ガバナンス欠如というべきか、非常識というべきか、京都市内で営業する路線バス会社が、同業他社が登録した商標「通称」を使用していたというお粗末の一席が判った。この非常識なバス会社は、会社登記上は大阪府寝屋川市にあるが、京都市内で3路線のバスを運行している。従来観光貸切バス中心であったが、イメージ一新を狙って、今年4月から社名を「セレモニー観光」から「京急バス」に変えた。ところが、一新どころかイメージダウンになってしまった。この「京急」という名前が「京浜急行電鉄」の略称であることぐらい関東の人間なら誰でも知っている。しかも京浜急行では、この「京急」を商標登録までしている。京浜急行から抗議を受けた「京急バス」では、改めて新社名「京都急行バス」への変更を考えているという。すでに「京急バス」の名前を告知して車体に新社名まで書き市内を走って、相当の経費をかけている。だが、抗議を受けるやあっさり社名を再変更するとは、このバス会社経営陣の常識と金銭感覚を疑いたくなる。
この「京急バス」のトンマな社長は、「営業地域が違うので大丈夫と思っていた」と認識していたようだが、こんな大事なことをこの程度の軽い判断しか出来ないとは企業のトップとしては何とも情けなく、経営者として失格である。
しかし、よく考えてみると日本の組織では、1人ひとりが方針や決断が正しいのか正しくないのかをよくチェックしないで走り出すケースが多い。この社名変更のケースでも、仮にトップが危うい決断をしたにせよ、周囲の役員、担当者が問題のありそうな会社名だということに何の疑問も抱かなかったのだろうか。
加えて、情けないのは申請を受け付けた役所である。社名変更の申請があった際に、専門部署の担当者としてこれに似た名前がありそうなことくらいぴんと来そうなものだ。申請通りに認めたというのは、受け付けた役所の係員も頭が空っぽで何も考えていないということである。こんな具合で頭を使わない役所に国の事業を任せてよいものかどうか。近々消費税も大きく値上げされようとする時期だけに、間抜けなバス会社と頭が空っぽな役人の劣化した行為をストップさせる手段はないものか。
これひとつ取って考えても、みんな頭がどうかしている。日本人は年々内部崩壊してきているのではないかと考えるとぞっとする。