を思えば、むしろ岡田氏を替えるべきではなかったと考えている。

 明日の新聞論調はどうコメントするか、楽しみである。

2010年9月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1221.2010年9月16日(木) 軽井沢で長男、二男と会食

 明日二男崇史の結婚式が軽井沢の結婚式場「クリーク・ガーデン」で行われるので、軽井沢プリンスホテル・ウェストに2日間宿泊する。事前に妻の留袖の着付けのため式場へ寄ったが、とんでもない失敗をやってしまった。完全なドジである。新郎の父として準備した礼服を自宅に置いてきてしまった。新幹線で取りに戻るか、軽井沢駅前の貸し服屋でモーニングを借りることまで考えた。

 しかし、横浜から遅れてくる長男家族がひょっとして自宅に寄ってもらえば間に合うかもしれないと考え、電話で聞いてみると自宅を遥かに通り過ぎてしまったが、ちょうど都内渋滞地区を通り過ぎたところということに、ほっとしながら自宅へ寄ってもらい、忘れた礼服を持ってきてもらうことにした。ちょっと迂闊だった。今晩は息子家族に大いにサービスしなければなるまい。

 軽井沢は学生時代以来ほぼ半世紀ぶりである。2~3学年時の夏の間、その当時亡父が勤めていた明治乳業の夏の喫茶兼ミルクホールでボーイとして客扱いをやったことがある。結婚して間もなかった現在の天皇・皇后が車でテニスコートへ出かける時に店の前を通過したのを何度か見ている。懐かしいと言えば懐かしいが、軽井沢のイメージは似ているようでいて、現代風に賑やかになって昔のイメージとはちょっと似ていないようでもある。

 夕食は長男家族と二男新婚夫婦を交えて和やかにホテルで会食した。明日の結婚式はどういう形になるのか、私には見当もつかない。若い世代のスタイルは、われわれの時代とは違うように思う。細かいことをとやかく言う気なんてない。幸せな家庭を築いて欲しいというのが親としての率直な気持ちである。

 明治乳業も昨日の記者会見によれば、同社は明治製菓とともに明治ホールディングスの傘下で、両者の似ている業種を合体させて、食品関係を旧明治乳業で、新たな会社となった「明治」が取り扱い、薬品関係を旧明治製菓「明治ファーマ」が取り扱うことになり、新体制は来年4月に発足するという。父が存命なら何と思っただろうか、感慨無量である。父は明治製菓に入社して、その後明治乳業に転属したので、双方に強い思い込みもあるだろう。でも、案外このようなドラスチックな変革を知らなくて良かったのかも知れない。

2010年9月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1220.2010年9月15日(水) 菅首相のお手並みを拝見したい。

 昨日の民主党代表選の結果について、昨夜来メディアを通じていろいろな報道がなされている。挙党体制は出来るのか。脱小沢は可能か。政府・党人事はどうなるのか。予想以上の大差をつけて菅首相が小沢氏を圧倒しただけに、首相も今後の政局運営に自信を持って臨めるのではないかと思いがちだが、そうは問屋が卸さないようだ。目の前に参議院のねじれがあり、それ以上にこれだけ党内を2分して真っ向から闘ったので、感情的なしこりや遺恨がそのまま残されたのではないかとの懸念がある。

 そのうえ、投票結果にある党員・サポーター票のポイントというのが、獲得票にある数字をかけたポイントだと思っていた。ところが、アメリカ大統領選挙と同じように選挙区で1票でも多く相手票を上回れば、勝者は全ポイント獲得となり敗者は0ポイントになる。昨日の「菅:249=小沢:51」という獲得ポイントでも、実際の獲得数をそのままポイントに換算すると、菅の60%獲得から「菅:180=小沢:120」となる。

 この結果トータルでは、「菅:652=小沢:560」となり、公式発表の「菅:721=小沢:491」とは大分印象が異なる。国民感覚と国会議員の感覚が際立って差があったとも言えない点もある。いずれにせよ、3部門それぞれで小沢氏は敗れたわけであり、今後小沢氏が自身の処遇に関わらず、敗軍の将として語った「一兵卒としてがんばる」の言葉通り、日本の政治のため、また民主党のためにどれだけ尽力されるのか見守りたいと思う。

 さて、どうもスピード感に欠けていると見られていた財政当局も漸く腰を上げ、今日政府・日銀が円売り・ドル買いの市場介入に踏み切った。昨日1$=82円台まで円高が進んだが、きょうは一気に1$=85円台の円安にシフトした。これを好感して東京株式市場では日経平均株価が全面高となり、前日比217円高で、約1ヶ月ぶりに9,500円台を回復した。

 経済に暗いとされる菅首相であるが、積極果敢に政策を進めると言った手前、早速打った手が功を奏した。とりあえず一段落と言えるかも知れないが、経済そのものが回復したわけではない。これからも可及的に積極策を推進して欲しいものである。

 これが反イスラムの動きかどうか分らないが、フランスは女性がイスラム女性が愛用する「ブルカ」を公共の場で着用することを禁止する法案を可決した。ただ、個人の自由を尊重する立場から違憲の疑いもあり、憲法評議会が違憲判断を下した場合はその限りではない。しかし、来年春からフランス国内ではブルカを被った女性を見ることは出来なくなるかも知れない。

 確かに個人の自由とは言え、あまりにもフランスの文化とかけ離れている。いかに自由を尊重するフランス人とはいっても彼らにとって異様な衣装は受け付けられなかったのではないだろうか。同じようにブルカ問題に似たイスラム紛争は、今ヨーロッパ各地で起きている。スイスではイスラム建築のモスクの建設が問題になっている。ドイツでもトルコ人を排斥する動きがある。最近ではニューヨークのグラウンド・ゼロ近くにモスク建設計画が騒ぎの発端となり、コーラン焼却が問題視された。

 日本ではこういった民族問題はほとんど起こらない。それが、日本人を民族問題に鈍感にさせている。過去において部落民問題や、在日朝鮮人問題を中途半端なまま解決したと思ったことが、未だに日本人をこの種の問題をじっくり考えさせる習慣から遠ざけている。


2010年9月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

1219.2010年9月14日(火) 民主党代表選で菅首相が圧勝

 やっと雌雄を決する日がやってきた。民主党代表選における菅直人首相と小沢一郎前幹事長の一騎打ちである。2週間に亘ってマス・メディアは煽るだけ煽って、漸くこの日を迎えた。この間日中間に尖閣諸島領域へ中国漁船が侵入する事件が発生したり、円高・株安が進行したのに政府は成すに任せていた。

 両氏は国会議員の投票前に会場で最後の演説を行って、どちらに投票するか決めかねている議員に訴えた。この期に至ってどちらとも言えないスピーチ内容だったが、危ない橋を渡るような普天間基地移設問題には両氏ともに触れず仕舞いだった。

 結果は菅首相が小沢氏を圧倒した。国会議員票、地方議員票、党員・サポーター票を足して721ポイントを獲得して、小沢氏の491ポイントを230ポイントも上回る大きな差がついた。特に、党員・サポーター票では菅: 249=小沢: 51と、首相は圧倒的な大差をつけた。一般人の割合は6人の内5人までが首相を応援しているわけで、他方で国会議員の間では小沢グループが大きな力を持っていて、国会議員と一般国民の常識がいかに乖離しているかを示している。

 戦前の予想では、国会議員票では小沢氏が圧倒すると見られ、首相はサポーター票、地方議員票でどれだけカバーするかと思われていたが、国会議員票でも首相が上回ったのは意外だった。小沢氏の政治とカネの問題が尾を引いていたうえに、小沢氏の政治手法が地方議員にもそれほど受け入れられなかったようだ。さらに菅首相が就任してまだ3ヶ月しか経っておらず、総理大臣を短期間で簡単に替えることに対する国民の拒絶反応があったからである。

 今回の代表選は大いに盛り上がって、一部にはそれなりに評価する声がある。菅首相自身自分の考えを訴える機会を得られて良かったと自画自賛していたが、果たしてそうだろうか。代表選のために街や地方で訴えるなら、普段でも出来ることではないか。この選挙のために2週間も費やして選挙キャンペーンをやった時間的空白?は、ムダではなかったか。この間に尖閣列島問題はエスカレートして、円高問題にも見通しが立たない。

 民主党は懸案の挙党体制を築くことができるか。頭が固まったわけだから、そろそろキッチリ政治を前へ進めてもらわないと何のための代表選かということになる。

2010年9月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com