1226.2010年9月21日(火) 日に日に悪化する日中関係

 徐々にことが大きくなってきた。言うまでもなく、尖閣諸島への中国漁船侵入事件である。2国間でトラブルが起き紛糾した場合、普通ならなるべく火の粉が広がらぬように当事国は気を遣うものだが、最近の中国は経済力と軍事力を背景に、自分たちの言い分だけを一方的に主張して相手をへこませる強引な手法に出てくる。

 今度のケースでも、非は日本にありとして主張が通らぬなら、友好関係に水を差すことでも何でも押し付けてくる。なぜ外交問題として領土問題を取り扱おうとしないのか。むしろ領土問題から離れて「日本憎し」から反日デモ、日中友好ムード撲滅の動きに出る。あまりにも大人気なく、身勝手な論理には呆れるばかりである。30年ほど前に中国へよく出かけていたころ面識のあった中国の人たちとは性格的に大分異なるようだ。

 中国の若い世代は反日教育のせいで、頭の中に反日思想がこびりついているようだ。表面的にうまくいっている事柄でも、それが一旦こじれると抑えていた反日感情が表面化する。年配者の間では、日清戦争、日中戦争以来日本軍によって痛めつけられている筈にも拘わらず、それほど怒りを日本人にぶつけてくることがないのに反して、近年中国の若い人はすぐ日本に対して闘争的になる。

 その原因として、メディアでも伝えられているように中国国内の政治基盤の不安定さから来る、政府当局の国民への遠慮がちの配慮がある。騒ぎがあまりに大げさになって、国が抱えている諸問題の原点を国民に嗅ぎつけられ、国民の不満が政府批判に向かうのを恐れているからである。

 民主化が遅れている中国には3権分立はない。あくまで共産党による1党独裁政権である。現在日本で司法の手に委ねられている中国漁船長を政治的に釈放しろとの中国デモの言い分は、司法への干犯であり、まるで子どもの論理である。

 一昨日中国の王光亜・筆頭外務次官は丹羽宇一郎・日本大使に対して閣僚級の交流を停止すると伝え、併せて航空路線増便交渉の中止も公表した。一方、民間交流のひとつである「北京国際観光祭」で参加待機中だった日本の参加団体の出演が急遽中止となった。それに呼応して中国側の招待で今日訪中する予定だった1,000人規模の「日本青年上海万博訪問団」の受け入れ延期も伝えてきた。旅費、宿泊費を中国側が負担するものではあるが、それにしても2日前になって特別の理由を伝えられることもなく、一方的に延期というのは、あまりにも礼儀に反している。ここまで民間外交を軽視しているのかと思うとがっくりである。いずれの民間団体の計画中止についても、中国側は「現在の雰囲気で友好交流事業はふさわしくない」だの、「安全を保証出来ない」だの、種をまいて不安を煽ったのは中国側であるにも関わらず、一方的に相手に責任を被せるやり方である。

 ここまで両国間の関係が悪化すると、日本の観光庁が期待している中国人訪日観光客の今年の飛躍的な増加は難しいかも知れない。

 中国政府の「聞く耳持たぬ」の威圧的な態度を見ていると、力で日本を屈服させようとの姿勢がはっきり見て取れる。今や行け行けドンドンの登り龍には、「退く」とか、「妥協」という言葉は目に入らない。

 だとすれば、日中間の外交をこのまま黙って見ているわけには行かないのではないか。今は中国の出方をもう少し見極めようとしているのだろうが、そろそろ日本政府にも、解決への糸口を考える動きがあってもよい。このまま悪化した状態を放置しておくのは、両国の将来にとって決してプラスにはならない。

2010年9月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com