712.2009 年4月25日(土) なぜ北朝鮮は強気でいられるのか。

 かなり前から政治的に中国が北朝鮮の立場を擁護する行動が目立ち、中国がどうしてここまで北朝鮮に肩入れしているのか、或いは遠慮するのか不可解に思うことが度々あった。北朝鮮の国際社会における瀬戸際外交には、各国が散々悩まされ迷惑を蒙っている。実は今朝の朝日新聞によれば、中国にもその北朝鮮に手出し出来ない事情があるようだ。中朝国境の中国・吉林省延吉市では、北朝鮮との間にかなりもめごとがあるようだ。中国人が北朝鮮から脅されるというトラブルは日常茶飯事のようである。一番酷いのは、物資輸送に使われた中国の鉄道貨車やトラックが、北朝鮮に行ったきり帰ってこない。その数は昨年だけで何と貨車2~3千両が未返却のまま、北朝鮮で利用されている。北朝鮮を怒らせると何をされるか分からないから抗議も出来ないと中国はまるで腫れ物に触るような対応である。中国が北朝鮮にこれほど気を遣うのは、北朝鮮の不安定化を恐れているからだと指摘している。体制が崩壊して大量の難民が流入すれば中国に悪影響を与えかねないし、仮に親米政権でも生まれたら国境を接している中国にとって脅威になりかねない。中国政府筋は高いコストがかかっても朝鮮半島の現状を維持するのが中国の国益に叶っていると言っている。こうして北朝鮮は中国の足元を見ているのだ。結局手玉に取られているのは、中国なのである。これではまったく展望が開けない。

 今日息子家族がやってきた。3月22日に息子が走った東京マラソンの記録証がやっと大会事務局から送られてきたと見せてくれた。この記録証を見ていて面白いことに気がついた。完走者22,789人中5,297位、記録は3時間58分14秒で目標の4時間を切った嬉しい走行だった。ところが、ネットタイムが参考として書いてある。3時間54分18秒とある。約4分の差が不思議だったので、息子に聞いてみるとスタートの号砲が鳴ってから実際に走り出すまでの時間だそうである。スタート地点から走り出すまでに4分ものロスタイムがあったことになる。5kmごとのスプリットタイムも書かれている。2万人を超えるランナーの記録をここまで詳細にキャッチできるのはどうしてだろうと思い、また息子に聞くとシューズの中に入れられたチップがチェックポイントを通過する毎に感知して大会本部が数値を把握するらしい。たかがマラソンと思っていたが、IT技術の進歩ですごいものに替わってきている。

2009年4月25日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

711.2009年4月24日(金) フランス語の先生は森鴎外の孫だった。

 大学で必修科目の第2外国語にドイツ語ではなくフランス語を履修した。経済学部の学生としては、ドイツ語の方が一般的だと思う。それにも拘らず、入学前から敢えてフランス語を専攻しようと考えていたのは、将来世界各地を旅行する場合にドイツ語よりフランス語の方が広く通用し実利的だと感じたことと、フランス語がラテン系言語なので他のラテン語圏でも簡単な言葉なら意味が分かりそうだとの単純な考えだった。しかし、実際に旅行を生業とするようになり、フランス語を履修したおかげで随分助かったことがありフランス語を専攻して良かったと本心から思っているくらいである。

 実は、今日の日経夕刊紙に「鴎外自筆書簡に孫の命名由来」との記事が掲載されている。その孫こそ誰あろう、教養課程でフランス語を習った山田爵先生だった。優しい感じでユーモアに溢れた先生だった。当時成城学園に住んでおられた山田先生が、ある時小田急線が事故を起こし不通になったので、われわれ学生は当然授業は休講だろうと思っていたら時間前に教室に来られて「休講と思ったでしょう。残念でした」と愉快そうに仰った。事故を知って早めに他の交通手段で日吉キャンパスへやって来られたのだそうである。愉快な先生でいつも微笑みを絶やさなかった。ご自分から鴎外の孫であるとは一度も仰らなかったが、噂は広がり、誰もがそう思っていたところ、もう1人のフランス語の木内先生が「秘密」を明かしてくれた。間違いなく文豪森鴎外の孫だったのである。鴎外の子孫には、外国語の名前をつけた人が多い。漢字の当て字を使用するが、外国人にありそうな名前を日本語にこじつける(?)のである。この山田先生の爵も難しい漢字を当てる。鴎外は「世界通用ノ名トナル」と得意だったようだ。とても読めない漢字で、画数が多くて覚えきれない。名前の由来書には「名トシテヨイ字ダトオモハレル」と記している。

 何年か前に北九州JR小倉駅近くの森鴎外記念館を見学したことがあるが、その折鴎外の家系図を前に担当者と話をして、そこに記載されていた山田爵先生に教わったと話したら、随分うらやましそうな顔をされたことがある。

 フランス語の実力はついていないが、おかげで文豪・森鴎外の孫にフランス語を習ったということも今となってはひとつの勲章である。後年山田先生は東大教授になられた。

2009年4月24日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

710.2009年4月23日(木) 中国経済の成長について

 17日に画家・安野光雅氏がNHK朝の番組で話していたことを今日の日経夕刊のエッセイに書いている。的を射た論旨に納得して、主旨を友人に書き送ったほど強く印象に残っている。

 こういう内容である。「誰が言い出したのか『今回の不況は百年に1度の不況だ』と盛んに言われている。こういった無責任な発言に私たちは非常に弱い。脅かされるだけで、その言い分の根拠がただせないが、百年といわず、わずか六十年余りさかのぼっただけで、恐るべき敗戦の日がそこにあったではないか」。実際その通りでどうして百年不況説が通説として拡がっていったのか。更に安野氏はこうも続けている。「あの時代と、不況と言われている今の世の中とくらべてみるといい。不況だというのに、新聞や雑誌の広告は旅行案内でいっぱい。食料は巷に満ちあふれ、着飾った男女が街を闊歩し、六十年前は米軍の車だけだったのに、売れていないはずの車で道路は渋滞している。テレビは飽食の料理とお笑い番組のない火はない」とまったくご指摘の通りである。

 今日発表された企業の08年度決算は軒並み赤字である。野村ホールディングス7,000億円、農林中金6,200億円、みずほFG5,800億円、中央三井800億円等々である。加えて昨日IMFが発表した今年度の成長率は、日本は先進諸国の中で最悪の-6.2%である。一方車販売が好調の中国は6.5%だと、多摩大学沈才彬(シン・サイヒン)教授が他の視点からの分析を併せて詳しく説明された。

 今日の多摩大学・現代世界解析講座は、今最も中国経済に精通している沈教授が担当された。テーマは「今後の中国経済の行方」だった。沈教授は軸足を日本に置いているが、中国江蘇省生まれで、中国社会科学院博士課程を修了後日本の大学で研究員として、中国経済の研究に携わっていただけに、日本人学者には及びもつかない発想と視点から実態を分析される。

 確かに日本人学者の視点とは異なる。例えば、中国経済のひとつの特徴として「『政変』には弱いが、外部危機には強い」と断言する。文化大革命の66年はGDP成長率-7.2%で、劉少奇国家主席が失脚した67年は-7.2%に、毛沢東が亡くなり4人組追放があった76年は-2.7%、華国峰主席失脚の81年は-5.2%と成長率が落ちている。それ故現政権交代が予定される2013年が要注意だと分析される。

 それにしても中国経済の強さには驚くばかりである。世界の銀行ランキングでも1位から3位までが中国の銀行だそうである。その純利益計上額も中国銀行で、その額も桁外れである。外部危機に強いのも共産党一党支配の強みで対応が早いことだと言われた。ただし、問題がある。国民の間に溜った不満が一気に爆発する心配がある。そのひとつは都市と農村の格差問題であり、もうひとつは政府幹部の腐敗・汚職であると指摘された。いずれも日本では考えられないほど桁外れなのである。

 日中関係は、70年代の「日中友好」から90年代の「日中協力」を経て、現在は「日中融合」の時代に入ったと結ばれた。 中国経済の驚嘆すべき底力について分かりやすく説明された。

2009年4月23日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

709.2009年4月22日(水) マルクス経済学者の死

 一昨日大内力・東大名誉教授が亡くなられた。享年90歳だった。われわれが学生のころ、農業経済の第1人者としてマルクス経済学会における存在は際立っていた。大内先生の講義はどこでも聴講したことはなかったが、父親の大内兵衛・元法政大学長の公開講義は法政大学の大教室まで出かけて静かに聴いたことがある。

 その時伺った大内兵衛・元学長の話の中で今なお記憶に残っているのは、歌手坂本九が好きだということと、財政投融資は一般会計予算を本妻とすれば、めかけのようなものだと財投めかけ論をはっきり述べたことである。よくもまあ大学内の公開講座でそんな下品なことを言えたものだと思う。しかし、その後購入した大内兵衛著「実力は惜しみなく奪う」の中に同じことが書かれていた。大内先生は本気でそう思い、そのように外部に言うことによって思うところを世間に啓蒙していたのだと思う。その頃より財政投融資の評判は極めて悪かった。大内兵衛先生の謦咳に触れることはなかったが、マルクス経済学者として生涯筋の通った学究生活を送られた。

 偶然と言おうか、今夕の日経紙「あすへの話題」に経済学者の佐和隆光氏がエッセイを書いておられる。私が生まれた昭和13年に治安維持法違反で大内兵衛・東大教授と有沢広巳助教授は揃って検挙されたが、戦後2人のマルクス経済学者は、吉田茂内閣に入閣を要望されたという。それほど両先生の理論は高い評価を受けていた。

 夕刊の記事からショックを受けたのは、28年ぶりに日本が貿易赤字に陥ったことである。戦後貿易立国として経済成長、国家繁栄を享受してきたが、その大きな要因は貿易黒字だった。戦後一時的に貿易収支がマイナスになったことはあるが、百年に1度の経済不況に影響され貿易赤字になるとは、日本経済がかなり深部まで打ちのめされているということである。

 さて、これからどうすべきか。大内兵衛教授から現況に対するコメントをお聞きすることは出来なくなってしまったが、変質学者の中谷巌・三菱経済研究所理事長からご高説を伺いたいところである。

2009年4月22日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

708.2009年4月21日(火) 人種差別反対世界会議は開催する意味があるか。

 昨日からジュネーブで始まった国連「人種差別反対世界会議」が冒頭から荒れ模様である。会議前から中東諸国のイスラエル言論攻撃が懸念されていたが、その空気を感じ取った西欧とアメリカは最初から会議に欠席した。

 奴隷解放、植民地解放、南アフリカのアパルトヘイトが解消されて、表面上人種差別がなくなっているはずの国際社会において、まだこの種の会議が開かれ、大もめにもめていること自体、人種差別政策が暗黙のうちに存在することを表している。

 今回は人種差別問題よりも中東和平を巡る場外乱闘が表面に出てきた。イスラエルとアラブ諸国との対立である。その最たるものは、早くから問題視されていたイランのアフマドネジャフ大統領のイスラエル非難である。「イスラエルの地図上からの消滅」発言のイラン大統領の登場に最初から嫌悪感を示した欧米諸国は出席せず、この会議の場でも「イスラエルは中東の人種差別主義の国」と発言したイラン大統領に呆れて、サルコジ仏大統領も途中退場する有様である。これほどの国際会議が対立は増すばかりで、今のところ何の成果も期待出来ず、空中分解しかねない。これでは最初から会議自体を開催する意味があるのか疑問符がつく。

 では日本の立場はどうか。国際会議でいつも影の薄い日本もちゃんと参加している。アメリカべったりの日本は、イスラエル側に立つアメリカに同意するわけにもいかず、さりとてイランをサポートする立場に立つわけにもいかず、毎度のことながら中途半端なのである。

 それより真剣に考えなければならないことは、なぜこの種の国際会議に関する情報が日本では少なく、伝えられないのかという点である。結局外務省、マス・メディアを含めて相変わらずのノン・ポリなのである。

 「酒のペンクラブ」4月例会が赤坂見附の「海千」で開かれたが、いつもと違い、最初から大真面目でペーパーを配布されて、試飲するお酒を品評するのである。同じ銘柄でも原料の米が違うといって2種類味わったが、残念ながらあまり違いが分からない。「香り」「甘さ」「のどこし」と書かれた空欄に後から後から廻ってくるお酒について書くのだが、ほとんど当てにはならない品評だったと思う。それよりこの「海千」の場所の良さはともかく、ビルの地下2階で万が一に火災でも発生したら逃げ場がないと感じた。いろいろな酒飲み場があるものだ。

2009年4月21日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

707.2009年4月20日(月) 万里の長城が長くなった。

 中国が「万里の長城」の全長をこれまでの6,350 kmから総延長8,851 kmに伸ばしたと公表した。2,500kmも増えた計算になる。理由は、従来の長さはレンガなどで造った人工壁だけだったが、これに崖などの天然の地形を利用した壁部分を加え双方を併せて「万里の長城」として確定したそうである。元々「万里の長城」は世界遺産の中でも、人類が造り上げた文化遺産の最も価値ある建造物のひとつであると考えている。実際八達嶺の現場に立ち、来し方を静かに振り返ると歴史がその巨大な建造物とダブって悠久の歴史と文化をイメージさせてくれる。

 それにしても月から見える地球上唯一の建造物と言われている(実際には見えないらしい)だけに、スケールもばかでかい。最近の写真などを見ると城の上は歩いている観光客で押し合いへし合いの混み具合で、ラッシュ時は大変である。確かにこの長城は一見の価値がある。それが、ここで唐突に城の長さが3割ほど伸びたのは、中国人らしい遠大な観光政策が秘められているのではないかと考えるのは、うがち過ぎだろうか。

 今日の日経夕刊「プロムナード」に作家清水義範氏が「ネット時代の出版ビジネス」と題して著作権に関する考えを書いている。グーグル社が主要図書館の蔵書を著作者の許諾なしにスキャンし、電子的データベースを作成して検索出来るようにした。訴訟を起こしたアメリカの作家組合と出版協会が昨年グーグルと和解した。国際条約を結んでいる関係で日本にもその影響が及ぶ。日本の作家も和解に応じるか、どうかを応えるよう著作者個人へ宛てて、各協会や出版社から書状が届いていて、どうするか返事をしなければならない。この悩みを清水氏は書いている。

 実は私の許へも先日著作権を委託している日本文芸家協会から、書状が送付されてきた。先日取材した際小中陽太郎氏もこのことを話されていた。日本文芸家協会としては、グーグルとの和解を承諾しようとの考えだが、もし反対なら個人的にやって欲しい旨の主旨であった。協会とまったく同じ考えはとらずに、とりあえず協会と同じ「和解承諾」して、しかる後に協会とは別の考え方で、入金は遅れても構わないので、著作権料がいただけるならいただきたいと返信した。

 私のケースは、著作がないに等しいので、ほとんど問題はないが、多数の著作を抱えている作家、特にアメリカ人読者が好みそうな作品のある、村上春樹氏や、三島由紀夫氏遺族らはどう返答するのだろうか。

 それにしてもグーグルのやり方はあくどい。文学作品に著作権があるのは、ごく当たり前の話で、契約社会のアメリカで商売しているグーグルが著作権侵害を承知のうえで無断使用とはモラルに悖る。言語道断である。最近も道路上からカメラを回して住宅街を写して、それをインターネットで見られるような「ストリートビュー」なるシステムを公開して他人の家の中まで覗けるような無作法な画面を提供している。因みにわが家を検索したらカメラが家の前を走って行ったが、幸い見られて恥ずかしいような光景は写っていなかった。しかし、近所で洗濯物を撮られていた家もあった。これも各家庭の許可を得ているわけではあるまい。グーグルのやり方は事前了解を得ずに土足で家の中へ入ってくる「ドロボー」と変わりない。こういうのを「自由」といって放置しておいて良いものだろうか。

2009年4月20日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

706.2009年4月19日(日) PC周辺機器を整備する。

 休日にもかかわらず、契約しているITコンサルタント事務所の小糸武彦さんにわざわざ自宅へ来てもらった。前々からPCハードディスクの万一の場合のメモリー消滅が少々気になっていた。特に、日常機能的に使用しているノートPC‘LET’S NOTE’で作成しているHPコンテンツのバックアップが気がかりだった。それが外付け機器を設置することによってバックアップしてもらえるとサジェストされ、外付け1・0 DATA・HD(レグザ)とPC内部にメモリモジュールをセットアップしてもらうことになった。

 もうひとつの目的は、3機のPCの内VAIOノートPCを1階のリビングに移して2階の書斎のVAIOデスクトップPCから無線でキャッチすることで1階でもインターネット検索を出来るようにすることである。このために無線LANルータを取り付けてもらった。これなら家中どこに居てもインターネットを使用出来る。妻もぜひ使いたいと言っていたので、ちょうど良い。5時間ほど時間をかけてもらい、何とか計画通りセットアップしてもらった。これで安心してこれまで通り3機のPCを有効に使い分けることができる。PC周辺機器を整備してメンテナンスに極力万全を期すということはかなりの投資になるが、これも必要経費だろう。小糸さん、お世話になりました。

 さて、今日もテレビでは麻生首相の最近のご機嫌ぶりを皮肉っていた。小沢民主党代表の秘書逮捕事件以来民主党の地盤沈下と引き換えに、首相の支持率が回復したことがその最大の理由であろう。にも拘わらず自分の政治力とリーダーシップで支持率が上がったと妙な勘違いをしている。自分自身の能力というものがよく分かっていない。新宿御苑の観桜会では、綺麗どころに囲まれてすっかりご機嫌になり、下手な和歌を披露したり、2016年オリンピックに立候補している東京会場視察のために来日しているIOC評価委員一行に対する迎賓館の歓迎会では、のりに乗って無神経にも、建物が出来たのは日露戦争に勝った年だと当のロシア人委員にしゃべったり、その場の空気や、言って良いことか悪いことかの区別がまるでつかない。馬鹿丸出しである。

 先日河村官房長官が、総理は軽口が出るので、気をつけて欲しいとのコメントがあったばかりである。単純といえば単純なのかも知れないが、総理大臣たるものがあまり軽率で尻軽では困る。これから先が思いやられる。

2009年4月19日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

705.2009年4月18日(土)  イチローはすごい!

 昨日は随分寒かったが、今日は一転して陽春のほのぼのとした温かさの中で玉川郵便局へもYシャツ姿で出かけた。日本のプロ野球もWBC優勝にあやかり、盛り上がって開幕して間もない。サッカーJリーグや水泳日本選手権も華々しく、正にスポーツ・シーズンたけなわである。しかし、近年日本のプロ野球はMLBに押されて人気も今ひとつという感じである。

 一昨日イチロー選手が張本勲選手の達成した日本人生涯通算安打3,085本に並んで、アメリカ内だけでなく、日本国内でも号外まで出たくらい盛り上がった。昨日もまたヒットを1本打って、いとも簡単に日本人最多安打記録を達成した。イチロー選手の記録は日本とアメリカで打った日米合計安打数であるが、張本選手の記録はすべて日本プロ野球界で放たれたものであり、日米間には年間試合数などいくつかの点で条件が違うので、簡単に比較することは難しい。

 しかし、一般に米メジャーリーグの方が日本のプロ野球界よりレベルが高いとされているので、イチロー選手の記録は張本選手の記録より価値が高いと見られている。

 その一方で、本塁打記録は、王貞治選手の生涯本塁打が日本国内では868本で、ハンク・アーロン選手の755本を軽く抜いて世界一と言われている。だが、日本の野球を一段低いとみているアメリカ人は、必ずしも王選手の記録を最多本塁打とは認めていないようだ。イチロー選手がこれから記録をどんどん伸ばして、メジャーリーガーに伍してMLB記録を塗り替えていけば、相対的に王選手の本塁打記録に対するアメリカ人の評価も上がってくるのではないだろうか。

 それにしてもアメリカ人選手の作った生涯通算最多安打はピート・ローズ選手の4,256本で、まだほど遠く、なお1,000本以上の差がある。評論家はローズ選手の記録をイチローが追い抜くのは可能で時間の問題と話しているが、果たしてどうか。

 ピート・ローズ選手といえば、メジャーリーグ選手団の一員として日本にもやってきて日本人の間でも人気が高かったが、あの猛烈なヘッドスライディングは迫力満点で度肝を抜かれたものである。晩年は野球賭博にはまって野球界を永久追放され、授けられたレッズの永久背番号を穢して晩節も汚してしまった。

 思い起こすと、かつては私にとってもピート・ローズは憧れの選手だった。一度彼のプレーを本場で見たくて観戦に行ったことがある。1980年9月に文部省教員海外派遣団の添乗員としてフィラデルフィアに滞在中に先生方を誘ってフィラデルフィア・フィリーズのホームスタジアムへ出かけた。レッズからフィリーズへ移籍2年目でローズの人気がまだ衰えないシーズンだったので、熱狂的なファンが「ピート」と声援していたが、私の耳に入ってくる声援は「ピー!」「ピー!」にしか聞こえず、その声援も煩かったことが懐かしい。

 さて、昨日東京でパキスタン支援国会合が開かれ、約50ヶ国と国際機関が今後2年間に総額50億ドル(約5千億円)を上回る拠出を表明した。今年はオバマ政権が誕生早々イラクから早期に部隊を撤退させて、アフガニスタンへ増派すると表明していた。タリバーン掃討作戦を展開することを検討している。しかし、タリバーンがアフガンから国境線を乗り越えパキスタン領内へ進出してきた。これが問題である。パキスタン政府は思うようにタリバーンを鎮圧出来ずに、国境周辺でテロによってかく乱されている。

 いま最大の要注意国はパキスタンである。私も訪れたことのある国境のカイバル峠周辺が最も危険で、流動的な状況にある。一昨日のNHK「クローズアップ現代」でも、アフガニスタンとパキスタンの国境地帯に住む部族周辺が最も危ないと動画入りで報じていた。私が訪れた9年前でもかなり危険な匂いが充満していた。

 当分このトライバル・エリアから目を離すことが出来ない。

2009年4月18日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

704.2009年4月17日(金) 「週刊新潮」の低俗な虚報騒動

 昨日発売の「週刊新潮」がお詫びと称して、朝日新聞神戸支局襲撃実行犯に関する連載記事が虚報だったとの言い訳がましい自説、「『週刊新潮』はこうして『ニセ実行犯』に騙された」を恥ずかしげもなく10頁に亘って延々と書いている。今朝の朝日新聞社説はこの新潮社の対応に対してまったく納得していない。「週刊新潮」は、朝日の指摘に対して1度は反駁したにも拘らず、この期に及んで非を認めて降伏した。詳しく理由を説明していないことからも、すんなりとは謝りたくないのだろう。

 確かにこの「週刊新潮」早川清編集長の説明は、実行犯を名乗った男・島村征憲の刑務所内での取材から、島村の言い分を信じるまでに至った経緯、それが虚報であると判った経過を頁の大半を使ってくどくどと説明しているに過ぎない。どうして島村の言い分を事実だと認識するに至ったかの肝心な分析や証拠を見出した説明がない。その挙句虚報であると認めるに至った発表の内容が充分読者を納得させる説明になっていない。こんな程度の取材で「われ殺人事件の真犯人を取材せり」式の台詞で4回にも亘って関連記事を連載し、世間を偽り騒がせ、警察の鼻を明かしたつもりの有頂天な報道の仕方はいかにもガサツで軽薄以外の何者でもない。加えて、被害者である朝日新聞社や殺害された記者の遺族に対する配慮や説明が不十分であることが、説明文の随所に顕われている。

 新潮社では、今後はこの種の捏造記事がないよう注意すると言っているが、今回のお粗末な事態の責任をどのような形でとるのかまでは明言していない。次々号から編集長が交代するが、そのことは本件とは関係ないらしい。結局「大山鳴動してネズミ一匹出ず」のガセネタ特集記事になって、読者を騙し、マス・メディア全体の信用を失わせ、被害者である朝日と遺族に大変な迷惑をかけ、深い憤りをもたらしただけだったのである。

 マス・メディアの報道なんて所詮その程度の軽いものだと思わせただけである。新潮社のような週刊誌の知的レベルだって精々こんなものなのだろう。それに、マス・メディアというのは自分の思うところ、信ずることは居丈高になって報道の権利とか、自由であると言いたてるが、一旦自らに非があったり、間違いがあるとそれを認めることに素直ではない。自分の犯した重大な罪を何とか逃れようとの気持が強いことがこの事件を通して透けて見えてきた。

 皮肉なことにマス・メディアの正義感、誠実さ、責任感、常識、知的レベルなどがよく分かった。

2009年4月17日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com

703.2009年4月16日(木) 多摩大リレー講座始まる。

 今日から本年度春季多摩大学「寺島実郎監修リレー講座・現代世界解析講座Ⅱ」が始まった。昨年の第1回に続いて、今年4月多摩大学長に就任した寺島実郎氏監修の下に12回の講座からなる多摩地域の人々とともに歩むセミナーの開始である。今日は最初の講義であり、監修者の寺島実郎講師が主旨及び他の講師の紹介等をされてから、ご自分の「2009年という時代―世界史的転換期として」と題する本題へ入っていった。

 今日の講義では、昨年来の世界的不況をアメリカ経済の挫折から今年の停滞、そして将来への分析を日本、その他の国々との比較の中で説明された。

 特に、アメリカ政府が景気刺激策、並びに企業倒産回避のために取った、金融、産業界への財政出動が自由主義経済を標榜していたアメリカは社会主義的だと、ロシアや中国辺りから皮肉られる有様だと話された。更に財政出動は国家財政を大きく赤字化させたが、それを何で埋め合わせるか。それにしても赤字のために米国債を発行して、買っているのが日本だと思っていたところ、何と中国が米国債を一番購入しているとは驚いた。この他にも、アメリカの財政基盤、金利政策、エネルギー政策、中国観等について突っ込んで分かりやすく解説された。さすがに現場で生きた情報を収集して講義に取り入れている話ぶりは、生々しく迫力がある。先月はアメリカ東海岸を歩き、来月はヨーロッパを見てくるという。そんな情報収集の旅で得られた知日派アメリカ人ロビイストの話が面白かった。寺島講師はあと2回講座を持つことになっているので、この先楽しみである。

 今日アメリカ・メジャーリーグで今シーズン初めて出場したマリナーズのイチロー選手が日本人選手最多安打を放った張本勲選手の通算3,085本に並んだ。それも満塁本塁打というのだから、やることが違う。やはり只者ではない。日本人スポーツマンの中でも海外で傑出した実績を残しているだけのことはある。

2009年4月16日 | カテゴリー : 未分類 | 投稿者 : mr-kondoh.com