765.2009年6月17日(水) イランの民主化?

 イランが荒れている。先日行われた大統領選挙が、予想を超える現職の圧勝という結果に終ったことが原因である。現職のアフマディネジャド大統領が圧勝したが、対立候補のムサビ元首相支持者が現大統領圧勝の陰で選挙結果における不正があったと異議を唱え出したからである。1979年イスラム革命以後イラン国内でこのような大規模なデモが行われたことはなかった。反米一辺倒の保守派・アフマディネジャド大統領の磐石な体制も案外揺さぶられている。当初現職が圧倒的な勝利を収めるかに見えたが、選挙戦中盤から革新派のムサビが追い込んで投票日直前には僅差の勝負になるとみられていた。しかし、結果は現職の圧勝だった。これが騒ぎの原因だったから分らないものである。最近のイランの動きを見ていても、是非は別にしてもやはりアフマディネジャド氏が強いのではないかとは思っていた。

 一般にイスラム国家というのは、政治的には非民主的である。イランはイスラム体制だが、中東では珍しく民主主義制度の残る国である。その少ないイスラム民主主義国家の中で、イランは堂々総選挙で国民に信を問うている。しかし、それはまだ見せかけだけで民主化は体制組織の中ではごく一部で、国家の権力構造は宗教指導者の権限が相変わらず強い。その証拠に最高指導者は大統領ではなく、聖職者・ハメネイ師と言われている。この国が大統領の一方的な独裁色を打ち出すのは、革命防衛隊という組織が力を握ったからで、政府幹部もほとんどこの革命防衛隊の出身者である。ハメネイ師自身体制維持のために防衛革命隊に頼るという、奇妙な相関関係があるからだろう。だが、民主化へ進む一歩として、この何やら秘密めいた革命防衛隊なるものの存在を明らかにする必要があるのではないか。

 今回のデモが多少民主化への目を開かせてくれたかと思いきや、イラン政府は許可のない海外マス・メディアの取材を一方的に禁止するありさまである。枠を広げて大勢の外国人ジャーナリストに臨時ビザを発行して、自国の民主化をPRするつもりだったが、暗に反してそうは行かなくなってしまった。

 私自身2度に亘ってイラン国内を歩き回り、このイスラム国への思い込みが強いだけに、今の強硬姿勢にはどうしても違和感と反発を覚える。もっと素直に国民の声を反映させることは出来ないものか。このままでは国際社会から益々嫌われてしまうのではないか。

2009年6月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com