1228.2010年9月23日(木) 馬淵大臣は「観光」大臣としての資質に欠けるのではないか。

 お彼岸のお中日で、「暑さ寒さも彼岸まで」のことわざ通り、暑苦しかった気候が今日は10℃以上も下がって一転雨が降り冷気を感じるほどになった。沖縄へ新婚旅行中の二男夫婦から、沖縄の特産ガラスで製作した一対のコップを送ってくれた。

 さて、民主党政権は新経済成長戦略の重点政策のひとつとして「観光振興」を打ち出し、とりわけ中国人観光客の獲得へ強い意欲を示した。私自身その意を念頭に、先般脱稿した「そこが知りたい 観光・都市・環境」の中で中国人のインバウンド・ツーリズムに関してページを割いた。

 ところが、その旗振り役である新任の馬淵澄夫・国土交通省大臣が、昨日から奈良市内で開催されたAPEC観光相会談で渦中の尖閣諸島問題の影響であろうが、中国代表の祝善忠・国家観光局副局長とまったく接触しようとしない。両者はともに目を合わせることもなく、一言の言葉も交わさなかった。馬淵大臣は議長役を務めている、いわばホスト役である。ホストの役割はいうまでもなくゲスト全員がその場の雰囲気に馴染むよう心配りをするホスピタリティを求められる。集合記念写真の最前列中央で間に女性を挟んだ形ではあるが、すぐ近くにいながら口もきかないほどの仏頂面であり、副局長の表情にも戸惑いが感じられた。前日にも馬淵大臣は祝副局長の表敬挨拶を拒んでいる。

 馬淵大臣は、あまりにも頑ななで「人と人とのふれあいを通して相手の伝統・文化を知る」観光を促進させ、監督するトップとしてはあまりにも資質に欠けているのではないか。大臣としては完全なミスマッチであると思う。この人は他人の気持ちを理解することが出来ない人なのではないか。

 数年前耐震建築偽装問題がクローズアップされた際、当時野党の建築に詳しい馬淵大臣は、国会で鋭い質問を投げて、一躍時の人となった。「構想日本」のセミナーでも理路整然とロジカルに解説し説明して、中々の切れ者と思った。だが、相手の気持を斟酌する思いやりがない。これでは観光の真髄が分る筈がない。こういうミスキャストを冒すようでは、国家にとっても大きな損失となろう。日中関係がギクシャクしている時であるからこそ、観光部門は一層手を携えて協調するという気持がどうして出せないのか。

 案の定、昨夕の大臣主催の晩餐会には副局長は、急遽出席をキャンセルした。これでまた、修復が一層難しくなった。こじれた問題の本質と発火点は、間違いなく尖閣諸島の領土問題である。だが、昨日の儀礼を欠いた大臣の対応は、別の問題である。そんなことも分らず、政権の重大施策「観光振興」をまったく配慮しないやり方はあまりにも常軌を逸している。これでは、日本が目標にしているインバウンドツアーの底上げと中国人旅行市場の活性化はしばらく時間がかかるのではないだろうか。

 それにしてもお粗末な大臣である。採用されるかどうかは分らないが、午後朝日新聞「声」へ宛てて率直な心情を600字内にまとめ投稿した。

2010年9月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com