768.2009年6月20日(土) ペトロ岐部の殉教

 日本キリスト教団中目黒教会で伝道集会が開かれ、「ローマまで歩いた日本人、ペトロ岐部の殉教」のお話があると小中陽太郎さんから案内をいただいていた。中目黒教会へは以前1度訪れたことがあるが、今日の催しは中々興味深い趣向だった。キリスト教については、それほど詳しく分からないが、出席者の質問の中には、プロテスタント教会でカトリックの人たちを主題に催しを行うことは稀で、その意欲的な試みを評価する声があった。

 実はペトロ岐部という人物がどういう人で、歴史上どういう役割を果たしたのかよく分からなかった。話をされたのは、川村信三・上智大学准教授だったが、ローマで学んだので流石に詳しい。

 ペトロ岐部は天正少年遣欧使節団より20年ほど遅れて、キリシタン禁教令の下で外国人神父や仲間とともに追われるように長崎を発って行った。些か恥ずかしかったが、ペトロ岐部は少年遣欧使節のひとりだと思っていた。船と自分の足で目指すローマへ向かい、お仕置きを覚悟で日本へ帰り、殉教した。川村講師の話によると井上筑後守が処刑の決断を下した際に、ペトロ岐部の強い信仰心と揺るがぬ決意に感動したようである。その辿ったルートを見るとホルムズ海峡から砂漠の中をペルシア、イラク、シリアを経由してエルサレムへ到着した。その後ベネツィアから、ローマへ入り、マドリード、リスボンを経て海路東南アジアを経由して帰国した。

 1614年に発って16年後の1630年に日本へ戻ったというから、この時代では宇宙的な大旅行だったことが分かる。今日の出席者からペトロ岐部が処刑されたのは、江戸・札の辻だという説明があった。新知識ばかりだ。出席された人たちはそのあたりの薀蓄にかけては詳しく、質問でも話の内容でもとても私にはついていけるものでなかった。

 進行は小中さんのリードで進められたが、奥さまともども熱心なクリスチャンである小中さんは、素敵なコーディネーター役をこなしておられた。賛美歌から取った「勝利をのぞみ」という歌詞が、懐かしい‘We shall overcome’であるとは知らなかった。かつてはベトナム反戦デモの際よく英語歌詞で歌ったものである。浅はかな知識から、この歌はフォーク歌手ジョーン・バエズが作ったものだとばかり思っていた。終ってから階下で手に入れた90頁ほどの小冊子‘PETRO KIBE’「ローマまで歩いた男」はざっと目を通しただけだが、コンパクトによくまとまっている。ペトロ岐部について新たな一面を知ることが出来たように思う。

 目黒区議の須藤甚一郎さんも来ておられた。教会を出て歩道で須藤さんがご存知のタレント・久本雅美さんにばったり逢った。以前の仕事の関係で須藤さんもお顔が広い。そのまま自由が丘へ出て、小中さんご夫妻のおごりで、須藤さん、それに最近ソマリア沖の海賊対策でジブッティへ行かれた防衛省深山秘書課長とともに食事をした。

2009年6月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

767.2009 年6月19日(金) ブラウン英首相がビルマ軍政を非難

 イギリスのブラウン首相が、今日ビルマのアウン・サン・スー・チーさん64歳の誕生日に際して、ビルマ軍政に対する極めて強い調子の寄稿文を朝日新聞に寄せた。スー・チーさんはもう13年も軍の厳しい監視下に置かれて外出も思うように出来ない。ブラウン首相は国際社会がビルマの悲劇を忘却の彼方へ追いやってしまうことを恐れるかのように、世界中の人々に軍政に対して強い行動を起こすよう呼びかけている。元々イギリスの植民地であったという負い目があるのかも知れないが、日本をはじめ近隣諸国があまりビルマに対して、本来の支援活動を起こさないことに対する苛立ちが発散されたようだ。イギリス政府はビルマ軍政の正統性を認めておらず、ビルマが軍政になってから国名をミャンマーと変更したが、イギリスは受け入れず、依然としてビルマと呼んでいる。一時的にビルマが話題になることはあるが、国際社会からはすっかり忘れられた存在になっている。

 ところで、国連制裁を受けている北朝鮮の貨物船が出国して中国沿岸部に沿って南下している。アメリカ政府は積荷の検査を、入港した国へ要求すると上空から監視しながら尾行を続けている。その入港先がビルマらしい。一両日内に判明するだろうが、ビルマは北朝鮮の貨物船を受け入れ、その場合アメリカの要求通り積荷の検査に応じるのだろうか。両国ともによくよく物議を醸す国である。

 今日は1日中忙しく、池袋から新宿、そして駒澤大学と移動ばかりしていた。池袋では、外人向インバウンドツアーの紹介と立会いで、以前に会ったことのある王一仁さんに話を聞いた。中国を中心にアジアからの旅行客に小田急の施設を利用してもらおうとの試みである。‘VISIT JAPAN’を標榜する観光立国政策の影響もあり、年々訪日客が増えているが、国内の受け入れ施設が整備されないようでは話にならない。その最たるものがガイド不足である。王さんの話によると、ガイド資格試験の合格率が低くて絶対数が不足しがちであるという。それでいて、日本にはガイド数を増やそうとの気持ちが感じられないという。それは、中国人が中国語ガイドの資格試験で、歴史、地理、文化等は合格点に達していながら、本家本元の中国語で落とされるという椿事があるという。韓国語でも、韓国人が語学で落ちるというミステリーにどうしたら良いのか分からないと率直に話してくれた。まあこんな愚かなことをやっている国土交通省の役人は、本丸がどこか分からず、政策立案だけやっている感じである。これで観光立国とは少々お粗末ではないか。日本のお役所仕事というのは、いつもこうだ。

2009年6月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

766.2009年6月18日(木) 広告会社が戦争を仕掛ける?

 1年ぶりに多摩大学でジャーナリスト・江川招子氏の講義を聞いた。昨年の講義が面白かったので、期待していたが、正直に言って内容的には昨年ほどの面白さはなかった。しかし、中々説得力のある魅力的な話しぶりで、近年メディアが抱える問題、取材の現場の苦労話を聞かせてくれた。また、想定外な話も聞いて興味は尽きなかった。題して「新聞の読み方・テレビの見方」である。

 今日の講義で江川講師はいくつかの問題点を提起されたが、大きな問題としてマス・メディア業界全体に、不況の影響による広告量の減少、それが新聞の頁数の減少となり、記事より写真が増える傾向にあると指摘された。

 実際今朝の朝日などはかつては考えられなかったような2流、3流の広告が載っていた。メディア内部の問題としては、①「週刊新潮」の誤報、というより意図的とも思える朝日新聞神戸支局員殺害事件のニセ犯人問題、②奈良県少年放火殺人事件、を例証された。現在事件の情報源が罪に問われるケースが深刻になっている。同時に、「SLAPE」と呼ばれる公的発言を封じる行為が問題視されている。例えば、真実を究明した結果、逆に裁判に訴えられた場合、対抗上弁護士に相談せざるを得ない。時間のやりくりも大変だが、それ以上に高い弁護士費用を払えないケースが出てくる。講師自身もオウム真理教から坂本弁護士殺害事件に関連して、訴えられた体験を話された。それが行き過ぎるとジャーナリストもつい無難な記事を書く傾向に陥る。こういう流れをどう食い止めるか。

 また、広告掲出企業を悪く書かない傾向も見えてくる。最近では一部にかなり批判されたトヨタの奥田氏とキャノンの御手洗氏のメディアに対する嫌がらせ発言の例がある。

 怖いのは、広告会社が広告を作る際、広告会社のイメージで作る場合であると非難していた。外国では、湾岸戦争やユーゴスラビア解体直前の恣意的なCMが戦争を引き起こす結果になったと、「戦争広告代理店」とまで呼んで糾弾しておられた。現在の傾向としては、「見るものが欲しがるものを出す」ということと、「何事も短く」というのが時代の風潮であり、キーワードのようである。

 考えてみるとこういう風潮が進むと、マス・メディアは徐々に内部崩壊していくのではないか。広告会社が戦争を仕掛けるとはまったくもって考えたことがなかった。

2009年6月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

765.2009年6月17日(水) イランの民主化?

 イランが荒れている。先日行われた大統領選挙が、予想を超える現職の圧勝という結果に終ったことが原因である。現職のアフマディネジャド大統領が圧勝したが、対立候補のムサビ元首相支持者が現大統領圧勝の陰で選挙結果における不正があったと異議を唱え出したからである。1979年イスラム革命以後イラン国内でこのような大規模なデモが行われたことはなかった。反米一辺倒の保守派・アフマディネジャド大統領の磐石な体制も案外揺さぶられている。当初現職が圧倒的な勝利を収めるかに見えたが、選挙戦中盤から革新派のムサビが追い込んで投票日直前には僅差の勝負になるとみられていた。しかし、結果は現職の圧勝だった。これが騒ぎの原因だったから分らないものである。最近のイランの動きを見ていても、是非は別にしてもやはりアフマディネジャド氏が強いのではないかとは思っていた。

 一般にイスラム国家というのは、政治的には非民主的である。イランはイスラム体制だが、中東では珍しく民主主義制度の残る国である。その少ないイスラム民主主義国家の中で、イランは堂々総選挙で国民に信を問うている。しかし、それはまだ見せかけだけで民主化は体制組織の中ではごく一部で、国家の権力構造は宗教指導者の権限が相変わらず強い。その証拠に最高指導者は大統領ではなく、聖職者・ハメネイ師と言われている。この国が大統領の一方的な独裁色を打ち出すのは、革命防衛隊という組織が力を握ったからで、政府幹部もほとんどこの革命防衛隊の出身者である。ハメネイ師自身体制維持のために防衛革命隊に頼るという、奇妙な相関関係があるからだろう。だが、民主化へ進む一歩として、この何やら秘密めいた革命防衛隊なるものの存在を明らかにする必要があるのではないか。

 今回のデモが多少民主化への目を開かせてくれたかと思いきや、イラン政府は許可のない海外マス・メディアの取材を一方的に禁止するありさまである。枠を広げて大勢の外国人ジャーナリストに臨時ビザを発行して、自国の民主化をPRするつもりだったが、暗に反してそうは行かなくなってしまった。

 私自身2度に亘ってイラン国内を歩き回り、このイスラム国への思い込みが強いだけに、今の強硬姿勢にはどうしても違和感と反発を覚える。もっと素直に国民の声を反映させることは出来ないものか。このままでは国際社会から益々嫌われてしまうのではないか。

2009年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

764.2009年6月16日(火) 生命保険の契約変更

 高校ラグビー部の後輩、鈴木敦雄くんに生命保険をお世話になっている。7年前まとまった金額を一括払いして、死亡の場合にいただける保険金はその倍額になる契約を結んだ。しかし、最近になってその保険料がそのまま塩漬けになって、このまま使えなくなっては自分の金でありながら自分の金ではないような気がしてどうするのがベストかしみじみ考えるようになった。一旦現在の契約を解約して、毎月定額保険料を支払う契約を交わした方がよいのではないかとも考え、今日後輩に会って相談したところ良いアイディアを提示してくれた。年齢的に解約は不利で、生保会社から保険料総額の9割以内で借金して利息を定額保険料として支払うのがベターではないかとアドバイスしてくれた。しかも金利は年利3%ということなので、あまり負担にならない。金利は最終的に遺族が保険金を受領する際に相殺されるということだった。流石はプロの的確なサジェスチョンである。これなら極めて好都合であり、早速信頼出来るアドバイスに従うことにした。まあ生命保険なんかであまり頭を使いたくない。これからずっとこのまま行きたい。

 朝刊紙で「週刊女性」誌の広告を見てびっくりした。タイトルは「王貞治『老老介護苦汁の現実』」となっていた。失礼ながら王さんの母上はすでに亡くなられたのではないかと思っていた。1901年9月のご誕生だから、現在107歳のはずである。長い間王家の皆さまと交流があったので、母上のことはある程度承知していた。ご家族がおそろいのころは、毎年正月に箱根旅行をお世話していた。王一族打ち揃ってハワイ旅行をされた時などは、母上は帰国日が運勢上良くないと仰ってそのまま自宅には帰らず、成田にお1人で1泊されたこともあった。8年前の百賀のお祝いのパーティも王貞治前監督の兄上で医師の王鐵城先生から依頼されて新宿センチュリー・ハイアットで設営したこともある。

 3年前に王先生にお会いした時、母上は大分弱っているので信頼出来る施設にお世話になっていると仰っていた。昨年暮れにその王先生が亡くなられた時、葬儀の場に母上の姿はなく、お名前も掲示されていなかったので、やはりもう鬼籍に入られたと早合点していた。それが何と今朝の週刊誌の広告である。

 早速週刊誌を買って読むと、特別な内容ではなく、先年恭子夫人を亡くされた王貞治氏が、ひとりで、或いは娘さんと時折母上をお見舞いしているという週刊誌のトップ記事として大騒ぎするほどのものではない。

 今や実兄の王鐵城先生も亡くなられ、夫人にも先立たれ、大きなお世話かも知れないが、野球人としては最高位を極めた王貞治氏にとって、家庭的にはあまり恵まれているようには見えない。王先生夫妻と私たち夫婦で一緒にヨーロッパ旅行をして、王家の方々とは随分親しくご厚誼をいただいただけに、とてもお気の毒で少々寂しい気もする。人柄の素晴らしい王貞治氏は私より2歳若いが、いつまでも元気でいて欲しいと願うばかりである。

2009年6月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

763.2009年6月15日(月) 現職高級官僚逮捕と31歳の新市長

 昨日世間をあっと言わせる出来事が2つあった。ひとつは、障害者郵便物特別割引料金を悪用したとして現職高級官僚が逮捕されたことであり、もうひとつは公共工事にからむ収賄事件で逮捕された千葉市長の後任選出選挙で、全国最年少市長として、民主党推薦の31歳の前市議が大差をつけて自民党推薦候補者を破り当選したことである。

 前者は、「凛の会」という実態のない障害者団体に、女性の厚生労働省局長が自分の権限で証明書を不正発行したり、郵便局へ電話して特別扱いを要求した悪質な行為である。そもそも障害者だけにしか認められていない制度を悪用して、大型電器店のDMに利用させて億単位の金を支払わずに済ませたという。この事件は2つの点で問題を曝け出した。

 第1点はまだ解明されていないが、政治家が官僚に頼んだルートに沿って、電器店から相当なキックバックが障害者団体を通して政治家へ流れ、仲介した官僚には政治家から何がしかの色よい報酬があったのではないか。

 第2点は、郵便料金の決定に根本的な誤りと不適切さがあるということを露呈したことである。普通は製品が安値で販売され原価割れになれば、赤字になって生産を停止するのが常識である。ところがこれだけ多額の料金を騙されても、赤字が表面化したわけではなく、はっきり言って誰も実損を蒙ってはいないと思う。末端で怪しいと疑念を持たれて調べた結果今回の不祥事が明るみに出た。このことは、料金設定がもともと根拠のない相場と雑な料金計算によって決められていたのではないかと思う。結論から言えば、郵便料金が高いものだということを証明したのではないか。

 後者の千葉市長選挙について言えば、びっくりしたというのが本音である。31歳の熊谷俊人・新市長の誕生にはそれなりの理由があったのだろう。それにしても新市長は若い。議員経験としても2年前に市議に当選したばかりで、それまではIT企業に勤めていたサラリーマンだった。地方の小さな都市ならともかく、千葉市と言えば人口50万人以上の政令指定都市である。全国800近い市のうち、僅か18都市しかない。実力は未知数であり、期待もある反面、不安もある。自転車で走り回りながら政策を有権者に訴えたという。自民党の人気が降り気味である幸運もあった。しかし、新市長の真剣な熱意が有権者に届いたのだろう。現職副市長で自民党の支援を受けた対抗馬に圧勝した。若くて未知数ではあるが、可能性と清潔さに賭けた千葉市民の期待を裏切らないで欲しいものだ。時代が刻一刻と変わっているということだろう。

2009年6月15日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

762.2009年6月14日(日) お粗末なバス会社と役所

 ガバナンス欠如というべきか、非常識というべきか、京都市内で営業する路線バス会社が、同業他社が登録した商標「通称」を使用していたというお粗末の一席が判った。この非常識なバス会社は、会社登記上は大阪府寝屋川市にあるが、京都市内で3路線のバスを運行している。従来観光貸切バス中心であったが、イメージ一新を狙って、今年4月から社名を「セレモニー観光」から「京急バス」に変えた。ところが、一新どころかイメージダウンになってしまった。この「京急」という名前が「京浜急行電鉄」の略称であることぐらい関東の人間なら誰でも知っている。しかも京浜急行では、この「京急」を商標登録までしている。京浜急行から抗議を受けた「京急バス」では、改めて新社名「京都急行バス」への変更を考えているという。すでに「京急バス」の名前を告知して車体に新社名まで書き市内を走って、相当の経費をかけている。だが、抗議を受けるやあっさり社名を再変更するとは、このバス会社経営陣の常識と金銭感覚を疑いたくなる。

 この「京急バス」のトンマな社長は、「営業地域が違うので大丈夫と思っていた」と認識していたようだが、こんな大事なことをこの程度の軽い判断しか出来ないとは企業のトップとしては何とも情けなく、経営者として失格である。

 しかし、よく考えてみると日本の組織では、1人ひとりが方針や決断が正しいのか正しくないのかをよくチェックしないで走り出すケースが多い。この社名変更のケースでも、仮にトップが危うい決断をしたにせよ、周囲の役員、担当者が問題のありそうな会社名だということに何の疑問も抱かなかったのだろうか。

 加えて、情けないのは申請を受け付けた役所である。社名変更の申請があった際に、専門部署の担当者としてこれに似た名前がありそうなことくらいぴんと来そうなものだ。申請通りに認めたというのは、受け付けた役所の係員も頭が空っぽで何も考えていないということである。こんな具合で頭を使わない役所に国の事業を任せてよいものかどうか。近々消費税も大きく値上げされようとする時期だけに、間抜けなバス会社と頭が空っぽな役人の劣化した行為をストップさせる手段はないものか。

 これひとつ取って考えても、みんな頭がどうかしている。日本人は年々内部崩壊してきているのではないかと考えるとぞっとする。

2009年6月14日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

761.2009年6月13日(土) 北朝鮮に対して国連制裁決議採択

 5月25日に地下核実験を行った北朝鮮に対する国連制裁決議がやっと全会一致で採択された。予想以上に時間がかかったのは、例によって常任理事国の中国が態度をはっきりさせなかったからである。いつも中国と歩調を合わせて反対するロシアが今度ばかりは、実験直後に制裁に同調した。それでも中国は検討に次ぐ検討を重ねて時間稼ぎの末に、漸く若干後退した共同提案を受け入れた。中国の思惑は明らかである。いつまでも北朝鮮へ影響力を残しておきたいからである。これも最近の中国の定番パフォーマンスのひとつである。これから国際社会が、中国に振り回される予兆である。

 制裁の内容は、屋上屋を重ねてきて今更即効性はあまり期待出来ない。骨子は06年の制裁決議に違反していると非難したうえで、今後核実験や弾道ミサイル発射を行わないよう要求し、6者協議への即時無条件復帰を呼びかけている。追加的な制裁措置として、公海上の船舶の貨物検査や金融制裁もある。今日午後5時北朝鮮テレビがいつも通りベテランらしい女子アナが憤慨した口調で、今後ウランの開発を行うと公表した。

 それにしても問題が起きる度に、こういう国家運営の仕方があるのかと北朝鮮の対応が不思議でならない。相手の好意や道理、常識を逆手に取って居直って恫喝する。まるで悪辣なヤクザ的手法である。いつかこの国が崩壊した時に、全国民が世界中に対して恥ずかしさを感じるのだろう。もちろんその時は金正日・総書記はこの世にいないだろうが・・・。

 先月25日に行った武者陵司氏との取材記の提出期限に当り、大体書き上げていた原稿を推敲して、秋田事務局長宛送信した。武者氏へのインタビューで感じたのは、氏の歴史認識が極めて深いということだった。横浜国大経済学部を出て大和証券に入社した経歴からすると、近代経済学を学んだと思っていたが、大塚経済学を専攻したというので、社会主義的な書も読んだと言っておられた。そのせいでかなり歴史観をはっきり表現された。面白いと思ったのは、現代の余剰資金をエジプトのピラミッド建設を参考に、現代のピラミッド建設に投資して昔の雇用の創出のような投資を行うべきで、それは地球環境の再生のための投資だと言っておられたことである。今日活躍しておられる証券アナリストの中でも多少楽観的な見方をされる方であるが、信念がはっきりしていて説得力があり、随分目から鱗が落ちる話を聞かせてもらった。印象に残る取材だった。

2009年6月13日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

760.2009年6月12日(金) 鳩山総務大臣ついに辞任

 鳩山邦夫・総務大臣が辞任した、というより更迭された。日本郵政の社長人事がもめたことで、世間に混乱したという印象を与えたことが麻生首相の最終決断「更迭」となった。それぞれの言い分は分かるが、私見としてはこれで良いのではないかと思う。

 しかし、一寸先は闇の政治の世界であるので、このままでことは済まないのではないかとも考えている。佐藤勉・国家公安委員長が後任を務めるようだが、多分新総務大臣が西川社長の首を切るのではないか。というのは、西川社長にまったく失態がなかったわけではない。鳩山氏が再三追求しているように、カンポ宿の一括売却問題、東京中央郵便局立替問題、第三種特別郵便料金詐称問題など会社の最高責任者がまったく責任をとらずに、監督者の大臣だけが辞めるというように一方の当事者だけを手討ちにする裁きは、必ずしも公平というわけでないからである。

 それにしてもここへきて自民党内に鳩山氏への非難が集中したのは、だらだらした泥仕合の印象が余りにも手際が悪いとの印象を与えてしまったからだろう。印象を悪くした中でその最たるものは、鳩山氏の傲慢な話しぶりだと思う。今日のインタビューでも相変わらず取材記者を怒鳴るような恫喝ぶりだった。これでは何をやっても人は遠ざかると思う。その意味で鳩山氏は虚心に反省すべきである。さあ、次は西川氏の社長続投問題がどう動くかだ。

 昨日WHOが新型インフルエンザの警戒レベルを世界的な大流行を意味する「フェーズ6」の最高度に引き上げたが、一旦国内では沈静化していた空気を再び拡大させることは間違いない。特に、南半球ではオーストラリア、チリを始めとして感染が爆発的に広がっているらしい。10日現在で世界の感染者は75カ国で、27,000人を超えている。日本でも565人を数えている。当分この騒ぎが沈静化するメドは立たない。

 駒沢大学公開講座で「押し紙」という言葉を知った。新聞社が販売できない新聞を販売店に押し付け、それを回収処分する余った新聞である。「週刊新潮」のルポで公になった。驚くのは、余りにも多い発行部数と余分な「押し紙」数である。新聞社が加盟する社団法人日本ABC協会が公表する読売、朝日、毎日、産経4社の合計発行部数の約4割、810万部が「押し紙」だそうである。あまりのムダに唖然とする。新聞社、広告会社らいずれも厳しい経営を求められている最中に、この杜撰な公表数字は、企業からの広告辞退も増加するのではないかと懸念される。しかし、これが事実であるとするなら、やり方があまりにも無茶で無分別である。新聞社側は事実無根と猛烈な抗議をしているが、果たしてそう言って大丈夫だろうか。現在発売中の「週刊新潮」には、「押し紙」を運び出すグラビア写真まで露骨に掲載されている。今後新聞社側はどう反撃に出るか?

2009年6月12日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

759.2009 年6月11日(木) 温室効果ガス排出量目標数値決まる。

 昨日政府は日本の温室効果ガス排出量の中期目標を発表した。2020年までに、対2005年比で15%減の削減目標である。出来るかなぁというのが率直な感想だ。普通この数値目標を聞けば、大変厳しいと思う。その数値の算出方も中々手が込んでいて、京都議定書が調印された1990年を目標にしたり、国によってはオーストラリアのように2000年を基準にしたり、カナダのように2006年を目標にした国もある。

 どうしてこんな足並みの揃わない比較をするのか。目標値が自国にとって負担が少なく、かつ他国に対してアッピール出来るパフォーマンスだからだ。日本は経団連を説得して政治的な数字を出したつもりだったが、それでも発展途上国からの評価はイマイチである。だが、この数値が国際的にすぐ認められるというわけではない。12月に開催される「国連気候変動枠組み条約締約国会議」という長たらしい名前の会議に向けた日本政府の基本的目標数値となる。この後については、国際交渉で決まる。

 経済発展にブレーキをかける目標値であり、今後一層削減が求められるテーマであるだけに普く国民的視野から精査され検討されることが必要だと思う。

 今日一時的にせよ、東京株式市場の日経平均株価が8ヶ月ぶりに1万円台を回復した。その一方で、1~3月期のGDPが前期比で3.8%減である。年率に改定した数値だと14.2%減で戦後最悪だそうである。未だに経済は上向いて来ない。

 昨日パキスタンのペシャワールのホテルへトラックが突入した自爆テロにより、国連職員2名を含む死者18名が発生したが、狙われたホテル、パール・コンチネンタル・ホテルは9年前に宿泊したホテルだ。この辺りも9.11テロ以来ぐっと治安が悪くなった。もう一度行こうと思っても多分もう訪れることは出来ないだろう。

 多少下火になっているかと思った新型インフルエンザは、その後も感染者が増えてWHOでは今夜従来の「フェーズ5」から最高度の「フェーズ6」へ引き上げて警戒を呼びかけることになった。オーストラリアの感染者が増えたことで、これから冬の流行シーズンに入る同国への警戒を目論んだ節もある。いつまで待てば、心配が消えるのだろうか。

2009年6月11日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com