1227.2010年9月22日(水) 呆れた検察スキャンダル

 前代未聞の呆れたスキャンダルである。大阪地検特捜部の主任検事が押収した資料を改ざんした容疑で逮捕された。昨日の朝日新聞トップ記事で大きく取り上げられたと思ったら、電光石火の早業で昨日のうちに容疑者がスピード逮捕となった。それだけ検察サイドも事態を深刻に受け止め、国民の不信を一刻も早く払拭しようと考えたのであろう。

 容疑は、郵便割引制度を悪用したニセの証明書発行事件で、つい先日無罪判決を受けた厚労省の元局長・村木厚子氏の証拠書類として押収したフロッピー・ディスクのデータを、事件の主任である検事が改ざんしたというものである。本事件はまだ無罪が確定しておらず、検察も控訴を視野に入れていたが、流石に改ざんが絡む事件で世論の反発を慮ったか、直ちに上訴権を放棄した。これにより村木氏の無罪が確定した。

 この事件は昨日のメディアに大きな話題を提供し、法務大臣、官房長官を始め、元検事らから検察に対して厳しいコメントが発せられていた。さらに最高検察庁内部でもことの重大性に鑑み、夜9時過ぎに最高検の伊藤鉄男・次長検事が急遽記者会見を行い、「重大、深刻に受け止め、事実関係を徹底的に捜査し、早急かつ厳正に対処する」と語った。

 村木氏は個人的な行為と捉えずに検察という組織全体で検証してほしいと述べている。検察では改ざんの事実をまったく知らなかったのかと思っていたところ、今日になって新たな疑問が浮かび上がってきた。主任検事が改ざんした事実を同僚に話し、それを特捜部長に話して、大阪検察庁のトップである検事正に報告まで上がっていたという。これでは組織ぐるみで改ざんを隠蔽していたと見られても致し方ないのではないか。しかも、7ヶ月間に亘ってその事実に頬かむりだった。

 警察官の違法はしばしば起こるが、まさかエリート中のエリートである検事、しかも悪を糾弾すべき立場の人間がこういう粗相を仕出かしたこと、そして検察内組織が改ざんの事実を知りながら黙っていた不祥事について、徹底的にその原因を究明し検証して国民の前に事実を明らかにしてほしい。さもないと普通の人間は、何をよりどころに善悪の判断をしたら良いのか分らなくなってしまうのではないか。

 今日も暑い。今年71回目の真夏日となり、真夏日の回数としては過去最大である。明日は雨が予想され、冷え込むとあって暑かった今年の気候もようやく秋らしくなってくる。一方で大雪山黒岳では初雪があったが、昨年に比べて13日も遅いそうである。

 さて、駒沢大学マスコミ研究所の公開講座も夏休みだったが、先週から再開された。最初の講義は息子の結婚式で出席出来なかったので、今日が最初の授業である。清田義昭講師が「マスコミの敗北」というビデオを見せてくれ、その後に話し合った。優秀作品として受賞したドキュメントで、外務省機密漏えい事件に関する内容で、西山太吉氏の取材から裁判までを追ったものだ。すべての授業に出席出来るかどうか分らないが、清田講師のこの授業も私にはとても面白く、考えさせてくれる。

2010年9月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com